退職日によって給料の金額が違う
今在職中の人が転職などを理由に退職を考えている場合、退職日をいつに設定するかについて「引継ぎが終わればOKだから月末でいいか」とか、会社から言われるままの日で同意してしまうことが多くあります。
一般的に、会社員は給料から社会保険料が控除されますが、控除される社会保険料は基本的に前月分の保険料です。この社会保険料の控除により、退職日によって貰える給与の手取り額に違いが生じることがあります。
30日に退職する場合
社会保険は月額で徴収され、日割りで徴収することはありません。従って、1日に加入しても31日に加入しても同額の社会保険料が徴収されます。
また、社会保険の資格の喪失日は、退職日の翌日と定められており、退職した月の暦日数が31日で退職日が30日の場合、社会保険の資格は翌31日となります。
前例のように30日に退職する場合、前月の社会保険料は徴収されますが、退職した当月の社会保険料は控除されません。
31日に退職する場合
前項と同じ条件で31日に退職する場合、社会保険の脱退が翌月1日となるため、退職月当月の社会保険料が発生し、前月分と当月分の2ヶ月分の社会保険料が控除され、給与の手取り額が減ってしまいます。
また、前例のような社会保険料の控除以外にも、会社の給与規程によっては、退職日に違いで給与の手取り額が変わる例もありますので、退職日を決める時は就業規程だけでなく、給与規程も確認しておきましょう。
退職日を決める前に確認する6つのこと
前項の最後に貰う給与の金額以外にも、退職日を決める前に確認しておかなくてはいけないことがあります。
退職日を決める前に確認したい事項には、退職する人が少しでも有利な退職を進めるだけでなく、今までお世話になった会社へ迷惑を掛けないためのマナーや、社内のルールに則った常識なども含まれます。
次に、退職日を決める前に確認すること6項目を順番に挙げ、解説します。
退職日を決める前に確認すること1:有給休暇の残っている日数
有給休暇の残っている日数は、退職日を決める前に確認しておきたい項目のひとつです。労働者の申請で取得できる有給休暇は、退職する前の在職中に、できる限り消化しておきたいところです。
有給休暇の残日数は、毎月受け取る給与明細書の所定の欄に記載してあることが多くありますが、給与明細に記録された日付以降に有給休暇を取得する場合もあるので、給与事務担当者などに、問い合わせて確認をしておきましょう。
退職日を決める前に確認すること2:ボーナス等の支給される日
その会社の規程などにもよりますが、ボーナスの支給は、対象となる査定期間に在籍していることが条件で、その期間中在籍していなければ、査定の対象外となります。
また、査定期間中に在籍していても、ボーナス支給日前に退職すれば、ボーナスが貰えないことも考えられます。
ただし、退職が決まっている人に対する査定は下げられる可能性が高いので、ボーナス支給日後に退職日を設定する場合は、減額も覚悟しておきましょう。
退職日を決める前に確認すること3:雇用期間の定めの有無
雇用期間の定めがない場合は、就業規則や自己都合などで退職日を設定できますが、雇用期間の定めがある雇用契約を交わしている場合、途中解約のできないことが原則となっています。
ただし、「労使いずれか一方の申し出により期間途中でも解除できる」などの規程が雇用契約書や就業規則などに織り込まれている場合や、契約期間が初日から1年以上経過した場合は使用者に申し出ることにより、任意の退職日を設けることも可能です。
退職日を決める前に確認すること4:就業規則の退職
就業規則で退職がどのように規定されているのかも、退職日を決める前に確認しておきたい項目のひとつです。
退職を申し出る場合は、退職日のどの位前までに申し出なくてはいけないのかという事は当然ですが、どのような形で退職という扱いになるのかや、退職にあたって必要な手続きなども記載されていることが多いので、必ずチェックしておきましょう。
退職日を決める前に確認すること5:退職を伝える上司
退職の意向を最初に伝えるのはどの人になるのかの確認も、退職の前に確認しておきたい項目のひとつです。
一般的な原則としては「直属の上司」と言われていますが、会社組織編成によっては、数か所の部署を1人で見ている場合もあり、常時一緒に働く人たちの中に「直属の上司」に該当する人がいないことも考えられますので、事前に会社の組織図などで確認しておきましょう。
退職日を決める前に確認すること6:会社の繁忙期
退職する際に、会社の繁忙期がいつなのかの確認はしておきましょう。就業規則に則った退職であっても、会社の繁忙期にいきなり退職してしまっては、今まで一緒に働いていた人たちに迷惑や負担が掛かりますし、退職する側としても後味の良くない退職となってしまいます。
円満な退職を行うためにも、会社の繁忙期に退職日を設定することは、避けるようにしましょう。
退職日までにしなければならないこと3つ
退職にあたり、退職日をいつにするのかというのは、自分ひとりでは決められないことがほとんどです。会社の人事や業務の進行状況などにより、自分が希望していた日から違う日になる場合も少なくありません。
円満な退職を行うためにも、退職までにしなければならないこと3項目について、次に解説します。
退職日までにしなければならないこと1:上司に退職を伝える
まず最初に、退職の意向を直属の上司へ伝えなくてはいけません。退職をする人が現在抱えている業務をどうするのか、後任人事をどうするのかなどを会社側は決める必要があります。そのためにも、就業規則に記載されている期間は守るようにしましょう。
また、退職を伝える時も、いきなり「退職したい」と言うのではなく、「少しよろしいですか」と断った上で、別室などで退職の意向を伝えるようにしましょう。
退職日までにしなければならないこと2:上司と退職日を決める
退職の意向を受け入れてもらったら、次に行うのが退職日の決定です。退職する側としての希望日もありますが、円満な退社を行うためにも、業務の引継ぎなどを行わなう必要がありますので、仕事の進行状況なども考えながら、落としどころを見つけて、退職日を決めましょう。
後任者の引継ぎ
退職予定が決まったら自分が受け持っている担当の仕事を後任者に引き継ぐ必要があります。
仕事を実際にやって見せながら説明することはもちろんですが、退職した後で「これは何だったのか」と後任者が困らないよう、資料を作るといいでしょう。
資料でまとめた上で実際にやって見せながら説明すると、漏れていた説明や引き継ぎ内容があぶり出てくるはずです。引き継ぎは完璧に終わらせるようにしましょう。
退職日までにしなければならないこと3:必要書類の提出
退職日が決定しても、退職のために必要な手続きは行わなくてはなりません。その中でも、退職届などの必要書類の提出は外せません。
民法上では、退職届のような書類は必要ないとされていますが、会社組織に属している以上、そのルールに従うのが円満に退職するための秘訣です。
退職届以外にも、提出する必要のある書類がある場合は、ルールに従って提出するようにしましょう。
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退職の際に必要な手続き3つ
退職が受理され、退職届など必要書類の提出が終わり、退職の日を待つだけであっても、退職の際に必要な手続きがあることを忘れてはなりません。基本的には、社会保険に関連した手続きになりますが、その内容は以下の3つが挙げられます。
退職の際に必要な手続き1:年金の手続き
退職したら、今まで加入していた厚生年金保険からは脱退することとなり、代わりに国民年金に加入することになります。退職日の翌日以降、市役所の年金課へ年金手帳や認印を持参して手続きを行いますが、脱退証明書は会社から発行してもらう必要があります。
厚生年金脱退証明書は、比較的早く発行してもらえることが多いので、退職の際は、厚生年金脱退証明書がいつ発行してもらえるかの確認をしておきましょう。
退職の際に必要な手続き2:健康保険の手続き
健康保険も同じく、退職したら会社の加入していた健康保険から国民健康保険へ切り替えとなります。基本的には年金の手続きと同じで、同じ窓口で年金と健康保険の手続きを同時に行ってくれる場合も多くあります。
また、健康保険には任意継続制度があり、保険料を全額自己負担で支払うことにより、会社で加入していた健康保険に、最長2年間個人で加入し続けることもできます。
退職の際に必要な手続き3:失業保険の手続き
退職後に次の仕事が決まっている場合は不要ですが、失業保険の手続きも、退職の際に忘れてはいけない手続きです。離職票は、失業保険の手続きにあたり重要な書類となりますので、必要な場合はいつ頃郵送してもらえるかの確認をしておきましょう。
一般的に離職票は、有給休暇消化期間を含んだ退職日以後、10日から2週間後に発行される場合が多いです。
退職日には円満に退職出来るようにしておこう
退職は、退職する人がそれまでにその職場で、どのような関係を築いてきたかが現れる傾向があり、円満な退職のできる人は、退職日の決め方はもちろん、退職の際の有給休暇の消化や必要な手続きなどにおいても、周りの人に配慮もされる傾向も伺えます。
退職日に円満な退職ができるよう、退職日に関する知識だけでなく、普段からの人間関係についても、学び心掛けておくようにしましょう。