賞与支払届の提出先・訂正方法・書き方と記入例・退職者の場合

組織・人材

賞与支払届とは何か

正式名称は「健康保険厚生年金保険被保険者賞与支払届賞与支払届」です。この賞与支払届とは、被保険者である従業員に賞与を払った場合、支払った日から5日以内に事業主が行うものです。この届出内容により保険料や年金の計算の基礎となる標準賞与額が決定されます。

標準賞与額

賞与等の支給額の1,000円未満を切り捨てた額のことをいい、保険料の計算は、「標準報酬月額・保険料額表」を使用するのではなく、標準賞与額に直接、保険料率を乗じて計算します。なお、年間4回以上支払われる賞与等については、標準報酬月額の対象となるため、この届出を提出する必要はありません。

賞与支払届の手続時期・場所及び提出先

被保険者へ賞与を支給した事業主が賞与支払額等について「被保険者賞与支払届」等を事業所の所在地を管轄するの年金事務所へ提出します。

提出時期:賞与を支払った日から5日以内
提出先:郵送で事業所の管轄うる年金事務所又は事務センター(都道府県により提出先が異なります。)
提出方法:電子申請、郵送、窓口持参日本年金機構ホームページ(電子媒体申請)より「磁気媒体届書作成プログラム」をダウンロードする必要があります。

電子媒体による届出を行う事業主の方で、事前に希望される場合は、賞与支払予定月の前月に被保険者氏名等の基本情報を収録した電子媒体(CD-RW)を送付します。注意点としては、提出方法が郵送の場合は事業所の所在地を管轄する年金事務センターでも可能であること、健康保険標準賞与額累計申出書は電子申請による届出ができないことなどが挙げられます。

賞与支払届の添付書類

・健康保険
・厚生年金保険被保険者賞与支払届総括表※この総括表は、賞与の支払いがなかった場合も提出が必要です。
・健康保険

標準賞与額累計申出書標準賞与額の年度の累計額573万円(年度は毎年4月1日から翌日3月31日まで)を超える場合は、被保険者からの申出に基づいて次の届書が必要です。

また、この届書は、電子媒体及び電子申請による届出はできません。なお、賞与支払対象者に70歳以上の被保険者(被用者)を常時雇用されている場合は、次の届書も必要です。

・算定基礎
・月額変更
・賞与支払届※この届書は、電子媒体による届出はできません。

賞与支払届の届出にあたっての注意事項

・賞与支払予定月を日本年金機構に登録していない事業所には、届出用紙が送付されません。日本年金機構ホームページ「申請・届出様式」からダウンロードするか、年金事務所からお取り寄せください。

・賞与支払予定月を日本年金機構に登録していない事業所で、今後、届出用紙の送付を希望される場合は、「健康保険・厚生年金保険事業所関係変更(訂正)届(処理票)」を提出して、賞与支払予定月をご登録ください。

賞与支払届での支給額の修正や訂正方法

賞与支払届での支給額などを間違えて記入してしまった場合は二重線でその金額を消して訂正する金額を記載する。といった方法が一般的ですが、年金事務所によっては、再度、賞与支給届を作成し直す場合もあるそうなので、事前に必ずお問い合わせの上、指示に従って訂正を行うようにしてください。その方がスムーズです。

被保険者賞与支払届の書き方と記入例

表に印字されている番号・記号順に説明していきます。
表① 事業所整理記号   事業所整理記号を必ず記入してください。
表② 被保険者整理番号   被保険者整理番号を記入してください。
表③ 被保険者の生年月日【元号の区分】明治:1 大正:3 昭和:5 平成:7 ※生年月日は2桁で記入 例)11月1日→11月01日
表④ 賞与の支払年月日上段の「④賞与支払年月日」と同日の被保険者については記入の必要はありません(空欄のまま)。※年月日は各々2桁の数字で記入してください。
表⑤ 賞与額「㋒通貨によるものの額」と「㋓現物によるものの額」の合計額を千円未満切り捨て右づめで記入してください。   例)481,538円 → 481千円     100万円以上となる場合は9,999千円
表㋐ 賞与支払年月日   記入する必要はありません。
表㋑ 被保険者の氏名   被保険者の氏名を記入してください
表㋒ 通貨によるものの額   通貨によって実際に支給した賞与の金額を記入してください
表㋓ 現物による額   自社製品等、通貨以外の現物により支給した賞与を金銭に換算して記入してください。※「厚生労働大臣が定める現物給与の価額」に基づきます。
表㋔ 種別   次の区分にしたがって該当する被保険者種別を記入してください。

1:坑内員以外の男子
2:女子
3:坑内員
5:厚生年金基金加入員であって坑内員以外の男子
6:厚生年金基金加入員である女子
7:厚生年金基金加入員である坑内員
・右下端の受付日付印のすぐ上に年金事務所又は事務センターへの提出日を記入してください。
・左下端した枠に事業所在地、事業名、事業連絡先を明記の上、事業主印を押印してください。※ただし、事業主自らが署名した場合、押印は省略できます。

賞与支払届の通貨によるものの額とは

賞与支払届の通貨によるものの額とは、所得税や社会保険など控除したあとの金額のことではなく、額面の支給額をいいます。手取り額ではありません。この額と現物支給額の合計をもとに標準賞与額が決まります。現物による額とは、食事、住宅、被服など通貨以外で支払われたものについては厚生労働大臣が定める価額によって算定した額を記入します。

退職者の場合の賞与支払届の書き方

賞与支給月に退職する社員がいます。月の途中で退職した場合、その月に支給される賞与から社会保険料を徴収する必要はないと認識している方も多いと思いますが、賞与支払届の取扱はどうなるのでしょうか?月の途中で退職した場合は、その月は社会保険料徴収の対象となりませんので、退職月に支給された賞与から保険料を控除する必要はありません。

「社会保険料がかからないケースについても、賞与支払届の提出が必要か?」という点については、以下のようになります。

①退職日以前に支給される賞与であれば、社会保険料がかからなくても提出が必要。年度(4月~翌年3月)の賞与累計額を算出し、累計額が540万円を超過する場合は、超過する賞与額に対し健康保険料は徴収なしとされます。この「累計」は、退職し再就職をしたときも再就職先の保険者(健康保険を運営している「協会けんぽ」「○○健康保険組合」などを「保険者」と呼びます。)が同じであれば、合算をします。このように、退職者についてもその後の再就職先で賞与が支給されたときに、年間の賞与累計額を算出することがあるため、保険料徴収がない場合であっても賞与支払届を提出します。この取扱いは、退職だけではなく育休中等で保険料徴収を免除されている者についても同様で、育休中に賞与支払があったときは、保険料徴収がない場合であっても、賞与支払届には氏名や賞与額を記載して届出を行います。

②退職日後に支給される賞与については、提出は不要。退職日後はそもそも被保険者ではないため、退職日後に支給された賞与は、上記の年間累計には含まれません。そのため、賞与支払届も不要となります。

確定申告と同じ。賞与支払届の提出はこれで完璧!

賞与支払届とはどのようなものなのか、お分かりいただけたのではないでしょうか。国の書類は条件や期日に添付書類など、面倒な手続きが多いですね。従業員が多いと一人一人作業をするのはとても大変だと思います。

最近では、インターネットの普及によりこういった書類もどんどん電子化されています。確定申告も随分と便利になりました。こういうサービスは業務の効率化を図ることができるので会社で労務や総務、会計を担当されている方にもありがたいですね。日本年金機構が提供している『届書作成プログラム』を利用すると、パソコンで簡単に届書が作成できるようです。

タイトルとURLをコピーしました