粗供養の読み方は?
そくよう
「粗供養」 は「そくよう」と読みます。西日本を中心に用いられる言葉で、仏教で行われる葬祭に関係する専門用語です。関東では会話において、「香典返し」や「法要のお返し」「引き出物」といった言い方をします。
粗供養の意味は?
葬儀や法要で供養をいただいた人に渡す御礼の品
「粗供養」は、仏教において通夜・葬儀告別式・法要時といった葬祭などで用いられる品のことを言います。主に関西や四国・中国・九州地方の一部となる西日本で行われる習慣で、喪家(不幸にあった家)が出席者や香典・弔慰金を送ってくださった方にお礼の品を贈ります。
粗供養を贈る時は、会葬礼状と呼ばれるお礼状と一緒に贈るのがマナーです。喪家や贈る相手によって多少異なりますが、一般的にコーヒーやお茶・お菓子などの飲食物やタオルなどが粗供養の品物として贈られます。また、粗供養を贈る際の「のし書き」としてそのまま使用されることもあります。
東日本において、粗供養は「志」という言葉を用いるのが一般的です。また、西日本の一部では祖先という言葉とかけて「祖供養」と書かれることもあります。
粗供養に適した品は?
茶
粗供養に選ぶ品は、基本的に後に残らないものを選ぶのがマナーです。そういった視点から「茶」は代表的な品物と言えるでしょう。販売されているものは、お茶請けも一緒にセットになっているものもあります。
特に粗供養は仏教における葬祭に纏わる習慣なので、そういった意味合いから考えてみても茶を粗供養の品物として選ぶのはテーマが統一されていて良いと言えます。粗供養を贈る相手が高齢者だったり、茶を好む人に対しておすすめです。
菓子
粗供養の品物として「後に残らないもの」を考えたとき、お菓子類も選択肢のひとつとして有効です。しかしその目的などを考えて、選ぶときは羊羹やおかき・かりんとうといった和菓子を選ぶケースが多い傾向にあります。
こういった和菓子を選ぶのは、「賞味期限が長い」といった利点もあります。また、マナー的な面から考えてお菓子などの食べ物は最も適した商品です。しかしだからといって、贈られた相手が届いた粗供養の品をすぐに使ったり、飲食するわけではありません。
また、贈る相手が遠方に住んでいるケースもありますから、お菓子を粗供養の品として選ぶ際には賞味期限が短いものは避けるべきです。
タオル
タオルは消耗品であることから、粗供養の品として選ばれやすいアイテムです。また、日常生活においてあっても困らないものですから、贈られた相手が困ることが少ないというメリットもあります。
粗供養の品として販売されているタオルは、安いものだと500円から高いもので5000円程度の価格となっています。粗供養の品を選ぶ予算の相場とぴったり重なっている点においても、選ばれやすい理由になっています。
コーヒー
コーヒーは茶と同じく「後に残らないものを選ぶ」なかの飲食物として多く選ばれる品物です。理由としては、粗供養を用意する時の予算相場と価格帯が被っている商品が豊富な点です。
また、通販サイトで取り扱っているので、入手しやすいという点も挙げられす。粗供養として茶と同じくらい人気なのは、やはり贈る相手の趣向を鑑みて用意されているためと言えます。茶が苦手な人やお菓子のような甘いものが苦手な人におすすめな商品です。
海苔
粗供養で選ばれやすいものとして挙げられるのが海苔です。後に残らないもの、かさばらないという点において、粗供養の品物なかでも秀でた品物と言えます。
もうひとつ、海苔の利点として挙げられるのが「賞味期限」が長いことです。食べ物を粗供養として選んだ場合、賞味期限には注意しなければなりません。特に遠方に住んでいる人などに贈るとき、賞味期限のはやいものは傷んでしまうので、避けるのがマナーです。
しかしその点において、海苔は遠方の相手も安心して食べられる食品と言えるでしょう。また、通販でも多く扱っており、予算次第で好きなものを選びやすいのもメリットです。
ギフトカタログ
カタログギフトは昨今において人気が高まっている商品です。カタログギフトは、掲載されている豊富な商品から好きなものを選んで申し込むと、その商品が手元に届くシステムです。やはり粗供養において挙げられるメリットは、「相手が好きなものを選べる」という点です。
葬祭などの催しは、多くの人が訪れます。そのため、それぞれに合った品物を選ぶというのは、予算面を鑑みてもとても難しいでしょう。カタログギフトはそういったデメリット払拭してくれます。
また、商品は後日届くので、来てくださった人が重い荷物を持って返る必要がなくなるという点も人気の理由と言えます。配送もカタログギフトを取り扱っている会社が手続きしてくれるので、渡し忘れなどもトラブルを避けることができます。
粗供養の品の相場は?
500円から1500円
粗供養の品を用意するときの相場の平均は、「500円から1500円」と言われています。しかし、地域やその家の決まりによって変動することがあるので注意してください。
粗供養の品を決める予算の目安としては、頂いた金額の半額となっています。つまり5000円頂いた場合は2500円となり、1万円頂いた場合には、5000円となります。しかし地方によっては一律の値段で設定することもあります。
安すぎる品はマナー違反となりますし、だからといって高いものは相手を困らせてしまいます。適切な予算で粗供養の品を選ぶようにしましょう。
のしの書き方は?
関西
関西において、粗供養にはのしを掛けるのが基本です。のしは「黄白(きしろ)」と呼ばれる黄色と白で結び切りされたのものを選ぶようにしてください。関西においては、黄色と白の組み合わせが忌み事を象徴する色となっています。
書き方としてはのし上の部分に「粗供養」と書き、のし下の部分に氏名を書きます。このとき、香典返しとして粗供養する場合は喪家の姓を書き、法要引き出物の場合は施主名を書く決まりとなっていますので注意してください。
関東
関東で粗供養をする場合においても、のしは「黄白」を選ぶのが一般的です。しかし、地域の酔っては白黒のものを選んだするすることがあるので、あらかじめ確認してきましょう。
関西と大きく異なるのは、のしの書き方です。関東において、「粗供養」は「御会葬御礼」や「志」と書きます。構成は関西と同じで、のし上に名目を書いて、のし下に名前を書くのがマナーです。
粗供養のやり方は?
対象となる人は?
先にも触れたとおり、「粗供養」は「仏教に関する葬祭に出席して頂いた人や亡くなった方を供養していただいた人」を対象としています。そういった方々に施主が心ばかりのお礼として贈るのが基本です。
しかし地域によっては、施主の兄弟や身内から送るケースもありますので、行う前には必ず確認しておきましょう。
用意すべきものは?
粗供養する時に必ず用意しておくのが、「品物」と「のし」です。品物にのしをかけて相手に贈るのが基本となっていますので、このふたつは必ず用意するようにしましょう。
また、本人に直接お渡しする際には、「持ち運びできるような紙袋」を用意してください。特に遠方から来ていたり、公共機関を利用して出席して頂いた人に品物だけ渡すのは、持ち運びがしにくい点を考えてもマナー違反ですから、あらかじめ品物などと一緒に用意しておきましょう。
タイミングは?
粗供養のタイミングとしては香典返しとして当日にお渡しする場合と、満中陰と言われる四十九日後にお渡しする場合があります。当日にお渡しする場合は、先にも触れたとおり関西では「粗供養」、関東では「志」などと記載したのしを掛けてお渡しするようにしましょう。
対して四十九日後にお渡しする場合、関西は「満中陰志」、関東は「志」や「忌明志」といったのしを書きます。
粗供養の際に注意すべきポイントは?
季節や時期を考える
粗供養の品物を決める際に注意して欲しいのは、「季節や時期」です。夏や冬など寒暖が激しい時期は特に注意が必要です。もし、飲食類を粗供養の品物にする際は、気温や季節を考えて選択するようにしてください。
基本的には、気温に左右されないようなタオルなど雑貨類が無難です。また、カタログギフトで相手に欲しいものを選んでもらうようにすれば、マナー違反を避けられます。
後に残らないものにする
粗供養の品物は、「後に残らないものにする」という決まりがあります。そのため、消耗品や飲食類が選ばれるのが一般的です。しかし昨今では、相手へのお礼の気持ちを尊重し、喜んでもらうためにカタログギフトが使用されることもあります。
もし、飲食類を粗供養の品物として選んだ場合には、賞味期限に注意してください。例えば海苔などの保存食は管理もしやすく、長く賞味期限が持つという点においては無難な食品でおすすめです。
贈ってはいけないもの
粗供養では、「選んではいけないしなもの」というものがあります。特に飲食類に多いので、選ぶときは十分に注意してください。
具体例としてまず挙げられるのが「酒」です。酒は、主に祝い事として使用されるものとなっており、そういった意味合いを鑑みて粗供養にはそぐわない品物とされています。
次に挙げられるのが、「肉や魚」といったナマモノです。これは「生臭もの」言われ、不向きなものとされています。賞味期限が短いという点においても、粗供養の品物としては避けたほうが無難です。
住んでいる地域のマナーを守る
粗供養という言葉からもわかりとおり、住んでいる地域によってマナーや決まるが異なる場合があります。「自分が住んでいる地域ではこういうマナーだったから」といってそのまま行動しようとすると、マナー違反となって相手を不快にさせてしまう可能性があります。
そういったトラブルを避けるためにはまず、住んでいる地域のマナーをしっかり確認しましょう。粗供養は「相手に対してお礼する気持ち」としてお贈りする品です。相手が不快にならないように注意して、その地域のマナーを守りましょう。
粗供養を正しく理解してマナーを守ろう!
今回は、「粗供養」に関する解説を行いました。特徴的なのは、関東と関西によってルールが異なる点です。また、住んでいる地域によっては独特なマナーがあるケースもあるので、あらかじめ確認しておくことが重要です。
先に触れたとおり、「粗供養」は出席してくださった方や供養してくださった方に対する「お礼の気持ち」です。そのため、相手が不快にさせることがないように、細心の注意を払わないといけません。
贈る際は失礼のないように、しっかりとマナーや決まりを理解してから贈るようにしましょう。