ひな形を使った業務委託契約書の作成方法・ひな形の入手方法

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ひな形を使って業務委託契約書を作成しよう!

「業務委託契約書」とは、発注者が業務を外部の企業や個人に依頼する際に結ぶ契約書です。フリーランスや個人事業主になると、仕事をする上で業務委託契約書が必要になってくる人も多く存在します。作成することに慣れていない人は難しく考えがちですが、ひな形を使えば法律家の手を借りずに作成することも可能です。

ここでは「業務委託契約書のひな形」の入手方法と、ひな形を使って業務委託契約書を作成する際の注意点や記載すべき内容などをご紹介します。

業務委託契約書にマイナンバーは必要?

発注者が受託者と業務委託契約書を締結する際、マイナンバーを記載しなければならないのかといった疑問をよく耳にします。業務委託契約書にマイナンバーを記載する、またはさせる必要はありません。業務委託契約書を結ぶということは、雇用主と労働者といった関係ではありませんので、マイナンバーを提出させる義務はありません。

発注者と受託者が個人事業主の場合、税務監査の際、発注者や受託者のマイナンバーを求められる可能性はありますので、ひな形に「官公庁からマイナンバーの提出を求められた場合は速やかに提出する」といった一文を契約書に記載しておくほうが無難でしょう。

なぜWordで作成されたひな形が多い?

業務委託契約書のひな形の多くはMicrosoft Wordを使用して作成されています。業務委託契約書は、発注者と受託者がお互いに1部ずつに捺印、保管することが基本となります。印刷されることが前提ですので、多くのひな形はWordによって作成されております。

委託する業務や委託先によってひな形の内容を変えることが多いので、編集しやすいWordで作成されたひな形がおすすめです。

業務委託契約書を利用する職業は?

業務委託契約書はどんな職業でよく使用されるのでしょうか。業務委託契約書がよく利用される職業を紹介します。

システム開発業

システム開発業務では業務委託契約が業務の多くを占めています。システム開発業務とは「業務を遂行する上で役に立つ機能を手に入れること」ですので、受託する側のセンスや処理能力に結果が大きく左右される業務です。

多くの発注者は「業務遂行に役に立つ機能」を手に入れて業務の効率化を目指しますので、「こういったことをしたい」「こういったところが不便だ」という要望を受託者に伝え、受託者はその要望に応じたシステムを開発するまでの納期や価格を業務委託契約書に記載し、業務を遂行するといった流れになります。

システム開発業務における業務委託契約書のひな形は、フリー素材としても多数存在しております。

コンサルティング業

コンサルティング業務は、目に見える売買や結果責任の生じる請負契約でないことがほとんどですので、多くは業務委託契約書を利用した業務委託契約になっています。目に見えないサービスについての業務委託契約になりますので、かなり綿密に業務委託契約書を作成しておかなければ、後々トラブルが生じる危険性があります。

契約の内容、範囲、費用負担の割合、報酬、権利関係、秘密保持、再委託など、綿密に作成しておかなければならない事項が多く存在します。コンサルティング業務用のひな形も多くフリー素材として存在しておりますが、ひな形をそのままで流用するのは難しい業種です。ひとつひとつの業務内容に応じた形でひな形を修正して、業務委託契約書を作成するべきでしょう。

不動産業

不動産業も業務委託契約書を使用した業務委託契約を多く利用している業界です。家主が借主を募集する際、不動産会社に依頼し募集業務を業務委託するケースがほとんどです。

賃貸物件に住んだことのある方はご存知でしょうが、賃貸契約の際不動産会社に仲介手数料を支払います。この仲介手数料は貸主、借主ともに支払っており、貸主が支払うお金が業務委託料となっています。

また、CMを流したり、新聞折込広告を入れたりといった借主を募集する際の販促活動についても業務委託料として業務委託契約書に記載されている場合もあります。不動産業の業務委託契約書のひな形も多くがフリー素材として存在しています。

建設業

建設業では、建設工事請負契約という業務委託とは違った契約を多くの業務で行います。「請負」「委任」の違いは簡単に言いますと結果責任です。「請負」は結果にも責任が生じます。

ビルを建てるだけであとはビルが倒れても知りませんでは困りますので、建設業では業務委託契約ではなく結果責任が生じる請負契約を行います。ですので、建設業では業務委託契約を結ぶことが少ない業界と言えます。

業務委託契約書のひな形はどこで入手できる?

業務委託契約書ひな形の無料ダウンロードサイトの紹介

業務委託契約書のひな形を無料でダウンロードできるサイトをご紹介します。委託する業務に合ったひな形を選んで加筆・修正し、業務委託契約書を作成しましょう。

書式の王様

「書式の王様」は業務委託契約書だけでなく、ビジネスで利用する書式のひな形の多くを無料でダウンロードできるサイトです。掲載数は最大級です。有料のひな形も掲載されているのでご注意ください。

e総務.com

「e総務.com」は中小企業の総務担当者に向けたサイトで、業務委託契約書以外にも総務の業務に必要な書式のひな形の多くが無料でダウンロードできます。

文例書式テンプレート集

「文例書式テンプレート集」はビジネスシーンだけでなく、普段の生活でも利用できるひな形が多数掲載されています。

ひな形を使った業務委託契約書 作成する際の注意点は?

ここでは、ひな形を使って業務委託契約書を作成する際によくあるトラブルや質問について項目ごとに注意点を紹介します。

交通費・旅費・宿泊費はどちらが負担?

「この費用は発注者、受託者のどちらが負担するのか」業務委託契約ではこういった費用負担についてのトラブルが多々起こります。費用負担の割合ついては業務委託契約書にしっかりと記載しておかなくてはなりません。その中でもトラブルになりやすいのが交通費・旅費・宿泊費です。

旅費・交通費・宿泊費は、業務を委託する際に発注者と受託者が同じ場所で業務を行う場合はそれほど問題にはなりません。その場所まで通う交通費をどうするのか、宿泊する場所はどこにするのかを取り決めれば良いだけですが、業務を行うにあたり出張・宿泊・調査が生じる場合は特に要注意です。

一般的には会議費・飲食費は受託者が負担、交通費・宿泊費は発注者が負担をすることが多いですが、経費の金額が大きくなる場合は「多額の経費を要する場合は両者の協議の上、負担額を決定する。この場合の多額とは10万円以上と定める」の一文を入れておくことが、お互いのために良いでしょう。

個人に対しての消費税は必要?

消費税は相手が個人であれ法人であれ業務を遂行し、対価が発生すれば必要です。相手が個人事業主の免税事業者であっても支払うのが原則です。中には税込金額で契約する発注者も存在しますが、一般的には報酬金額と消費税は分けて記載します。

最近は、消費税の税率が変更されることも検討されていますので、消費税の税率が変更となった場合の取り決めも記載しておきましょう。

個人情報については?

業務を外部に委託すると発注者の顧客情報や企業秘密、個人情報が明らかになる場合があります。これら委託した業務を通じて得た情報を漏洩されたり売却されたりすると、発注者は莫大な損失を被ることになりかねません。業務を通じて得た情報については、必ず秘密保持義務を業務委託契約書に記載しておきましょう。

また、どの情報についての秘密保持義務なのかを明確にしておかなければ、義務自体が無効になる可能性がありますので、明確にどの情報なのかも記載しておくべきです。

著作権などの知的財産権は?

知的財産権については委託する業務内容や受託者によって契約内容は変わります。一般的に多いのは、知的財産権は発注者側に譲渡する契約です。しかし、独自の知識や技術などを発注者に渡したくない受託者は一定の範囲内で留保するなど、発注者と受託者で交渉をしてみましょう。

業務委託契約書は受託者側の立場も想定して作成しましょう!

業務委託契約で大切なことは、業務を遂行する上で発注者と受託者が同じ立場で、お互いに気持ち良く作業ができる、ウインウインの関係だということです。そして、双方が納得した内容を書面にしておくことでお互い業務に専念できる、そのために必要なものが業務委託契約書です。

ここでは、ひな形を使った業務委託契約書の作り方を紹介しましたが、発注者側の有利になることだけ考えて業務委託契約書を作成するのではなく、委託する業務内容や受託者の立場によって、書き換えたり修正をして作成してください。受託者側の立場にもたって業務委託契約書を作成することが大切です。

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