年金手帳は20歳で取得
日本に住む20歳から60歳のすべての人は国民年金に加入をしなければいけません。加入した人には年金手帳が発行されます。
通常20歳になる誕生日の月かその前月になると、年金事務所から「国民年金被保険者資格資格取得届書」という書類が送られてきます。この書類に必要事項を記入し、年金事務所に提出すると年金手帳が後日届く仕組みになっています。
この年金手帳を持ってないと、将来年金を受給する際に手続きが難航する可能性も出てきます。大切に保管しましょう。
基礎年金番号は一生変わらない?
基礎年金番号は1人に1つずつ与えられる10桁の番号のことです。国民年金でも厚生年金でも共通して使われます。20歳以上で日本に住んでいる人に、基礎年金番号を持ってない人はいません。たとえ国民年金から就職により厚生年金に入り変わったとしても、この番号は変わることはありません。
以前は加入する年金制度によって異なった番号が与えられていました。転職や結婚の度に年金番号が変更され、1人でいくつもの年金番号を保持することになります。事務処理が複雑化してミスが増えることが懸念されたため、平成9年1月から基礎年金番号制度が導入されました。
現在は国民年金でも厚生年金でも同じ番号で統一されているので、年金の種類が変わっても、基礎年金番号が変わることはありません。以前共済組合員である公務員には、独自の7~12桁の番号が付与されていましたが、今では公務員も統一されて10桁の基礎年金番号を持っています。
基礎年金番号が2つ以上ある場合
まれに「基礎年金番号が2つある」といった事態が起こります。一人一つに統一されているはずなのになぜこのようなことが起こるのでしょうか。これには2つの原因が存在します。
一つは勤務先で基礎年金番号の提出を求められた際、基礎年金番号が既に与えられているにも関わらず「基礎年金番号は持ってない」と伝えてしまった場合です。この場合もちろん年金事務所でも本当に年金番号を持ってない人なのか確認をしますが、年金機構で管理している情報と提出された書類の内容が一致しないと、別の人と判断されてしまいます。その結果、新しい基礎年金番号が発行されてしまいます。
もう一つの原因が、基礎年金番号制度が導入されたときに、二重で基礎年金番号が発行されてしまった場合です。年金機構は企業や共済組合から提供された情報に基づき、番号を統一する作業を行っていました。提供された記録や情報では同一人物かどうかの判断ができず、違う人物と認識されたことで複数の番号が発行されたケースです。
もし基礎年金番号が2つ以上あると気づいたら、速やかに近くの年金事務所で番号を一つにしてもらう手続きをしましょう。
入社時には年金手帳の提出が必要
会社に就職、転職したときは新しい会社から年金手帳の提出を求められた記憶が残っている人もいるのではないでしょうか。会社に勤める場合は一定の要件を満たすと、その会社で厚生年金に加入します。会社は社員の年金手帳で基礎年金番号を確認し、厚生年金保険料の支払い手続きをするために年金手帳が必要になります。
年金手帳を持ってないのはなぜ?
日常で年金手帳が必要になる機会は少ないので、持ってるか持ってないか意識せずに過ごしている方は多いでしょう。会社から提出を求められてから「そういえば年金手帳を持ってない」と焦っていませんか。いくつか年金手帳を持ってない理由をを見てみましょう。
持ってない理由①国民年金加入手続きを怠った場合
20歳になったときに年金事務所から「国民年金被保険者資格取得届書」という書類が送られてきます。この書類は必要事項を記入し、年金事務所に提出しなければいけません。この書類提出せず、まだ厚生年金にも加入したことがない場合は「年金手帳を持ってない」状態になります。
もし資格取得届書を返送しなかったことが原因で年金手帳を持ってないのであれば、速やかに住んでいる市区町村役場の窓口か、就職しているのであれば勤務先の所在地を管轄してい年金事務所へ行きましょう。年金手帳を持ってないと伝えて再交付手続きすれば、年金手帳を発行してもらえます。
持ってない理由②実家にある
年金手帳は、20歳になるときに年金機構が管理している住所に送られてきます。もし住民票を異動の手続きをせず、住所が実家のままである場合は実家に年金手帳が届いている可能性が高いです。一度実家にないか確認してみましょう。
持ってない理由③親が持っている
20歳になると国民年金に加入し手帳を受け取ります。しかし20歳といえば、まだ学生だった方もいるでしょう。学生の間は本人の代わりに親が国民年金加入の手続きをして、国民年金保険料を納めてくれるケースが多いです。それと同時に親が年金手帳を保管している可能性が高いでしょう。自分で見たことがないため「年金手帳を持ってない」と勘違いしてしまうことがあります。
親に保管していないか確認してみましょう。親が持っているのは確かだけど、保管場所を忘れてしまった場合は一緒に探してもらいましょう。「親も持ってない」「紛失してしまった」という方は②以降の理由も確認してみましょう。
持ってない理由④自分以外が持っている
自分も親も持ってない場合に考えられるのが、それ以外の人が管理しているケースです。「大事な個人情報が知らない間に他人の手に渡っているなんて」と驚くでしょうが、心配しないで下さい。
実は20歳に到達する前から就職している人に多いパターンです。通常20歳から取得する年金手帳ですが、20歳未満でも就職して会社で厚生年金に加入する場合は年金手帳が発行されます。会社から本人に年金手帳が渡されることが多いですが、中にはそのまま会社で管理していることがあります。退職するまで一度も自分の年金手帳を見たことがない人もいるのはこのためです。一度会社の社会保険担当に確認することをおすすめします。
転職した経験がある人は、現在勤めている会社以外に以前勤めていた会社が持っている可能性があります。通常なら会社が年金手帳を預かっている場合は、本人の退職後に返却されます。自分も現在の勤務先も年金手帳を持ってない場合は、以前勤めていた会社にも確認してみましょう。
会社に年金手帳を預けている人は、後々になって「年金手帳を持ってない」と慌てないよう、退職する際に必ず返却してもらいましょう。
持ってない理由⑤公務員
あまり知られていませんが、年金手帳を持ってない理由の一つに「公務員だから」ということが考えられます。20歳に達する前に公務員になった人は、公務員を退職していない限り年金手帳を持ってないのが普通です。共済組合に加入している公務員には年金手帳が発行されないからです。
年金手帳を持ってない代わりに基礎年金番号通知書があるはずです。この基礎年金番号通知書で年金手続きができます。基礎年金番号通知書も持ってない場合は、年金事務所に確認してみましょう。
以前公務員は共済年金に加入していました。その後、平成27年10月に被用者年金制度の一元化により、公務員も厚生年金に加入することになりました。では年金制度の一元化以降も公務員が年金手帳持ってないのはなぜでしょうか。
公務員は共済組合を通して厚生年金に加入しています。共済組合員には年金手帳は発行されません。少し複雑になりますが、共済年金と共済組合を切り離して考えてみましょう。共済年金は廃止され厚生年金に加入しています。しかし共済組合は一元化後も存在していて、組合が引き続き年金記録の管理や保険料の徴収をしていると考えると分かり易いでしょう。
持ってない理由⑥置き場所を忘れた
自分でしまった記憶があのに持ってない場合は、置き場所を忘れてしまった可能性が高いでしょう。まずは自分の記憶をたどり、しまっていそうな場所を隅々まで確認しましょう。どうしても出てこない場合は速やかに年金手帳の再発行をしてもらいましょう。
年金を納付してなくても年金手帳は発行される?
「保険料を納付していないから、年金手帳は持ってないのは当然」と考える方もいます。学生の間は収入がないため保険料の免除を行っていた、などの理由で保険料を納めていない場合、年金手帳は発行されるのでしょうか。
実は保険料納付の有無を問わず、年金手帳は20歳の誕生日を迎える月までには発行されて、年金機構で管理されている住所に届いているはずです。就職前の20歳以上の学生さんで「年金手帳を持ってない」という方はもう一度探してみましょう。
年金手帳再発行の手続きはどこでできるの?
加入している年金の種類で手続きする場所が違う
年金には3種類あります。違いを簡単に確認しましょう。
国民年金第1号被保険者
自営業や農業、学生・フリーターなど厚生年金に加入していない人は国民年金第1号被保険者です。自分で国民年金保険料を納付します。
国民年金第2号被保険者
会社員や公務員は厚生年金に加入している人は、自動的に厚生年金と同時に国民年金にも加入しています。この場合は国民年金第2号被保険者に分類されます。保険料は会社が半分負担してくれます。
国民年金第3号被保険者
会社員や公務員、つまり国民年金第2被保険者の配偶者は国民年金第3号被保険者です。厚生年金に加入していない年収130万円未満の主婦・主夫は第3号被保険者になることができ、年金保険料の負担はありません。
市役所や区役所の国民年金担当窓口
国民年金に加入しているときは、住んでいる地域の市区町村役場に行きましょう。国民年金を担当している窓口で手続きができます。
年金事務所
厚生年金に加入している人は、勤務している会社の所在地を管轄する年金事務所で手続きができます。厚生年金課窓口で「年金手帳を持ってない、紛失したため再交付手続きをしたい」と伝えましょう。
勤めている会社を通して手続きできる可能性もある
会社によっては従業員が年金手帳を持ってない、または紛失したとの申し出により、代わりに再発行手続きをしてくれる場合があります。入社手続きの際どうしても年金手帳が見つからず、会社が指定した提出期限に間に合わないようなときは、まずは素直に事情を話してみるのも良いでしょう。
20歳に満たない場合は年金手帳を持ってないのは普通と考えられるので安心してください。しかし20歳に到達しているけど年金手帳を持ってない場合は、会社に伝えるのは抵抗がある方もいるでしょう。入社する会社に「年金手帳も年金通知書も持ってない」というと印象が悪くなるのではないかと不安な場合は、身分証を持って自分で会社の所在地を管轄する年金事務所で手続きをすると良いでしょう。
配偶者の扶養に入っている場合はどうするの?
会社員や公務員の配偶者の扶養に入っている場合は、国民年金第3号被保険者として年金に加入しています。加入は配偶者が勤めている会社を通して手続きされています。再発行をする際は、配偶者が勤めている会社の所在地を管轄する年金事務所へ行きましょう。
年金手帳の再発行に必要な書類
身分証明書
基本的に写真付の身分証明書が必要です。身分証を持ってないと手続きができません。運転免許証・写真付きの住民基本台帳カード・有効期限内のパスポート・在留カードであれば1つで確認が可能です。
これらの証明書を持ってない場合は、2つ以上の書類を組み合わせることで身分証明書として認められることがあります。念のため窓口に行く前に電話で確認することをおすすめします。
印鑑
交付申請者が自ら署名する場合は印鑑は不要です。しかし基礎年金番号がわからず、調べてもらう必要がある場合には印鑑が必要になります。印鑑を持ってないと確認してもらえません。その他、再交付申請書類に代理人が記入する場合も印鑑が必要です。シャチハタ以外の三文判や認め印を準備しましょう。
基礎年金番号がわかるもの
もし基礎年金番号がわかるものがあれば、持参するとスムーズに手続できます。年金定期便や、国民年金保険料納付書で確認ができます。年金事務所や市区町村役場の窓口でも基礎年金番号の確認は可能なので、これらの書類を持ってない場合も再交付の手続はできます。
年金手帳再発効交付申請書
市区町村役場や年金事務所にも置いてありますが、年金機構のHPからダウンロードも可能です。必要事項を記入してから各手続場所に行くと、スムーズに手続きができるでしょう。
申請書に基礎年金番号の記入欄があります。年金手帳以外にも「ねんきん定期便」という年金機構から定期的に送られてくるはがき、または国民年金の場合は保険料納付書にも記載されているので確認して記入しましょう。年金定期便も納付書も持ってない場合は、市区町村役場の窓口や年金事務所で調べることも可能です。
再交付申請書の記入の仕方
窓口や会社でも再交付申請書の記入方法は教えてもらえるでしょうが、HPでダウンロードして事前に記入して行きたいという方や郵送で手続をする方は、こちらをご覧ください。①~④ア~カの記号は、書類に対応しています。
①基礎年金番号は、年金手帳や年金通知書の他に、年金定期便や納付書にも記載されています。番号がわかる場合は記入しましょう。基礎年金番号は窓口で調べてもらうことが可能ですが、その際印鑑を持ってないと対応してもらえません。シャチハタ以外の印鑑を忘れずに持っていきましょう。
②に生年月日③の事由は「紛失」に〇を付けます。④は記入しません。ア.に氏名、イ.の性別に〇を付けます。ウ.に被保険者本人の住所を記入しましょう。ここまでは、国民年金第1~3号被保険者全ての人が記入うる箇所です。国民年金1・3号被保険者の加入期間のみの人は、この後カ.の制度名称1.国民年金に〇を付けて、年金に加入した年月日・喪失年月日を記入します。
厚生年金加入者、または厚生年金に加入していた人はエとオの項目も記入します。エ.には最初に厚生年金に加入したときの勤務先を記入します。転職した経験がある人は、現在の勤務先を記入しないように注意しましょう。オ.には現在の勤務先、もしくは最後に厚生年金に加入していた勤務先をを記入します。カ.の制度名称には2.の厚生年金保険に〇を付けて提出します。
派遣として働いている場合の記入方法
基本的には上記の記入方法と同じです。エとオの勤務先情報は派遣先ではなく派遣元(派遣登録をした派遣会社)の情報を記入しましょう。派遣社員と雇用契約を直接結んでいるのは、派遣会社だからです。
年金事務所や市役所に行く時間がないときの手段
郵送の場合は、年金事務所のHPか市区町村のHPから年金手帳再交付申請書をダウンロードし、必要事項を記入します。本人確認書類の写しを同封して、国民年金保険に加入している人は住んでいる市区町村役場の国民年金担当窓口に送りましょう。厚生年金保険に加入している場合は、会社の所在地を管轄する年金事務所に送ります。
電子申請による方法もありますが、利用環境の確認や専用プログラムのインストール、電子証明書の取得など、年金手帳再交付申請画面に入力するまでの準備が多いのであまりおすすめできません。
再発効された年金手帳はいつもらえるの?
市区町村窓口で申請手続後、通常2~4週間程度で年金事務所が管理している住所に届きます。届くまでの期間は、住んでいる地域の市区町村役場によって多少差があります。年金事務所で申請手続きをした場合は1~2週間前後で届きます。会社を通して再交付申請をした場合は、年金事務所から会社宛に届きますので、約2~4週間後に手元に届くでしょう。
郵送の場合は、さらに送付・返送の日数が必要になります。年末年始と、入社や退職する人が増える時期は、どの手段でも通常より発行に時間がかかる可能性があります。
即時年金手帳を受け取ることも可能
すぐにでも必要なときは即時交付してもらうことも可能です。ただし申請書に本人が申請書に記入し、本人確認ができる身分証明証を年金事務所の窓口に持参した場合に限ります。
即時年金手帳を受け取りたいときは、国民年金に加入している人も年金事務所で手続きしましょう。
代理人による申請はできる?
代理人による申請も可能です。ただし、代理人になれる人は下記の人に限られています。
・社会保険労務士
・法定代理人
・事業主、または事業主の代理の事務員
・家族
この場合は本人の自筆・押印がある委任状と代理人の身分証明書、本人の印鑑が必要になります。委任状を持ってない場合は対応してもらえません。法定代理人の場合は、法定代理人であることが確認できる書類も必要です。家族が代理人になる申請は即時交付はできません。
年金手帳を持ってない場合も落ち着いて対処しよう
年金手帳を持ってない理由を見てほっとした方、やっぱり持ってないので紛失してしまったと気づいた方、それぞれいらっしゃるでしょう。紛失してしまった方はこちらの記事を参考に、速やかに年金手帳の再交付手続きをしましょう。
まだ年金受給していない人は、年金手帳に対して大切な書類といった意識を持ってないまま過ごしているのではないでしょうか。しかし年金受給の際には絶対必要になってくるのが年金手帳および基礎年金番号通知書です。再交付を無料で受けられるからと言ってぞんざいに扱うのは好ましくありません。
多くの人の将来老後の生活の主な収入源となるのは、年金です。年金受給手続きをスムーズに済ませられるよう、今のうちから年金手帳を大切に保管するよう努めましょう。