退職届は代筆でもいいの?
代筆した退職届は無効になるため、原則自分で書かなければなりません。
退職届は「会社を辞めたい、退職したい」という意思を表明する書類なので、第3者が代筆することは許されていません。状況によっては認められる場合もありますが、それ以外での代筆はやめましょう。
企業側が代筆することも、退職希望者本人が誰かに代筆してもらうことも、退職届としての効力が失われてしまうからです。あくまでも本人が描いた退職届のみが受け付けられます。
退職届の代筆は無効
原則として、代筆された退職届は無効扱いにされる可能性が高いと言えます。
基本的に代筆の退職届は有効にはなりません。その理由は、本人の同意を確認できないためです。本人の希望があって誰かに退職届を書いてもらったとしても、その書類が本当に本人の同意を得て書かれたものなのかが判断できません。
そのため、代筆したのが家族でも配偶者でも、退職届の効力を発揮することは不可能とされています。
本人の意志によらず退職届を出すと後でトラブルの危険あり
退職届を本人の意思を無視して提出すると、民事上のトラブルにつながる可能性があります。
退職したい本人の同意や了承なく退出届を代筆することは、偽造にあたる危険性が高いためです。そもそも退職届とは、従業員が会社側に提出してはじめて意思表示の意味を持ちます。仮に本人から代筆の依頼があっても応じるべきではありません。
本人が退職届を提出できない状況例と対処法4つ
退職届を本人が提出できない場合、代筆以外の対処法があります。
本人が退出届をどうしても提出できない状況が出てきたとき、一体どうすればいいのか悩んでしまう場合もあるでしょう。下記では、本人が退職届を提出できない状況4選と対処法4選をピックアップして解説します。
退職届を提出できない状況例1:本人が病気で意識がない
交通事故や病気により本人の意識がない場合、退職届を提出できません。
退職希望者本人の意識がない状態が長期にわたり続くというケースも考えられます。実際に家族が「退職させたい」と相談をする状況もあります。中には家族が代筆した退職届を送付してきた事例も存在しています。もちろん無効となり受理はできません。
休職規定によるが休職満了後自然退職
本人の意識が戻らず退職届を書けない場合、休職期間を満了後退職になります。
休職に関する規定がどのように定められているかによりますが、休職期間を満了し、それでも職場に復帰することができない場合は解雇の手続きに移行します。休職期間は会社によって長さに違いがあるため、就業規則の確認が必要です。
退職届を提出できない状況例2:本人が拘留中
なんらかの理由で拘留されている場合も、退職届を本人が提出することは不可能です。
拘留されている間、裁判所から接見を禁止されるケースがあり、該当する場合は家族ですら面会はできません。弁護士のみ面会が許されており、拘留されている本人とのやり取りは弁護士に委ねなければならないでしょう。
本人に書いてもらい委任状と共に代理人が提出
本人が退職届と委任状を書き、代理人に提出してもらうことはできます。
拘留されているため本人が退職届を提出することは不可能ですが、代理人による提出は問題ありません。ここで注意しなければならないのは、代理人に許されているのはあくまでも提出のみということです。
代理人による代筆は無効になりますので、必ず本人が書かなければなりません。
退職届を提出できない状況例3:本人が長期入院中
退職希望者本人が長期入院中の場合も、退職届を提出することができません。
退職届は会社に出向いて手渡しをするのが原則なのですが、入院中の人に「会社まで来て退職届を提出してください」とは言いづらいものです。退職届を郵送で送付するという方法もありますが、会社の就業規則によっては許可していないケースもあります。
こういった場合の解決方法もありますので、下記で確認してみましょう。
本人に書いてもらい委任状と共に代理人が提出
本人が長期間入院している場合も、代理人による提出が可能です。
その際、本人が書いた委任状も必要になります。委任状と退職届を本人が書き、その2通の書類を代理人が提出すれば有効性を損なうことはありません。重要なポイントは、あくまでも本人が書類を書くという点です。
退職届を提出できない状況例4:本人が行方不明
本人が行方不明になってしまっている場合も、退職届を提出することができません。
本人に連絡がとれない場合でも、退職届の代筆は避けた方がいいでしょう。仕事を続けられる状態ではないことが明白になっていますが、本人の意思確認がやはり重要だからです。代筆した書類で退職にした場合、本人が戻ってきた際、トラブルにつながる危険性があります。
こういった場合は代筆以外の方法で退職処理をしましょう。
一定期間経過後に退職として処理する
本人が行方不明になったあと、一定の期間が過ぎると退職として処理ができます。
本人が行方不明になった際、まずやることは就業規則の確認です。行方不明者に関する規定があれば、それに従いましょう。規定が特にないのなら、本人が無断欠勤をした日を退職の意思が示された日とみなし、退職の処理を進めてください。
無断欠勤が続いている間も、本人に連絡をとり続けることを忘れないようにしましょう。
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退職届として有効なもの3つ
退職届として有効になるのは、書面・口頭・メールの3種類です。
就業規則により対応はさまざまですが、基本的には退職希望者本人が「退職をしたい」という申し出を行い、会社が承諾をすれば合意となります。下記では、それぞれの退職届について、詳しく解説をしていきます。
退職届として有効なもの1:書面
退職届として有効なものは、書面です。
退職の意思を明確に残しておけるため、確実な証拠となるのが書面での退職届です。就業規則に退職の届け出を義務付ける記載があるか、事前に確認しておきましょう。会社によっては、郵送での退職届を認めていない場合があるからです。
退職届として有効なもの2:口頭
口頭で退職の旨を伝えることも有効です。
実は退職届として有効になるのは書面だけではありません。就業規則に「退職届は書類のみ受付」という記載がなければ、口頭で伝えても有効になります。しかし口頭の場合はトラブルに発展しやすいことも事実です。
「退職すると言った」「聞いていない」といったやり取りが発生することも考えられます。
退職届として有効なもの3:メール
退職届はメールでも効力を発揮するため有効です。
メールでの退職届はビジネスマナーとしてあまりよしとされていません。しかしメールでも書面や口頭と同じように効力を発揮するため、メールだから退職届にならないということはありません。
しかしメールでの退職届はあまり浸透しておらず、会社側の対応が遅くなることも考えられます。メールだけではなく、内容証明郵便と併用したほうが確実です。
就業規則に違反しても退職自体は認められる
メールでの退職届は就業規則に違反する場合がありますが、退職自体はきちんと認められます。
とはいえ、メールを破棄されてしまう危険性もあります。退職の意思を示したという証拠が消されてしまうことも考えられますので、コピーを保存しておきましょう。またメールでの退職届に応じてもらえない場合は専門家に相談するのも1つの方法です。
退職届の代筆は無効なのでしかるべき手段で対処しよう
代筆の退職届は無効になってしまうため、それぞれの状況に合った対処をしましょう。
退職したいと考える理由は人それぞれで、状況も違っています。自分で退職届を書けない場合もありますが、誰かに代筆してもらった退職届では無効とされてしまうので、必ず自分で書くようにしてください。
また退職処理の進め方も就業規則に左右されることがあります。退職届で困ったときは、まず就業規則の確認をしましょう。