告別式での香典の渡し方|受付け/遅刻/欠席・告別式の香典の書き方

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告別式と香典とは

告別式とお通夜の違い

告別式・お通夜は故人に縁のある人々が集まり、故人を偲び、お別れをするセレモニーです。地域性や故人の宗派によって多少異なりますが、概ね次のように整理できます。

告別式お通夜
役割葬儀は故人の成仏を祈る儀式。続いて行われる告別式は故人に最後の別れを告げる儀式故人の霊を慰め、最後の一夜を共に過ごすためのもの
主な流れ法要→出棺→葬儀(火葬)→還骨法要→精進落とし法要・焼香→通夜ぶるまい
参列者近親者や親しい人一般の弔問客
開催日葬儀場の予約状況などから決定告別式の前夜 (死亡した当日の夜は近親者だけで仮通夜を行い、翌日に納棺して本通夜を行うことが多い)
開始午前中または午後の早い時間夕方
終了出棺まで:1時間半程度/ 精進落とし終了まで:夕方翌朝または夜半

香典とは

告別式・お通夜でお渡しする香典は、線香や花などのお供え物の代わりとして、故人にささげるものです。いくらでなければいけないという決まりはありません。しかし少なすぎると恥ずかしい思いをするし、逆に多すぎても遺族に香典返しの心配をさせてしまい、かえって迷惑をかけることになります。

一般に、血の繋がりが濃い関係や、付き合いが深いほど、香典は高額になります。親類関係やご近所のつながりの告別式であれば、率直にお母さまなど周囲の方に相談するのも一案です。

とはいえ「相場」がわかると安心です。この記事の後半では、全国的なアンケート調査結果をもとに、相手先別・年代別の一般的な金額をご紹介します。

告別式での香典の渡し方

香典袋を直接持ち歩くのはマナー違反ですので、必ず寒色系の袱紗に包んで告別式の会場に向かいます。万一、突然のことで袱紗を用意できない場合は、ハンカチなどの布で代用します。布の上に香典袋の表を上にして置き、右から包み、下→上の順番で折りたたみます。

受付

告別式の会場に到着したら、受付にて香典をお渡しします。参列者を「〇〇関係」など区分けして受付していることもありますので、その場合は、ご自身と故人の関係から選択してください。

通常の手順

次の手順で告別式の受付に香典をお渡しします。

1.右手の平に香典を包んだ袱紗を置き、左手で袱紗を開き、香典袋を取り出します。
2.袱紗をたたんで机に置くか、香典袋の土台のようにして持ちます。
3.受付の人から名前が読めるような向きで、両手で渡します。
4.「この度はご愁傷様でございます」など簡潔にお悔やみを述べ、芳名帳に記帳します。
5.返礼品(粗供養品)を受け取り、ご焼香の順番まで待ちます。

他の方の香典も預かっている場合

受付で人数分の香典を手渡した後、ご自分の名前と、預かってきた人の名前をそれぞれ別の欄に記帳します。特に指示がなければ、出席している・いないを明示する必要はありません。

代理で参列する場合

受付で預かった香典を手渡した後、芳名帳に来られなかった方の名前を記帳し、下に「代理」(妻の場合は「内」)、その下にご自分の名前を小さく記しておきます。

遅刻してしまった場合

原則、告別式への遅刻は厳禁です。告別式への参列が決まったら、早めに周りの方にお知らせして仕事や用事の調整をしておきましょう。

それでも突然のことなので、どうしても開始に間に合わないことがあります。告別式に遅刻するぐらいなら欠席したほうが良いかしら、と迷うところですが、ご遺族のお気持ちは、「遅刻してまでも駆けつけてくれて有難い」というものですので、できる限り参列しましょう。

受付がまだ開いている場合

受付に香典をお渡し、記帳をしましょう。読経中の入場は避けるなどのマナーがあるため、告別式会場への入場タイミングは、式場スタッフの指示に従います。

既に受付が終わっている場合

まずは式場スタッフに故人名と遅刻してしまったことを告げて、指示に従います。

香典を直接遺族にお渡しする場合は、相手の前で袱紗を開き、香典袋を取り出します。その後、香典袋をおぼんや台の上に相手から見て表書きが読めるように置き、両手で差し出します。折りたたんだ袱紗を台の代わりにして、その上に載せてもよいです。

金銭トラブルを避けるため、香典は告別式ではなく、後日自宅に伺ってお仏壇の前にお供えする形でお渡しする場合が多いです。ご自宅に伺うことが難しい場合は、香典袋を現金書留に入れて郵送することも可能です。その際、お詫びの言葉と、遅刻してしまったため香典をお渡しできなかったことを書いた便箋を同封しましょう。

欠席する場合

代理の人に葬式の香典を頼む場合

職場の人や、職場の人の親族の方の告別式を欠席する場合には、同じ職場の同僚に香典を託して渡してもらう場合が多いです。遠い親戚などの告別式の場合は、出席することができる他の家族・親族に託します。

代理の方への金品でのお礼は不要ですが、手を煩わせるですから、感謝の気持ちはきちんと伝えましょう。

ご自宅にお届けする場合

後日、できる限り早いタイミングでご自宅に伺い、お仏壇の前でお渡しします。

郵送する場合

ご自宅に伺うことが難しい場合は、告別式からできる限り早い日程で、香典袋を現金書留に入れて郵送します。その際、お詫びの言葉を書いた便箋を同封しましょう。

香典を郵送する際に添えるお悔やみの手紙の書き方

告別式に大幅に遅刻し受付が終了していた、または、告別式に参列できなかった場合、できる限り早くご自宅に伺って香典をお渡しするのがマナーです。

もし、伺えないのであれば香典を現金書留で郵送します。その際、お悔み手紙を同封します。

基本的なお悔み手紙の書き方

お悔みの手紙は次の手順で簡潔に書きます。縦書きのシンプルな便箋で、1枚を目安にします。
・頭語や時候の挨拶は不要です。

・死去を知ったことの驚きと悲しみ、故人の人柄や功績、想い出を綴ります。
例「このたびは〇〇様の突然の悲報に、ただただ驚くばかりです。 あの明るい笑顔をもう二度と見られないと思うと、悲しみで言葉もありません。」

・遺族に対して慰めや励ましの言葉を述べます。
例「ご家族の皆様のご心痛はいかばかりかと存じますが、どうかお力落としなさいませんようご自愛ください。」

・お通夜や告別式に参列できず、また訪問できないお詫びをしたためます。
例「本来ならばすぐにでもお伺いしたいところですが、やむを得ぬ事情によりすぐに参上できず申し訳ございません。」

・お悔みの言葉をのべます。
例「略儀ながら、書中にてお悔やみ申し上げます。」

短文でのお悔み手紙の書き方

たとえ短くても心をこめて書きます。一筆箋を使うと、スマートに見えます。

例「このたびはご愁傷様です。心からお悔やみ申し上げます。」
「○○様には長年にわたりご懇意にさせていただき、ご高配を賜りました。残念でなりません。心からご冥福をお祈りいたします。」

告別式の香典袋の書き方

どの宗教・宗派でも不祝儀袋の水引の上に表書きを、薄墨の筆、または筆ペンで記載します。水引は「結び切り」または「あわじ結び」のものを選びます。

表書き

表書きは宗教や宗派によって異なるため、告別式が仏式・神式・キリスト教式・分からない場合、それぞれで何を書いたらよいのかを紹介します。

仏式

浄土真宗・・・「御佛前」「御仏前」
浄土真宗の教えでは、亡くなったと同時に仏になるため、仏様の前に供えると考えます。

その他の宗派・・・「御霊前」
ただし、四十九日、新盆、一周忌など四十九日以降の法事では「御佛前」「御仏前」を用います。

神式

「御玉串料」「御榊料」
神式の場合も宗派は多くありますが、それによって表書きが変わることはありません。

キリスト教式

「御花料」
カトリックの場合は「御霊前」も使用可能です。
キリスト教式では水引のかかった熨斗袋ではなく、ユリの花や十字架が描かれた熨斗袋、または無地の白い封筒を選びます。

相手の宗派が分からないとき・無宗教

「御霊前」
無地の熨斗袋、または無地の熨斗袋に白黒の水引がかかっているものを選び、表書きは「御霊前」と書きます。

もし浄土真宗だった場合では「御霊前」は適切ではありませんが、その際は一言お詫びを添えてお渡しするとよいでしょう。

名前

個人名の場合

香典袋の水引の下、中央に自分の名前をフルネームで書きます。

仕事上のお付き合いだった場合には、ご遺族に故人との関係が分かりやすいように名前の右肩に会社名を書きます。

連名の場合

□夫婦
通常は夫の名前のみで良いのですが、夫婦揃ってお葬式に参列する場合、夫婦ともに故人と特に親しかった場合などは、夫婦連名で書く場合もあります。

夫がお葬式に参列することができず、代理として妻が参列する場合には、香典に夫の名前を書いて左下に小さく「内」と書きます。

□グループ
グループ連名で香典を出す場合は、3名までは右側に目上の人の名前がくるようにして中央から順に全員の名前を書きます。

4名以上の連名で出す場合は、「○○一同」と書くか、代表者の名前を書いて左下に小さく「外一同」と書きます。そして、それとは別に全員の住所・氏名、入れた金額を書いた別紙を用意してお金と一緒に中袋に入れます。

金額

香典の金額は、漢数字で記入します。

金壱万円、金壱萬円、金壱萬圓など旧字や難しい漢数字である大字を使うことが多いですが、通常の漢数字である金一万円でも問題ありません。金額の後の「也」はつけてもつけなくても構いません。

旧字は以下の通りです。
一→壱
二→弐
三→参
五→伍
千→阡
万→萬

中袋

現金を入れる中袋には、香典の金額、住所、氏名(フルネーム)を記入します。告別式以降に遺族が香典返しを送る際に必要になりますので、忘れずに・省略することなく記入しておきましょう。

香典の金額:中袋の表面の中央
住所・氏名:中袋の裏面の左側
市販されている香典袋には、記入欄が印刷されている場合が多いので、指示に従って書きます。

告別式の香典の金額の相場

香典の金額は、故人とあなたの関係性で決まります。一般に、血のつながりが濃いほど・付き合いが深いほど、高額になります。ただし、金額が上下する場合も「4」「9」を含む金額はタブーとされていますので避けてください。(2千円、2万円はかまいません。)

また、新札は使いません。あえて用意する必要はありませんが、新札であれば、折り目をつけてから香典袋に入れましょう。

全国的なアンケート調査結果から、相手別・年代別の香典の最も多かった回答(つまり、最も一般的な金額)は次の通りです。

親族

20代30代40代50代
祖父母10,00010,00010,00010,000
(回答数少のため割愛)50,00050,000100,000
兄弟姉妹10,00030,00030,00050,000
おじ・おば10,00010,00010,00010,000
上記以外の親戚5,0005,00010,00010,000

年代の他に、地域性、親族間の暗黙の相場観といったものもあります。親戚の告別式であれば、お母様・叔母様などに相談してみましょう。

友人

20代30代40代50代
友人・その家族5,0005,0005,0005,000

職場関係

20代30代40代50代
職場関係5,0005,0005,0005,000
勤務先社員の家族3,0005,0005,0005,000
取引先関係5,0005,0005,000(回答数少のため割愛)

職場関係の告別式の場合は、役職によっても金額が変わったり、組織内の相場観が存在することもあります。この場合は、とりまとめをしてくださる秘書の方や総務の方などに相談すると良いでしょう。

知人

20代30代40代50代
隣人・近所3,0005,0005,0005,000
その他5,0005,0005,0005,000

香典は生前の親交への感謝とお悔みの気持ちの表れ

告別式は、故人を偲びお別れをする儀式です。その際にお渡しする香典は、生前の親交への感謝と、遺族へのお悔みの気持ちを表現したものです。

香典袋の書き方は、宗教・宗派によって異なるので、告別式がどのようなスタイルで行われるのか、事前に先方に確認しましょう。

金額はおおむね故人とのつながりの深さと、あなたご自身の年齢で決まります。

香典は袱紗に包んで告別式会場に向かい、受付でお渡しします。遅刻してしまった場合は、受付が開いていれば受付に、終了している場合は直接遺族にお渡しするか後日ご自宅に伺う形でお渡しします。訪問が難しければ、郵送することも可能ですが、お悔みの手紙を添えましょう。

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