納骨にかかる費用の相場|お布施/石材店/塔婆・納骨の時期・注意点

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納骨にかかる費用の相場

葬儀を終えた後、もしくは葬儀の準備と共に、すぐに考えなくてはならないのが納骨です。一般的に葬儀が行われた後、亡骸は火葬されます。このことを仏教では荼毘にふすといいます。その後遺骨を骨壺に納め、一旦自宅に持ち帰るかお寺で預かっていただいて、供養が行われます。

仏教では亡くなってから49日までは7日ごとに裁きが行われ、極楽浄土にいけるかどうかの審判を待たなければなりません。49日で最後の裁きが下された後、故人がこの世から旅立つと考えるため、お墓に遺骨を納める納骨も、四十九日を過ぎてからとなります。

ただしこれはあくまでも仏式の場合であり、宗教や宗派、また地域によって違いがあります。火葬してすぐ納骨をする場合もあり、納骨をどうするか、また費用がどれぐらいかかるかまたどのように工面するかについては事前に取り決めをしておく必要があります。

お布施

納骨式では、僧侶など宗教の方をお呼びして読経を上げてもらうことになります。仏式や神式などでは忌明けとなる四十九日の法要と同時に納骨式を行いますので、お布施は法要の時の分と、さらに納骨式の時の分と合わせてお渡しします。

法要の際のお布施と、納骨式の際のお布施の相場は、それぞれ3万円から5万円となっています。また法要を自宅や式場で行い、僧侶の方に来ていただく場合は、お布施とは別にお車代を用意しておきましょう。

ただし決まった菩提寺がない場合は、葬儀会社から紹介されることもあります。お布施については地域によっても違いがありますので、判断ができない場合は葬儀会社に相場を事前に確認しておくといいでしょう。

墓石・石材店

納骨の際、すでにお墓がある場合には納骨室を開けてそこに骨壺を納めるだけですので、参列した人たちだけでもできる作業です。ただし人の手では開けられない大きさである場合には、石材店の方にお願いして開けていただくという方法もあります。納骨式には喪服で参列しますので、服を汚すわけにはいかないといった事情の場合も同様です。その他墓石に戒名を彫っていただくという作業も、墓石を取り扱う石材店の方にお願いすることになります。

納骨室を開け閉めする作業

石を動かす作業については、作業代として2万円から3万円が相場とされています。参列者で開けることももちろん可能ですが、隙間があると雨風で内部が傷んでしまう可能性もあるため、お願いするという場合もあります。

彫刻料

墓誌に没年や戒名を彫ってもらう時にかかる料金は、3万円から5万円が相場となります。生前に彫ってもらった場合は、白色に塗り直すことが必要となります。石材店に持ち帰る必要があるため、納骨式に間に合うよう早めにお願いする必要があります。

部屋の使用料

霊園の法要室や、お寺を利用して法要を行う場合には、使用料が必要となります。相場は1万円から3万円ですが、お寺の場合は菩提寺であれば必要ないとされることもあるため、事前に確認しておきましょう。

塔婆

正式には卒塔婆といい、お墓の後ろに立てます。立てるかどうかは宗派や地域によって違いがあり、お墓ではなく別の場所に納める場合もあります。塔婆はお寺で作っていただく必要がありますので、事前に立てることができるか確認した上で、作成を依頼します。

代金については、作成料として5千円程度が相場ですが、金額はあらかじめ決められていますので、法要などのお布施とは別に包んでお渡しします。この際、塔婆の代金に加え、5千円程度のお布施も一緒に包みます。これは作成した際にお寺で供養を一度行うためです。

墓前に必要となるものの費用

墓前にお供えする花やお菓子、また墓を清めるための柄杓や手桶、お線香やロウソクなどの小物も遺族が用意しておく必要があります。霊園の場合は用意されていることもあります。事前に用意できなくても、お寺や霊園の周辺にある石材店やお店で販売していることもありますので、事前に確認してお花だけは現地で用意してもいいでしょう。

納骨式後の食事

納骨式の後は、故人の供養のために会食を行います。自宅で行う場合や法要室で行う場合は、仕出し弁当をお願いします。また別の場所で会食をする場合は、事前に予約が必要ですので、参列してくださる方の人数を把握する必要があります。

食事代の相場としては、5千円から8千円、さらに参列者からは御仏前などを包んでいただきますので、お礼の品を別に用意します。こちらは3千円から5千円程度が相場です。また会食を行わない場合は、お食事代の代わりとなる引き出物を用意することもあり、地域によっても違いがあります。

納骨の準備

納骨にあたっては、事前に準備が必要となります。納骨に関して用意しておくべきもの、また当日必要となるものについてご紹介します。

納骨の日はいつがいい?

納骨をする際には、案内状の作成や、お寺や霊園に予約をしなければいけませんので、早めに日程を決めておく必要があります。

一般的には四十九日に行うことになっており、それより後は良くないとされています。そのため、四十九日より早く行う場合が多く、また親族が集まることを考えると土日がいいといえます。ただしお彼岸のシーズンなどは霊園も混み合いますので、予約を断られることもあります。

お寺の都合や法要の場所を決める前に、とりあえずは納骨式の日取りだけを決めて、他はそれに合わせるようにするといいでしょう。

納骨に関して事前に準備するもの

納骨をする場合、事前に予約や準備が必要となりますので、まずいつ納骨を行うか日取りを決めます。参列してくださる方の都合も考え、土日に行う場合には早めにお寺や霊園に納骨式の予約をするようにしましょう。

ここで注意したいのは、檀家だがお寺にお墓がなく、民営の霊園にお墓がある場合です。この場合住職の方に霊園に来ていただくことになりますが、霊園の予約と住職の都合、さらに希望する納骨式の日が合うように調節する必要があります。民営霊園の場合は関係するお寺を紹介してもらうこともできますので、特定の菩提寺がない時にはお願いしましょう。

公営霊園では特定のお寺とのつながりはないため、納骨式の予約はできますが、菩提寺がない場合、どのお寺の方を呼ぶかどうかは遺族が決めます。葬儀の時のみに来ていただいたお寺がある場合は、そちらにお願いするか、納骨式はせずに納骨だけをするといった方法もあります。

埋葬許可証は忘れずに

埋葬許可証は、故人が亡くなった際に発行される火葬許可証に火葬場から認印を押してもらった書類のことです。もし分骨をする場合には、この時に火葬場に分骨証明書を発行してもらう必要があります。

納骨の際、墓地や霊園の管理者に提出しないと納骨が許可されませんので、大切に保管しておきましょう。特にお墓を建てるのが納骨に間に合わない場合などには注意が必要です。紛失した場合、再発行ができない書類なので保管には十分注意しましょう。

連絡する相手とタイミング

納骨式はごく身内だけで行うのが一般的です。そのため、納骨式に誰を呼ぶのかは早めに決めておく必要があります。基本的には遺族と親戚ですが、親しい友人や知人に参列してもらってもかまいません。

葬儀で多くの方に来ていただいていますし、遠方の親戚などにわざわざ来ていただくのも大変ですから、家族だけで納骨をおこなっても問題ありません。四十九日の法要と納骨が無事終わったことを、葬儀に参列していただいた方や、香典をくださった方に報告するだけでもいいでしょう。

納骨式に来ていただきたい方々へは、早めに参列できるかを確認する必要もありますので、遅くとも納骨式の1ヶ月前までには連絡するようにしましょう。

納骨の時期やタイミング

納骨の時期やタイミングについては、宗教によっても違いがあります。お墓がない場合はその準備ができてから納骨を行いますが、宗教で定めた区切りの日に一度式典を執り行うのが一般的です。お墓があればそのまま納骨し、お墓が準備中である場合には、お墓ができてから改めて納骨式を行うことになります。

ここでは、一般的な宗教別の納骨の時期について、詳しくご紹介します。

仏式

仏式の場合、納骨式は四十九日の忌明けに行う法要と共に、納骨法要を行います。納骨法要は墓前で僧侶に読経を上げてもらいます。宗派によって違いがありますが、一般的には納骨をする前と、納骨をした後に読経を行い、その後遺族や親戚、また友人知人など故人に近い人から焼香するしきたりとなっています。

キリスト教

キリスト教の場合、カトリックは故人が亡くなった日から数えて30日目に行う追悼ミサの時に、プロテスタントは故人が亡くなってから1ヶ月目の召天記念日に記念式を行い、納骨します。

カトリックでは神父が、プロテスタントでは牧師が、それぞれ墓前で聖書を読み、祈ります。その後参列者全員で賛美歌を歌い、祈った後に献花する流れとなります。

キリスト教の場合でも、墓地の準備ができていない時には後日改めて納骨を行います。

神式

神道では火葬してすぐに納骨する場合、もしくは五十日祭の時に納骨を行います。五十日祭は仏教の四十九日と同じような忌中のことですが、神道では10日ごとに祭典を行うため、五十日祭と呼ばれます。

五十日祭は穢れとされるため、自宅や式場、もしくは霊園の礼拝所か墓前で行われます。神道ではお墓はなく、霊園に納骨します。納骨式では神職が立ち会い、お祓いの後に祭詞を上げて、玉串奉奠を行う流れとなります。同様に参列者も行います。

納骨はしたほうがいい?しなくてもいい?

特に決まった宗教がない場合は、納骨の時期や方法については、ある程度自由に遺族で決めることが可能です。またお墓の今後の管理を考え、お墓を持たないという考え方の人も増えてきています。

さらに突然の死をなかなか受け入れることができず、手元に遺骨を置いて供養をしたいという人も増えてきており、手元供養という新しい供養の方法も選択の1つとして選ばれるようにもなっています。

その他納骨をせずに山や海など、故人が好きだった場所に遺灰をまくという供養の仕方もありますが、遺族だけでなく親戚や周りの人たちにも理解してもらい、納得してもらえる供養を考える必要があります。

遺骨は月日が経つと形を失って崩れてしまいますので、永遠に保存することはできません。衛生的な面も考えた上で、粉末化する、もしくは手元供養用にアイテムを用意しておくことも必要です。そして納骨をしなくても区切りの日は考えておきましょう。

納骨をしなければいけないという決まりはない?

日本では亡くなった方を火葬にしなければならないとは定められていますが、かならずお墓に納骨しなければならないといった決まりはありません。ただし骨を埋葬する際には、墓地以外の場所には埋めてはならないと法律で定められていますので、散骨をする場合などは許可が必要となります。

お墓がない場合でも、お寺などで納骨堂が作られ、そこに骨壺を預けるといった新しいスタイルの埋葬の仕方も増えてきています。管理費は必要となりますが、お墓をすぐに作れないが納骨をする必要がある場合には考えてみてもいいでしょう。

納骨のマナーや注意点

葬儀と違い、納骨はあまり経験することがないため、どういったマナーがあるのか分からないといったことになりがちです。故人を見送る区切りでもありますので、失礼のないようマナーを守って参列するようにしましょう。

服装

忌明けまでは、遺族だけでなく参列する人も正式な礼服で参列するのがマナーです。男性はブラックスーツに黒いネクタイ、白いワイシャツ、黒の靴下、黒の革靴、女性はブラックフォーマル、黒のストッキングに黒のパンプスとなります。

光るアクセサリーは厳禁ですので、男性の場合はネクタイピンやベルトのバックル、女性の場合はバッグや靴の金具などに注意しましょう。時計やアクセサリーはつけない方が無難です。つけるとしても結婚指輪までにしておきましょう。

子供の場合は制服があれば制服を、ない場合には黒か紺、グレーのスカートやズボンに白い襟付きのシャツ、靴下、靴は黒、紺、白のものを用意します。

持ち物

遺族側の持ち物としては、遺骨、埋葬許可証、墓地使用許可証と印鑑が最低限必要です。さらに数珠、遺影写真、お線香、焼香台、お供え物、火をつけるライター、柄杓や水桶、塔婆が立てられる場合は塔婆も必要です。

納骨式の後に、お布施や引き出物を配る場合はそちらも必要なので、手分けして持つようにしましょう。

参列者が必要となる持ち物は、まず僧侶が読経を上げますので数珠を用意しましょう。香典と数珠を入れる程度の小さめの黒いバッグを用意するといいでしょう。携帯は電源を切ってバッグに入れておくのがマナーです。

お墓がある場合とない場合の納骨の費用の違い

お墓がある場合にはそのまま納骨をすればいいだけなので、お布施や石材店に支払う費用などトータルでも10万円程度です。ただしお墓がない場合には、建てる場所を決め、管理費用などを払った上で、墓石の準備が必要となりますので、その分費用がかかります。

霊園やお寺によって、永代使用料は違いがありますので、今後の管理のことなども考え、早めに検討しておく必要があります。

注意が必要な骨壺の選び方

骨壺には2寸から8寸まであり、その大きさに違いがあります。これは東日本では遺骨をすべて納めるため、西日本では一部のみを納めるため、大きさの違う骨壺が用意されているためです。ただし東や西という違いだけでなく、地域によって骨壺の大きさが決まっている場合もあります。

またお墓や納骨堂の大きさによっても、大きい骨壺では入らないこともありますので、用意する際にはお墓の納骨室の大きさなどを確認しておく必要があります。さらにお墓によってはすべての遺骨を1つの骨壺に納めるといったこともあるため、その場合は8寸より大きな骨壺をお願いして用意しましょう。

納骨の仕方

納骨には手順がありますので、当日戸惑わないように流れを覚えておきましょう。

納骨の場合は骨壺に入れたまま納めるのが一般的ですが、骨壺が一杯になってしまった場合など、また地域によっては骨壺から遺骨を出して納める場合もあります。そのまま手で納めてもいいのですが、箸を使うか白手袋をして行うといいでしょう。この場合は、お骨拾いで使う不揃いの箸を使うようにします。

墓への入れ方

墓へは施主が納骨をします。地域や宗教によって、骨壺をそのまま納めるか、また骨だけを納めるかは違いがあります。骨壺の入っていた桐の箱はそのまま処分しても問題ありません。また骨をそのまま納める場合は、お経を書いた布を地面に敷いて、その上に骨を置くといった方法をとることもありますので、事前に確認しておくようにしましょう。

謝礼はいつ渡す?入れる袋は?

納骨の際には、石材店の方にお手伝いしていただくことが多く、納骨式の後に謝礼を渡すのが一般的です。ただし最近では受け取らない石材店の方も増えてきており、必ずしも用意しなければならないといったことはありません。

差し上げる場合には、納骨式の際に、僧侶の方にお布施を渡すのと同じく、石材店の方にも「御礼」として差し上げるといいでしょう。

参列する側の香典の目安

参列者は香典を持参しましょう。白黒もしくは双銀の水引袋に、四十九日前であれば「御霊前」、後であれば「御仏前」とします。金額は5千円から1万円が相場ですが、会食が合わせて行われる場合には、その食事代も含めて包むようにします。

亡くなられた方ときちんとお別れをしよう

納骨式は四十九日の法要と同じく、故人の方と最後のお別れをする儀式です。この日を境に遺族の方々は前を向いて歩いて行かなければなりません。

もちろん、まだ悲しみが癒えていないということもあるでしょう。そういった場合であっても、亡くなられた方が心安らかに眠れるように納骨の儀式はきちんと行い、一つの区切りとなるようにしましょう。

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