ケース別送別会の司会進行マニュアル
送別会の司会進行役には、送別会をスケジュールに沿って行ったり、参加者の気持ちを一つにしたり、場を和ませたりするなどいろいろな役割が求められます。
そういった重要な役割を持つ司会進行役は、基本的なマニュアルを頭に入れた上、多少のアレンジを入れていくことで上手く送別会の司会を務めることができます。まずは、そういったマニュアルをきちんと頭に入れておくと良いでしょう。
退職
退職者を送る送別会では、それまでの会社に対する功績を称える意味を持つことを理解しておくことが大切です。司会進行役もあまり出すぎることなく、淡々と進行に徹することがポイントになります。開会宣言や関係者挨拶などの段取りの後乾杯へと移っていきますが、司会進行に求められるのはあくまでもスケジュールに沿って粛々と送別会を進ませていくことです。
送別会の開会宣言と閉会宣言の際のどちらかに場が温まるような退職者とのエピソードがあれば、それを披露するのも良いでしょう。
定年退職
定年退職者への送別会には、スケジュールに沿って司会進行を務めると共に、心に残る台本や例文を用意しておくと良いでしょう。退職者の中でも定年退職者となれば、それだけ会社に対する功績も大きくなりますし、会社内でのエピソードも豊富にあるでしょう。
そういった中から司会者自身の経験も踏まえつつ、仕事上の心温まるエピソードを話してみましょう。定年退職者の送別会は往々にして湿っぽくなりがちです。それは、定年退職に伴って職場を離れるだけでなく、仕事人生にも区切りをつける人が多いためです。その湿っぽい雰囲気を打破するという役割も、司会進行役には求められます。
異動
異動時の送別会も、基本的な流れは退職者と変わりません。開会宣言から始まり、発起人の挨拶、乾杯、会食・歓談、祝辞へと続き、記念品贈呈などを行い異動者の挨拶へと進んでいきます。こういった一連の流れをスムーズに進めることで、異動する人を温かく見送ってあげようとする気持ちが大切です。
異動先での不安や緊張も抱えている可能性もあるので「何かあればいつでも連絡ください」や「また、みなさんで飲みに行きましょう」などといった温かい言葉を開会時や閉会時の言葉として入れてあげると、参加者の代表として送り出す側の気持ちを代弁することにつながります。
転勤
転勤の場合も、送別会の流れは変わりません。転勤の場合、どのくらいの期間転勤先の仕事が続くのか不透明なケースも多く、送別される側も送別会を一区切りとして、気持ちの入れ替えを図ろうとすることも多いと言えます。
そういった意味で、これまでお世話になった上司や同僚からの言葉などを紹介したり、実際にスピーチしてもらったりするというのも素敵な送別会とするためのポイントと言えるでしょう。
司会進行役はその場だけで完結するわけではなく、誰にスピーチをしてもらうかといった事前準備も含めて、段取りを進めていくことが求められます。
寿退社
寿退社の場合は、他の送別会のケースと違ってよりおめでたい要素が詰まった送別会となりますので、その明るい雰囲気を大切に進めていくことが大切です。
司会進行役が、開会の挨拶で「改めましてご結婚おめでとうございます」といったことや、退社される方が妊娠されているのであれば「お子さんの誕生も待ち遠しいですね」などといった温かい言葉をかけてあげることもポイントです。
その後の流れは他の送別会と変わりませんが、会を通して明るくおめでたい雰囲気を大切にしながら司会を務めていくことを意識しましょう。
送別会の司会のマナー
送別会で司会を務める方には、それ相応のマナーが必要です。送別される側だけでなく参加者からも見られる立場ですので、そういった自覚を持って司会を務めていくと、より良い送別会を開催することができるでしょう。
服装
送別会の種類にもよりますが、司会者としてはよりフォーマルな服装で参加するのが良いでしょう。特に、送別会の主役が上司などの場合は、カジュアルな格好で目立ちすぎないようにすることがポイントです。あくまで会社の行事として送別会が開催されるのであって、プライベートの場ではありません。そういったTPOも踏まえながら、服装選びを進めていきましょう。
言葉
送別会には、開会の言葉や乾杯の言葉、送別者へ送る言葉など、いろいろなシーンで言葉を発する機会が多くなります。そういった言葉をより相応しいものにしていくスキルも、司会者に求められる役割の一つです。
定年退職者などの長年の功績を祝う場であれば、労いの言葉や寿退社であれば祝意を表する言葉、異動・転勤に伴う送別会では次の勤務地での健闘を祈る言葉など、相手の状況に応じて相応しい言葉を準備しておき、送別会を良い雰囲気にしていきましょう。
送別会の司会のセリフ例
ここからは、実際に送別会で司会者が使えるセリフ集についてご紹介していきます。セリフを頭に入れておくことで、よりスムーズな送別会の進行につながります。
和やかな雰囲気を作っていくという点においても、決まったセリフを用いながら少しずつ自分の言葉を交えていくのが良いでしょう。あまりアレンジしすぎても場の雰囲気が締まらなくなってしまいますので注意しましょう。
挨拶
最初の挨拶では、次のようなセリフを用いて送別会の開会を宣言すると良いでしょう。「皆さんお疲れ様です。これより、○○さんの送別会を開催したいとおもいます。本日、司会進行を務めさせていただきます(自分の名前)です。どうぞよろしくお願いいたします。」などとまとめることで、開会の挨拶としましょう。
経歴紹介
続いては、経歴紹介の挨拶についてご紹介します。経歴紹介に当たっては、次のようなセリフがおすすめです。「○○さんは○○年に入社して以来、○課、○課を経て本職場にて○○の仕事に従事し○○に尽力されてきました」などと、簡単にご本人の経歴を紹介していきましょう。ここでは、あまり長くなりすぎないようにすることがポイントです。
乾杯
乾杯の挨拶も短めで構いません。場合によっては、乾杯の挨拶を別の人に行ってもらうケースも少なくありません。乾杯時の挨拶としては「僭越ではございますが乾杯の音頭をとらせていただきます。皆さん、ご唱和をお願いします。○○さんのご功労に敬意を表し、今後のご健勝とご多幸を祈念して、乾杯」などと挨拶することで、引き締まった良い雰囲気で乾杯を行うことができるでしょう。
中締め
送別会というのはおおよそ2時間くらい行われるのが一般的ですが、その後二次会へと続くことも多くなります。そういった意味で一次会の締めとして、中締めの挨拶の場が設けられます。一次会で帰宅する人もいますので、きちんとした形で締めるようにしましょう。
「○○さん、今まで本当にお世話になりました。○○さんの今後の前途を祝して、皆さんで万歳三唱をしたいとおもいます。万歳。万歳。万歳」などと締めると良いでしょう。
締めの挨拶
中締めの挨拶の時に万歳まで行って締めとしても問題ありませんが、最後の最後に本当の締めという意味で、送別される方と親交の深かった方に挨拶をお願いすることもあります。その方の挨拶が済んだあとに、送別会自体の閉会を宣言するという意味で、最後の締めの挨拶を司会者が行うこととなります。
「本日は、これにてお開きにしたいとおもいます。皆さん、お忘れ物がないように気をつけてお帰りください」として、送別会の締めの挨拶とします。
送別会をきっちりまとめよう
送別会の司会進行役には、いろいろな役割が求められますが、一つ一つスムーズにこなしていくことで、やりがいも出てきます。そして、何と言っても送別される側に感謝される役割でもあり、それが司会者冥利に尽きるという方もいます。
そういった貴重な役割を全うできることに感謝しつつ、スムーズで良い雰囲気で送別会が行われるように意識して司会を務めると良いでしょう。