49日の法要・お布施
お葬式が終わっても、そのあとにも法要がいくつかあります。ひとくくりに「法事」といわれますが、その意味としては、仏教において死者の冥福を祈り、その霊に供え物などをして祀ることを言います。また、死者の年忌などに遺族が仏事を営むことです。
一般的には、初七日・49日・百か日などですが、こんにちでは初七日を葬儀当日に合わせて行うことが多くなりました。
法事の種類
亡くなった日(命日)を1日目と考えて、7日ごとに追善供養を行います。14日目を「27日(ふたなのか)」21日目を「37日(みなのか)」28日目を「47日(よなのか)」35日目を「57日(いつなのか)」42日目を「67日(むなのか)」49日目を「77日(なななぬか)」と呼びます。
特に49日は、亡くなったかたの魂がこの世を離れる日として重要とされています。この日は僧侶を招いてお経をあげてもらいます。現代では簡略化が進み、49日のみを行うことが多くなりました。しかし地方によって習慣も違いますし、また各ご家庭によっても変わってきますから、できれば、ご親戚のかたやお寺に確認をすることをお勧めします。
お布施
「お布施」はももともと仏教において、信者が僧に財物を贈り、僧が信者に教えを説くことを指して言いました。前者を財施(ざいせ)、後者を法施(ほうせ・ほっせ)といいます。
とはいえ今では、お布施は葬儀や法事のときにお坊さんに渡すお金としてとらえられています。お葬式や法事のときにお経をあげていただいた、戒名をつけていただいた、そのお礼として、お坊さんにいくらかを包むことをお布施と考えられがちです。しかし本来はお寺のご本尊に捧げるという意味があります。
お寺は、そのご本尊を祀っています。僧侶は、ご本尊のために日々の作務を行なっているのですから、お布施は、間接的にではありますが、ご本尊に奉じていると言えます。
49日・お布施の金額
49日の法要に限らず、お布施には決まった金額はありません。前述のとおり、ご本尊に奉じるものですから、「気持ち」「こころざし」を包みます。ただし、しきたりとしての相場もありますので、49日のお布施の金額はのちに紹介します。
お布施にはどんな袋・封筒を使うの?
お坊さんに渡すお布施は正式には、中袋を奉書紙(ほうしょがみ)と呼ばれるもので包みます。奉書紙とは、上質な和紙のことです。シワがなく、肌理(きめ)が美しい物をいいます。お布施以外にも礼式・目録・儀式などに使用します。着色した色奉書紙もありますが、お布施には純白を用いましょう。
今日では、普通の白い封筒(長形)でも構いませんし、「お布施」と印刷された不祝儀袋も市販されていますから、それらをお布施に用いるのもよいでしょう。
自分で白い封筒を用意する場合は、二重封筒(中が二重になっている)は避けましょう。弔事では、重なるは忌み言葉です。また、郵便番号や切手を貼る枠がないものを必ず使用しましょう。
お金の入れ方・表書き
不祝儀袋の表側の中央より上部に「御布施」または「お布施」と書き、下部には「○○家」または施主のフルネームを書きます。
自分で用意した白い封筒を使う場合、表側にフルネームを書けば、裏側には何も書く必要はありません。市販品で、住所や氏名を書く欄があるものには、忘れずに記入するようにしましょう。
お布施に使うお札は、新札もしくはなるべくきれいなお札を入れるようにしましょう。お布施を渡すお寺やお坊さんにご不幸があったわけではないので、折り目やしわのないものを用意しましょう。入れ方は、お札の顔が印刷されている表側が上になるように、そろえて封筒に入れます。
49日法要の準備
先にも述べましたが、お葬式の後にもさまざまな法要があります。その中でも49日は、節目となる大事な法要です。
日取りを決めて、早めにお寺に依頼しましょう。一周忌までは親戚や故人の友人など、縁のある人を招待して盛大にしてもよいです。相手方の事情も考慮して、気を使わせないように招待を控えることもあります。
今は多くの方が会社勤めなどで、平日に出席するのが難しくなっています。きっちり49日に執り行うというのが無理だという場合は、前倒した都合のよい日にしましょう。あとに延ばすことはありません。会場・料理・引き物や参会者への案内状の手配も忘れずに、準備をしましょう。
香典返し
49日にはもう一つ香典返しをするのを忘れないようにしましょう。通夜・葬儀にお香典をいただいたお相手には、お礼状とともに送るか、直接持参します。最近では百貨店などで、専用のカタログギフトを扱っています。49日の忌明けのタイミングに送りましょう。
お布施の渡すタイミングと挨拶
タイミングは法要が始まる前でも、お経が終わった後でも構いません。お坊さんにお布施を渡す際の挨拶としては、「本日は○○の49日に際し、お心のこもったお勤めをしていただきまして、ありがとうございました。些少ではございますが、こちらはお礼でございます。どうかお納めください」と言葉を添えてお布施を渡しましょう。
お布施の渡し方は、お坊さんに直接手渡しをするのではなく、お盆に乗せて差し出します。切手盆、または祝儀盆とも呼ばれる、20〜30センチほどの長方形の漆塗りのお盆です。なければ小ぶりの、できれば柄のない黒っぽいお盆で代用しても構わないでしょう。
宗派別の49日の法要
仏教の中にも、さまざまな宗派があります。長い歴史の中で中国と日本仏教の中で13の宗派に分かれました。それらを総称して「十三宗」と呼びます。
日本では、華厳宗・法相宗・律宗(南都系)、天台宗・真言宗(密教系)、臨済宗・曹洞宗・黄檗宗(禅宗系)、浄土宗・真宗・融通念仏宗・時宗(浄土教系)、日蓮宗の13種類です。
同じ仏教ですので、基本的な部分で大きな違いはないでしょう。以下では日本に多いであろう3つの宗派について、お布施の金額とともに説明していきます。
浄土宗
阿弥陀仏を信仰して、その念仏を唱えて、極楽浄土に生まれて悟りを開くことを目的とした仏教の一宗派です。念仏は「南無阿弥陀仏」で、阿弥陀仏に帰依(きえ)、つまりおすがりしますという意を表しています。阿弥陀仏の浄土に救済されることを願って唱えます。
49日の法要は、お昼に精進落としを食べることを考えて、午前中に行いましょう。参会者に渡す引き物には、「志」や「粗供養」として、施主の姓だけを書きましょう。品物の金額の目安は、3,000〜5,000円ほどで用意しましょう。
49日の法要の際には、白木の位牌から黒塗りの本位牌へ入魂してもらいます。また、お墓の後ろに卒塔婆を立てます。お布施と一緒に「卒塔婆供養料」として渡しましょう。
曹洞宗
禅宗の一派です。鎌倉時代に道元が中国の宋(そう)から日本へ伝えました。念仏は「南無釈迦牟尼仏」と唱えます。
49日の法要は、僧侶の読経と、白木の位牌から黒塗りの本位牌への入魂供養を行います。本位牌は仏壇に納めます。もし仏壇を新しくした場合は、仏壇開きをお願いしましょう。
お坊さんにはお布施とお車代を用意します。精進落としを辞退されたら、代わりに「御膳料」として別に包んでお布施と一緒に渡します。
浄土真宗
「浄土」をとって「真宗」とだけいう場合もあります。阿弥陀仏を信仰しているのは、浄土宗と同じです。鎌倉時代初期に、法然の弟子である親鸞(しんらん)が始めた浄土宗の一派です。阿弥陀仏の他力本願を信じることによって、成仏することを目的としています。念仏は「南無阿弥陀仏」です。
浄土真宗では、亡くなったと同時に浄土に往生するという考えの教えです。49日目に亡くなったかたの魂がこの世を離れる、という考え方ではなく、49日の法要では、縁(ゆかり)のあったかたがたで故人を偲ぶ、という意味合いがあります。
他の宗派との違いは、黒塗りの本位牌がないということです。(白木の位牌はあります)また、戒名ではなく「法名」と言い、位牌の代わりに仏壇には過去帳があり、そこに亡くなられたかたの法名を新たに書き写します。
お布施の金額
49日の法要にいらしたお坊さんに、「お布施」を渡すのは宗派を通して共通しています。奉書紙または白い封筒に、「お布施」「御布施」と書きます。金額の相場は30,000〜50,000円が妥当な金額でしょう。お布施とは別に、お坊さんが自ら車を運転してきた場合は、お車代として5,000円〜10,000円を包みます。
卒塔婆を立てる場合も、おおよそ3,000〜5,000円ほどを包み、「卒塔婆供養料」と表側に書きます。お布施と一緒に渡しましょう。
お坊さんが49日の法要後の食事(お斎)を辞退されたら、お布施とは別に「御膳料」を包みます。5,000〜20,000円ほどですが、当日の食事の料金に見合った額でよいでしょう。
49日の法要に出席する場合
49日の法要の招待が届いたら、早めに返事を出しましょう。招待された場合は、よほどの理由がない限り出席します。
初七日(葬儀とは別に行うこともあります)や49日に出席する場合は、なるべく喪服で出席しましょう。一周忌などの年忌の法要では、地味な平服でも構いませんが、喪服のほうが間違いがないでしょう。
49日の法要に招かれたら、お供物料を持参します。生前のおつきあいの程度にもよりますが、5,000〜20,000円ほどの間の金額を包みます。「お斎代」と「引き物代」を合わせた,
10,000円くらいが相場でしょう。
不祝儀袋に入れて、「御供物代」や「御仏前」または「御香料」などが一般的な書き方です。印刷された市販品を使う場合は、該当のものを選びましょう。「御霊前」は、通夜・葬儀には用いますが、それ以降の49日・一周忌には使えませんので、注意しましょう。
納骨の時期
遺骨は一般的には、49日の法要のあとに家族・親戚・近親者でお墓に納めます。49日までにお墓が間に合わない場合は、お寺や霊園などの納骨堂に仮納させてもらいましょう。
また、土地だけはあるけれど、墓石が間に合わないときなどは、白木の墓標を立てる場合もあります。墓地が遠方にある場合で、49日の法要に納骨できないときも同じようにします。ですが、いずれもなるべく一周忌か三回忌までには埋骨するようにしましょう。
法事は大切な節目です
49日に限りませんが、葬儀や法要などは、しきたりや慣習などの決め事が数多くあります。お布施なども、決まった金額があるわけではありませんから、迷ったり悩んでしまうことでしょう。
法要の中でも、49日は重要な節目でもあります。故人を安らかに送るためにも、心を込めて粛々と執り行いたいものです。