登記事項証明書とは
登記事項証明書とは、法務局に登録された登記記録を証明した書類のことです。
登記記録には種類があり、証明書の種類も複数あります。また、取得方法も若干異なります。
一般的に登記記録は、「不動産登記」「商業登記」「後見登記」「債権譲渡登記及び動産譲渡登記」の四種類があり、証明書の種類は登記記録により複数存在します。
不動産登記
土地建物の登記記録になります。存在する土地建物の所有者を調べたり、確定申告などで譲渡の照明などに使用します。
証明書の種類としては以下のようになります。
全部事項証明書
登記記録(閉鎖登記記録を除く。以下一棟建物現在事項証明書の項まで同じ)に記録されている事項の全部を証明したもの
現在事項証明書
登記記録に記録されている事項のうち現に効力を有する部分を証明したもの
何区何番事項証明書
権利部の相当区に記録されている事項のうち請求に係る部分を証明したもの
所有者証明書
登記記録に記録されている現在の所有権の登記名義人の氏名又は名称及び住所を証明したもの
一棟建物全部事項証明書
一棟の建物に属するすべての区分建物である建物の登記記録に記録されている事項の全部を証明したもの
一棟建物現在事項証明書
一棟の建物に属するすべての区分建物である建物の登記記録に記録されている事項のうち現に効力を有する部分を証明したもの
閉鎖事項証明書
全部事項証明書・何区何番事項証明書・一棟建物全部事項証明書について、閉鎖された登記記録に係る部分を証明したもの
登記事項要約書
不動産の表示に関する事項及び、所有権に関するものについては申請の受付の年月日及び受付番号・所有権の登記名義人の氏名又は名称及び住所・登記名義人が2人以上であるときはそれぞれの持分、所有権以外のものについては現に効力を有するもののうち主要な事項を記載したもの
商業登記
会社の登記記録になります。会社の保険契約や登録手続などで会社の存在を証明する時などに使用します。
証明書の種類としては以下のようになります。
現在事項証明書
現に効力を有する登記事項、会社成立の年月日、役員の就任の年月日、会社の商号及び本店の登記の変更に係る事項で現に効力を有するものの直前のもの
履歴事項証明書
現在事項証明書で証明される事項、履歴事項証明書の交付請求があった日(請求日)の3年前の属する1月1日(基準日)から請求日までの間に抹消をする記号を記録された登記事項及び基準日から請求日までの間に登記された事項で現に効力を有しないものを証明したもの
閉鎖事項証明書
閉鎖した登記記録に記録されている事項を証明したもの
代表者事項証明書
会社の代表者の代表権に関する登記事項で現に効力を有する部分を証明したもの
登記事項要約書
現に効力を有する登記事項を記載したもの
後見登記
後見人とは、「財産に関するすべての事項で、未成年者あるいは成年被後見人の法定代理人となる者」をいいます。後見が定められている場合は後見登記がされています。
「後見人となっている事の証明」や、反対に「後見人がいない事の証明」に使用されます。
登記事項証明書
後見登記等ファイルに記録されている事項又は記録がない旨を証明した書面
閉鎖登記事項証明書
閉鎖登記ファイルに記録されている事項又は記録がない旨を証明した書面
債権譲渡登記及び動産譲渡登記
会社が行った債権譲渡や動産譲渡の情報を保存しておく登記記録になります。
主に、重要な債権譲渡や動産譲渡を行った場合に第三者への対抗要件として記録するために使用されます。
登記事項概要証明書
動産譲渡登記ファイル又は債権譲渡ファイルに記録されている事項のうち、譲渡に係る動産・債権を特定するために必要な事項及び譲渡に係る動産・債権が数個記録されている場合において、その一部の動産・債権に係る部分につき抹消登記がされた場合の当該抹消登記に係る動産・債権を特定するために必要な事項を除いた部分を証明したもの
登記事項証明書
動産・債権の譲渡について動産譲渡登記ファイル又は債権譲渡ファイルに記録されている事項を証明した書面
概要記録事項証明書
登記事項概要ファイルに記録されている事項を証明した書面
種類が多すぎてよくわからない
ここまで読まれた方の中には「種類が多すぎて意味がわからない、、、」という方も多いはずです。登記事項証明書には種類が多く存在するということだけ覚えておいてください。
そもそもあまり使われない登記事項証明書ですが、その中でも「使う頻度の高いもの」と「取得方法」について確認しておきましょう。
土地建物に関する登記事項証明書
土地建物を売買する時や確定申告などのタイミングで使用することになります。
主に、現在の所有者を証明する場合や過去の移動の履歴を確認する時に利用されます。また、登記記録の中には土地建物の面積も記録されているので、確定申告時の特例適用の可否判定にも利用されます。
全部事項証明書がおすすめ
不動産登記の登記事項証明書は種類が多くあります。手続により証明書の種類を指定される場合がありますが、たいていの場合は全部事項証明書を取得することで証明することが出来ます。全部事項証明書は、言葉の通り「全部」の項目を証明してくれます。似ている証明書として「現在事項証明書」がありますが、この場合は「現在」時点で効力の残っている内容についての証明なので、過去の履歴が証明されません。過去の履歴を隠したい場合は別ですが、基本的には全部事項証明書を取得することをおすすめします。
会社に関する登記事項証明書
会社の存在を第三者に証明する場合に使用されることが多くあります。事務手続だけではなく各種契約時に会社の登記事項証明書を求められます。また、指名願いなどの登録手続や許認可申請手続にも必要な証明書なので会社経営者や運営サポートをされている方は使用する頻度が高い証明書になっています。
履歴事項証明書がおすすめ
商業登記の登記事項証明書にもいくつかの種類がありますが、基本的には履歴事項証明書を使用することをおすすめします。現在時点で効力の残っている内容と過去の履歴の証明書になるので色々な証明に使うことが出来ます。不動産登記と同様に、過去の履歴を隠したい場合は現在事項証明書を出した方が良いのですが、登記記録は公表された記録となっているのであまり意味はありません。履歴事項証明書を使用することをおすすめします。
後見人に関する登記事項証明書
比較的新しい種類の登記記録になりますが、使用頻度は増えてきています。
会社関係の許認可申請の手続では、責任者や許認可の根拠となる有資格者などが定められる場合が多いのですが、その方が「後見登記していない事」の証明を求められるケースが多くあります。
特殊な登記事項証明書
使用頻度は増えてきていますが、まだ認知度が低い証明書になります。許認可申請の手続で使用する「登記されていない事の証明書」は、出張所では扱っていない場合が多くあります。郵送の場合は東京の法務局でのみ取り扱っている証明書になりますので使用する場合は手間がかかってしまいます。
登記事項証明書の取得方法
登記事項証明書の取得方法について確認していきましょう。
手続に証明書が必要な時に取得方法がわからないと身動きがとれません。また、相手先に証明書の準備をお願いする時には取得方法を教えてあげるようにしましょう。普段使用しない人にとっては取得方法まで教える事が仕事として間違いのない進め方です。
取得方法①窓口について
基本的には最寄りの法務局へ行くことになります。場所によっては「出張所」がある地域もありますので確認してください。ただじ、出張所の場合については証明できる内容が限られている場合が多くありますので事前に取り扱っている証明書を確認してください。
郵送による取得方法やオンラインサービスでの取得方法もありますが窓口で手続を行うことにより取得方法を確認しながら進める事が出来ます。
取得方法②申請用紙について
証明書の取得方法ですが、窓口に用意されている申請用紙に必要な証明書の内容を記入して提出することになります。
取得方法としては、各種申請書を作成して直接窓口に提出するか郵送での交付請求などの方法があります。
取得方法③手数料について
交付請求の際に必要な手数料は証明書の種類によって異なります。
また、手数料は「収入印紙」での支払になるので、法務局に販売窓口が無い場合は事前に購入しておく必要があります。
交付手数料は平成25年に改正されました。手数料が下がった事と新たにオンラインでの請求が出来るようになりました。オンラインでの証明書は利用範囲が限られている証明書になるので使用する際は注意をしてください。
知っていて損はない登記登録
登記事項証明書の種類や内容、取得方法は理解できましたか?仕事によっては全く扱う事の無い書類ですが、日本の資本主義の考え方の中では登記記録は重要な記録になっていますので知っていて損はありません。また、証明書を取る事になった場合、取得方法がわからないとすぐに動けなくなってしまいます。ちょっとした知識として活用してみてください。