法定福利費の種類6つ|法定福利費と福利厚生費の違い・法定福利費の計算方法

組織・人材

法定福利費とは

法定福利費とは「法人」や「個人事業主」が法律で支払を義務付けられている、従業員の社会保険料の会社負担分を仕訳する勘定科目です。

決算書では、損益計算書の「販売費及び一般管理費」や「製造原価」に計上されます。法定福利費の計算の対象になった人の給与がどちらに計上されているかで判断します。

法定福利費と福利厚生費の違い

法定福利費と福利厚生費の違いは、法律で義務づけられているかどうかです。

どちらにも「福利」という言葉が入っている事からわかるとおり、従業員の「幸福と利益」のための費用です。

福利厚生費として扱われる範囲はとても広く、会社によって違います。主に社員旅行・慶弔費・健康診断料などがあります。なんでも福利厚生費にできる訳ではなく、平等でなおかつ打倒な金額である事が要件です。

社会保険の加入要件

法人の事業所は業種にかかわらず法律で社会保険の加入が義務付けられています。個人事業主の事業所は、常時使用の従業員が5人以上かどうかで義務か任意かが違ってきます。(非適用業種あり)

正社員以外のパートも、所定労働時間が週30時間以上または、週20時間以上勤務しているなどの5つの条件を満たしていても加入できます。さらに、平成29年4月からは、短時間労働者でも4つの条件を満たし労使で合意が得られれば任意で加入できるようになりました。

法定福利費の種類6つ

法定福利費である社会保険料は法律で義務付けられている複数の保険料の総称です。

社会保険料は、健康保険・介護保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険・児童手当拠出金の6種類です。

法定福利費の種類1:健康保険

健康保険とは公的な医療保険で、医療費の一部肩代わりをするための財源になっています。

法人の場合は代表者・家族従業者も対象ですが、個人事業主の場合は対象になりません。業務外の病気・怪我・出産などの時に申請することにより給付金が支給されます。

75歳未満が対象で、75歳以上からは後期高齢者医療保険に加入となります。

法定福利費の種類2:介護保険

介護保険も公的な保険で、介護施設や自宅などで介護のサービスを受ける一部を肩代わりする財源になっています。

会社員としては、40歳~64歳までが対象で社会保険料と一緒に徴収されます。介護のサービスを受ける人が一部を負担し、残りを税金と介護保険料で半分ずつ賄っています。

法定福利費の種類3:厚生年金保険

厚生年金保険は公的な年金で、老後の生活を支える老齢年金・障害の状態になった時の生涯年金・もしもの時にのこされた遺族の生活を保障する遺族年金などの財源になっています。

会社に入社した時から70歳未満が加入対象で、下限年齢は設定されていません。年金受給者への給付の財源を現役世代が支払う仕組みの制度です。ちなみに国民年金保険の加入対象は、基本20歳~60歳迄です。

法定福利費の種類4:雇用保険

雇用保険は主に失業者のための公的保険です。失業給付・教育訓練給付・育児休業給付・介護休業給付などの財源になっています。

雇用保険においては、すべての事業者が適用事業で労働時間が20時間以上で一か月以上雇用見込みの方を1人でも雇用していると加入する義務があります。ただし、個人事業主・法人役員・家族従業員・学生は加入できません。

雇用保険と労災保険をあわせて労働保険といいます。

法定福利費の種類5:労災保険

労災保険とは労働保険の一つで、従業員が勤務中や通勤途中などに事故などで怪我をした時などに企業が従業員や従業員家族に補償すべきお金を肩代わりする保険です。

労働時間や雇用期間に関係なく、原則全ての従業員が加入の対象者となります。また従業員以外でも特別加入制度によって、中小企業の事業主であれば加入することができます。

労災保険料は給料からの徴収はなく、すべて事業所の負担となります。

法定福利費の種類6:児童手当拠出

児童手当拠出とは子育て支援のための税金です。児童手当・子育て支援事業・仕事と子育ての両立支援事業などの財源になっています。

平成27年4月から「子ども・子育て拠出金」と名称が変更されました。厚生年金と一緒に徴収され全額事業所の負担です。

法定福利費の計算方法

建設業では社会保険の未加入対策のために、下請けが工事原価に事業主負担分の法定福利費を含めて見積や請求をする取組が始まっていて、国土交通省によって法定福利費の算定方法やその内訳の明示のルールが設けられています。

請求の時点で、法定福利費を確保することがポイントです。では、その法定福利費の算定方法をみていきましょう。

法定福利費を確保するための見積書の作成3ステップ

法定福利費を確保するための見積書の作成には3ステップあります。

まず、法定福利費を算出するために必要な人件費を算出します。次に算出した人件費を基に法定福利費を算出します。最後に法定福利費を見積書に明示します。3ステップを細かくみていきましょう。

法定福利費を確保するための見積書の作成ステップ1:人件費を算出する

法定福利費は現場の人件費を基に計算します。

現場ごとに必要な人工数に平均的な賃金を掛けて算出する方法や、過去の実績より現場全体の平均の労務比率を算出し、それに工事価格を掛けて算出する方法などがあります。(労務費率は厚生労働省で決められています。)

先述の方法は、「現場で必要な人工数×現場の平均日額賃金=人件費」となります。

法定福利費を確保するための見積書の作成ステップ2:人件費をもとに法定福利費を算出

算出した人件費に社会保険料率を掛けて法定福利費を算出します。見積書に明示できる法定福利費は、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・子ども・子育て拠出金・雇用保険料の事業主負担分のみです。

「現場ごとの人件費×それぞれの事業主負担分の料率=それぞれの法定福利費」となり、全ての合計が法定福利費です。雇用保険は全国一律で年度別に、それ以外の保険料率は都道府県別で年に数回改定されますので注意が必要です。

法定福利費を確保するための見積書の作成ステップ3:法定福利費を見積書に明示する

算出できた法定福利費はどのように見積書に明示するとよいのでしょうか。

注意点としては、他の経費などに法定福利費を含めずに個別に表記・工事見積書の消費税は法定福利費込みで算出するの2点です。

法定福利費である社会保険料の納付は消費税の非課税取引ですが、工事見積書に含む法定福利費はあくまでも工事の対価となるため、課税対象取引となるからです。

正しく法定福利費を理解しよう

法定福利費である社会保険料は、従業員からすると給料から引かれる嫌なもので、経営者側からは負担がきつくて大変なものと嫌われています。

でも、それぞれの保険料が何のためのものなのかをみていくと明確ですが、社会保険料は従業員とその家族のための制度です。従業員のための制度をきちんと行うことで従業員の定着度も上がります。正しく法定福利費を理解し、申請の漏れなく最大限活用するようにしましょう。

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