弔問の読み方
弔問することを葬儀に参列することや慰問することと誤解されていらっしゃる方も多く見られますが、弔問とはどういったことを言うのかご存じでしょうか。弔問とは亡くなられた方の遺族を訪ねてお悔やみを述べることを言います。訃報のお知らせを受けたら、お通夜や葬儀に参列しお悔やみの言葉を述べましょう。
訃報を受けた際にはなるべく早く遺族のもとへ訪れ、お悔やみを述べることが原則なのですが、通夜や葬儀の前に遺族の方のもとを訪れるのはごく親しい関係の方のみに限られます。
それほど深い付き合いではなかったというのであれば、そうにまたは通夜に参列して葬儀のあとの三日以降から49日の間に弔問するというのがマナーです。
ちょうもん
弔問は「ちょうもん」と読みます。弔問のことを慰問と間違われていらっしゃる方がおりますが、「いもん」とは「慰問」と混同した誤った使い方です。
「弔問」は亡くなった方の遺族の元を訪れ、お悔やみの言葉を述べることを言います。「いもん」とは病気や災害に遭われた方のお見舞いに訪問することを言います。
弔問の意味は
「弔問」とは、もともと通夜の前に訃報を受けた段階で、自宅にお悔やみを述べるために伺うという意味で使われている言葉でしたが、現在では故人の方が亡くなられた際に通夜や葬儀所へ出向き、お悔やみを述べるための言葉として使われています。
また、葬儀に参列できない場合に、葬儀のあとで改めて遺族の方のご自宅に出向きご挨拶に伺うことも「弔問する」と言います。葬儀に参列できなかった場合、ご自宅に弔問に伺うのがマナーですが、弔問に伺うタイミングには注意が必要です。
一般的なマナーとして、ご家族を亡くされたばかりのあわただしい時期にお宅に伺うのは失礼と考える方が多くいらっしゃいますが、弔問のマナーとしてこれは間違いになります。葬儀に参列できなかったのであれば、あまり日にちを空けずなるべく早くお伺いすることがマナーです。
弔問と参列の違い
「弔問」と「参列」の意味の違いは、その言葉を使う場面によります。「弔問」とはお悔やみを述べるためにご自宅やお通夜の席でお悔やみを述べるために伺う意味として使われる言葉になりますので、葬儀の際にお悔やみを述べる場合には「弔問に伺う」といった言葉は使われません。
この場合は「参列する」といった言葉が使われます。「参列する」という言葉は、主にお式や行事に参加するといった意味合いで使われることが多く、葬儀のほかにも結婚式に参加する際にも使われる言葉となります。
会葬と弔問の違い
「会葬」もまた葬儀に参列することを言います。「弔問」という言葉が通夜、または仮通夜、遺族のご自宅にお伺いするという言葉を表しているのに対し、「会葬」とは葬儀に参列する場合に使われる言葉です。
ですから、お通夜の場合には「ご弔問を賜り」といった挨拶をし、葬儀または告別式の場合には「ご会葬に賜り」といった言葉を使い挨拶することになります。
遺族を訪問して悔やみを述べること
大切な方を亡くされて疲れきっている所に、ご自宅を訪れて弔問するのはかえって迷惑になるのではないかと遠慮されていらっしゃる方も多く見られます。
遺族の方のお気持ちを考えるあまり弔問することを遠慮していかないという方法をとられる方がいらっしゃいますが、お世話になった方や近しい関係にあったのであれば弔問するにふさわしい日にちを選び、お悔やみの言葉を述べておきましょう。
お線香を上げるだけでも故人に対する思いが伝わり込遺族の方にとっても一つの慰めとなります。突然ご自宅に伺うというのはマナー違反になりますが、四十九日が終わるまでにはご自宅を訪問し、お悔やみを述べ、お線香をあげて故人の冥福を祈りましょう。
弔問のマナー
遺族の方のご自宅に弔問をする場合には、お通夜やお葬式の日にどうしても参列できなかった事情があった際に別の日に改めてご挨拶に伺いましょう。
弔問するにはそれほど時間を必要としませんが、故人を亡くされたばかりのお宅にお邪魔するわけですから、ご遺族の気持ちに十分配慮をしてマナーにのっとってご自宅を訪問する必要があります。
弔問するタイミング
弔問するためにふさわしいタイミングとしては、お葬式を終えてから二日後から三日後から四十九日の間までにお伺いするのがマナーです。訃報の連絡を受けたらなるべく早くお伺いする必要がありますが、故人の方と近い関係にある場合や近親者の方の場合には、お葬式前の弔問は避けておきましょう。
また、お葬式を終えた直後も控えた方が無難です。ご遺族の方々は、お葬式の準備やそのあとの片付けのために忙しいため、お葬式の準備をしている間や、お葬式後の片付けをされている最中にお伺いするとかえってご迷惑になってしまいます。
弔問は日にちを空けないのがマナー
まだ気持ちが落ち着いていないのではないかと気を遣い、日にちを大きく空けてしまう方がいらっしゃいますが、それもまたマナー違反となってしまいます。
弔問をするにあたってふさわしい時期は、お葬式後の二日から三日後から四十九日の間にお伺いするのがマナーとなっていますので、葬儀に参列できなかった場合には必ずその期間内にご挨拶に伺いましょう。
服装
お通夜の前に弔問に訪れる際には、あまり派手ではない服装を選びましょう。弔問に訪れる場合には礼服を選びます。お通夜前に弔問に訪れるということは、取り急にという意味を込めてお伺いしなければなりませんので、きっちりと喪服を用意してお伺いするのはマナー違反となります。
なぜ喪服を着用して渡らないのかというと、突然の訃報を受けた場合遺族もまだ準備をしていないことが多いのに、遺族よりも格の高い喪服を着用したお伺いするということは大変失礼に当ります。
また故人の死を予想していた、または待っていたと受け取られる場合があるため、なるべく派手ではない平服を着用してお伺いするということがマナーとなっています。
平服とは
弔問の際に着用する平服とは、「普段着」という意味ではありません。そのため、デニムやカラーパンツにセーター、Tシャツといった服装は NGです。弔問に訪れた際の服装は、男性の場合であればスーツにスラックスとジャケット、女性の場合はワンピースやアンサンブルスーツといった服装でお伺いするのが一般的となっています。
弔問に訪れる際には普段着に近いものでも構いませんが、その場合は黒かグレー、または濃い紺色といったなるべく地味で落ち着いた色合いのものを選びましょう。
女性の場合の弔問の服装のマナー
女性の場合、弔問に訪れる際にはあまり派手な化粧をしてはいけません。また、アクセサリーは外しておくのがマナーとなっています。そのため、指輪も石のついたものは避けておきましょう。
結婚指輪に石が付いている場合には、指輪を内側に隠しておくのがマナーです。また真珠のネックレスをつけて弔問に訪れる場合には、葬儀の場合と同じく一連になっているものを選びましょう。
髪の長い女性の場合には、簡単でも良いので髪をまとめて弔問にお伺いするのがマナーです。
弔問に訪れる際の持ち物について
弔問に訪れる場合には取り急ぎ駆けつける必要がありますので、数珠といった持ち物を用意しておく必要はありません。そのほか、香典を用意していくとその死を予想していたと誤解を受ける可能性がありますので、弔問に訪れる際には香典を用意していかない方が無難です。
挨拶の仕方
弔問に訪れる場合にはお悔やみの言葉を述べる必要があります。弔問の際に遺族の方に欠ける言葉は、「このたびはご愁傷さまです」、または「お悔やみ申し上げます」といった弔意を示す言葉を述べましょう。そのほか何かお手伝いすることがあればお声がけくださいといった遺族の方を気遣う言葉を伝えます。
弔問の際には、余計なことはしないよう注意しましょう。例えば亡くなった経緯や病状などについていろいろと話しを聞き出そうとしないことです。また長々とお話しをすることはご遺族の方にご迷惑になってしまいますので、挨拶は手短に済ませておきましょう。
そのほか、亡くなられた方がご高齢であった場合にも、「大往生ですね」といった言葉は失礼に当りますのでお話ししてはいけません。遺族の方へのお悔やみの言葉は、故人の死を悼むとともに悲しみを癒す言葉を選ぶよう心がけてください。
忌み言葉に注意
弔問の際にご遺族の方におかけする言葉は、このたびはご愁傷さまです。または謹んでお悔やみを申し上げますといった言葉が最も一般的です。弔問の際にお悔やみの言葉として使用してはいけない言葉もありますので注意が必要です。弔問の際のお悔やみの言葉としてふさわしくない言葉は意味言葉があります。
忌み言葉とは不幸を連想させたり続けて不幸が起こるといった印象を持たせてしまう言葉のことを言います。例えば、「死」「急死」「病死」といった、死や苦しみを連想させる言葉です。
また、繰り返し不幸が訪れるといった「重ね言葉」を使ってはいけません。「重ね言葉」とは、「重ね重ね」、「しばしば」、「たびたび」、「よくよく」、「再び」いった言葉になります。
供物
お通夜の前に弔問にお伺いする場合には、その場で香典をお渡しすることはマナー違反となっています。香典はお通夜または葬儀の場でお渡ししましょう。またそのほかお通夜の前には手土産を用意していく必要がありません。
亡くなられた方との関係性にもよりますが、故人を供養するために生前お好きだったものを用意しても構いません。その場合はお菓子や果物、お花といったお供え物が一般的となっています。
弔問の際にお供え物としておかしを持っていくのであれば、切り分ける必要があるものではなく、初めから小分けになっているものを用意しておくと良いでしょう。お菓子はあとで遺族の方が分け合えるよう小さい袋に分けられたものを購入することをお勧めします。
果物
果物をお供えする場合には、切られていないものをそのままお供えすることになりますが、果物屋さんやお店の方にお願いをするとお供え物ように盛篭をつくってくださいます。
お通夜や葬儀に参列できなかった場合にご自宅に弔問をする場合には、香典を持参してご自宅にお伺いすることになります。葬儀の後に弔問をするのであれば、香典の表書きは四十九日前であれば「御霊前」、四十九日以降になってしまった場合には「御仏前」と書きいれます。
弔問の注意点
弔問をする場合には、早朝や夜遅い時間帯でなければこれといった決まりはありませんが、事前に遺族の方に電話をしておいたり、何時頃にお伺いするかといったマナーが必要になります。
そのほか、弔問にお伺いするということは、他人の宅にお邪魔をするということになりますので、弔問を行う際のマナーや注意点について覚えておき、遺族の方にご迷惑にならないよう気をつけておきましょう。
事前に連絡すること
葬儀の後に弔問をする場合には、突然ご自宅に訪問するのではなく、弔問する日時について必ず事前に電話で連絡をしておきましょう。弔問する際の連絡にはメールではなく電話にて行います。その場合はなるべく早く電話で連絡をして、長話をせずに用件のみを伝えましょう。
まず葬儀に参列できなかったことに対するお詫びと、遅くなったけれどもできればお伺いしてお線香を上げさせていただきたいというお話し、ご遺族の方の都合のいい日時についておお話しし日程を決めていただきましょう。
弔問する日時は基本的に相手の方にきめていただきます。朝早くや夜の遅い時間帯は避け、弔問に来てほしくないといわれた時には素直にそれに従いましょう。
長居はしない
故人の方との関係性にもよりますが、お通夜の前に弔問に訪れる際にはあまり長居をしないように心がけましょう。ご遺族の方は葬儀の準備や片づけとえることも多く、疲れています。線香を手向け手を合わせたあとは、亡くなられた方の思い出話しなどをしてなるべく早く退席させていただきましょう。
場合によっては玄関先でお悔やみを述べた後すぐに引き取ってしまっても構いません。もしもご遺族の方にご焼香を勧められた場合にはご焼香をしてからすぐに引き取りましょう。ご遺族の方が亡くなられた方との対面を求めたのであれば、亡くなられた方にご挨拶をして、少しお話しをした後すぐに引き取ります。
ご遺族の方に配慮するのであれば、すぐに引き取った方がよいですが、もしも勧められた場合には、お忙しいなか時間を割いて応対していただくことになりますので、申し出を断らないようにしましょう。
亡くなられた方との対面を勧められた場合には
ご遺族の方に故人との対面を勧められた場合には必ず申し出をお受けしておきましょう。亡くなられた方と対面される場合には、まずはじめに亡くなられた方の枕もとに両手をつき一礼をします。次にご遺族の方が御顔の白い布をあげたら合唱して下さい。この時、ご自分から白い布をとってはいけません。
合唱がすんだらそのままの状態で膝を使って後ろへさがり込遺族の方に一礼をしてあいさつをします。故人との対面を済ませた後には、「安らかなお顔ですね」など簡単な挨拶をのべておきましょう。故人の方が亡くなられた経緯や、病気についてといったお話をしてはいけません。
弔問では、ご遺族の方から勧められない限りこちら側からお願いをしないということを覚えておきましょう。
線香の作法
葬儀や墓参りなどでお供えする線香は仏様へのお供え物として捧げられるものです。またそのほかに亡くなられた方やご先祖様への供養の意味でも捧げられます。
線香の上げ方については宗派により方法や本数が異なっていますので、弔問に訪れる際には、どういった方法で線香をあげたらよいのか覚えておきましょう。
流れ
ご遺族の方のお宅に着いたらまず始めにご遺族の方にあいさつをします。その際ご遺族の方に弔問に訪れたということを伝えておきましょう。お宅にあがらせていただく際には、必ずご遺族の方に勧められてからお家の中に入るようにして下さい。
仏間にあがらせていただいたら腰を下げながら歩きご遺族の前に行って一礼します。次に膝で祭壇の前に進み座布団の上に正座をしたら遺影に向けて一礼します。
ろうそくに灯がともっていない時にはご自分でろうそくに灯をともしましょう。ろうそくに灯をともしたら次はお線香に火をつけます。お線香の数は宗派によって異なりますので、その宗派に合った本数たけお線香をあげて下さい。
線香を立てるには
お線香に火がつきすぎて燃えてしまった場合には手のひらを使って仰ぐようにして炎を消して下さい。お線香から煙が出てきたら香炉にお線香をおいてください。お線香をおく際にも宗派によって異なります。お線香は立てておく場合と横にしておく場合がありますので事前にその宗派を確認してから弔問にお伺いしましょう。
お線香の立て方や本数は亡くなられた方のお宅の宗派に合わせるのが慣わしです。合唱しお祈りを終えたら再び遺影に一礼をして膝をつって後ろに下がります。最後にもう一度ご遺族の方に一礼をして終了です。
おりんを鳴らす方法
弔問にお伺いして線香を上げる場合には、仏壇におかれてあるおりんを鳴らします。おりんとは本来、お経をあげる際にならすものになりますので、基本的におりんを鳴らさなくても構いません。おりんを鳴らすのであれば仏壇にろうそくと線香をあげてからそのあとで鳴らしましょう。おりんに関しては宗派による違いはありません。
おりんをたたくための棒がおりんの横に配置されていますので、それを使っておりんを叩いて落とを鳴らします。
おりんを鳴らす際には軽く力を入れるだけで大丈夫です。あまり強く力を込めて叩かないよう注意しましょう。おりんを鳴らす回数に決まりはありませんが、おりんを鳴らす回数は1回か2回程度が一般的です。
お線香を消す場合
お線香に火をつけるときに、火にあぶりすぎて炎が出てしまう場合があります。この場合はそのままお線香を上げるのではなく、一度この炎を消してから香炉にお線香を立てましょう。お線香の炎を息を吹きかけて消すのはマナー違反とされています。お線香が燃えてしまった場合には、お線香を持っていない方の手を使い、手のひらでお線香を仰ぐようにして炎を消して下さい。
宗派によって違う
弔問の際には宗派によるお線香の上げ方や本数について注意が必要です。宗派による違いがよくわからないという方の場合には、お線香を一本から二本立てておきましょう。前にお線香をあげている方がいらしたら、それを参考にしても構いません。
香炉にあげられているお線香を見れば、故人のお宅の宗派がお線香を立ててあげるのか寝かせてあげる宗派なのかがわかります。お線香の数や揚げ方は弔問に訪れる方の宗派ではなく、亡くなられた方の宗派に合わせて行います。間違えてお線香をあげてしまうよりは、ご遺族の方に方法をお尋ねになると良いでしょう。
弔問に訪れる際には数珠を用意しておく必要はありませんが、もし数珠を使用される場合であっても宗派には関係がなくご自分の数珠を使用してもかまいません。
曹洞宗と日蓮宗の場合
曹洞宗と日蓮宗の場合には、お線香は一本または二本たてるのがマナーとされています。お線香を立てる際には、お線香を一本ずつバラバラに立てるのではなく、まとめて香炉の中央に立ててください。
浄土宗の場合
浄土宗の場合にはお線香は一本から三本立てておくのがマナーです。を線香はまとめて香炉の中央に立てましょう。浄土宗の場合には、一本のお線香を二つに折り、二本をまとめて香炉の中央に差すこともあります。
真言宗と天台宗
真言宗と天台宗ではお線香を三本立てるのがマナーです。お線香を立てる際には、三本のお線香をまとめずに一本ずつ逆三角形の形にさしていきます。仏壇側に二本のお線香をたてお祈りする人の方には一本の選考が出られるようにお線香をたてて下さい。
浄土真宗
浄土真宗の場合にはお線香は縦ません。まずお線香をおってからまとめて火をつけ、横向きに寝かせるように香炉においておきましょう。を専攻は一本を二つまたは三つに割り、二本が三本のお線香に火をつけて横向きに寝かせます。
お線香を二つにするか三つにするかはお線香をおく香炉の大きさによって変えて下さい。仏壇の前に置かれている香炉の大きさが小さければ、お線香を二本に折っただけでは香炉からはみ出してしまう場合があります。
弔問はご遺族の方の気持ちに配慮する
弔問のマナーとしてはご遺族の気持ちに配慮するということが大切です。たとえ亡くなられた方が恒例だった場合であっても、「大往生ですね」といった言葉は使わないでください。
また、お通夜の前の弔問は、故人の方やご遺族の方と親しい付き合いをされていた方や、ご親戚の方以外はなるべく控えておくことがマナーです。お通夜の前に弔問にお伺いしてしまうと、せっかく来ていただいた方にそのまま帰っていただくわけにはいかなくなってしまいます。そのため基本的にはお通夜や葬儀に参列するようにしましょう。
また亡くなられた方が子年配の方ばかりとは限りません。もしも小さなお子さんを亡くされた方に弔問される場合には、同じ年ごろのお子さんを同行させないようご遺族の方の気持ちに配慮をしましょう。