「お伺いを立てる」の意味と使い方・メール・例文・類語・同義語

ビジネスマナー

間違いも多い敬語の使い方

学校で学ぶ敬語と、ビジネスシーンで使用する敬語は別物であると言っても過言ではありません。学校ではこう習ったのに先輩に指摘された、同じ意味の言葉なのに目上の人へ使ってはいけない敬語があった、という経験をされた方もいらっしゃるでしょう。また、全く聞いたことのない敬語をみんな当たり前のように話しているのに驚かれた方も多いのではないでしょうか。

ビジネスマナーを学んでいても、社会で使う独特の敬語はその場になってみないとなかなか使う機会もなく身につかないものです。若手社員はもちろん、ベテランと言われる年齢のビジネスマンであっても敬語に自信のない人や、気づかずに間違った敬語を使ってしまっている人も多いです。

「お伺いを立てる」の意味と使い方

「お伺いを立てる」という言葉は頻繁に使われるタイプの敬語ではなく、なかなかピンとこない、使ったことがないというかたもいらっしゃるでしょう。しかしながら、上司や先輩に言われた時や、自分で使用する時が来た時のためにしっかりとその意味と、正しい使い方は心得ておきたいところです。今回はそんな、あまり馴染みのないけれど避けては通れない「お伺いを立てる」について解説していきます。

「お伺いを立てる」の意味

「伺う」という言葉はさまざまな意味を持っており、「聞く」「尋ねる」「問う」「行く」「訪れる」のそれぞれの謙譲語であることはご存知でしょう。「お伺いを立てる」もこのような「聞いてみる」「尋ねる」などと言った意味なのだろうとあいまいに解釈している人も多いでしょう。

では、「お伺いを立てる」の前にこの「(お)伺い」という言葉ですか、理解して使っていますか。「(お)伺い」とは、動詞の「伺う」を丁寧に名刺にしただけではなく、別の個別の意味がある言葉です。

うかがい うかがひ [0] 【伺い】① 上級機関や上役の指示・指図を求めること。また,そのための文書。 「進退-」 ② 神仏にお告げ・託宣を請うこと。 ③ 「訪問すること」「問うこと」「聞くこと」などの謙譲語。 「ご機嫌-」 [句]伺いを立てる 「伺い」に似た言葉申出  申入れ  要求  申込  願い

https://www.weblio.jp/content/%E4%BC%BA%E3%81%84

「伺い」は目上の人に対して使う言葉だということがわかります。また「立てる」には「成り立ち」「成り立たせる」といったニュアンスが含まれており、「お伺いを立てる」とは目上の人(上司や取引先、顧客など)に、物事を進めることへの許可をもらいたい時や指示を仰ぐ時に使用する文句ということになります。

「お伺いを立てる」の使い方

では実際に「お伺いを立てる」というセリフはどのようなシーンで登場するのでしょうか。

【例】
・「○○の案件について、先方にお伺いを立てておいてください。」
社外の取引先などに案件についての承認、許可を得ること
・「○○についてはA社にお伺いを立てています。」
社外の取引先などに案件についての協力を依頼する
・「その件に関しては事前に部長にお伺いを立ててください。」
社内の目上の人間に対し、了承や許可を求めることの意
・「休暇の取得についてお伺い立てさせていただきます。」
同上。

申請書の意味で「休暇伺い」や「予算執行伺い」という社内書式がある会社もあると思われますが、この場合休暇や予算執行は申請するものではなく許可してもらうもの、つまり「お伺いを立てる」という考え方に基づいています。

メールでお伺いを立てるときの書き方

メールでお伺いを立てる、つまりメールで何かの承認をもらえるよう連絡をする、という意味になります。どちらかと言えば相手よりもこちらの立場が弱く、お願いするといった意味合いが強くなりますのでメールもそのような点に注意をする必要があります。

取引先など目上の相手に対してのお伺いメール

お伺いを立てるメールは目上の人や取引先、顧客に対して送ることが多く、失礼があっては伺いを却下されてたり契約を断られてしまいます。

・先日ご提案いたしました○○の件、ご検討いただけましたでしょうか。
・○○につきまして、ご承諾いただけますようお願い申し上げます。
・「誠に勝手ながら」「○○のところ恐縮ですが」などを活用する。
・(結びに)ご理解とご協力のほどよろしくお願いいたします。

などを活用し、相手に不快感を抱かせず許可や承認をもらえるよう細心の注意をはらう必要があります。

立場が下の相手であっても「伺いを立てる」気持ちを忘れずに

例えば、すでに決まっているプロジェクトの一部を変更したい旨の連絡をするときなどは、こちらの無理を聞いていただくわけですからたとえ自分がクライアント側の人間であっても「お伺いを立てる」ニュアンスを含ませたほうが良いでしょう。

・急がせて申し訳ありませんが、〇月〇日までに納品いただきますようお願いいたします
・○○の件、商品AからBへ変更することは可能でしょうか
・こちらの都合で申し訳ありませんが、ご協力いただければ幸いです

相手が断ることができない立場であったとしても、今後の関係ないし仕事の進捗に影響してきます。上記のような表現を上手に活用して、良好な関係をキープすることが自分のためになるでしょう。

お伺いを立てる時の注意点

メールでなにかを依頼するは、相手に失礼の内容に十分に配慮しなくてはなりません。例えば、お伺いを立てておきながら返信期限までに十分な時間がない、これでは相手から良い返事をもらうことは難しいでしょう。メールでのお伺いの時には、以下の事に注意してみましょう。

・返信期限は余裕をもった日数を設定する
・連絡先、返信先を明記しておく(送信者と同じ場合でも)
・(良い)返事が欲しい、ということをやんわりと伝えること

「お伺いを立てる」という言葉はへりくだりながらも、OKが欲しいという明確な意思を持った言葉ですので遠慮は必要ありません。お伺いとは言ってもそこはビジネスですから、自分の主張は必ず簡潔に相手に伝えましょう。

「お伺いを立てる」の類語・同義語

類語

お伺いを立てるの類語として紹介されているのは「尋ねる」や「聞く」などシンプルにその行動だけを表したものがほとんどです。たしかに、結果だけを見れば尋ねたり聞いたりしているので間違いはありませんが、ここまで紹介してまいりました「お伺いを立てる」のニュアンスが果たして表現できているのでしょうか。

伺いを立・てる① 神仏の教えを仰ぐ。 ② 目下の者が目上の者の意見や指図を求める。 「上司に-・てる」 » 類語の一覧を見る尋ねる  訊ねる  聞く  問う  伺う

https://www.weblio.jp/content/%E4%BC%BA%E3%81%84%E3%82%92…

言い換え表現

「お伺いを立てる」には単に聞く・尋ねるといった意味ではなく、下の立場から承認や許可をお願いする、といったニュアンスが含まれていることをご説明してまいりました。それではこの「お伺いを立てる」をほかに言い換える時、どのような言葉が適切なのでしょうか。

・ご了承をいただく
・ご承諾を得る
・○○の件を確認する

などの言い回しが近いと思われます。相手やシチュエーションに合わせて使い分けをできるようにしておくと良いでしょう。

「お伺いをたてる」の敬語・反対語

敬語

「お伺いを立てる」は謙譲語と同様自分を下げることで相手を持ち上げる形式の言葉です。お伺いを立てる相手にとっては間違いのない敬語ではありますが、例えば先輩に対して「○○の件、部長にお伺い立てておいていただけますでしょうか」というのは疑問の残る表現になります。いただけますでしょうか、とへりくだったつもりでもまず先輩をに対して下げるような表現を使用しているため印象が良くありません。

この場合「○○の件、部長にご確認いただけますでしょうか」といったシンプルな言い回しの方が好感触です。「お伺いを立てる」自体を尊敬語にすることは困難ですので、ほかの言葉に言い換えてうまく伝えましょう。

反対語

「お伺いを立てる」には承認を得たい、許可がもらいたいという気持ちが含まれていますので、基本的には反対語を用いる意味がありません。強いていうのであれば「お伺いを立てない」「承認を得ない」ということになり、それはつまり「勝手にやる」という意味合いになります。「お伺いを立てなかった」ということを表すのであれば

・こちらの判断ですすめさせていただきました
・わたくしの独断で決定いたしました

などとなるかと思われますが、あまり使うタイミングがなさそうな印象です。念のため、押さえておきましょう。

「お伺いを立てる」を使いこなしてデキる印象に

なかなか聞きづらい「お伺いを立てる」という言葉について解説してまいりました。なんとなくわかっているつもりの言葉でも、実際に言われたり、使うことになってから焦らないように一つ一つ正しい意味を知っていけると良いでしょう。

あまり学生や若手が積極的に使わないからこそこういったビジネス用の敬語を使うことで一目置いてもらえることもあります。「お伺いを立てる」をスマートに使いこなして、「デキる社員」を印象づけましょう。

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