500円玉の歴史
日本人の私達は500円硬貨にはもう見慣れています。1982年に500円札から500円玉に変わったので、もう35年になりました。しかし、あまり知られていないことも含めて、ここでは500円玉について詳しくお伝えしていきます。
実は日本の500円玉は、世界で有数の高額面硬貨です。1つの硬貨で支払える金額が非常に高いということです。登場当時はスイスの5フラン、ドイツの5マルク、スペインの500ペセタ硬貨といった高額面硬貨が存在しましたが、日本の500円玉硬貨は、発行された時期非常に話題になりました。
しかし残念なことに、韓国の500ウォン硬貨による大量の通貨変造事件が発生したことで、2000年にはデザインを変えるなどして再発行されました。
新旧500円玉の違い・成分
旧硬貨は、1982年から1999年までに発行された500円玉で、白銅でできています。そして2000年に発行を開始した500円玉は、ニッケル黄銅でできています。両者おおまかな差はなくどちらも表面には桐が、裏面には竹と橘がデザインされているところは同じです。しかしいくつかの違いはあるので以下に記します。
旧硬貨の成分は銅75%、ニッケル25%、つまり白銅製で、新硬貨は銅72%、亜鉛20%、ニッケル8%のニッケル黄銅製となっています。これによりどういうメリットがあるかというと、電気伝導率などが変わるために、機械での偽造硬貨の検出が容易になったことです。上述したように韓国の500ウォン硬貨による大量の通貨変造事件を受けての対応です。また当然のことながら成分変化にともない、色に少々金色がかり、質量は少し減りました。
新旧500円玉の違い・デザイン
旧硬貨では外周に「◆ NIPPON ◆ 500 ◆」の文字が繰り返し刻印されていましたが、新硬貨では斜めのギザギザが入れられました。ギザギザの数は181で、そもそもこのギザギザは世界の硬貨でも極めて珍しい物です。このように五百円硬貨は他の額面硬貨と比べると、外周の加工に高度な技術を用いています。
ちなみに、旧硬貨の側面「◆ NIPPON ◆ 500 ◆」は、円周の文字の刻印の向きに対して、裏表を揃えずに刻印されているので、「◆ NIPPON ◆ 500 ◆」の文字を正しく読めるよう置いた時、上面が表になるものと裏になるものとがほぼ半数ずつ存在するというのがちょっとした豆知識です。
新旧硬貨は厚さが同一ということになっていますが、実際には僅かながら新硬貨の方が薄く、旧硬貨1.85mm、新硬貨1.81mmとなっています。この差が起きた理由は硬貨の外周が刻印からギザギザに変更されたためです。このため、もし旧硬貨50枚用のコインホルダーに全て新硬貨を入れると、51枚収納できる場合もあります。
変造硬貨事件
韓国の500ウォン硬貨も、なんと500円玉硬貨と同じ1982年に発行されました。韓国の500ウォン硬貨は当時のレートで日本円で約50円の価値でしたが、材質が同じ白銅であること、大きさも26.5mmと同じ、重さだけが7.7gと少し重いだけであるため、おのずと500ウォン硬貨→500円玉硬貨への変造が多く行われてしまう結果となりました。
具体的な事例としては、表面を僅かに削る、ドリルなどで穴を空けたりするなどで質量を減らして500円玉硬貨と同じ重さにし、自動販売機で500円硬貨として通用させる例があります。変造した500ウォン硬貨を投入して「返却レバー」を操作すると、自動販売機にもとから蓄えられていた真正五百円硬貨が出て来る、という方法です。
実はあまり知られていないのですが、当時の自動販売機は自分が投入した硬貨とは別の硬貨が返却口に出るシステムになっていました。これが悪用されたということです。この手口に対処するため、投入した硬貨をそのまま返却に備えるよう、自動販売機の改良もなされたという歴史もあります。
また他の犯罪として、券売機などに変造500円硬貨を入れて、500円相当の商品や切符を盗む(それを転売)というようなものもありました。その場で現金が入手できる方法としては、最も安い切符を購入し釣銭を盗む手口もあります。
500ウォン硬貨以外にもイランの1リヤル硬貨、ハンガリーの20フォリント硬貨おと50フォリント硬貨、ポルトガルの旧25エスクード硬貨などを変造した偽造硬貨事件もわずかながら発生、このような理由で、2000年に現在の硬貨に改められました。
500円玉変造をめぐる現状
新硬貨発行後は、それと同時に自動販売機やATMの改良もあり旧500円硬貨として通用させた変造硬貨事件は次第に減少していったものの、2003年頃からはついに新500円玉硬貨の偽造が報告され始めました。
2005年1月末、東京都・福岡県・熊本県の郵便局のATMや窓口から、2万枚近くに上る大量の新500円偽造硬貨が発見され、同地域の郵便局ではATMでの硬貨の取り扱いが一時中断するという事件が発生しました。これを受けて、一部の自動販売機では使用できる500円玉の枚数を1枚に制限している事例もあります。ただ500円玉硬貨の需要は現在かなり高く、廃止するという動きはありません。
500円硬貨の価値
日本にいると500円玉の貴重さに気付くことはあまりありませんが、冒頭にも書きましたが実は世界に目を向けると、これほど大きな額面の硬貨というのは見ることができません。
国によっては、国内で一番大きな額面の紙幣でさえ、日本の500円玉の価値に及ばないこともあります。
つまり日本の500円玉は「世界で一番強い硬貨」とも言われておりますが、円安の影響で2013年には5スイスフランに抜かれそうになったこともあり、経済事情により価値は変動します。
500円玉一枚の重さ
ではここから、500円玉の重さについて詳しく見ていきます。
旧500円硬貨の重さは7.2g、新硬貨(2000年8月変更)の重さは7gとなりました。
ところで2007年時点で500円硬貨は38億枚発行されており、そのうち旧500円硬貨は約8億枚ありました。つまり30:8の割合で、約4枚に1枚旧硬貨となっています。平均を取ると重さは約7.0421gとなります。
500円玉と1円玉の重さの差
1円硬貨は1gなので、1円玉と500円玉の重さ比率は1:7ということになります。
500円玉は硬貨の中で何番目に重いか
重さを測らずとも、500円玉硬貨が日本の硬貨の中で一番重いことは簡単にわかりますが、正確な重さを記します。
・1円玉=1g
・5円玉=3.7g
・10円玉=4.5g
・50円玉=4g
・100玉=4.8g
・500円玉=7g(旧500円玉は7.2g)
500円玉貯金をした時の金額別の重さ
500円玉貯金用の貯金箱が100円ショップなどでも販売されていますが、中に何枚入っているのか(つまりいくらになったのか)を知りたいのにわからない、という方は多くいらっしゃいます。そこで、重さを測ることで、いくらになっているか知る方法をお伝えします。
計算方法は簡単に述べますと
総重量-貯金箱単体重量=500円玉総重量となります。
貯金箱の重さは、事前にそれを正確に測ればわかりますが、おおむね以下のようになっているそうです。しかし微妙に個別で重さは違ってくると思われますので、貯金を始める前にその缶の重さを測っておき、貯金箱のどこかに書いておくのもよいでしょう。
・10万円たまる缶=71g
・30万円たまる缶=132g
・50万円たまる缶=183g
・100万円たまる缶=277g
ということで、総重量から貯金箱の重さを引いた数字(500円玉だけの重さ)をまず出しましょう。そして、500円玉1枚は平均7gですから、「500円玉総重量÷7=500円玉枚数」ということになります。
「今いくら貯まっているのか正確に知りたい」という場合、重さから割り出すこの方法を使って調べてみることをおすすめします。
例として、30万円分の500円玉の重さは、7g×600枚=4200g、つまり4.3kgになります。
500円玉で10万円分の重さ
500円玉1枚7g、200枚分なので7×200=1400g(1.4kg)
500円玉で30万円分の重さ
500円玉1枚7g、600枚分なので7×600=4200g(4.2kg)
500円玉で100万円分の重さ
500円玉1枚7g、2000枚分なので7×2000=14000g(14kg)
重さから割り出す金額
ここでは、重さから500円玉でいくら分たまっているかをすぐに知るためのリストを記しておきます。
500円玉のみの重さを測った場合の重さと金額のリストです。(500円玉の重さは新旧の平均も現在は限りなく7gに近くなっておりますので、1枚7gとして概算を出しましょう。端数は違ってくることがあっても、概ね以下の重さに近ければ、右に記した金額分が入っていると判断してよいでしょう。)
・14000g=100万円
・13300g=95万円
・12600g=90万円
・11900g=85万円
・11200g=80万円
・10500g=75万円
・9800g=70万円
・9100g=65万円
・8400g=60万円
・7700g=55万円
・7000g=50万円
・6300g=45万円
・5600g=40万円
・4900g=35万円
・4200g=30万円
・3500g=25万円
・2800g=20万円
・2100g=15万円
・1400g=10万円
・700g=5万円
・560g=4万円
・420g=3万円
・280g=2万円
・140g=1万円
・70g=5000円
・56g=4000円
・42g=3000円
・28g=2000円
・14g=1000円
・7g=500円
500円玉以外の硬貨の重さと材質
参考までに、500円玉以外の硬貨の重さを記します。500円玉貯金同様、いくら貯まっているかを知りたい時に、このリストをご参照ください。なお材質なども詳しく掲載します。
・1円玉、1g、アルミ100%、直径20mm
・5円玉、3.7g、黄銅貨幣、銅60~70%、亜鉛30〜40%、直径22mm
・10円玉、4.5g、青銅貨幣、銅95%、亜鉛3〜4%、スズ1~2%、直径23.5mm
・50円玉、4g、白銅貨幣、銅75%、ニッケル25%、直径21mm
・100円玉、4.8g、白銅貨幣、銅75%、ニッケル25%、直径22.6mm
・500円玉、7g、銅72%、亜鉛20%、ニッケル8%、直径26.5mm
500円玉貯金は重さで金額がわかる
いかがでしたでしょうか。「〜万円貯まる」という貯金箱を購入して貯金を初めても、中身が見えるタイプのものでも見えないタイプのものでも、貯金箱に入ってしまった硬貨の数を数えることはほぼ無理でしょう。ですので、事前に貯金箱の重さを測っておき、後で重さを測ることで合計金額を割り出す方が簡単です。計算方法がわかれば簡単なので、ぜひお試しください。