ファブレス経営のメリット・デメリット4つ|経営成功のポイント

組織・人材

ファブレス経営とは

ファブレス経営とはビジネスモデルの一つで、自社で生産設備を持たずに企画や開発をして他の工場に委託するというスタイルです。

ファブレスを英語にすると「fabless」となります。これは工場の英語である「fabrication facility」を短くした「fab」と持たないを英語にした「less」がくっついた造語となります。生産を全部外部に委託することにはメリットもありますが、デメリットもあります。

ファブレス経営のメリット4つ

工場を持たずに企画や開発だけをすることは資金力があまりない企業にとっては魅力的ですが、それ以外にもメリットは色々とあります。実際に大手の企業がこのやり方で成功しているのも相まって注目度も高いです。

ただし、このファブレス経営を取り入れるだけですべての企業が成功するわけではありません。メリットとデメリットを両方理解するところからスタートしましょう。

ファブレス経営のメリット1:初期費用不要

ファブレス経営の最大のメリットの一つが初期投資といった最初にかかる費用が色々と削減できるということです。自社で生産体制を持たないのがファブレス経営のスタイルになりますので、工場を建てるといった対応が不要となります。

これは出だしに失敗してしまった場合に簡単にたためるというメリットにも繋がっており、リスクを減らす一つの方法としても優秀な経営方法の一つと言えるでしょう。

ファブレス経営のメリット2:経営コストの削減

ファブレス経営は工場や生産設備を持たないというやり方なので、そこに関わってくる人員やメンテナンス費といった継続的に発生するコストも削減できるということになります。

これは事業縮小や量産体制拡大においてのコストも低くなるという意味になりますので、発注の量を調整する必要がある商品でも手軽に扱うことができるようになるでしょう。

ファブレス経営のメリット3:リソースに注力

生産設備に人員を割く必要が無いので、企画や開発や研究といった分野にリソースを注力できるというのもファブレス経営のメリットです。自分たちの長所をいかんなく発揮するための手法としてファブレス経営を用いることもあります。

他者との競争を勝ち抜くためにはどこかで優位性を確保する必要があるため、その優位性を確保するためにもリソースを注力できる環境が必須となってきます。

ファブレス経営のメリット4:ニーズへの対応

生産体制が外部にあるのがファブレス経営ですので、初期投資などの固定化した資金がほとんど発生せず方向修正がしやすいというメリットもあります。いわゆる資金固定化回避によるニーズ対応力の上昇とも言えるでしょう。

工場を持つことができないベンチャー企業がよく取り入れている手法であり、ニーズを理解して対応することができる手腕があれば一気に急成長することも可能です。

ファブレス経営のデメリット4つ

ただし、ファブレス経営は工場といった生産設備を持たないので生産設備を自社で持っていないことで発生するデメリットも背負うことになります。

手元に自分たちが作りたい製品が無いことで発生するデメリットや外注しなければならないというデメリットをそのまま背負ってしまうと想像すればわかりやすいでしょう。

ファブレス経営のデメリット1:外注コストがかかる

初期投資などが不要となるファブレス経営ですが、どうしても商品や製品を作るために外部委託をする必要があるので外注コストが発生してしまいます。生産量が多ければ多いほどこのコストも増えてしまうでしょう。

長期にわたる大ヒット商品の作成に成功した場合はそれだけ外注コストも積み上げられてしまうので、自社で工場を持った方が良いという結論になりかねません。

ファブレス経営のデメリット2:品質管理がしにくい

自社に工場を持たないファブレス経営は品質管理も自分たちはでなかなかできないので、工場次第では品質を保つことが困難になってしまいます。

自社工場がある場合は品質管理に問題があった場合は直ぐに問題提起から解決まで動いて対応することが可能ですが、外部委託が必須となるファブレス経営ではそれができません。何らかの問題が発生しても動きが鈍くなってしまいます。

ファブレス経営のデメリット3:課題解決ができない

ファブレス経営では自社工場を持たないで外部委託をすることになりますので、問題が発生してもその問題に自分たちが積極的に関われないケースもあります。こうなると課題だけ露呈して歯がみしてしまうこともあるでしょう。

自社工場があった場合は問題が発生した場合は会社一丸となって対応できますが、外部委託の場合はそれもできませんので問題が発生した場合のリスクも高くなりがちです。

ファブレス経営のデメリット4:情報漏洩

ファブレス経営では製品の製造工程などを外部に委託することになりますので、それらの製品の作り方などの情報が漏洩するリスクも高まります。契約をしっかりと結ばないとトラブルになりやすいでしょう。

ファブレス経営を目指して外注先を選ぶ場合は、これらのリスクを考えた上で信頼できる所を選ぶ必要があります。これらのデメリットとメリットを理解した上で立ち回る必要があるのがファブレス経営です。

ファブレス経営の業界・業種

このように工場を持たないファブレス経営は工場を持たない方が良い状態にある業界や業種に取り入れられている経営方法となっています。最もわかりやすいのが製品サイクルが非常に早く半年や1年で切り替わる業界です。

それらの業界は積極的にファブレス経営を取り入れており、大手の企業でも当たり前の経営方法となっています。

半導体メーカー

半導体メーカーは非常に製品のサイクルが短く半年に1回は新製品が投入されてしまう業界なので、最新設備の整った自社工場を作ることがなかなか難しく、ファブレス経営が主流となっています。

元々このファブレス経営というやり方はアメリカのシリコンバレーで誕生したと言われており、半導体という製品を扱うのみ最も適しているのがこのファブレス経営だという声もあります。

デジタル機器メーカー

デジタル機器も非常にサイクルが短く次々と新商品が誕生する業界なので、ファブレス経営と相性が良い業界となっています。ローコストでありながらもある程度の機能が備わった商品が基本となっているので相性は抜群です。

一つ一つの部品を外注することで新商品を比較的安い値段で送り出せるようになったのはこのファブレス経営のメリットを最大限に活かしたおかげでもあります。

飲料メーカー

飲料メーカーのダイドードリンコも実は初期の段階でファブレス経営を取り入れた会社の一つであり、飲料メーカーでも当たり前のやり方となっています。

自動販売機の普及や促進のために大いに役立ったファブレス経営は自動販売機という存在そのもののブランド力を大きく向上させ、独自市場を創出するに至りましたのでまさに成功例の一つと言えます。

インテリアメーカー

独創性が必要となるインテリアメーカーは開発や企画にできるだけ注力する必要があるのでファブレス経営との相性は良いです。自分たちが作りたい商品事に適した工場を見つけることも可能なので、そちらの面でも相性が良いと言えるでしょう。

海外進出を考えている場合にもこのファブレス経営というやり方は適しているので、インテリアメーカーでも取り入れている企業は多々あります。

ファブレス経営事例

それでは具体的に日本でも有名な大企業の中からファブレス経営を取り入れている企業を紹介いたします。キーエンスやアップルや任天堂といった名前だけ聞いてもすぐにわかるようなメーカーばかりです。

それらのメーカーがどのようにこのファブレス経営を取り入れていっているのかに注目してご確認ください。

キーエンス

センサーや測定機器メーカーとして有名なキーエンスは商品開発力を高めるためにこのファブレス経営を取り入れています。

キーエンスは加工や組み立てを外部委託して回路や検出部分の開発や設計にとにかくリソースを割くことで高い技術力を維持し続けています。高い技術力を維持し続けるためにもファブレス経営はまさに最適でした。

アップル

スティーブ・ジョブズ氏が所属していたアップルもこのファブレス経営を取り入れている企業の一つで、企画と設計と販売にリソースを注力して成功に導いています。

高い商品開発力やデザイン性、そして企画力というのはこのようにリソースを注力することで誕生しており、高いブランド力もファブレス経営だから誕生したといえるでしょう。製造を台湾や中国に委託していることでも有名です。

伊藤園

日本の緑茶飲料メーカーである伊藤園も栽培者育成事業や茶畑拡大事業にリソースを注力するためにファブレス経営を取り入れています。仕上げ加工までは伊藤園側で行いその後は外部委託です。

ただし、品質をキープするためのルール作りもかなり厳格でブランド力を落とさないための努力は並々ならぬものという声もあります。

任天堂

世界を代表するゲームメーカーの任天堂も実はファブレス経営で、サイクルが短いゲーム業界で次々と魅力的な商品を開発し続けることができています。

「ニンテンドーDS」や「Wii」や巷で今でも話題となっている「任天堂Switch」も企画開発にリソースを注力することで誕生した商品となっています。最新ゲーム機も5年程度経過することで古いと認識されてしまう業界との相性も良かったのでしょう。

無印良品

非常に身近にあるメーカーの一つが無印良品ですが、実はこの会社もファブレス経営を取り入れており、大きなブランド力はこのファブレス経営によって誕生しました。

一貫した製品管理が行われている無印良品は、無印良品のためにデザインされたもの以外は絶対に扱わないといったルール作りが徹底されており、ブランド力を高めることに成功したファブレスメーカーです。

ファブレス経営成功のポイント

このように大手企業がファブレス経営によって成功してきた実例を見てみるとどうして成功していったのかが見えてきたでしょう。

ファブレス経営によって誕生するメリットを最大限に活かすことと、発生してしまう可能性があるデメリットをできる限り抑えることがファブレス経営を成功させる秘訣となってきます。

企画・研究開発力に人材の投資を行う

ファブレス経営はとにかく企画は研究や開発にリソースを注力できる環境にあるので、その部分への投資は必須となっています。

優れた商品により自社製品のブランド力を高めることができれば独自市場も作られるようになり、生産した商品の売上もある程度確保できるようになるでしょう。そのためにも、質を落とさない努力と魅力的な商品を提供できる開発力が必要になります。

有能なパートナー企業を見つける

ファブレス経営は必ずどこかの工場と結びつく必要があるため、製造・生産活動のみを行っている工場を見つけて提携しないと自分たちのノウハウが流出した商品が次々と作られてしまう恐れがあります。

自社ブランドを持っている生産工場の場合は模倣商品が簡単に作られてしまう恐れがあるので、生産活動に特化している工場を見つけることが必須となってしまいます。

ファブレス経営は自社の強みを活す新しいビジネスモデル

ファブレス経営は自社の強みを特化させるための新たなビジネスモデルであり、商品サイクルが短いためになかなか工場を持てない業界においての当たり前となりつつある経営方法となっています。

ただし、このファブレス経営は開発や企画や設計という分野に特化しないといけないので、その部分で以下に有能な人材を集められるか、育てられるかが鍵となってくるでしょう。

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