インドの英語の特徴
インドで話されている英語には、他の国の英語にはない特徴が見受けられます。このことを事前に理解しておけば、インド英語でのコミュニケーションをスムーズに取りやすくなります。アクセント、語句、スペルなど、インド英語ならではの特徴をここで見てみましょう。
アクセント
英語を学ぶ上で避けて通ることができないのが、アクセントです。同じ単語でも、アクセントの位置が異なれば、相手に伝わるメッセージ内容も大きく異なります。意思疎通をスムーズにするためにも、インド英語のアクセントの特徴に関して、ここで学んでおきましょう。
インド英語では、一般的な抑揚が少ないです。私たちが英語を学ぶときにはアクセントを身につけますが、インド英語の場合、アクセントの高低がそこまで多く見られません。
これはインドの公用語として話されているヒンディー語の影響とも言われています。ヒンディー語は抑揚を頻繁に上げ下げしません。普段インドの人たちが使って言語のアクセントが大きくないので、彼らがいざ英語を話す際、抑揚を大げさにすることは難しいです。
独特の語句
インド英語を注意深く聴いてみると、独特の語句が使われていることに気づきます。普段私たちがあまり使わない表現も、インド英語にはたくさん存在します。
まずは数字に関する表現です。10万を表すLakh (ラク) と1000万を表すCrore (クロール)、どちらも初めて耳にする人も多いでしょう。もしfive Lakhと言われたら、それは50万という意味です。
次に、日常でよく使われる単語についてはどうでしょうか。英語にはshopという基本単語がありますが、これはインドではshoppeと記すのがポイントです。元々はイギリス植民地時代の英語に由来するのですが、インドの歴史を感じる点では実に面白いです。
スペル
発音も語彙も特徴的なインド英語ですが、実際にこの国で使われる英語のスペルを垣間見ても、独特の書き方があります。最初目にすると驚きますが、視野を広げる意味では知っておく方が良いです。
英語の日常会話の定型文でもあるWhat’s that?を例に取ってみましょう。インド英語では、whatのhaがoに変化してwotに、thatのthがdに変化してdatとなります。
ということは、What’s that?はWots dat?と表現します。なお、What’sのアポストロフィーは削除されるので、その点も注意が必要です。発音されると最初は聴き取れないですが、書いてみればシンプルに見えます。
インドで英語を話すときに注意することは?
インドで英語を話す際には、気をつけないといけない点があります。日本人には聞き慣れない英語でもあるため、最初は慣れないこともあるでしょう。
しかし、大切なポイントを心得ておけば、実際に話す際にも慌てる必要はありません。インド英語ならではの強い癖、堪能な相手への対応、相手の話し方への対応、この3点についてまずは押さえておきましょう。
インド英語ならではの強い癖
初めてインド英語を耳にする人からすれば、他の英語にはない強い癖を感じると言われています。いわゆるネイティブの英語に慣れていればいるほど、インド英語は難しいという印象を持たれるのはよくある話です。
確かにインド英語には、独特の癖があるのは間違いありません。しかし、よく観察してみれば、インド英語はスペルに従って発音されます。水曜日を意味するWednesdayは、「ウェドネスデイ」と発音する、そういう規則が存在します。
「アルファベットどおりに発音することで、インド英語でのコミュニケーションが取りやすくなる」とシンプルに考えてはいかがでしょうか。
インド英語が堪能な相手への対応
「自分の拙い英語で、インドの人たちに伝わるかどうか不安」そう感じるのも、決して無理はありません。実際にインドに足を運んでみれば、現地の方々はインド英語を堪能に操っていますから、なおさら不安も増大するのも理解できます。
しかし、相手がインド英語に長けているからといって、決して卑屈になる必要はありません。私たちはインド人と間違えられるぐらいに発音できるわけではなく、むしろ上手く対応すれば大丈夫です。
もしインド英語に不安があるようなら、I’m Japanese, so I’m not used to English in India so much. But I’ll try to do my best.(わたしは日本人です。インド英語にはあまり慣れていませんが、最善を尽くします。)などのように一言添えておけば良いでしょう。
相手の話し方への対応
インド英語への理解が深まると、相手の話し方にも対応しようと意欲が湧いてきます。同じ国の英語でも、話す相手が違えば、イントネーションやスピードも自ずと変わるのは当然です。
相手の話し方にうまく対応できればそれで良いですが、いつもそうとは限りません。こういうとき、話を遮ってしまうのは申し訳ないからと、そのまま相手の話を聞き流してしまう人もいます。これでは話がどんどん先に進みますし、結局は相手の話を理解しないで終わってしまいます。
もし話すスピードを落として欲しいなら、Could you speak more slowly, please?(ゆっくりお話していただけますか?)などと相手に依頼しましょう。相手もこちら側のペースに合わせて、ゆっくりと話してくれるはずです。
インド英語でコミュニケーションを取るときの心構え
せっかくインド英語についての知識を増やした以上、現地の方々とコミュニケーションを取ることをオススメします。ただ、インド英語でコミュニケーションともなれば、何かしらの不安を感じるのも無理はありません。
しかし、過剰な心配は不要です。むしろ「数多くある英語の一つ」だと考えてコミュニケーションを楽しめれば、インド英語の面白さに気づきます。
積極性を持とう
インド人とのコミュニケーションで必要不可欠なのが、積極性です。英語の勉強ばかりに気をとられているとなかなか気づかないものですが、決して外すことができません。
現地の人たちは、私たちに完璧な英語を操ってほしいと求めているでしょうか。もちろん、上達すればするほど嬉しいですが、インド英語に慣れない人が多いのが現状です。
大切なのは、「上手く発音しよう」と肩肘を張ることではなく、積極的に相手とコミュニケーションを取ろうとする姿勢です。自分の言いたいことをわかってもらうべく最善を尽くせば、相手との距離も自然と縮まります。
相手の話のポイントを理解しよう
コミュニケーションを円滑に取るためには、相手の話を完璧に理解できないといけないのでしょうか。もしそれだけの高いリスニング力を備えていれば素晴らしいですが、100パーセント正確に理解できる必要はありません。
大切なことは、「相手の話の内容の肝心な部分を端的に理解すること」です。つまり、「相手は何が言いたいのか」「相手の意図は何か」の理解に注力します。
もし話のポイントを理解できれば、相手も嬉しく感じるでしょう。同時にインド英語を通じたコミュニケーションが、さらに楽しくなります。
日本語のアクセントが入っていても大丈夫?
インド英語に限った話ではないですが、「日本語のアクセントが混じって大丈夫だろうか」と過剰に心配になる人も多いです。
どこの国の英語にも、それなりの特徴が存在します。インド英語でも私たち日本人が使う英語でも、母語の発音が少なからず影響します。これを今すぐ改善しろと言われたところで無理ですし、あまり細かい発音にこだわるばかりに、肝心のコミュニケーションが疎かになっては、それこそ本末転倒です。
日本語のアクセントが入っていても、それは全く問題ありません。お互いに歩み寄ってコミュニケーションを取るように努めれば、良好な人間関係を構築できます。
インド英語で新たな世界を広げよう!
今では英語は世界で広く使われている言語です。国ごとに色々な英語が話されていますが、中でもインド英語はとっつきにくいイメージを持たれています。普段あまり触れることのない言語ですし、敬遠するのも無理はありません。
しかし、インド英語の特徴をシンプルに捉えてはいかがでしょうか。小難しい複雑な文法は使われていないですし、日本の中学3年間で習う英語で十分対応できます。しかもネイティブのように英語を使うこなすことは、私たちには求められていません。
これを機に、インド英語への理解を深めてはいかがでしょうか。きっと今までは見えなかった景色が見えてくるでしょう。