タクシーの上座と下座|理由/乗車人数別・乗り方のマナー

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タクシーの上座と下座

応接間で上座、下座があるように、タクシーにも上座と下座があるのを皆さんご存知でしたでしょうか。ビジネスシーンでも利用する事が多いタクシーですが、上座や下座を知らないまま失礼な対応をしてしまっているでしょう。タクシーに乗る際に気をつけておくべき上座と下座について紹介します。

上座の座席はどこ?

タクシーの上座を覚える際には「応接間の上座と一緒」と覚えておくと良いです。日本のタクシーの後部座席は、基本的に歩道側、車体の左ドアを入り口としています。応接間と同じく、入り口から一番遠い奥の席が上座です。よってタクシーの上座は、車体右側、運転席の後ろである後部座席です。

上座には順番があります。運転手を除き、乗車人数が大人4名の場合「上座1」が右側後部座席、「上座2」は車体左側、助手席の後ろである後部座席、「上座3」は後部座席の真ん中、「下座」は助手席となります。

上座の理由は?

上記の上座の位置には理由があります。一番上座である、運転席の後ろが一番安全で、入り口から一番遠く落ち着いて乗り降り出来るからです。後部座席の真ん中は、万が一事故が起きた場合、前が開いている為、前方に飛ばされてしまう可能性が他の席よりもあります。また、助手席は、運転手の方に行き先の案内や、支払いなどを行う為一番下座となっています。

一番の上座である運転席の後ろは、運転手からもあまり見えませんし、落ち着いて乗っていることができます。

上座や下座はなぜ生まれた?

上座や下座など、座る場所の配慮はなぜ、どのように生まれたか。これには面白い起源があります。それには和室にある「床の間」が大きく関係していました。床の間は畳みよりも一段高く上がっています。床の間は「仏画」や「神号」をかける場所として作られ、それらにお供えする花瓶や花が置かれるようになりました。

お供えものを畳みの上に置くわけにもいかないので、板を敷いて一段上げたところから、「床の間」というスペースが出来たといわれています。「床の間」はその部屋の中で神聖なスペースであり、権威の象徴でもあります。この床の間を背にして座れるのは、「偉い人」となり、入り口から一番遠い、床の間の前が一番の上座となりました。

この考えは日本特有のものです。部屋の中で神聖な場所を作る部分など、粋な文化を表しています。

日本以外で上座の概念はあるのか?

日本以外の国では、上座の概念はあるのか?あればどのような考え方なのか?を見ていきます。ヨーロッパには、まだ現在も日常の中で生きている上座のルールがあります。日本の上座ルールとは違っています。一言で言うと「接待する人・仕切る人」がテーブルの端と端に座るです。

そして一番大切な人、目上の人には自分の右側にです。その次の方に、自分の左側に座っていただくというものです。長方形のダイニングテーブルであれば、真ん中の方が下座になっていきます。さらに、「接待する・お招きする」のが夫婦(ホストとホステス)の場合、ホストの右横は女性、ホステスの右横は男性となっています。

日本と同じ部分は「部屋の置くが上座」という認識です。基本的に男性が首位としているので、ホステスがテーブル端、入り口から一番遠い奥の席に座り、その右横が、上座として男性のゲストに座っていただきます。また、日本とは間逆で入口から一番近い席に座ってもらうのが「もてなし」とされている国もあります。理由は「早く座れて、早く立てる席」だからです。

乗車人数別タクシーの上座と下座

2人の場合の座り方

タクシーに乗車するのが上司と自分の2人の場合、先に記述した通り、先に歩道側のドアから乗っていただく、運転席の後ろに座ってもらうのが原則です。自身は助手席の後ろです。ただし、中には足の具合や好みで、乗り降りのしやすい助手席の後ろ側を好まれる方もいます。原則は原則として、後は相手の様子によって、臨機応変に対応するのが一番の心遣いです。

3人場合の座り方

3人の場合は、原則としては運転席の後ろ後部座席→助手席の後ろ後部座席→助手席の順番です。3人の場合は後部座席2名と覚えておきまます。

4人場合の座り方

4人の場合の座り方は先に記述し通り、後ろ後部座席→助手席の後ろ後部座席→後部座席真ん中→助手席の順番です。ただし、大人の男性であれば後部座席に3名座ると窮屈な場合があります。遠方に向かう場合は乗り心地が気になるところです。

タクシーを電話で呼べる時間がある場合、2台同時にタクシーを捕まえられる状況の場合など、可能であれば4名の場合はタクシーを2台用意して方が、乗り心地よく過ごせます。

5人の場合の座り方

基本的に通常のタクシーの定員は大人であれば4名です。5人で乗車したい場合は、2台用意するのも良いですが、6名以上が定員の後部座席が二列になっているワゴンタクシーを手配することもおすすめします。ワゴンタクシーの場合の上座は、中央の座席、運転手の後ろ→中央の座席、助手席の後ろ→一番後ろの座席→助手席の順番です。

一番後ろの席が落ち着きそうですが、乗り降りする際に腰をかがめたり、天井を気にするなど、気を使わせてしまう部分があります。助手席の人は扉の開閉や、乗り降りの補助を行います。

タクシー乗車の際の基本的なマナー

乗り方

タクシーの上座の順番を確認しましたが、覚えておくと良い、乗車時の基本的なマナーを紹介します。まず乗車人数が2~3名の場合は、上座に座っていただくべき人の様子を確認します。年配の方であれば奥の上座より、乗り降りのしやすい助手席後ろ側を好まれる場合があります。

運転席の後ろ、置くの座席で問題なさそうな場合は、運転手が手で扉を開けてくれる場合は、頭部を入り口で打たないように入り口上部に手を添える、運転手が手で扉を開けてくれない場合は扉と入り口上部に手を添えて、乗車の補助をすると丁寧です。乗車が4名の場合は「後部席で3人掛けとなりますが、どちらのお席がよろしいでしょうか」と意向を確認すると丁寧です。

さらに、乗車するタクシーの会社名を覚えておく、控えておくと良いです。スムーズに出来そうでれば、車両ナンバーも控えておくとベストです。タクシーに忘れ物をした、された場合、スムーズにタクシー会社と連絡がとれます。助手席に座った人は、道案内や支払いをする必要があります。

取引先の方や、大切な方との乗車では、スムーズに道を伝えられるように、また運転手が道を間違えないように、行き場所までのルートも事前に確認しておくとベストです。

支払い

支払いでは「お待たせしない」ことが好印象に繋がります。タクシーに乗る際には千円札を用意しておく、またはICカードで支払いをするのがおすすめです。クレジットカードでの支払いや、万札での支払いは会計に時間がかかってしまいます。

もしも助手席えはなく、2名の乗車で助手席後ろ、後部座席に座っていた場合は、到着したら料金を先に支払い、運転手がすでに扉を開けてくれていれば、一旦車から降り、上座に座る方にも降りていただいてから、お釣りや領収書を受け取るとスマートです。また、タクシーを降りる際に車内に忘れ物が無いかも確認してます。

タクシーの上座を知って、気持ちの良いおもてなしを

タクシーでの上座について紹介してきましたが、今回紹介したのはあくまで「原則」です。紹介した上座のルールを参考に、プラス一緒に乗車する大切な方、その時の状況によってベストな形を選択してください。相手の立場なら乗り心地が良いのはどこかなと考えてみるのもひとつですが、どうしようと思った時には聞いてしまいましょう。それもコミュニケーションです。

日本の床の間から生まれた上座、タクシーでも大切な方へのおもてなしとして活用してください。

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