レジリエンスとは?
レジリエンスという言葉は、元々は物理学や生態学などに使われる用語でしたが、最近では心理学でも使われるようになりました。
それ以外にも、人間の社会システム論や、リスク管理といった分野においても注目されています。
では、このレジリエンスという言葉は一体どんな意味なのでしょうか。ここからは、レジリエンスという言葉の意味や、なぜ注目されるようになったのかを紹介していきます。
レジリエンスの意味
レジリエンスとは、「弾力性」や「復元力」「回復力」といった意味をもつ言葉です。
レジリエンスはさまざまな分野で用いられているため、明確な定義が存在しません。
例えば、ビジネスの分野では、ストレスや逆境にさらされたときに素早く立ち直り、適応する能力をレジリエンスと呼びます。
総じて、打たれ強いこと、心がしなやかであることと言えるでしょう。
注目された背景
近年、レジリエンスという言葉が広まった背景には、労働環境の変化が挙げられます。
仕事に対するストレスであったり、人間関係でストレスを感じたりと、ストレス社会と言われる現在、働く環境を変えるだけでなく、個々にこれらのストレスを跳ね返せる能力が必要であると考えられるようになりました。
レジリエンスが組織にもたらす効果8つ
では、このレジリエンスを高めることによって、具体的にどのような効果が表れるのでしょうか?
ここからは、レジリエンスが組織にもたらす効果を紹介していきます。レジリエンスを高めることのメリットを理解して、しっかりと活用できるようにしましょう。
レジリエンスが組織にもたらす効果1:強固な組織
従業員1人1人がレジリエンスを高めることで、組織全体がより強固なものとなり、突然の混乱や変化に対しても柔軟に対応できるようになります。
この組織が存続し繁栄するための適応能力は、組織レジリエンスと呼ばれています。
組織レジリエンスを高めるためには、従業員の心身の健康と、働きやすい環境づくりが必要不可欠です。
レジリエンスが組織にもたらす効果2:ダイバーシティ・マネジメント
ダイバーシティ・マネジメントとは、組織内に存在するそれぞれの個性を生かすことで、組織の生産性を高めていくことです。
外国人労働者の増えつつある現在、国や人種による価値観の違いはどうしても生まれてきてしまいます。ですが、組織レジリエンスを高めることで、このような多様性を受け入れて適応することができるようになります。
結果として、従業員1人1人が活躍できる環境となり、より強固な組織となるでしょう。
レジリエンスが組織にもたらす効果3:スピーディーな対応力
レジリエンスを高めることによって、何か予期せぬトラブルが起きたりした際、スピーディーに対応することができるようになります。
例えば、何らかのミスをしてしまったとき、落ち込んでその失敗を引きずってしまうこともあるでしょう。こうしたネガティブな状態では、作業の効率も悪くなってしまいかねません。
レジリエンスを高めておけば、仮に失敗してもすぐに気持ちを切り替え、対応していけるようになります。
レジリエンスが組織にもたらす効果4:パフォーマンス向上
例えば、何かの物事に対して、こうでなければならないと考え、決めつけてしまうことがあるのではないでしょうか。
レジリエンスを高めることで、1つの考え方に固着せず、多方面から柔軟に物事をとらえられるようになります。
その結果、今まで見えていなかった部分が見えるようになるなど、パフォーマンスの向上につながります。
レジリエンスが組織にもたらす効果5:リスク特定・対応能力の向上
人間、誰でも失敗することはあります。大事なことは、失敗してしまったときにどのような対応ができるかに他なりません。
レジリエンスが高いことは、リスク特定・対応能力の向上につながります。
先述した内容と少し重なりますが、レジリエンスが高い人は失敗したときにそれを引きずるのではなく、なぜ失敗したか、どのようにすれば防げたのかを振り返ることができます。
すなわちリスクを特定し、次につなげられる能力となります。
レジリエンスが組織にもたらす効果6:ストレスへの対応力
働くうえで、ストレスは付き物です。大きな困難にぶつかったり、あるいは人間関係でうまくいかなかったりすることもあるでしょう。
レジリエンスが高ければ、こうしたストレスに対して押しつぶされることなく、適切に向き合うことができるようになります。
ストレスを悪いものとだけとらえるのではなく、自身の成長のチャンスでもあると、プラスに置き換えられるようにしましょう。
レジリエンスが組織にもたらす効果7:人間関係の改善
レジリエンスを高めることは、人間関係の改善にも役立ちます。これは、対人関係によるストレスに対しても柔軟に対処することができるからです。
結果として、他人との連携が図りやすくなり、作業の効率も高まるでしょう。
レジリエンスが組織にもたらす効果8:自己評価力の強化
レジリエンスを高めることで、過剰にネガティブになることなく、客観的に自分と向き合えるようになります。
自己評価が正確に行えることで、自分の弱点や欠点を見つめなおすことができますし、いいところを見いだせれば自信にもつながります。
悪い部分だけにとらわれず、自分の長所もしっかりと把握し、それを活かせるようにしましょう。
レジリエンスを高めるために必要な要素6つ
ここまで、レジリエンスが組織にもたらす効果について紹介してきました。このような効果が、個人にとっても組織にとっても、今後成長していくうえで必要不可欠なものとなりつつあります。
それでは、レジリエンスを高めるには具体的にどのようにすればよいのでしょうか。
レジリエンスを高めるために必要な能力は、「レジリエンス・コンピテンシー」と呼ばれています。ここからは、その6つの要素について紹介していきます。
レジリエンスを高めるために必要な要素1:自己の気付き
レジリエンス・コンピテンシーの1つ目の要素は、自己の気付きです。自己の気付きとは、自己の思考や感情、行動のパターンを明確につかむ能力を表します。
ただ無意識に行動しているだけでは何も変わりません。自分がどういった状況の時にどういった思考になるのか、どのような行動をとるのかを見つめ直すことが必要となります。
レジリエンスを高めるために必要な要素2:自己コントロール
レジリエンス・コンピテンシーの2つ目の要素は、自己コントロールです。自己コントロールとは、目標を実現させるために自分の思考や感情、行動を変化させる能力を表します。
ある物事に対して感情的になりすぎないよう、冷静に思考をコントロールしていきましょう。
レジリエンスを高めるために必要な要素3:現実的楽観力
レジリエンス・コンピテンシーの3つ目の要素は、現実的楽観力です。現実的楽観力とは、自分や他者のポジティブな点に気付き、現実と照らし合わせたうえで自分に何ができるかに焦点を当てて、実際に行動に移せる能力です。
何かに対して初めから無理だと諦めることなく、まずは挑戦してみることが重要なポイントです。
レジリエンスを高めるために必要な要素4:精神的柔軟性
レジリエンス・コンピテンシーの4つ目の要素は、精神的柔軟性です。精神的柔軟性とは、物事を多方面から見ることで、柔軟かつ正確な思考ができる能力を表します。
ある1つの考え方に固執することなく、別の視点からも考えてみることで、新しく発見できることもあるでしょう。何事にもとらわれすぎないことが大切です。
レジリエンスを高めるために必要な要素5:キャラクターの強み
レジリエンス・コンピテンシーの5つ目の要素は、キャラクターの強みです。キャラクターの強みとは、自分の一番の強みを理解し、それを最大限に活用することで、目標を達成しようとする能力を表します。
例えば、ネガティブな状態ではどうしても自分の悪いところばかりに目が行ってしまいがちですが、そういった時こそ自分の長所を見つめ直し、活かせるようにすることが理想的だと言えるでしょう。
レジリエンスを高めるために必要な要素6:関係性の力
レジリエンス・コンピテンシーの6つ目の要素は、関係性の力です。関係性の力とは、良質なコミュニケーションを通して強い信頼関係を築く能力です。
必ずしも、その場にいる全員とうまくやっていこうとする必要はありません。大事なことは、何かを相談できるような、心の支えとなってくれるサポーターをつくることです。
助けてもらうだけでなく、お互いに助け合えるような、強い信頼関係を目指しましょう。
レジリエンスを活用しよう
いかがでしたか。今回は、レジリエンスがもたらす効果と、レジリエンスを高める方法について紹介してきました。
過度なストレスに押しつぶされてしまっては、元も子もありません。ストレスが全くないといったことはないため、ストレスにうまく対処することが必要不可欠です。
ぜひ、レジリエンスを高められるような思考や行動を意識して、レジリエンスを身につけてみてください。