会社を休む際の電話マナーとは?
病気や不慮の事故・ケガなどで、会社を休む電話をしなければならない時、相手(上司)の反応や抱えている仕事の進捗、自分へのマイナス評価などが不安で、躊躇した経験がある人は多いでしょう。
携帯を持ちながら色々と悩んでいるうちに、時間は刻々と経過し不安を助長します。責任感が強い人ほど、休むことにうしろめたさを感じて無理に出勤してしまい、さらに体調を悪化させてしまいます。
体調に関するアクシデントは誰でも起こりうるものなので、時には会社を休むことも致し方ありません。とは言え、休むことによる仕事の中断や遅れなどを考えると、自分のことだけでなく相手の負担などを考えた、適切な対応が必要でしょう。
まずは謝罪から入る
では、会社を休む際の電話のマナーについて、いくつか特徴を挙げて説明します。
電話の際、名前を名乗り挨拶を済ませた後は、まず謝罪から入りましょう。会社を休むことに対し重く責任を感じていても、言葉にしなくては伝わりません。やむを得ず休む電話をしていることを、謝罪の言葉を通して相手に伝えましょう。
また謝罪の言葉がクッションになり、比較的スムーズに、相手に申し出を受け入れてもらえます。一例を挙げて比較しましょう。
・✖「本日、会社を休ませてもらえないでしょうか」
・〇「大変申し訳ございません。本日、会社を休ませてもらえないでしょうか」
どうでしょうか。相手の立場に立って考えてみましょう。
理由を伝える
謝罪し会社を休む旨を伝えた後は、相手から聞かれる前に必ず理由を伝えましょう。理由を伝えずに休んでしまっては、勤務先の同僚も納得できません。
どのような理由があるか、またその基準については後述しますが、相手が納得できる正当な理由が必要でしょう。自己都合の一方的な理由で休んでしまっては、仕事への責任感が希薄だと判断され、後日のキャリアに影響しかねません。
また、一見正当な理由でも内容が曖昧では意味がありません。体調不良とだけ伝えるのではなく、「風邪で39度の熱があり、頭痛や寒気もあるので、病院に行かせてください」というように、出勤が不可能な状況を詳細に伝えましょう。
関係各所へ配慮する
自分が会社を休むことで、今担当しているプロジェクトや本日のアポイントなど、多くの関係者に予定の変更を強いることになります。直属上司だけに電話をすれば安心して休んでいい、という訳にはいかないでしょう。
不慮の事故やケガのような緊急事態では、電話することも難しい時があります。その場合でも、可能な限り直属の上司には電話で状況を伝え、同僚にはメールで伝えるなど、連絡の手段はあります。電話した相手が休んだ理由を伝達してくれると期待する前に、こちらから連絡すれば誠意も伝わるでしょう。
人間関係と復帰後の仕事を円滑にするためにも、主要な関係者には連絡をする配慮が必要でしょう。
会社を休む際の電話の注意点
会社を休む際の電話マナーに続いて、電話をする際の注意点を説明します。お互いに顔が見えない状況なので、電話をする側は相手の反応が見えず、受けた側は実際に休ませるべき状態なのかを目で見て判断することができません。
お互いに声だけで全てを判断することになるので、話し方にも注意が必要です。ではどのような注意点があるのでしょうか。
弱々しい声で話す
仮に体調不良が理由で会社を休むとして、ハリのある元気な声で電話をしてしまうと、時には体調に問題無しと判断され、会社に出勤するように言われてしまうでしょう。
上司に電話をするからといって、無理に元気を装う必要はありません。会社を休むほど体調に問題があるのであれば、声に力も無いはずです。相手に聞こえる声量で話すことさえできれば問題無いですし、具合が悪いことの裏付けになりますので、現在置かれている状況に合った声のトーンで話しましょう。
演技をする
演技と言っても嘘をつくわけではありません。電話という、お互い声でしか状況を判断できない状態で、会社を休む理由を的確に相手に伝えるには、時には過剰に表現する必要がある、という意味の演技です。
例えば、高熱や頭痛といった風邪の症状が酷い時でも、普通に会話できる人もいます。診断書や体温計の数値といった客観的な資料を見せられない状況では、その場の判断基準は各々に委ねられているので、分かりやすさが大切です。
お互いの判断基準が同じになるように、風邪の症状が酷い時は少し呼吸を荒くするなど、伝わりやすい表現をしましょう。
必要以上に話過ぎない
不慮の事故やケガであれば、状況的に長く話すことはあまりないでしょう。しかし体調不良の時でも、必要以上に話過ぎないことは重要です。
自分の状態を伝えたいがために、あれこれと話しすぎて相手の時間を取ってしまうと、話の要点が分かりづらい上に、会社を休んで迷惑をかける状態を長引かせてしまいます。会話の流れとしては以下が望ましいでしょう。
①挨拶
②謝罪
③会社を休むことを申し出る
④理由を端的に説明する
⑤相手(上司)の判断を仰ぐ
必要なことを1~2分で話したら、その後の会話の主導権は相手に譲り判断を仰ぐ流れを取りましょう。
電話連絡のトーク例
では、電話連絡のトーク例を、風邪で体調を崩した場合で紹介しましょう。
「おはようございます、〇〇です。今、お時間よろしいでしょうか。」
(許可が出る)
「ありがとうございます。大変申し訳ございませんが、本日、お休みをいただけないでしょうか?」
(理由を聞かれる)
「実は風邪をひいてしまって、先ほど熱を測ったら39度でした。何枚も布団をかけていますが寒気も治まらない状態です。」
(許可が出る)
「ご迷惑をお掛けして申し訳ございません。必ず病院に行って、明日は出勤するつもりで治します。状況は適宜報告いたします。」
提案形式も用いて、常に謙虚な姿勢で謝罪の気持ちを表現しましょう。
会社を休んでもいい基準とは?
電話連絡の時のような、判断基準が各々にある状態では、例えば「風邪で休む」と言っても、休める場合と休めない場合があります。
就業規則や社内ルールなどで明記している会社は、それが基準となりますが、細かい病気に関する明確な規定がある会社の方が少ないでしょう。
では会社を休む一般的な基準はどこにあるのでしょうか。
高熱
高熱の基準は、最終的には会社の慣例や上司の判断に委ねるしかありませんが、一般的には38度を超えると高熱と判断して、休ませている会社が多いでしょう。
しかし、その人の平熱に左右される場合もあるので、38度を超えていないから会社を休む理由にはならない、と一概には言えません。
多少は必要な場合もありますが、無理をするとその後のパフォーマンス低下に繋がりますので、お互いに適切な判断を下せるように、時には普段の会話で確認しておくことも必要でしょう。
感染症
感染症に関しては、特に飲食業など不特定多数の人と接する機会が多い会社は、明確な規定があります。
ノロウイルスなどの強力な感染症に関しては、本人だけでなく、直近で接点があった同僚まで休ませなくてはならない場合もあるので、会社の規定を確認しましょう。規定が無い会社でも、保健所で事前に確認を取って知識を持っておくことで、感染症の拡大を防ぐ必要があるでしょう。
不慮の事故やケガ
不慮の事故やケガに関しては、程度によって大きく左右されます。出勤時間を遅らせるだけで解決できる場合もあれば、長期に入院が必要となる場合もあるので、その後のことも含めて関係各所と連絡を取り、その都度判断をしていきましょう。
また職種や役職によっても対応が変わるので、一概に基準は設定できません。普段から行動や運転などに注意して、事故やケガをできる限り避けられる体制を整えておくことが大切でしょう。
会社を休むことは悪ではない
会社を休むことが責任感の欠如とみなされるので、どんな状態でも取り敢えず出勤して、責任を果たした上で上司に判断してもらう、という暗黙のルールが、特に日本では散見されます。
しかし、無理をして体調を悪化させてしまったり、事故に巻き込まれているのに出勤を優先してしまっては、その後の仕事に支障を来し、かえって悪影響になることも多いです。
どうしても会社を休まざるを得ない場合は、率直に状況を伝えて休み、次回出勤以降のパフォーマンスを上げることに集中しましょう。