今さら人に聞けないお香典のマナー
人は、生きている間に身近な人の「死」に直面することが少なからずあります。身近な人が亡くなるのはとても辛いことです。その人のご家族のことを思うとさらにいたたまれない気持ちになります。
ご遺族にお悔やみの気持ちを伝えるために贈るのが「お香典」です。しかしお香典は現金を贈るということもあり、相場や渡し方などのマナーが気になるところです。とはいえ、人が亡くなった時にお金の相談なんてなかなかできません。
訃報というものは突然舞い込んできます。まさに今、大事な人の訃報を聞いて「お香典どうしよう。誰にも聞けない。」と困っている方がこのページをご覧になっていることでしょう。そんな方でも安心できるように、失礼のないように、お悔やみの気持ちがきちんと伝わるお香典の渡し方をまとめました。
お香典にはどんなお札を使えばいいの?
まずは、お香典としてお渡しする現金を準備しなければなりません。その時に気になるのが「どんなお札を使えばいいのか」という問題です。例えば「新券は、前もって準備していたような印象を与えるから避けた方がいい」と聞きますが、実際のところはどうなのでしょう。
また、お香典袋にどのように入れたらいいのか、何かしらのルールはあるのか、という疑問もわいてきます。
やはり新券はダメなのか
「お香典に新券を贈るのは、前もって準備していたような印象を与えるからNG」といわれているのは、昔、新券があまり出回っておらず、準備するのに時間がかかったからです。
しかし今では、新券しか扱っていないATMがあったり、そうでなくてもATMで受け取ったお札は新券であることが多かったりと、新券を入手するのが簡単になりました。そのためか、お香典に新券をお贈りしても、あまり気にしない人もいらっしゃるでしょう。
とはいっても、昔からのしきたりを気にする人も全くいないとはいえません。やはりお香典には古いお札をお贈りした方が無難です。新券が手に入りやすくなったご時世ですから、むしろ古いお札の方が手元にない、ということもあるでしょう。そういう時は新券に一度折り目をつければOKです。
古いお札なら何でもいいの?
いくら古いお札の方がいいとはいえ、あまりにもクシャクシャだったり、周りに古い宝の地図のような切れ目が入っていたり、折り目がつきすぎて破れてしまいそうなものはNGです。
人に贈るもの、しかも亡くなられた方を悼む気持ちを伝えるお香典ですから、古いお札の中でも、できる限り綺麗なものをお贈りしましょう。
みんなが気になるお香典の相場
お香典をお贈りする時、一番気になるのが「いくら包めばいいのか」ということです。お香典の相場は、あなた自身がどれくらい稼いでいるのか、相手との関係がどれくらいのものなのか、によります。
家族・親戚
家族や親戚は、自分にどれだけ近いか、によって相場も変わってきます。
自分の両親・兄弟や配偶者の両親・兄弟
自分に一番近い両親や兄弟が最も相場が高くなります。3万円から5万円ほどで、可能であれば10万円包んでもいいでしょう。
自分の祖父母や配偶者の祖父母
祖父母もだいたい3万円から5万円程度ですが、祖父母が遠方に住んでいて、ほとんど交流がなかったという場合は、あまり多いと余計な気を遣わせてしまうので、1万円程度でも構いません。
自分のおじ・おば、配偶者のおじ・おば
おじ・おばともなると、交流の程度が人によってさらに違ってきます。よく遊んでもらった、結婚式にきてくれた、など、つながりが深かったのなら3万円、名前も顔も分からないというくらい交流がなかったのなら1万円程度でもいいでしょう。
その他の親戚
交流があったのであれば1万円から3万円程度、交流がなかったけれど、葬儀に参列する場合は3000円から5000円ほどが相場です。
ただ、遠い親戚だと葬儀に参列しない場合もあります。そういう時は、お香典をお贈りしなくてもいい、ということもあります。お香典をどうするかは、両親や兄弟、親しい親戚に相談してから決めましょう。
友人・知人
友人や知人も、つきあいの長さや交流の程度によります。
子どものころから、学生のころからの友人であれば、5000円から1万円程度です。まだ20代で社会人経験が浅いのであれば、5000円でも構いませんし、ある程度収入があるなら、1万円ほど包んだ方がいいでしょう。
地域とのつながりが深ければ、ご近所の方の葬儀に参列することもあります。やはり交流の程度によって相場は3000円から5000円、昔からの友人のように仲良くしていた方なら1万円といったところです。
会社関係
勤務先や取引先の方が亡くなった際のお香典は、特に失礼のないようにしたいものです。
勤務先の上司・同僚
相場は5000円から1万円程度、特にお世話になった上司の方が亡くなった際や、自分自身にそれなりの肩書きがある場合は、可能であれば2万円包んでもいいでしょう。
勤務先だと、お互いの収入が何となく分かってしまうところがあります。新入社員が1万円、2万円も包むとかえって心配されてしまう可能性があります。むしろ5000円程度におさえましょう。
取引先の担当者など
個人的に葬儀に参列するのであれば、相場は勤務先に準じますが、会社を代表して参列する場合(お香典の表書きを社名にする場合)は自分で判断せず、勤務先の上司や、お金を出してくれる部署(総務課など)に相談しましょう。
お香典袋はどんなものを使えばいい?表書きは?
お香典袋を準備しようとお店に行くと、実にいろいろな種類のお香典袋が並んでいます。中袋のあるもの・ないもの、すでに「御霊前」などの文字が印刷されているもの、本物の水引があるもの、水引が印刷されているものなど、パターンがありすぎてどれを使ったらいいのか迷ってしまいます。
中袋はあった方がいいの?
通常、中袋のあるものには本物の水引がついていて、中袋のない封筒タイプのものには水引の絵柄が印刷されています。
どちらかというと、水引がきちんとついていて中袋のあるものを選びたいところですが、地域によっては、「袋が二重になっていることは、不幸が重なることにつながるから縁起が悪い」としているところもあります。
家族や親戚、ご近所の方なら、事前にそういった風習をどなたかから聞き出すこともできます。お香典袋を準備する前に聞いておきましょう。
友人や会社関連の方など、風習を聞き出すのが難しい場合は、水引あり・中袋ありのものを使って構いません。どうしても気になるようであれば、中袋を破棄して外袋に直接お金を包む、という方法もあります。
御霊前?御仏前?花が描かれているものは使えるの?
お香典袋は、中袋があるかないか、水引が本物か印刷か、以外にも、「御霊前」なのか「御仏前」なのか、蓮の花や百合の花が描かれているものを使ってもいいのか、など、まだまだ私たちの頭を悩ませるポイントがあります。
「御霊前」「御仏前」、他にも「御香典」や「御花料」などの文言がありますが、これは宗教・宗派によって違います。何式の葬儀なのか、正確に確認できれば一番いいのですが、確認できそうにない場合は会場から判断しましょう。お寺なら間違いなく仏式、教会ならキリスト教式、神社なら神式と判断できます。
仏式の場合
仏式の場合は、「御霊前」と思われがちですが、実は仏教でも、浄土真宗と真宗は霊になるという考え方がないため、「御霊前」は使いません。ですからもし仏式なら「御香典」もしくは「御香料」と書きましょう。
お香典袋は、水引つきで無地のものの他に、蓮の花が描かれているお香典袋が使えます。ただし、蓮の花は仏式の場合のみにしか使えません。
キリスト教式の場合
キリスト教式の場合は、「御花料」が一般的です。「御ミサ料」という文言もありますが、それはカトリック教式のみですので気をつけて下さい。
お香典袋は、水引なしで無地のものか、もしくは十字架や百合の花が描かれているものが使えます。もしそれが手に入らなければ、よく売られている水引つきで無地のものでも構いません。なお、十字架はもちろん、百合の花もキリスト教式でしか使えませんので注意して下さい。
神式の場合
神式の場合は「御霊前」でも構いませんが、「御玉串料」「御榊料」などが一般的です。水引のついているものを使いますが、蓮の花も百合の花も使えませんので、無地のものを用意しましょう。
宗教・宗派がどうしても分からない時
宗教・宗派を人から聞き出すことができない、会場名からも判断できない、ということも当然あり得ます。どうしても分からなければ、水引つきで無地のお香典袋を使い、「御霊前」と書きましょう。
もちろん「御霊前」と書かない宗教・宗派もありますが、分からないのでは仕方がないですし、もしそういうことを気にするお家であれば、「葬儀は○○式で行います」と知らせて下さるはずです。
要は、お悔やみの気持ちが伝われば良いということです。あまり悩まず、細かいことは心配しなくて大丈夫です。
筆記用具は筆じゃなければならないのか
お香典袋を購入すると、外装の裏面に書き方の説明が記載されています。それを読むと「毛筆、筆ペンまたはサインペン」と書かれていることが多いので「サインペンでもいいのか」と思われがちですが、せめて筆ペンを使いましょう。筆文字は苦手、という方も多いでしょうが、要は気持ちですから、字のうまい・下手は気にしないことです。
お香典袋に書く文字には、薄墨を使います。筆ペンにも、薄墨で書けるものがあります。「急なことだったので、墨を真っ黒になるまですることができなかった」「涙で墨が薄くなってしまった」という気持ちを表すそうですが、どうしても用意できなければ、普通の黒い墨汁・筆ペンでも構いません。
連名にする時は
お香典袋は用意した、「御霊前」などの文言も書いた、次に悩むのが、名前の書き方です。
自分一人で、単独でお渡しするなら、自分の名前を書けばよい、ということは分かります。しかし例えば、会社や部署、サークルの代表者として葬儀に参列し、お香典はメンバーの分を一つのお香典袋にまとめてお渡しする、という時はどうすればいいのでしょう。
表に書く名前は3名まで
人数分を連名に、といっても、あまりに人数が多いと、お香典袋の表がごちゃごちゃして、決してきれいではありません。せいぜい3名までです。格が上の人から順に、右側から書いていきます。特に誰が格上、ということがないのであれば五十音順にします。書く時は、お香典袋の中心を意識しながら、バランスよく書きましょう。
3名以上の場合は、部署名やグループ名のあとに「一同」とつけて書きます。そして(後の項でも触れますが)メンバー全員の名前と住所、それぞれの金額を白い便箋に書き、お金と一緒に包みます。特にグループ名などがない場合も、ご遺族の方に故人との関係が分かりやすいように、何らかのグループ名を考えて書いた方が親切です。
家族の場合は?
家族の場合は、たとえ大家族でも「〇〇家一同」という書き方はせず、世帯主の名前だけを書きますが、夫婦ともども、故人と交流があった場合は夫婦の氏名を連名にします。
まず夫の名前をフルネームで書き、妻の名前は姓を省略して名のみを、夫の名の部分に頭を揃える形で書きます。
裏書きや中袋への記載はするべき?
お香典袋の裏や中袋に、住所や氏名、金額を書く欄がありますが、これはきちんと記入しましょう。なぜならばお香典は、ご遺族ではなく、お葬式の際に受付を担当する方が中身を改め、現金は現金で保管し、お香典袋とは別々にしてしまっていることが多いからです。
ですから、お香典袋に何も書いていないと、誰からいくらいただいたのか、がご遺族の方には分からなくなってしまいます。
お香典袋に、すでに住所などを書く欄があれば、それに従って書きましょう。金額を書く欄が横書き用であれば、頭に「¥」マークをつけてローマ数字(普通の数字)で書いて下さい。
金額を縦書きにする場合
金額を縦書きにする際は、「金〇〇圓」と書きます。
数字は漢数字にしますが、「一」=「壱」、「ニ」=「弐」、「三」=「参」、「五」=「伍」、「十」=「拾」、「千」=「仟もしくは阡」、「万」=「萬」と書きます。普段書き慣れていない漢数字を使うので覚えておいて下さい。
もし書く欄がない場合は
お香典袋に住所などを書く欄が印刷されていればそれに従って書けばいいのですが、欄がない場合も多いです。特に中袋は何も印刷されていないことがほとんどです。
欄がない中袋の場合は、まず表中央に大きく、金額を縦書きにします。そして裏の左下、1行目に住所を、2行目に氏名を書きます。
中袋のないお香典袋の場合は、裏の左下、1行目に住所を、2行目に氏名と金額を書きます。もしお香典袋自体にきれいに書く自信がなければ、別紙(白い便箋)に書いて、お金と一緒に中へ入れておいてもよいでしょう。
なお、書く欄がない場合はすべて縦書きです。横書きにはしません。
連名にした場合は?
「連名にする時は」の項でもお話ししましたが、人数が多いとお香典袋や中袋には書ききれません。別紙を用意して、それぞれの住所と氏名、金額を書いて、お金と一緒に中へ入れておきましょう。
ここは無理に毛筆にしなくても大丈夫
表書きは、毛筆や筆ペンを使って書きますが、住所や金額は無理に筆を使う必要はありません。むしろハッキリ読み取れなければなりませんので、サインペンの方が親切です。
お金の包み方や渡し方にもマナーあり
お香典袋は準備できた、表書きも裏書きもきちんと書けた、次に気になるのは、お金をどのように袋に入れたらいいのか、です。袋の部分でルールが守られていても、お金の包み方を間違っていたらちょっと残念です。
また、葬儀の場でどのようにお香典を渡せばいいのか、も気になります。初めて葬儀に参列するなら、会場でオロオロしないように、事前に渡し方を確認しておきたいところです。
お金の包み方は慶事とは真逆
表書きを書く面をお香典袋の表面、肖像画が描かれている面をお札の表面とすると、お札の裏面がお香典袋の表面にくるように、そして肖像画がお香典袋の下側にくるように入れます。結婚祝いなどの慶事とは真逆です。「悲しみのため、顔を下に向け、表には見せられない」と覚えておくとよいでしょう。
お札が複数枚になる場合は、すべてのお札の向きを揃えるようにして下さい。
お金を入れたら、封はしなくても結構です。ただ、まれに封の部分にのりが塗ってあって、それを覆うビニールがついているタイプのものがあります。その場合はそのままだときれいではないので封をしてしまって下さい。
また、後ろに上下の折り返しがあるお香典袋の場合は、まず下の折り返しを折ったあとに上の折り返しを折って下さい。折り返しが逆になると、慶事の場合の包み方になってしまいます。購入した時の状態を覚えておけば間違いありません。
葬儀会場までどう持っていく?
お香典の準備が整ったところで、いよいよ葬儀会場へ向かうのですが、お香典の持って行き方、渡し方にもマナーがあります。
お香典を裸のまま持って行ってはいけない
お香典袋をそのままバッグやカバンに入れるのはNGです。汚れや傷防止のつもりで、お香典袋の外装ビニールに戻すのもいけません。必ず「ふくさ」を使いましょう。
ふくさにはいろいろな色がありますが、弔事の際に使用するのは暗い色、薄くても地味な色です。中でも紫は、弔事だけではなく慶事でも使用できますので、一つ持っておくなら紫がお勧めです。
またふくさは、シンプルな四角形のものや、金封を置く部分に台座があるものなど、形もさまざまです。包む額が三万円以下であれば、長財布のような形のものでもいいでしょう。
ふくさでの包み方にも気をつけて
ふくさで包むのも、適当に包んでいいわけではありません。弔事の際は、ふくさが左開きになるように包みます。
長財布のような形をした金封ふくさは、ふたの部分が左側に開くようにして、お香典袋を表書きが上になるようにして入れます。
四角い布状のふくさでも、左開きにするのは同じです。ふくさを裏向きに、ひし形になるように広げ、中央よりやや右寄りに、表書きを上にしてお香典袋を置きます。そして右の角、下の角、上の角の順番で折っていき、最後に左の角を右側に持っていきながら包みます。角は裏へ折り返しましょう。
お渡しする時のマナー
お香典は、葬儀会場の受付で渡すことがほとんどです。まれにご遺族の方に直接お渡しすることもありますが、どちらの場合でもお渡しの仕方はほぼ同じです。
お渡し前の挨拶は黙礼だけでも大丈夫
お渡しする前に、何かしらのお悔やみの言葉を、と思う方もいらっしゃるでしょうが、ご遺族に直接お渡しするのではないのであれば、黙礼だけで十分です。
もしご遺族にお渡しする場合や「黙礼だけではちょっと申し訳ない。」と感じる場合でも、「この度はご愁傷様です。」という短い言葉だけ、決して大きな声でハッキリ言う必要はありません。むしろ大きな声でハッキリと、はマナー違反になります。
「この度は」だけ、相手に何とか聞き取れる程度の声で言って、あとは語尾をにごすように、自分にしか聞こえないくらいの声で構いません。
お香典を出すのはお渡しの直前
受付で並び待ちをしている間にお香典をバッグから出しておく人もいますが、それだと早すぎます。お香典を出すタイミングは、お渡し前の挨拶のあとです。後ろに人が並んでいるからと、慌てることはありません。慣れないことをするからこそ、失礼のないように落ち着いて出しましょう。
まずふくさが自分に対して左開きになるように出します。そしてふくさからお香典を取り出した後、ふくさをさっとたたみます。もし受付のテーブルの上に置けそうであれば、ふくさをそこへ置いてもいいですし、たたんだふくさをお香典をお渡しする時のお盆代わりにして、上にお香典を置いても構いません。
くれぐれも、ふくさに包んだままお渡ししないで下さい。
最後に、自分の方に向いているお香典を相手の方に向けて、両手でお渡ししします。
お渡しする時は無言でもいいの?
「こちらをお納め下さい。」「こちらをお供え下さい。」といった言葉が適当ですが、お渡し後に黙礼だけでも十分です。
どうしてもお葬式に参列できない時は郵送もOK
お香典は葬儀に持参していくものですが、訃報というものは急なものですから、たとえば仕事の都合などでどうしても葬儀に参列できない場合もあります。そういう場合は、郵送しても構いません。お香典を郵送することは失礼にはあたりませんし、むしろ「なるべく早くお悔やみを」という気持ちが伝わります。
郵送はもちろん現金書留で
郵送する際は、現金書留を使いましょう。ただし、現金をそのまま現金書留の封筒に入れるのではなく、葬儀に参列する際と同様、お香典袋に入れます。
また、現金書留は手紙を同封することも可能ですので、お香典だけ入れるのではなく、お悔やみの気持ちを書いたメッセージも同封するといいでしょう。ただ、便箋が2枚以上になってしまうのは、「不幸が『重なる』」ということで縁起が悪いので、1枚で済ませて下さい。
送り先は、葬儀会場はNGです。弔電とは違って現金書留はタイミングよく届けられるとは限りませんので、必ず喪主の方のご住所へ送るようにして下さい。
また、せっかく「なるべく早く」ということで郵送にするのですから、すみやかにお送りしましょう。1週間以内がベストです。遅くても1ヶ月以内にはお送りするようにして下さい。
自分がお香典をいただいた時は?
余談になりますが、自分の身内に不幸があり、お香典をいただいた場合のお話もしておきましょう。
お香典返しの相場は?
お香典をいただいたら、お香典返しとして何かしらの贈り物をします。忌明け(四十九日や五十日祭など)のタイミングで、いただいた金額に応じて、お香典返しをお贈りしましょう。「不幸があとに残らないように」ということで、使ってなくなるものを贈るのがよいとされています。
相場は、いただいた金額の半分程度ですが、一家の主が亡くなった時や、親族から高額なお香典をいただいた時などは、「今度の生活の足しにしてほしい」という気持ちが含まれていると踏んで、3分の1程度にすることもあります。
お香典返しの負担を減らす当日返し
お香典袋に書かれた住所、氏名、いただいた金額のデータを見ながらお香典返しを決め、発送作業をします。
ただ参列者が多数だと発送作業が大変なので、葬儀当日にお香典返しをお渡しする「当日返し」という方法もあります。お香典を受け取った際にお香典返しの引換券をお渡しし、お焼香の後の導線上にお香典返しのお渡し窓口を設けて、そこでお渡しします。
当日返しの場合は、お香典の相場からしていただく額は5000円か1万円が多いと考えて、2000円程度の品を準備します。5000円いただいた方には、それでお返しができたことになりますし、それ以上いただいた方にだけ、忌明け後に足りない金額程度の別の品をお送りすればいいので、発送作業が大幅に省けます。
お香典のお礼状も書きましょう
お香典返しを当日返しにするにせよ、あとで送るにせよ、お礼状は忌明け後、お香典をいただいたすべての方に書きましょう。お香典返しをあとで送る場合は、同封しても構いません。
自分自身で書く場合
参列者が少なければ、自分で手書きすることもできるでしょう。
和紙を使うのが一番丁寧です。お礼状用の奉書紙というものがあります。ネット通販でも入手可能です。もちろん便箋やはがきなどでも構いませんが、略式となります。
筆記具ですが、忌明け後は薄墨は使いません。無理に毛筆や筆ペンを使う必要はありませんが、せめて黒の万年筆を使いましょう。最近では、気軽に筆文字が書ける「筆文字サインペン」というものもあります。
封筒も、できれば和紙のものを使いましょう。奉書紙でできた奉書封筒というものもあります。やはりネット通販で比較的手に入りやすいものなのでおすすめです。普通の封筒を使う場合は、二重封筒は使わないで下さい。「不幸が重なる」ということにつながり、縁起が悪いとされています。
参列者が多すぎて手書きのお礼状が難しい時は
お礼状の文面を印刷してくれるサービスがあります。雛形が用意されていて、それを少しアレンジするだけでオリジナルの文面ができます。用紙の種類もさまざまです。お香典返しと一緒に送る場合は、同封もしてくれます。
こういった、大変便利なサービスもありますので、いざという時のためにも、覚えておいて下さい。
大切なのは「気持ち」です
お香典一つにもさまざまなマナーがありますが、一番大切なのは、故人を偲ぶ気持ち、そして少しでもご遺族のお力になれたら、という気持ちです。その気持ちをご遺族に伝えるために、マナーがあります。
ですから、「マナーを守らなきゃ」と必死にならなくても、大切な気持ちさえあれば、自然とマナーを守ろうとするはずです。
お香典によって伝えたい気持ちをどうか大切にして下さい。