CtoCのビジネスモデル|CtoCビジネスの具体例と市場規模

組織・人材

c to cとは【一般消費者間取引】

みなさんは「c to c」という言葉を聞いた事があるでしょうか?c to cとは「Consumer to Consumer」の略で「Consumer」とは「一般消費者」を意味する言葉です。ビジネス用語の意味としては「一般消費者間で行われる取引」という意味になります。
一般的な商取引は企業(Business)が一般消費者(Consumer)を対象に行います。これを「b to c」と言い、企業間取引のことを「b to b」と言います。

商売の起源はc to c

「c to c」と聞くと「新しいビジネス用語で一般のサラリーマンや消費者には縁のない話」に聞こえてしまいますがc to cとは商取引において起源的な取引方法であると言えます。
商売の起源は「物々交換」だと言われています。「不要なモノを提供し、必要なモノを入手する」このような取引こそが商売の起源となります。古代中国で始まったとされている商売ですが、当時の「物々交換」も「c to c」で行われたことが始まりです。元々は自身の消費を目的に得た生産物に余剰物が生まれ、その余剰生産物を別のモノとの交換に使い始めたのです。

年月が経過し、現在の「余剰生産物」は「お金」となりました。しかし商売の原則的な考え方は「物々交換」であり「等価交換」が原則である事は変わりありません。

c to cのビジネスモデル

現代社会において「c to c」「c to cビジネス」と呼ばれている一般的なビジネスモデルは運営側が個人間で取引するための「プラットフォーム」を用意し、何らかの取引が成立した際に一定の手数料を得る仕組みです。古くは休日の公園などをプラットフォームとして使用する「フリーマーケット」も広義ではc to cビジネスとなりますが、現在のc to cビジネスの多くはインターネットを活用し、Web上にプラットフォームを用意するWebサービスが主流となっています。

c to cビジネスの具体例

現在主流となっているインターネットを活用したc to cビジネスの具体例をいくつか紹介します。

メルカリ

服や雑貨はもちろん、ヤフオクでも滅多に見かけないコアなアーティストグッズやガスコンロ、果てには「元カレからの手紙」まで多種多様のものが出品されています。
また、フリマアプリの中で利用者数がぶっちぎりの1位のため購入者、出品者共に数が多く、売りやすく買いやすい環境が整っています。

ラクマ

楽天が2014年11月に開始したフリマアプリ。名称は「楽天フリマ」からきています。ターゲットは特に絞らず、幅広いカテゴリを用意しています。
出品手数料、販売手数料、決済手数料はすべて無料で提供し、支払い時に楽天ポイントも利用できます。

Fril(フリル)

服を売るならフルリで!と言えるくらい服がメインで売られています。
そのためブランドごとに丁寧に分けて表示されていたり、お気に入りのユーザーのページに簡単に飛べるような工夫がされています。
他のフリマアプリで売れなかった服をフリルに出品したところ売れた、という声も多数あるようです。

ZOZOフリマ

スタートトゥデイが2015年12月に開始したアパレルに特化したフリマアプリ。過去に「ZOZOTOWN」で購入した服や、「WEAR」に登録した服を一覧から選んで簡単に出品できるほか、ZOZOが持つデータベースから商品を検索して出品することができます。一般的なフリマアプリは出品する商品に使用する写真は自分で撮影したものに限定していますが、「ZOZOフリマ」では、ZOZOが撮影した新品の写真を使用することができます。

ショッピーズ

スマートフォン向けのアプリはFrilより遅かったものの、フィーチャーフォン時代からフリマサービスを展開している先駆け的な存在なのが「ショッピーズ」です。一貫して10代、20代女性をターゲットに展開しています。
これまでに300万点の商品が出品され、現在も毎日7000点以上の商品が出品されています。

フリマノ

「価格.com(カカクドットコム)」を運営するカカクコムが提供するフリマアプリ。価格.comが持つ約163万件の製品データと連携して商品情報を自動入力してくれる「カンタン出品」機能が特徴で、出品したい商品のバーコードを読み取るだけで商品情報が自動で入力してくれます。

Dealing(ディーリング)

ファストファッションブランドを扱う通販サイト「SHOPLIST.com」を運営するクルーズが提供を開始したフリマアプリですが、現在は日本エンタープライズに譲渡され運営されています。
老若男女問わずあらゆる層を対象にして、多彩なカテゴリを扱っています。
出品料や売れた場合の手数料も無料で提供しています。

golfpot(ゴルフポット)

ゴルフ用品専用のフリマです。ゴルフクラブを中心に、ゴルフウェア、小物類、練習器具などゴルフに関連するあらゆる商品を扱っています。
ゴルフクラブの撮影アシスト機能を提供しているのも専門アプリならではです。

otamart(オタマート)

アニメやゲーム、アイドルグッズ専用のフリマアプリです。グッズ、フィギュア、カード、書籍、ゲーム、DVD/Blu-ray、CD、コスプレグッズ、オーダーメイドなどを扱っています。

セルバイ

釣具や釣り関連商品などを売買できる釣り人専用のフリマです。ロッド、ルアー、ウェアー、ボート用品などの商品カテゴリを用意しています。
釣りアイドルやプロアングラーとの釣行イベントなどの売買も行われています。
ジャンルをここまで絞ったサービスは意外とまだあまりないため、この手のサービスが今後増えてくるかもしれません。

c to cビジネスの市場規模は年間1兆円!

スマートフォンの普及とともにコマース市場は急激な成長を魅せています。現在のモバイルコマース市場は2兆円を突破し依然に成長を続けています。ニールセンによると各デバイスからのオークション/フリマサービス利⽤者数は、2014年1月時点でPC、スマホともに1500万人規模であった利用者が、2016年1月にはPCが1149万人、スマホが2656万人とスマホからの利用者がPCの2倍以上となっています。また1人あたりの利用回数もPCが11回であるのに対し、スマホが32回となっています。この利用者数の増加の要因はフリマアプリの成長です。

フリマアプリの「メルカリ」は、2016年3月2日にダウンロード数が日米合計3200万(日本:2500万、米国:700万)、月間の流通額は国内で100億円超に達したと公表しており、国内最大の規模となっています。「メルカリ」は、スマホで撮影した出品したい商品の写真をそのままアップロードでき、その簡便さとテレビCMを使ったプロモーションにより、ユーザー数が急増しました。その他、フリマアプリとしては、ファッションに特化した「フリル(FRIL)」や、「zozoフリマ」、ハンドメイド専用マーケットである「minne(ミンネ)」などがあります。

また、c to cのチケット取引に特化した「チケットキャンプ」も売上を伸ばしており、2015年12月の月次流通総額が約36億円となりました。「チケットキャンプ」を運営するフンザは、その成長性が評価され、2015年3月にはミクシィに買収、完全子会社となっています。

c to cサービスが盛り上がる一方でトラブルも顕在化してきている。2016年2月に東京都は「出品者側では『購入者が受け取り手続きをしないので商品代金を受け取れない』、購入者側では『商品説明にないキズがあるので返品したい』などのトラブル」 が起きていると注意を喚起しました。運営者が商品を確認できないc to cでの取引となるため、今後、利用者に対しての啓発、出品者に対しての審査、レビュー機能の充実などが必要となってくるでしょう。

一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラムが公表した2014年『モバイルコンテンツ関連市場規模』によると、2014年モバイルコマース市場は2兆4480億円(前年比126%)となりました。市場を構成する物販系、サービス系、トランザクション系の3分野のなかでも物販系の伸びが顕著で前年比140%を示しており、1兆3414億円と物販系単独の市場だけで1兆円を突破しました。

c to cビジネスのメリット・デメリット

c to cビジネスにおけるメリット・デメリットを享受するアクターとしては、大きく「プラットフォームを提供する側」「ユーザー」の2つに大別できます。

ユーザー視点のc to cビジネスメリット・デメリット

メリット①:売り手が気軽に取引を楽しめる企業に属さなくとも、事業主化しなくとも、自分のモノやスキルを売ることができます。フリーマーケットやオークション型のc to cビジネスにおいて、現在ではスマートフォン向けに最適化されたアプリによって個人が手軽に商品を売買することが可能です。

メリット②:より安くモノやサービスを買うことができる
事業化していない個人間の取引であることと、低価格でモノやサービスが流通しやすいことから、より安く商品を売買できるケースが多いです。消費税は事業者が行う売買に課税されるものであり、個人間の売買には課せられません。また、消費税のような直接税は世の中的に今後も増税される流れだと考えられるので、より安く買い物ができるc to cビジネスに消費者がシフトする可能性は高いと考えられます。

デメリット①:信頼関係を築かないと買われにくい
例えばメルカリのようなc to cビジネス向けサイトでは、買い手となるユーザーにとっ
て、商品説明が充実していないと取引されにくい傾向にあります。また、商品説明と手元に届いた実物とで差異があるとトラブルが起きやすいことも、信頼関係を落とす大きな原因として考えられます。

デメリット②:信頼性を落とすと買い手がつきにくい
前述のデメリットと似ていますが、一度信頼を損なうと買い手は付きにくいと言えるでしょう。なぜなら、企業ではない以上、プロフェッショナル性は保証されていませんし、個人間の売買なので自分の信用度が全てだと言えます。「メルカリ」や「ヤフオク!」のようなサイトではユーザー毎に評価がついて回り、この数字の高低やレビューの内容が提供されている商品を買うかどうかを決定する判断材料になっています。

したがって、こういったところで傷がつくと買い手側の心理として「トラブルが起きるかもしれない」と感じやすくなり、信頼が失われ買い手がつきにくくなります。

プラットフォーム提供者視点のc to cビジネスメリット・デメリット

メリット①:社会的イノベーションを起こせる
個人間向けの取引だと既存のb to bの枠組みから大きく乖離しているので、運用していく上で規制と衝突しやすくなります。そこで、c to cの枠組みを作った企業家たちとそれを支援する弁護士が一体となって規制にチャレンジしてゆくこととなります。結果的に成功を収めた場合、既存の社会システムを大きく動かし社会を変革していくことに繋がるでしょう。

メリット②:需要喚起型の市場を創れる
スマートフォンアプリによって、新たなユーザー体験を提供することが需要を喚起することになるのではないでしょうか。つまり、暇つぶしにスマホアプリを立上げて雑誌を見る様な感覚でスクロールしながら「眺める」というユーザー体験が、需要創出につながっていくのではないかと考えられます。

デメリット①:サービスをローンチした直後の収益が低い
サービスをローンチした直後だとユーザーの絶対数が少ないため、知名度とユーザーの獲得のために手数料を無料にしたり、低めに設定することが多くなっています。そのため、手数料で儲けるプラットフォーム型のビジネスは軌道に乗るまでが非常に大変です。個人間が気軽に売買できると言っても、利用者が付かなければ何の意味もありません。しかしこの部分を上手くクリアし、集客に成功すれば手数料を切り上げて収益の安定化も見込めるようになるかと思います。

デメリット②:信頼と安心、安全が保障されないとユーザーを多く獲得できない
新しくプラットフォームを作成してから信頼を獲得するまでにとにかく時間がかかります。
マネタイズするまでは適切な施策を打って高速でPDCAを回し、とにかく耐え忍ぶことが重要となるでしょう。やはり成功させるには、過去に成功した事例を見て成功した要因を学んでいき、どんどん施策を打っていくことがより良い方法になるのではないでしょうか。

c to cビジネスの今後

健全なc to cビジネスを行うための更なる土壌作りが欠かせないと考えられます。やはり個人間取引となると、b to cに比べて信頼度や安心、安全といった面で劣る可能性が高いでしょう。

法人格であるだけで信頼度がある程度稼げるということを考えると、いくら低価格とはいえども市場が一気にc to cにシフトしていくことも考えにくいことです。したがって、より信頼度を高めるためのシステム整備を行う必要があります。いずれにしても今後、新規参入する方は増えて市場規模は拡大を続けていくことが考えられます。c to cビジネス市場拡大に伴い、個人単位での信頼度や安心安全の性差がより厳しい時代に備えましょう。

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