家族手当とは
会社が行っている福利厚生の手当の中には「家族手当」という手当がありますが、家族手当とはその会社の社員と共に生活をしている家族に対する生活支援として、会社が支給する手当のことです。
家族手当は会社が行っている福利厚生の一貫であるため、そもそも家族手当がない会社もあります。また、どの程度家族手当が支給されるのかも会社によってさまざまであり、家族という部分のとらえ方にも違いがあるのが特徴です。
扶養手当との違い
家族手当と扶養手当は非常に似た手当ですが、扶養手当は「扶養している家族」が前提となっているため、配偶者でも一定以上の収入があれば扶養手当の対象にならないことがあります。
家族手当について扶養家族に限るとしている会社もありますが、会社により運用の仕方が違うので、扶養手当の対象にならない家族でも家族手当の対象になることがあります。扶養手当の中には児童扶養手当のように、地方自治体が支給する手当もあります。
配偶者手当との違い
家族手当と似た手当として配偶者手当もありますが、配偶者手当は支給の対象となるのが「社員の配偶者」のみとなっているのが特徴で、社員の家族は対象ではありません。
家族手当は配偶者以外でも対象になることがありますので、そこに違いがあります。配偶者手当も会社の福利厚生の一貫なので、行っている企業があれば行っていない企業もあるというのは同じです。配偶者の収入によって、配偶者手当の対象にならないことがあります。
児童手当との違い
家族手当と児童手当の違いですが、家族手当は会社が社員に対して行っている福利厚生の1つであるのに対して、児童手当は行政が子どものいる家庭に対して行っている支援という違いがあります。
児童手当は、子ども手当と呼ばれることもあります。児童手当は子どもの人数や、世帯の収入によって手当の額が変わってくるという特徴があります。一般的には、1人の子どもに対して毎月1万円~1万5千円の支給があります。
子女教育手当の違い
子女教育手当とは海外で勤務している在外職員の子どもが、海外で教育を受けるために必要な経費として充当するために支給されるもので、会社が社員の家族に対して支給する家族手当とは違う手当となります。
子女教育手当は、子どもの教育費に対する支援です。会社によっては、子育て世代を応援するために家族手当の支給をやめ、代わりに子女教育手当などの子女手当を新設したり増額したりする会社が出てきています。
家族手当の支給条件6つ
ここからは、家族手当が支給されるにはどんな支給条件があるのか、6つの条件を見ていきましょう。
家族手当は福利厚生として実施している会社もあれば、実施していない会社もあります。支給を受けたい場合、まずは勤める会社や就職・転職先の会社が家族手当の支給を行っているかどうか、確認しておく必要があるでしょう。
家族手当の支給条件1:会社によって違う
家族手当の支給条件ですが、そもそも家族手当は会社が行っている福利厚生の一貫であり、法律で定められた手当ではないために支給条件については会社によってかなり違う部分があります。
これから紹介する家族手当の支給条件も、あくまでも一般的なものとなっています。全ての会社がこのような家族手当の支給条件を設けているという訳ではありませんので、注意してください。
家族手当の支給条件2:配偶者が被扶養者
家族手当の支給条件としてよくある条件として、「配偶者が被扶養者」であること、という条件があり基本的に年間収入が130万円未満(配偶者が60歳以上、または障害厚生年金を受ける障碍者であれば180万円)の配偶者が対象、となっています。
現代では共働きしている世帯が増えてきているため、配偶者が被扶養者に入らない、年間収入が多い場合には家族手当の支給対象とならないという条件を設けている会社が多いです。
家族手当の支給条件3:年齢制限
家族手当の支給条件として、対象となっているのが親や子どもであった場合に、家族手当の対象となるかどうか「年齢制限」が設けられている場合があります。
両親と同居しているとしても両親の年齢が満60歳以上であることや、子どもの年齢が22歳以下であること、などの年齢制限がある場合が多いです。年齢制限で条件をつけるのは、家族が個人で収入を得られる年齢である間は、家族手当の支給の対象にしないということでしょう。
家族手当の支給条件4:年収制限
配偶者に対して被扶養者であること、という支給条件があるように、家族手当の対象となる家族に対しても年収制限をしている会社があります。
家族手当の支給を行っている会社に勤めていても、両親が年金などを含めて一定の年収があった場合や、子どもが働いていて収入を得ている場合、家族手当の支給の対象にはならないということです。配偶者以外にも年収額を家族手当の条件にしている企業は多いので、確認しましょう。
家族手当の支給条件5:同居していること
家族手当の支給条件の5つ目はよくある支給条件で、会社に勤めている社員と「同居している家族であること」という条件です。家族と同居している場合は、この支給条件を気にする必要はありません。
しかし同居していることが支給の条件になっている場合、同居していない家族はたとえ扶養していたとしても、家族手当の対象にならない場合があります。家族と別居する場合には、家族手当がどうなるのか確認する必要があるでしょう。
家族手当の支給条件6:生計を一にする家族かどうか
「生計を一にする家族」かどうかというのは、同一の収入内で生活している家族かどうかという支給条件になります。こちらの条件では同居しているかどうかは問題にならないため、例えば進学や療養のため別居している家族に対しても家族手当の対象になります。
ただし、同居している家族であっても生計を一にしていない家族がいた場合は、その家族については手当の対象となりません。生計を一にしている家族かどうかが重視されます。
家族手当の支給額の相場
それでは、実際に家族手当を支給している会社の支給額の相場はどうなっているのか、公務員と民間企業に分けて見ていきましょう。
国家公務員は決まった額の支給、地方公務員もそれに準じた金額の支給があることがほとんどですが、民間企業ではとくに法律で定めていないため、支給額には差があります。
公務員
まず公務員ですが、公務員の場合は家族手当ではなく扶養手当となっており、国家公務員の場合は配偶者と22歳までの子ども、両親が対象で6,500円~1,5000円の支給となっています。
配偶者は6,500円、0歳から15歳までの子どもで10,000円、16歳~22歳の子どもで15,000円、両親は6,500円です。地方公務員については、それぞれの自治体によって多少支給額が異なっています。
民間企業
では民間企業の場合はどうかというと会社ごとの違いが大きいですが、一般的に子どもや両親は3,000円~5,000円、配偶者は10,000円程度が相場となっています。
民間企業では社員数の多い会社ほど家族手当の支給額が高く、社員数が少なくなると手当額も減る傾向にあります。
家族手当の支給割合
「平成27年度職種別民間給与実態調査」によるところ、家族手当制度がある事業所は全体の76.5%にのぼっています。
家族手当を福利厚生として行っていない事業所は23.5%なので、全体のおよそ3/4程度の事業所が家族手当を支給していることになるでしょう。こちらを見ると、家族手当を支給している事業所が割合多いことが分かります。
家族手当を知って導入するか検討しよう
今回の記事では家族手当について特集してきましたが、いかがでしたでしょうか。家族手当を導入している民間企業は意外と多く、支給額は社員数が多ければ多いほど高くなる傾向にあります。
家族手当は福利厚生の1つであり、社員に会社をアピールする要素の1つになりますので、内容を知って導入するのかどうかの検討をしてみましょう。