キャッシュフロー
キャッシュフローとは、現金や普通預金、当座預金などのお金の流れのことです。企業会計における収益とは、現金の受け取りのことではありません。
キャッシュフローを知ることは、会社がお金を持っているかどうかや、どんな活動からお金を稼いでいるかを知ることなので、会社の経営状況を把握するのには欠かせません。
キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書とは、1年間で現金の増減がどのくらいあったのかを表す書類です。キャッシュフロー計算書は、2000年から証券取引法によって上場企業に作成・開示が義務付けられていますが、未上場企業や中小企業には作成の義務はありません。
しかし、キャッシュフロー計算書を読むことで、会社の入出金の実態を把握することができ、支払い能力や資金繰りが明確になるので、その重要性は高まってきています。
減価償却費
減価償却とは、企業が長期間使用する建物や設備、車両、情報システムなどの購入にかかった費用を何年かに分けて計上する会計上のルールです。
減価償却を行う理由は、損益計算書での費用として減価償却費を利益に貢献している期間に合わせるとともに、経年劣化による資産価値の減少を貸借対照表に反映させることにあります。なお、減価償却費の計算方法には「定率法」と「定額法」があります。
いったん資産計上した金額を減らす費用
購入にかかった費用を経営の1年目に一気に計上すると、1年目だけに赤字が膨らみ、2年目以降は儲かるという構図となり、経営の実態を反映しなくなります。そのため、建物や設備、車両などの固定資産を購入したら、まず資産へ計上します。
そして、利用することによりその価値が落ちていくために、法定耐用年数に応じて減価償却していきます。このように、計上した資産を経費化して償却するための勘定科目が「減価償却費」です。
キャッシュフロー計算書における減価償却費の扱い
キャッシュフロー計算書に、実際の現金の動きがない減価償却費が入ることはありません。営業キャッシュフローの作成にあたっては多くの企業が「間接法」を採用しており、税引前当期純利益に減価償却費を加算することから始まります。
これは、損益計算書で計算された利益と、実際のキャッシュフローとのズレを補正するための処理です。
キャッシュフロー計算書で減価償却費をプラスする理由
キャッシュフロー計算書で減価償却費をプラスする理由は、減価償却費を計上する時点と実際に現金が支払われる時点が違うからです。
利益は売上から費用を差し引いて計算されますが、前述のとおり、減価償却費には実際のお金の動きがありません。そのため、減価償却費を税引前当期純利益にプラスすることで、キャッシュフローを本来の金額へと補正します。
損益計算書における減価償却費の扱い
損益計算書では、建物や設備、車両などの固定資産の購入費用は、それらをいったん資産に計上したうえで、法定耐用年数に応じて、減価償却費として費用計上していきます。
なお、商品の製造に関わる工場や機械などの減価償却費は「売上原価」に含まれ、本支店のビルや設備などの減価償却費は「販売費および一般管理費」に含まれます。
財務3表
会社の経営がうまくいっているかどうかを知るためには、財産の状況、儲け、お金の流れを把握する必要があります。
このうち、財産を示す書類を「貸借対照表」、儲けを示す書類を「損益計算書」、お金の流れを示す書類を「キャッシュフロー計算書」といい、これらの3つの書類をまとめて「財務3表」といいます。
損益計算書(PL)
損益計算書(Profit&Loss Statement、略してPL)は、売り上げから費用を引いて1年間でどれだけ儲かったかを表しています。
書き方としては上から順番に収益から費用を引いて利益を計算する方法で記載されており、損益計算書を見るうえで覚えておくべき利益は次の5つです。
・売上総利益
・営業利益
・経常利益
・税引き前当期純利益
・当期純利益
貸借対照表(BS)
貸借対照表(Balance Sheet、略してBS)は、決算日時点の会社の財政状況を示す書類です。簡単にいうと、どのようにお金を集めて、何に使ったかを表しています。
貸借対照表は「資産」=「負債」+「資本」で表されます。そして、自己資本比率などを計算して企業の安全性を判断するのに利用されます。
キャッシュフロー計算書(CS)
キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statesment、略してCS)は、実際の現金の流れを示す書類で、会社の資金繰りをより明確に読み取ることができます。
貸借対照表と損益計算書には未回収の売掛金も含まれているので、すぐに使えるお金が実際にはいくら手元にあるのかが貸借対照表では正確に把握できないという弱点があります。つまり、キャッシュフロー計算書にはその弱点を補ってくれるメリットがあります。
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キャッシュフローの種類
キャッシュフロー計算書は、「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」の3つで構成されています。
各項目の意味を正しく理解することで、企業経営が健全に行われているかどうかの判断ができるようになります。3つのキャッシュフローを組み合わせて会社の経営状態を見る場合には、貸借対照表や損益計算書と併せて見たり、過去のデータと比較することが大事です。
営業キャッシュフロー
営業キャッシュフローは、会社の営業活動による現金の流れを表しています。そのため、3つのキャッシュフローの中で最も重要で、会社の本業による収益力を見る尺度になります。
営業キャッシュフローの数字がプラスであれば、本業による収益力が充分に備わっていることを意味し、マイナスであれば業績不振や不良債権、余剰在庫などがあると捉えます。
投資キャッシュフロー
投資キャッシュフローは、設備や有価証券などに投資したり売却したりした際のキャッシュの流れを表しています。一般的には、積極的な設備投資でマイナスになっていることが多いです。
そのため、マイナスの範囲が営業キャッシュフローの範囲内に収まっているかどうかを見るのがポイントになります。なお、投資キャッシュフローがプラスの場合は、資産の現金化を示しているので、手元のキャッシュ不足の疑いがあります。
財務キャッシュフロー
財務キャッシュフローは、借入や社債の発行、返済などによる現金の流れを表しています。借入や社債発行による資金調達などはプラスになり、借入金の返済や社債の償還、自社株買いなどを行えばマイナスになります。
財務キャッシュフローを見る際には、プラスマイナスの総額よりも、その内訳をチェックすることが重要です。
キャッシュフロー計算書の減価償却費について理解を深めよう!
減価償却費は、損益計算書では売上原価や販管費の中に含まれているため、全体で発生している合計金額を把握することが困難です。
しかし、キャッシュフローの中で足し戻されている減価償却費を見れば、その合計金額を知ることができるので、減価償却費が利益にどのような影響を与えているのかがわかります。
経営状況をより正確に判断するためにも、キャッシュフロー計算書でしっかりとお金の流れを把握しましょう。