社内失業とは?意欲喪失・うつ対策|社内失業時の過ごし方と対処法

組織・人材

どういった状況を社内失業と呼ぶのか?

「社内失業」ということばを聞いたことがあるでしょうか?就業先へ出社しても、やるべき仕事のない状況のことです。文字通り、「社内で失業」することです。当然のことながら望ましい状況ではありませんが、企業によっては往々にして起こっているのも事実です。ここでは、なぜ社内失業が起きてしまうのか、そのリスク、そして自身が社内失業者になってしまった場合の対策についてみていきましょう。

社内失業が起こる原因

人員計画や、人事部採用担当と現場の連携がうまくいっていない

特に中途採用において人事部と現場の連帯がとれていないと、社内失業が起こりやすくなります。

現場が忙しい、または人が退職したりすると、漠然と「人手が足りない!」という発想に結びつきがちです。人を採用したとしたら、「どの業務を担当してもらうのか」「誰に引継ぎを担当してもらうのか」「引継ぎ担当者の仕事の状況はどうか」「いつから出社したもらえば効率よく引継ぎができるのか」など、漠然とではなく、ある程度細部に落とし込んで計画しておくことが大切です。しかしこれを怠る、またはその必要性に人事部も現場も気づいていない、また現場ではある程度考えがあるが人事部に共有されていないなどの状況があると、新入社員が出社した時点から社内失業が起こる可能性が高まります。

企業側が人員計画を漠然と行ってしまうと、新入社員に何をやってもらうか、具体的に把握できている人がおらず、結果社内でやることがない(わからない)という状況に陥ります。

仕事を教える時間がない

これも新卒・中途問わず新人を迎え入れた時に起こりがちですが、教育や引継ぎをする担当者が決まっていても、その人が忙しすぎて教えている時間がないというケースです。教育係には上長からの信頼が厚い人が指名されがちですが、信頼の厚い人というのは仕事が集まりやすい人でもあります。いくら信頼できる人でも体はひとつしかありませんから、そこに教えるべき人がいても教えられず、結果として新入社員は何も教わることができず、失業状態になってしまいます。

また、教える時間を捻出できるくらいの状況だったとしても、教える側が「忙しいし教えるより自分でやった方がはやい」という思考になると、新人に教えず自分で片づけてしまうという場合もあります。

現場リーダーのマネジメント力不足

上長の仕事のひとつとして、部下の仕事量や仕事状況の把握があります。例えば仕事が誰かに極端に偏ってしまっている場合、残業続きで体を壊すリスクが高まりますし、その人がいなければやり方がわからないなど、企業にとってはあまり望ましくない状況も招いてしまいます。こういったことを未然に防ぐために、上司は各人の仕事状況を把握して、必要な改善を施していく必要があるのです。

しかしこの把握や改善がなされていない場合、仕事量が極端に多い人が存在する一方で、仕事量が極端に少ない人も存在しているものです。さらに仕事量の少ない人が多い人を手伝おうとしても、普段やっている人しかやり方がわからない状況にまでなっていると、手伝うことすらままなりません。そうすると、もともと仕事量が少なかった人は、結局日々時間をもてあますことになるのです。

本人の能力不足

上の方にも書きましたが、仕事は信頼の厚い人のところに集まってきます。逆に言うと、あまり信頼されていない人のところに仕事は舞い込んできません。仕事である限り質の高さは求められますので、自分のところに仕事がないといった状況に陥った場合には、一度自身の仕事を振り返ってみるのも有益です。

とはいえ、仮に能力不足だったとしても、社内失業状態になる前に、スキルアップを促す、仕事の分配を調整するなど、上長が対策を練る場合がほとんどです。能力不足と上司のマネジメント不足が同時に起きてしまった場合は、社内失業者になってしまう可能性が高まります。

パワーハラスメント

パワーハラスメントというと、肉体的精神的暴力や長時間労働をさせる、といったようなことが真っ先に思いつくかもしれません。しかし、「仕事を何も与えない」のも、一種のパワーハラスメントです。下記に記載しますが、何もすることがなくただそこに居なければならないといった状況は、うつ病などの病気を引き起こすリスクもはらんでいます。上司または同僚であっても、故意に仕事を与えていないのであれば、パワーハラスメントであると認識して間違いないでしょう。

社内失業が引き起こすリスク

社内失業には、労働者にとっても企業にとってもメリットはありません。労働者にとっては時間の浪費になりますし、企業はその浪費時間に対して対価を払うことになります。社内失業が起こっている職場では、win-winの真反対、lose-loseの関係が成立しています。
下記では、主に労働者側から見た社内失業のリスクを挙げていきます。

うつ病など病気のリスク

社内失業はつらいものです。「やることがないので帰ります!」と帰ってしまえるのであれば良いのですが、就業時間が決まっている以上そうはいきません。また、仕事をしていない状況では、「自分が役にたたない人間だ」と思いつめてしまうこともあります。あまりに思いつめてうつ病に近い状態になってしまう人もいるでしょう。特に仕事に対して真面目な人ほど自分には能力がないなどと深く考えてしまう傾向があります。うつ病は誰でもなりうる病気であり、且つとてもつらい病気です。このリスクはなんとしてでも避けたいところです。

仕事スキルの停滞

仕事のスキルは、机の上の勉強だけでは身につきません。その多くは、実際の仕事を通して身につけていくものです。しかし仕事をしない状況においては、何も経験することができません。成功体験も失敗体験もつめず時間だけが経っていく中で、スキルを伸ばせないどころか低下してしまう恐れすらでてきてしまいます。他の人の仕事を見ることで学べることもありますが、自分自身の経験を通して得るものに比べれば微々たるものと言わざるをえません。

社内失業者になってしまったら?

もし自分が社内失業者になってしまったらどうすればよいでしょうか?できることは多くないかもしれませんが、そのまま経過する時間をただただ過ごすより、アクションをおこしましょう。

上長に相談する

まずこの相談の目的は、「自分が社内失業状態である」「この状況から脱却して仕事をしたい」という点を伝えることです。上述の通りマネジメント力不足によって社内失業を発生させてしまうケースもありますから、上司によってはあなたが社内失業状態であるということを把握していないかもしれません。ですから、まず「自分が社内失業状態である」という事実を伝えることから始めましょう。

もし上司が社内失業について把握していたら、次はその原因について尋ねてみることです。
仕事の質が信頼度に欠けるなど自分にも原因がありそうな場合は、アドバイスを求めて自身も努力していく覚悟を持ち、信頼を回復していく必要があります。自分以外のところに原因がありそうな場合は、自分も一緒に取り組むつもりで上司に改善を求めましょう。

別のことに時間を使う

上司に相談しても改善が難しいようであれば、開き直ってスキルアップのための資格の勉強などに時間を使うのもひとつの案です。ただ、職場の雰囲気をよく観察して、「さぼっている」等と言われないように気を付けましょう。また、仮に資格の勉強で時間を費やしたとしても、実務経験のない資格習得魔の市場価値はそう高くありません。引き続き上司に相談し続けることも必要です。

転職する

社内失業状態があまりにも長く続くようであれば、転職してしまう方がいいかもしれません。特に仕事をしっかりやる自信があるのであれば、活躍できる場は他に必ずあります。自分の仕事スキルが錆びてしまわないうちに、行動に移しましょう。

タイトルとURLをコピーしました