供花とはなにか・供花の手配の仕方・供花にふさわしい花

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「供花」の読み方

きょうか

供花と書いて、「きょうか」と読みます。供花は仏や死者に供(そな)える花という意味があります。

くげ

同じく供花と書いて「くげ」と呼ぶ場合もあります。「くげ」は仏教用語で、「くうげ」とも読み、「くげ」と呼ぶ場合は「供華」という字をあてる場合もあります。

供花とは何か

供花とは故人へのお悔やみやお別れの気持ちを伝える弔いとして、供養のためにお供えする花のことを言います。また祭壇や会場を飾る意味もあります。

供花は遺族や親族、故人と親しかった人などが送ります。そのほか、遠方のため参列できない、または香典を辞退するご遺族に対し、香典の代わりに供花を送る事もあります。原則では供花を送れば香典は不要とされていますが、最近の傾向では供花を送ったとしても、香典も渡すようになっています。

供花の役割

供花を送る人

供花は近親者や仕事上深いかかわりのある人、または特に故人と付き合いの深い友人といった人が送ります。

親族:「喪主」「兄弟一同」「孫一同」「親族一同」という名札をつけ、まとめて送るのが主流です。

友人:「友人一同」としてまとめて送ったり、連名で送ったり、または個人名で送ったりと、交流の深さによって送り方もさまざまです。それぞれの考え方にあった送り方で構いません。送る前に周りの人たちと話し合ってから決めるとよいでしょう。

仕事関係:仕事上のお付き合いがある人の場合、故人が務めていた会社が得意先の場合は、会社の代表名の名義で供花を送ります。

祭壇を飾るもの

供花は祭壇を飾るために祭壇脇に並べられます。祭壇を飾るための供花は故人に近しい関係から順に脇に並べます。一般的には祭壇を中央に、「喪主」「子供一同」「親戚一同」など、身内の花が並び、次に友人や会社関係の供花が並べられます。

最近では生花のアレンジによって作られる生花祭壇が増えてきました。そのため、供花自体を送るのではなく供花代を金額で支払い、その金額を祭壇代にかかった金額から差し引きます。それにより、葬家の葬儀代負担を軽減する方法がとられるケースがあります。その場合、芳名板のみを別に立てることで、供花を送った人の名前を示します。

お花入れなどに利用

祭壇に飾られた後の供花は、最後のお別れの際、棺に入れるための花としても利用されます。また、棺に入れられなかった分は、参列者に配られる場合もあります。

葬儀に際し送る生花

仏式

仏教ではユリや菊、デンファレやカーネーションなどの花を送ります。少し値が張りますが、胡蝶蘭を用いる場合もあります。色合いは派手ではなく、落ち着いた色合いのものを選びましょう。基本的には生花を選びますが、近年ではプリザーブドフラワーなどを送る場合もあります。

仏式では籠のフラワーアレンジメントが一般的で、スペースを取れない小さめの会場などでも利用しやすい供花です。また、会場が広い場合は、スタンド式のフラワーアレンジなどを送る事もあります。その場合、祭壇ではなく会場の入り口などのスペースに設置することになります。

神道

神道での葬儀を神葬祭と言いますが、仏教と同様に菊やユリを使用します。白い菊は供花としてよく利用され、全体に白を基調とし華美にならないよう注意します。

キリスト教

キリスト教はユリやカーネーション、小菊やスプレー菊などを用いた生花が基本です。仏式のように送り主の名札はつけません。キリスト教では白い菊はあまり用いられず、またバラの花は棘があるため用いません。

一般的に白い花が用いられますが、遺族の要望によりピンクや黄色なども使うこともありますが、遺族が嫌な気持ちにならないよう派手な色の花は避けましょう。

キリスト教の供花はアレンジメントの籠花、またはスタンド花で、教会ではなく故人の自宅へ送ります。また、キリスト教独特のアレンジメントで、十字架型のアレンジを送る事もあります。

後飾り

後飾りとは、四十九日まで自宅に遺影や位牌、遺骨を安置するための小さな祭壇のことです。小机ほどの大きさなので、供花は邪魔にならない大きさのものが良いでしょう。なお、葬儀に間に合わなかったなどで供花を送ることができなかった場合、後飾り祭壇にお供えするための花として、自宅に送るという方法もあります。

花は四十九日までの長い期間飾っておくので、傷みにくい花を選びましょう。また、葬儀の時のように同一色ではなく、故人が好きだった色など優しく明るい色合いのものを選ぶよいでしょう。

長持ちする花として、洋ランやデンファレ、カーネーションなどが選ばれています。また、最近では水替えの必要がない、プリザーブドフラワーなどを選ぶ人も増えてきました。

仏花

仏壇用の供花を仏花(ぶつばな)とも言い、仏壇の両側にお供えします。基本的に2束で1対とし、花びらが散らず長持ちすることから古くから菊が使われています。そのため、菊のほかにはカーネーションやユリなどが使われることが多く、また春にはアイリス、夏はリンドウなどという季節の花を組み合わせるとよいでしょう。

仏花に決まりは特にありませんが、3本、5本、7本など、奇数の本数で飾るとされています。また、仏花はその本数に応じて色の組み合わせがある程度決まっており、白、赤、黄、紫、ピンクなどの色を基本に作ります。なお、花の数が3本の場合、白、黄、紫を使うのが一般的です。

なお、仏花として使ってはいけない花の特徴として、散りやすい花や傷みやすい花は長持ちしないので避けます。また、毒のある花や匂いのきつい花、棘のあるバラなどの花は仏花としては使いません。

その他の弔花

枕花

枕花(まくらばな)とは、通夜の前から葬儀が終わるまで故人の枕元に供える花で、故人の魂を鎮めると言われています。通夜前に飾った後は、式場へ移動する際にも一緒に移動させます。また、枕花は葬儀が終わった後は後飾りの供花としても利用されます。

血縁の深い人、故人とゆかりの深い人などが、亡くなってすぐに送ります。枕花は枕元の両サイドに一対で配置しますが、1つで送っても大丈夫です。

花は白に限定せず落ち着いた色調にまとめ、淡いピンクやクリーム色などの花を入れることもあります。大輪菊や白百合、トルコギキョウなどの大き目の花、または洋花のアレンジでも構いません。

花輪

地域によっては、葬儀場の入り口付近やその周辺に花輪を飾ることもあります。式場によっては飾ることができないので、注文の前に確認が必要です。逆に、京都のように花輪自体を用いない地域もあります。

花輪を送るのは企業から送るケースが多く、故人または喪主の勤務先や取引先、その他団体や組合などからも送られます。個人ではなく、団体などから送られることが多いのがこの花輪でしょう。

供花の手配

葬儀社

葬儀においての供花は宗教宗派、地域の風習などにより違いやルールなどがあります。そのため、葬儀を担当している葬儀社に依頼するのが一般的です。また葬儀が終わるまで遺族は非常に慌ただしい状況にあるので、直接葬家に連絡を入れることは控えるとともに、供花の依頼や相談に関しては葬儀社に連絡をするのがマナーです。

また供花は祭壇周りを飾りつける役割があり、祭壇に統一感を出した方が見た目が良くなるため、デザインや花の種類が違う供花を送ると祭壇に飾ってもらえない場合もあります。さらに、家々によって供花を受けつける数や金額を統一するケースもあるので、直接葬家より要望を受けている葬儀社に依頼する方が間違いはありません。

葬儀社は葬儀会場に問合せ、日程と葬家名を伝えると担当する葬儀社とその連絡先を教えてくれます。葬儀会場が葬儀社の会館であった場合は、その場で供花の依頼をするとよいでしょう。

生花店

葬儀への供花を生花店に依頼することも可能です。ただし、民間の斎場などでは外部の生花店からの持ち込みを断るケースもあるので、実際に送る前に確認をしましょう。また葬儀社の項目でも説明したとおり、葬儀に送る供花の場合は祭壇デザインの統一感に欠けるようであれば飾ってもらえない場合もあるので、葬儀社に依頼をした方が確実です。

供花を送るタイミング

供花を送る際は、通夜の開式2時間前までに届くように依頼しておかないと、通夜に間に合わないことがあります。そのため、担当している葬儀社に受付締め切り時間を確認しておくことをおすすめします。

また、通夜に間に合わない場合は告別式で飾ってもらうこともできますので、葬儀社に連絡して相談するとよいでしょう。

通夜告別式が同じ場所で行われる場合は、遅くとも通夜開始の2時間前までに届くように手配しましょう。また、通夜と告別式が別の場所で行われるという場合は、告別式に届くように手配します。こちらも遅くとも告別式開始2時間前に届くように手配しましょう。

名義は間違えのないように

供花につける芳名名札は送り主の氏名をフルネームで記載します。また会社から送る場合は会社名や役職などを明記します。「株式会社」や役職は省略せず、名前はフルネームで書きます。営業所や部署で供花を出す場合は、会社名と部署名の後に「一同」をつけます。

なお漢字などは間違えやすいので、できるのならば名義などを注文書に明記して、ファックスで送ることをおすすめします。何を記載したらよいかが分からない場合、葬儀社などに注文用紙をファックスで送ってもらうと間違いはありません。

また、最近ではインターネットでも注文できるので、こちらもおすすめです。

供花を送る際の注意点

供花を送る場合、地域の風習や宗派に合わせなければなりません。また、喪主の意向をくみ、配慮する必要があります。

供花の辞退の有無

葬家によっては香典や供花、供物の一切を辞退するというケースがあります。これは、故人の遺志であったり、会葬者への香典用意の負担や遺族の香典返し手配負担を軽減したい、または儀礼的なやり取りを省略し簡素にしたいなど、理由はさまざまです。

案内に「香典供物の儀は辞退いたします」と書かれている場合は、葬家の希望に沿うように葬儀に供花や供物を送ってはいけません。

なお「御香典の儀は辞退いたします」と書かれている場合は、香典の辞退を謳っているため、香典以外の供花や供物などは送っても構いません。

地域の風習の確認

地域によっては、供花ではなく花輪などを送るのが一般的という場所もあります。また、「生花は身内が送り、一般の人は花輪や盛籠を送る」という風習がある地域もあります。そういったように、地域によってルールもさまざまです。

葬儀の案内などが届き供花を送る場合、または送ってもよいのか迷った場合は、送る前に式場や葬儀社に確認を取りましょう。

式場と故人・喪主(施主)名を間違えない

供花を送るため生花店に注文する場合は、葬儀日時、葬儀式場、故人名をしっかり確認しましょう。注文する際は、案内状を確認しながら電話をするようにしてください。

特に故人名は、喪主や施主と苗字が違う場合もあります。こちらで認識している遺族の苗字と故人の苗字が違うということもよくあることですので、うっかり間違えると大変なことになります。式場の立看板は故人の名義になっているので、配達の際迷わないようにしっかり伝えましょう。

通夜・告別式に間に合うように手配する

遅くとも開始時間の2時間前と説明しましたが、急な通夜告別式というのはそうそうありません。そのため、いくらか余裕があるはずですので、訃報紙が届いたらすぐに手配を始めるとよいでしょう。訃報紙は亡くなったことをお知らせする文書で、故人名と喪主名、通夜告別式の日時、会場名、担当葬儀社名などが記されています。

葬儀社はもちろんのこと、生花店も通夜の日時を知らせておけば、それに合わせて届けてくれます。余裕を持たせ、お通夜の日の午前中、また告別式に送る場合は前日までに届くように手配すると、間違いが起こる事はありません。

供花の相場

一基

供花の料金は地域や葬儀社によって変動がありますが、供花の平均的な相場はおよそ7,000円~30,000円と言った価格帯になります。葬儀社によっては「10,000円、15,000円、20,000円」というようにランク分けがされている場合があります。

また、ランク分けされている場合の選び方として、「間を取って○○○円」というように選ぶ人も多いそうです。また、葬家の希望により、供花の金額があらかじめ指定されているケースもあり、その場合は統一してその金額で供花を送ります。

一対(二基)

二基で一対と数え、故人や祭壇の左右にバランスよく配置されます。供花を一対で送る場合は、一基の供花の2倍の金額になります。なお、故人に近しい間柄にあった場合は一対で送るのがマナーとされ、また地域によっては必ず一対で送るという場所もあります。とはいえ、一基か一対か、どちらで送るかは特に決まりはなく、予算に合わせて決めるとよいでしょう。

ただし、会館などの式場でスペースがないという場合には、あらかじめ一基のみの受付で統一するよう指定されている場合もありますので、葬儀社に確認するとよいでしょう。

供花にふさわしい花

一般的に、供花はこの花でなければならないという決まりはありません。とはいえ、葬儀など厳かな場であることから、白を基調に、淡いピンクや紫、黄色などの落ち着いた色合いでまとめることがほとんどです。

近年では故人が好きだった花を送るというケースも増えており、赤やピンクなどの色合いでも問題はないでしょう。また故人が好きではない花を避けるという配慮から、例えばそれが菊だった場合、葬儀の定番であっても一切使わないという場合もあるとの事です。

小菊やスプレー菊など、旬の季節は秋ですがオールシーズンで使え、供花に最も使われている花です。仏花として日本では伝統的に用いられていますが、元々はフランスなど西洋で白菊を使者に捧げる習慣が生まれ、その後中国などでも葬儀に菊を用いるようになり日本に伝わりました。そのため、白い菊は葬儀などをイメージさせる花でもあります。

白い色がけがれのなさを表しており、咲き方にまとまりがあり長持ちすることから、供花として多く使われています。

カーネーション

カーネーションといえば母の日のイメージがありますが、白いカーネーションは母の命日に教会で配ったことが始まりとされ、現在でも白いカーネーションは亡くなった母へと贈られるようになりました。これらの由来から、「亡き母を偲ぶ」という花言葉があります。

カーネーションは旬の季節は初夏ごろですが、オールシーズン使える花です。夏の暑い季節でも長持ちすることから、菊についで供花に用いられています。

ユリ・カサブランカ

白いユリはキリスト教では聖母マリアに捧げられた花であることから、純潔のシンボルとされており、またユリの花言葉の由来となっています。また、もうひとつの花言葉である「威厳」は、ユリの堂々とした花姿にちなんでいます。

ユリの女王とも言われるカサブランカはユリの中でも香りが高く、またボリュームもあり長持ちすることから、供花としてもよく用いられています。

トルコギキョウ

夏が旬のトルコギキョウは北米が原産であり、リンドウ科の花という、名前が一致していない面白い花です。花の姿や色がキキョウに似ていることに由来するといわれており、またトルコが原産ではないものの、トルコ石を思わせる花色だった、蕾の形がトルコ人のターバンに似ているなど名づけの由来には諸説あります。

トルコギキョウは日本で多くの改良が行われ、約1000種の色や形、大きさなどさまざまなトルコギキョウが作り出されました。

トルコギキョウは白や紫、ピンクやグリーン、また一重や八重、フリルなど形なども豊富にあるので、メインとなる菊やユリを引き立てるのに多く使われています。

リンドウ

旬の季節は秋で、群生せずに一本ずつ咲く花姿と悲しみを思わせる青紫の花色が、「悲しんでいるあなたを愛する」という花言葉の由来と言われています。

花色は紫のほか青やピンク、白などがあり、供花で用いる場合、白い菊やカサブランカと組み合わせ、凛とした花色を彩りとして使います。また、季節の花と組み合わせてもよいでしょう。

デンファレ

旬は夏から秋にかけてですが、オールシーズンで活用できます。細長い花茎の先にたくさんの花をつけることから、アレンジメントや花束など幅広く使われている花です。

ラン科の花なので耐寒性はありませんが、花持ちがよく切花として人気があります。花色が豊富にあるので、季節の花と組み合わせるなどして供花にも活用されています。

アンスリウム

旬は夏ですが、オールシーズンで使える特長的な熱帯の花です。ハート型の花のように見える部分は仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれるもので、実際の花は穂のような中心の突起部分(肉穂花序)に密生して咲きます。

赤色が一般的ですが、白やピンク、グリーンなどもあります。供花に用いる場合は、赤以外の落ち着いた色を選びましょう。通常の花のように散ることがなく、肉穂花序が茶色になるまでの約2週間ほど長く飾ることができます。

胡蝶蘭

温室で育てられるため、オールシーズン使用できます。胡蝶蘭は白く大きな花の姿が、蝶が舞うように見えることから名づけられました。また花言葉の「幸福が飛んでくる」は蝶から連想されたもといわれています。

優雅で高貴なイメージを持つ胡蝶蘭は、ウエディングブーケやお祝いなどにも利用されています。ところが凛とした品のある花姿から、死者の霊を慰めると同時に会場を飾るため、供花としても利用されています。

プリザーブドフラワー

長期保存できる花という意味で、生の花に特殊な加工を施したものです。葬儀の祭壇を飾る供花ではなく、仏壇に飾る仏花として活用します。仏花用のプリザーブドフラワーは、グリーンやクリーム、白などの色合いの菊やカーネーション、トルコギキョウなどさまざまな花を使用します。

プリザーブドフラワーは水替えの必要がないので、長期旅行の間の仏花として活用できます。ただし湿気には弱いので、高温多湿となる夏の密閉された部屋では色移りやカビが発生するなどの問題があるので、冷房をかけたりこまめな換気が必要になります。

お悔やみの気持ちのこもった供花を送りましょう

このように、供花は亡くなった故人への弔いのために、そして残された家族を慰めるために送ります。気持ちのこもった花とはいえ、場違いだったり宗教や地域ルールを無視すると、受け取った遺族も逆に困る結果になってしまいます。

気持ちを押し付けるのではなく遺族の気持ちに寄り添い、故人を悼み手向けるものですから、後々後悔するようなことがないよう送り出してあげたいものです。それもルールを守ってこそでしょう。

葬儀はそうそう頻繁にあるものではなく、また年代や地域によって根付いた色々なルールがあります。遺族にとっては一回しかない儀式の場ですから、スムーズに儀式を進められるよう、念には念を入れた気遣いが必要でしょう。

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