金貨の購入方法|場所別/種類別・金貨の購入での注意点

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金貨での資産保有のメリット

安定資産として世界的に人気の金投資。その内、金貨の形で購入するメリットについてご説明します。

安定資産としての金

物質としての「金」は歴史を通じて、常に希少価値が高い物でした。その事実は現代においても変わりません。「有事の金」という諺があるように、極端なインフレになるなどして紙幣の価値が大きく下がった際にも、物質としての金が同じく極端にその価値を落とす可能性は低いでしょう。このような金の性質から、ヨーロッパやアメリカをはじめ世界的に安定資産としての金の保有は根強い人気があります。

また株取引のように短期的に利益を上げることは難しいものの、長期的に見ればこの十年で金は着実に値上がりをしており、投資の対象としても金の購入は手堅い選択肢と言えます。

さて投資や安定資産として保有するなどの目的で金を購入する際、金地金(インゴットとも呼ばれる、よくイメージされるバーの形をした金) と金貨のどちらかの形が一般的な選択肢になります。

金貨での購入のメリット・デメリット

金地金(インゴット)ではなく金貨で購入するメリットとしては、金貨の方がより少額から購入でき、金地金では500g未満の購入でかかってくる手数料(バーチャージ)がかからないなど、購入への敷居が低いということが挙げられます。

デメリットとしては、金貨の価格は金そのものよりも製造費などの分若干の上乗せがあり、傷がつくなどした場合、金のみとしての価格まで下がってしまうため、ケースに入れての保管など取り扱いに気を付ける必要があることです。また、可能性としては低いものの、発行する造幣局による価値の保証がなくなった場合も同じように、金としてのみの価値まで下がってしまいます。

地金型金貨と収集型金貨

また金貨には、大きく分けて金の純度が高い地金型金貨と、コレクション目的につくられ、金の純度はやや低いものの希少性やデザイン性といった付加価値のある収集型金貨 の2種類があります。収集型金貨は価格変動が大きいため、投資のために購入することは株取引のようにハイリスク・ハイリターンになります。

このように地金型金貨と収集型金貨で性格の違いがありますが、この記事では、安定資産としての保有という観点から地金型金貨の形での購入を検討している方を念頭に置いて、購入方法や購入する際に注意したい点などについてご紹介します。

場所別での金貨の購入方法

金貨を購入できる場所と、購入する際の簡単な注意点についてご紹介していきます。

貴金属店などの店舗

金貨を購入する際に気をつけたい点として、まずは信頼できる相手先から購入するということが挙げられます。大手の地金商・鉱山会社・商社などの貴金属取扱店で購入すれば、信頼性という点でまず間違いありません。直接足を運ぶことができるなら、こうした店舗での購入が最もオーソドックスな選択肢になります。

地金型金貨は、金そのものとしての価格に、製造費や輸送費などの価格が上乗せされています。この分の価格はプレミアムと呼ばれていますが、金貨に傷がつくなどした場合、このプレミアムが消失し、地金としてのみの価格まで下がってしまいます。そのため、傷や変形のない金貨を確実に購入するためには、金貨は信頼できる相手先の実店舗で購入することが望ましいです。

ただし、こうした貴金属取扱店の店舗では多くの場合、200万円以下の少額の購入の場合にも個人情報の記載や身分証明書の提示が求められるなど購入に多少の時間と手間が掛かります。もっと気軽に購入したいという方は以下のトピックで紹介するような他の購入場所を検討してもいいでしょう。

百貨店

貴金属店の店舗は高級感があって入りづらいという方や、近くに適当な店舗が見当たらないという方は、気軽に金貨が購入できる場所として百貨店がおすすめです。百貨店直営の売り場と、取扱店が百貨店にテナントとして入っている場合がありますが、どちらにせよ信頼性という面で問題はありません。

注意点としては、百貨店では貴金属店の店舗とは違い、金地金(インゴット)や金貨の在庫が常時取り揃えられているとは限らないということです。特に多額の購入の場合、店頭在庫がなく取り寄せになることも多いです。また百貨店共通のものをはじめとした商品券では、金貨の購入はできないお店がほとんどですので、その点も注意して下さい。

通販

近くに金貨を取り扱っているお店がない場合、金貨をネット上から通販で購入することも可能です。特に貴金属の製造元のような大手の取扱店から通販で購入する場合に言えることですが、多くの通販先において、金貨のように換金率が高い商品はクレジットカード決済ができなくなっています。

これは実店舗で購入する場合も同様ですが、換金目的での商品の購入はカードの規約違反にあたるためです。クレジット決済に対応しているお店もありますが、こういったお店では価格が割高に設定されています。そのため先に代金を振込んでから商品の発送という流れになっているお店が多く、通常のネットショッピングのように手間なく買い物ができるわけではないということに注意が必要です。

さらに注意する点は、通販では購入する現物を見ることができないということです。先ほど金貨に上乗せされるプレミアムについてご説明しましたが、通販サイトの写真だけからは金貨に傷などがないかどうか判別することができません。傷などがあればプレミアム分の価値は失われてしまうため、通販先は、金貨の品質を保証している所を慎重に選ぶ必要があります。

銀行

国内の銀行においては三井住友銀行で金地金の購入ができますが、残念ながら金貨の取扱いは行っていません。

代表的な金貨の種類及び購入方法

世界的に流通量の多い代表的な地金型金貨と、それぞれの購入方法をご紹介します。

ウィーン金貨

ウィーン金貨はオーストリア造幣局が発行している信頼性が高い金貨です。流通量も国内で最も多いため、地金商の店舗をはじめ、金貨を扱っている所であればどこでも簡単に入手可能です。同様に売却して換金することも簡単になりますので、はじめて購入する際など金貨の種類で迷われた場合、こちらのウィーン金貨か同じく流通量の多いメープル金貨を選ばれれば間違いはないでしょう。

800余年の伝統を持つオーストリア造幣局発行、オーストリア政府が品質を保証する法定通貨です。純度は、99.99%。表面には、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会場の「楽友協会:黄金の間のパイプオルガン」、裏にはウィーンホルン、ハープ、ビオラ、バイオリン、ファゴットなどの管弦楽器をレリーフ。資産保全としてはもちろん、その美しさからも人気です。

http://gold.tanaka.co.jp/commodity/shohin/wien.html

メープル金貨

こちらもウィーン金貨と並び国内での流通量が多く、信頼性も高い代表的な金貨です。発行年代でデザインが異なる点が特徴です。こちらも金貨を購入できる場所であればほぼ間違いなく取り扱っているため入手は簡単です。

メイプルリーフ金貨のデザインが広く知られるのは、その信頼性の高さに由来します。純度99.99%のメイプルリーフ金貨は、カナダ中央政府が保証する法定通貨。国際的な信頼と評価が高く、カナダの国旗にも描かれているカエデの葉がレリーフされた気品あるデザインが特徴です。

http://gold.tanaka.co.jp/commodity/shohin/maple.html

イーグル金貨

こちらはアメリカ政府の造幣局が発行している金貨です。他の多くの金貨が、金の純度が高い24Kであるのに対し、イーグル金貨は22Kと少し純度が低く、その分強度が高くなっています。売却するときは22Kの相場価格+プレミアム分の価格になります。

買取は受け付けている所が多いので問題ないのですが、販売しているお店は供給量の多いウィーン、メイプルに比べると少なくなっています。通販などで購入する際には、実際に在庫があるかどうか確認した方が良いでしょう。

金貨の購入での注意点

金貨購入の際に別途用意するものや料金など、購入の際の注意点をご紹介します。

手数料

金地金の場合、500g未満の購入でバーチャージと呼ばれる手数料がかかりますが、金貨の場合はこういった手数料は掛かりませんので、より気軽に購入することができます。ただし、金貨を売却する際は売値と買値の価格差(スプレッド)があり、これがお店側の買取における手数料に当たります。小さいサイズの金貨ほどスプレッドは大きくなっています。

消費税

金貨を購入する際には、消費税が掛かります。売却する際にも、消費税を上乗せした価格を受け取ることになります。

身分証明

金の一回の購入額が200万円以上になる場合、身分証明書の提示が必要になります。ただし大手の貴金属店の店頭で金貨を購入する際には、200万円未満の購入であっても身分証明書の提示が求められる所も多くなっています。売却の際は少額であっても身分証明書の提示が必要です。

税務署

金貨の購入時には、税務署に申告の必要はありません。年間で50万円以上の額を売却した場合は、確定申告の際に報告が必要になります。

変化する世界情勢の中での防衛策

金は、今後地球上で採掘される量に限りがあると言われています。つまりシンプルに考えれば、その価値は上がりこそすれ、大きく下がる可能性は少ないということです。それゆえに金は最も安定性が見込める資産であると言えます。

昨今のように世界情勢に変化の気配が強く、それに伴って経済の先行きも読めない時代には、個人も紙幣の価値を妄信せず、防衛策として金のような安定資産を持っておくことを検討すべきではないでしょうか。

金の購入に魅力を感じるものの、いきなり多額の金地金を購入することに抵抗があるという方は、まず試しに敷居が低い金貨から購入してみるのはいかがでしょうか。金貨であれば少額から手数料なしで購入でき、同時に金投資についての知識を得られるので、一石二鳥の選択と言えます。購入を検討する上でこの記事が参考になれば幸いです。

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