「恐れ入ります」の意味や使い方・例文|接客/感謝/メール/電話

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「恐れ入ります」の意味や使い方

「恐れ入ります」は目上の人に対して、何かしら依頼をしたい時に主に枕詞として用いられる言葉です。「目上の人に対して、恐れ多いことですが、お願いします」の、端的な言い表しとも言えるでしょう。

また、相手からしていただいたことに対する、感謝の言葉としても用いられる事例もあります。どちらも「貴方には敵いません」という気持ちが根底にこめられています。つまり、同じ言葉でありながら、謝罪と感謝のシーンの両方で使われると言えるでしょう。恐れ入りますを正しく使い分けることで、今後のあらゆる場面においてとても役にたちます。

「恐れ入ります」の類語

恐れ入りますには、いくつかの類後があります。TPOに合わせて使い分けると、より好印象が増しすでしょう。

「申し訳ありませんが」
こちらに非があり、先方に迷惑をかけてしまう場合に用います。一方で、恐れ入りますの場合はこちらに非はなくとも、先方に依頼をする際に用います。

「僭越ながら」
目上の人の立場を超えて、出すぎた振る舞いをする際に用いましょう。例:「僭越ながら、申し上げます」「僭越ですが、ここで一曲歌わせて頂きます」

「お手数をおかけしますが」
ほぼ恐れ入りますと同義ではありますが、主に相手に何かしらの行動を要してしまう際に使われます。

「何卒、お聞き届けください」
恐れ入りますは大和言葉ではこのように言い換えることが可能です。どうしてもお耳に入れたい要件がある際に用いられます。

こうした言い回しを覚え、使い分けることでより社会人敬語の上達に繋がることになります。

「恐れ入ります」を使った例文

恐れ入りますには、謝罪と感謝の意味と両面で使い分けることが可能です。主にビジネスや、接客といった社会人敬語としての用途で、最も多く用いられます。

それ以外にも、電話応対時や手紙やメールなど、ツールによって言い回しや意味が変わる場合もあります。こうした場面やツールにおける、「恐れ入ります」をいかにして使い分けるかを、ここではご紹介しましょう。

接客

飲食店などで、店員さんから遠い位置にあるグラスやお料理を受け渡す際「すみません、恐れ入ります」と言われる場面がよく見受けられます。

また、オーダーテイクの際「早速で恐れ入りますが、お飲み物のご注文はいかがなさいますか?」と訊かれることもよくあります。あるいは、「恐れ入りますが、次のお客様のご予約がございますので、お席移動の準備をお願いします」といった、「お手数をおかけします」の意味でも用いられることもあるでしょう。

このように接客においては、感謝・確認・謝罪の意味で変わってきます。場面において、注意して使い分けましょう。

感謝

一般的に感謝の意味での「恐れ入ります」は、「この度はありがたいご教示を賜り、誠に恐れ入ります」などの言い回しになります。

また「先ほどの筆さばきには、たいそう恐れ入りました」といった相手の所作にいたく感心させられたという感謝の意味を表す場合もあるでしょう。反対に相手から褒められた際にも「とんでもございません、こちらこそ恐れ入ります」という謙遜の意味もあります。

地方から上京された相手に対しては、「この度は、遠方からはるばるお越しいただき誠に恐れ入ります」となります。感謝に感心・謙遜も含まれます。

メール

ビジネスメールにおいては、主に相手に何らかの取り計らいや確認を促すという意味で「恐れ入ります」という言葉を用いることがあります。

例として「お忙しいところ、恐れ入りますが何卒○○の件、今後ともよろしくお願い申し上げます」が、取り計らいにあたります。

そして「下記の点に関しまして、恐れ入りますが何卒ご確認のほどよろしくお願いします」が確認です。

また手書きによる挨拶状などにおいては「この度は大変な心遣いをしていただき、恐悦至極に存じます」といった丁寧な言い回しも心得ておくと良いでしょう。

電話

電話応対では、主に相手の名前や電話番号といった個人情報を伺いたいときに、用いられることが一般的です。例として「〜ますが、お名前とご連絡さきをお伺いしても宜しいでしょうか」があります。

また、電話という環境もございますので、声が小さくてうまく聴き取れなかったり、相手の周囲が雑音にまみれている際にも用いられます。例として「〜ますが、お声が遠いようですのでもう少し大きな声でお話し頂けますでしょうか?」が挙げられるでしょう。

新規の電話応対においては「〜ますが、どのようなご用件でしょうか」が望ましいでしょう。

「恐れ入ります」との微妙な意味の違い

日本語が世界で有数難しい言語と言われているように、同じような意味でも微妙にニュアンスが異なることがあり、使いこなすのは容易ではありません。知ったか敬語で恥をかかないよう、どこが正しくてどこがNGなのか意味をここできちんと学んでいきましょう。

表題の言葉と「恐縮です」「すみません」「ありがとうございます」は、同じような意味を持ちますが、微妙にニュアンスが異なったりします。これらは時と場合により、使い分けを要します。そういった意味を理解し、発信していくことで今後の円滑なビジネスや人間関係にも応用ができるようになるでしょう。

恐縮ですは、ほぼ同じ意味

恐縮とは、「身も縮まるほど、恐れ入ること」という意味です。恐れ入るという言葉を、まるごと内包した上で、さらに身も縮まるほどという、よりへりくだった意味として用いられます。

どちらかというと無骨な男性が使うと渋い印象のあるフレーズであり、恐れ入るという言い回しの方がやや女性的なイメージがあるでしょう。主に「手前味噌で恐縮ではありますが」や「手紙にて恐縮ですが、ご祝辞を述べさせて戴きます」といった、短いクッション言葉に言い換えたことで文に締まりを出させるという意味があります。

すみません

「すみません」とは「済みません」と書き、主に相手に謝罪するときに一般的に使われる言葉となります。相手に対し、こちらが「済んでいない」ことを詫びるとき、相手のしてくれた労に対し「こちらが済まない」ほどの感謝の意味を表す際に用いられます。

「恐れ入る」と「すみません」を使いわけるには、こちらに非があるかないかで使い分けましょう。こちらから特に相手に迷惑をかけないようなときは前者で、こちらから相手に何かしらのご迷惑をかけてしまう際は後者となります。

ありがとうございますの本当の意味と違い

「ありがとうございます」は「有難うございます」と書き、その意味は「あり難い」つまり「そうあることが難しい」という意味です。他人から何かしらしていただいた時に、感謝の意味をこめて使われます。こちらは恐れ入るとほぼ同じですが、使う相手の立場などによって使い分けると良いでしょう。より親しい間柄の人には「ありがとうございます」、より目上の上司やお客様といった社会人敬語が求められる場面では「恐縮・恐れ入る」と使い分けられます。

女性ならば何か褒められた際「滅相もございません」などの言い回しだと良いでしょう。

クッション敬語を覚えることで得すること

一口に「恐れ入ります」といっても、実に色々な類義語や意味合いがあり、本当に日本語の奥深さ・面白さを感じさせられます。こうした言葉をより使っていくことで「この人はとても言葉遣いが綺麗だな」「とても教養のある方なんだな」と、印象付けることが可能になります。

こうしたクッション敬語は他にも「あいにくですが」「折角ではございますが」など、他にも多々ありますので、この機会にいろいろと勉強なさるのもよいでしょう。こうした言葉は言われる方も、とても気分の良いものとなります。

それでは、ここまで本記事に目を通して戴き、誠に恐れ入ります。

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