仮通夜でのマナーや作法|お布施/食事/線香・失礼のない服装

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仮通夜で失敗しないマナーや作法

一般的に通夜とは、亡くなった翌晩に行われる「本通夜」を指して言いますが、家族・親族のみで亡くなった当日に行われることを「仮通夜」と言います。しかし、近年では病院で亡くなってそのまま霊安室に移動し安置されるケースが多く「仮通夜」を行うこと自体減少している傾向にあります。

お布施とは

お布施とは、枕経・通夜読経・本葬読経・火葬読経・還骨法要(火葬した遺骨を持ち帰って行うお勤め)・初七日法要の計6回でお礼として僧侶にわたすお金のことで、「仮通夜」のみで支払う必要はありません。

お経をあげてもらうだけの金額の目安としては、15万・20万~が相場ですが、それと一緒に戒名料も包むとなるとプラス数万円~100万円と大きく金額に幅が出てきます。戒名(仏の弟子になったことを表す名前)は「宗派」や「ランク(院号・院殿号など)」によっても金額に差が出ます。

本来、お布施とは金額が定められていないために、僧侶に聞いても「お気持ちで」と言われることも多くあり、どうしたらいいのか分からなくて困った場合、お寺との関係・寺院の格・地域などによっても異なるので、お寺に直接尋ねても失礼にはなりません。

仮通夜での香典

「仮通夜」には親族が多く集まり、場合によって香典の受け渡しを行います。香典の金額は故人との関係性や自身の年齢によっても違いがあります。

【祖父母】
・自身が20代の場合は1万円~
・自身が30代以降の場合3万円~

【両親】
・自身が20~30代の場合5万円
・自身が40代以降の場合10万円

【兄弟姉妹】
・自身が20~30代の場合3万~5万円
・自身が40代以降の場合5万円~

以上は目安の金額で、祖父母の場合は地域や関係性で変わります。表書きは、まだ四十九日(人の死後四十九目に行う法要)を終えていないため、「御霊前」とします。ただし、浄土真宗の場合は「御霊前」は使用できないので「御仏前」とします。

仮通夜の食事マナー

通夜の後に、喪主や遺族が弔問客を軽い食事や飲み物でもてなし、故人の思い出を語る場のことを「通夜振る舞い」といいます。「通夜振る舞い」は本通夜で行われるため仮通夜では行われないのが一般的です。

弔問客のマナー

テーブルマナーのようなものがあるわけではないのですが、守らなくてはならない注意点がいくつかあります。

・大きな声で笑ったり、話したりしないようにしましょう。
・故人と関係のない話題はさけましょう。
・遺族は通夜振る舞いの間も忙しいので、話し込んだり通路をふさぐなど動きの邪魔をしないよう気をつけましょう。
・参加するのが基本ですが、辞退する場合にはやむを得ない事情があることを伝えましょう。
・故人のことを褒める会話は供養になります。

「仮通夜」は家族・親族のみで行われることが基本ですが、もし友人・知人などの一般の人が弔問に伺った場合には、お悔やみの言葉を述べるだけにして短時間で失礼するようにします。厳粛な儀式の場ですからマナーには気をつけましょう。

仮通夜の線香

線香は本来、香りと煙でその場を清めるものですが、「仮通夜」の場合はべつの意味もあります。

・線香の煙は「仏の住まわれる世界へとつながり、仏の声を聴くことができる」とされています。
・線香の灯りは「霊の道しるべ」であるため、亡くなった人の霊が迷うことなく仏のもとへ行くことができるように一本のみとされています。
・亡くなった人の霊の「唯一の食べ物」が線香の香りである、とされています。
・故人に安らかに眠ってほしい、という遺族の想いを線香に託します。

以上のことから、線香は絶やすことなく焚き続けなければなりません。

仮通夜での挨拶のマナー

通夜や葬儀などの厳粛な場所での挨拶は、どのようにすればいいのか迷うことが多くあります。その中でも、使ってはいけない「忌み言葉」について説明しましょう。

忌み言葉

不幸が重なったり繰り返すことを連想する、または「死」に関係する直接的な言葉など、使わないよう配慮しなくてはいけないことです。

【重ね言葉】
・重々
・いよいよ
・たびたび

【繰り返しを連想させる】
・再び
・続く
・また

そのほか、亡くなった原因を聞いたり、縁起の悪い数字(四・九)などを使った言葉などは禁句です。

ご高齢で亡くなった場合に、つい大往生や長寿を称える言葉を使ってしまいがちですが、遺族にとっては寂しいことに変わりはなく「仮通夜」の段階ではまだ故人の死を受け入れられない状況なので、ふさわしい言葉ではありません。

仮通夜の時間の意味

葬儀を行う前に「本通夜」が行われますが、何らかの事情により「本通夜」の前日の夜に「仮通夜」を行う場合があり、「仮通夜」には二つの意味があります。

・亡くなった人の遺体に邪霊が寄り付かないよう、近親者で見守ります。
・お通夜や葬儀などであわただしくなる前に、親族や親しい人のみで故人を偲び、静かにゆっくりとした時間を過ごします。

身内を亡くした悲しみに浸っているときもなく、通夜・葬儀そのほかの手続きなど「死」には色々なことが伴い、忙しく時間は過ぎていきます。亡くなってから親族が落ち着き、日常の生活に戻るまでゆっくりとした時間を過ごせるのはわずかです。

最後にそばで故人を見守りながら、ゆっくりと思い出話を語ることのできる「仮通夜」は家族・親族にとってとても大切な時間です。

仮通夜でお供え物・手土産は必要?

仮通夜での手土産は基本的には不要ですが、故人への気持ちを伝えるためのお供え物は持参してもかまいません。果物・お菓子や花など、故人が生前好きだった物が分かっているのであれば持参するとよいでしょう。

故人の好きだったものなどが不明ならば「枕花」として、その場に相応しい花(例えば、カトレアや蘭など)を持参します。枕花は供花(葬儀会場に並べられる花)と違い、お通夜の際に故人の枕元に飾り、葬儀が終わった後も遺族が自宅に持ち帰り忌明けまで飾ります。

仮通夜でマナー違反にならない服装とは

「仮通夜」は近親者のみで行われることが多いため普段着でも問題はないのですが、派手なアクセサリー・色柄ものやカジュアル過ぎる洋服は場所柄ふさわしくないので注意が必要です。

・落ち着いた色合いの服装(黒・グレー・紺など)を着用します。
・動物の皮を使ったものは(殺生を連想するため)ふさわしくありません。
・故人が亡くなった直後に「仮通夜」は行われるので、死を待っていたかのような印象を与えてしまう喪服(礼服)は避けましょう。
・靴もエナメル(光沢があるため)は避けた方がよいでしょう。

服装には男性・女性・子供それぞれにも決まりごとがあります。

男性の服装

「仮通夜」は亡くなった直後に行われます。取り急ぎ駆けつけるため、地味な平服で大丈夫です。男性はスーツなどのきちんとした服装ではなく(かと言ってカジュアル過ぎない)地味な色合いの上下でOKです。喪服(礼服)を着用するのは、不幸を予期していたようで好ましくありません。ただし、ネクタイ(タイピンはいりません)や靴下などは黒にした方がよいでしょう。

女性の服装

女性も男性と同じように喪服(礼服)は避けて、地味な色合いのワンピース・有数ス+スカート(スラックス)という服装でかまいません。しかし、男性と比べて女性は注意すべき点が多くあります。

・はだの露出の少ないものを選ぶとよいでしょう。
・派手なアクセサリー(基本は結婚指輪のみ)・毛皮なども着用しないようにします。
・バッグや靴は、ゴールドの金具や明るい色の模様がついたものは避けた方がよいでしょう。
・化粧は明るい色のチークや口紅は使用せず、色味がない最低限のものにとどめましょう。
・髪を束ねる場合も、黒いゴムを選ぶとよいでしょう。

子供の服装

子供の「仮通夜」での服装は、小学生以下なら白いシャツに紺やグレーなど地味な色合いのものが無難でしょう。学生の場合は制服があれば着用し、なければ大人の男性・女性と同じように地味な平服でよいでしょう。

仮通夜と本通夜の違うところは

お通夜と一般的に呼ばれているのは、人が亡くなった翌晩に行われる「本通夜」のことをいい、亡くなった当日の夜に行われる通夜を「仮通夜」と言います。

仮通夜を行う理由

「仮通夜」を行うことが減少しているとはいえ、行わなくてはいけない場合があります。

・喪主となるべき家族・親族が遠方にいて、亡くなった日に「本通夜」を行えないため近くにいる親族が「仮通夜」を行います。
・葬儀・告別式の予定日が友引で火葬場が休みの場合、一日葬儀をずらすことになるため、前々日に「仮通夜」を行わなくてはなりません。

弔問客

「仮通夜」の弔問客は基本的には参列しません。親族が故人と最後に過ごす大切な一晩であり、通夜~初七日法要ほか諸々の雑事と忙しくなる前の穏やかに過ごすことができる少ない時間でもあります。しかし、近年では「仮通夜」が行われることが少なくなっています。

「本通夜」は葬儀・告別式の前夜に故人との別れを惜しむ儀式で、親族・親しい友人などのほかに葬儀にやむを得ず参加できない知人・関係者が参列します。通常は亡くなった翌晩に行われますが、葬儀・告別式が友引やさまざまな事情で日程がずれる場合は一日目を「仮通夜」二日目を「本通夜」とします。

通夜振る舞い

通夜振る舞いとは、通夜の参列の後に出される食事ですが「仮通夜」では、省略されることが少なくありません。

読経

僧侶による読経は翌日の「本通夜」のみで、「仮通夜」では行わない場合もあります。

仮通夜・葬儀でのマナーや作法は大切な人を送る心

「仮通夜・本通夜」ともに、故人との思い出を近親者と語らい別れを惜しむ儀式で、後に行われる「葬儀・告別式」は故人を葬りお別れをする場です。

マナーや作法は物事を行う際に決まったやり方・しきたりなどの事ですが、それを守らなくてはいけないことには意味があります。知っていれば「自分自身が恥をかかない」ということもありますが、一番大切なことは「周囲を不快にさせない」ことです。

仮通夜・本通夜や葬儀・告別式も、故人の家族・親族に間違ったマナーや作法で不快な気持ちにさせたり、身内を亡くし悲しみがまだ癒えていない時期に、失礼な言葉づかいでよけいに悲しみを深くさせたりしてはお通夜や葬儀・告別式に参列する意味がありません。

色々な事柄など知らないと困ることが多くある儀式ですが、大切なのは遺族とともに、故人の冥福を心から願うことです。マナーや作法を覚えて遺族の想いに寄り添いましょう。

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