ビジネス上の言葉遣い
ビジネス上の言葉使いや言い回しを適切にするには、敬語の使い方をマスターする必要があるでしょう。敬語には丁寧語や尊敬語と謙譲語があり、それぞれの違いや言い間違いには注意しなくてはいけません。それぞれの敬語の意味について説明します。
丁寧語
丁寧語とは、話し手が聞き手に対し直接尊敬する意思を示す語句や、物を表す名詞を上品に表す言葉をいいます。
敬意を示す語句の例としてビジネス用語で「です」「ます」「ございます」のように、文末に用いて相手に丁寧な言い回しをする時に使われることが多いです。
上品に表す語句には「ご飯」「お水」「お米」のように、名詞の頭に「お」や「ご」を付けて表します。物を上品に表すので、「美化語」として区別する場合もあります。
尊敬語
尊敬語は、話し手が相手の動作や相手に関する物事などについて、敬意を高める形で使われる語句を指す、ビジネス用語で使われる言い回しです。
「お出でになる」「お越しになる」「ご利用になる」のように「お(ご)~なる」という形や、「なさる」「いらっしゃる」などの動詞の語句があります。
名詞に「貴」「賜」「御」という語句を付けて使うこともあります。「貴社」「御社」「賜り物」「御厚情」などの例が見られます。
謙譲語
謙譲語とは、話し手である自分の立場を低めて、相手の立場を高めて敬意を表す敬語です。ビジネスの場では社外の人に対して話をする際に、自分以外に自社の上司や経営陣の立場をへりくだらせる言い回しで使われます。
名詞では「弊社」「小社」などの言葉や「参る」「いたす」「拝見する」「拝聴する」「申す」という動詞もあります。「お~いただく」という場合は「お越しいただく」「お目にかかる」などがあります。
よく使う言葉のビジネス上の言い回し6選
勤務先や取引先での話し言葉やビジネス文書などでの書き言葉など、ビジネスの場では敬語の正しい使い方が問われる場面が多いでしょう。仕事で使える敬語の言い回しについて6つ例を挙げて紹介します。
よく使う言葉のビジネス上の言い回し1:「考えます」
「考えます」には「ます」という丁寧語が付いています。仲の良い先輩や直属の上司なら問題ないでしょうが、経営陣や取引先の場合は、子供っぽい印象を与える言い回しになるでしょう。
「検討いたします」という言葉を使うと丁寧語の上に「いたす」という謙譲語をつけられるため、相手への敬意が高められます。「検討」には「よく調べて熟考した上で判断する」意味があり、時間をかけて考えるというニュアンスを持たせられます。
よく使う言葉のビジネス上の言い回し2:「頑張ります」
「頑張ります」は小学生でも使うことがあるため、社外の人に話をしたり、ビジネス文書で使ったりすると幼稚な印象を与える場合があるでしょう。
「頑張ります」に代わる言い回しとしては、「尽力いたします」「努める所存でございます」「一生懸命励んで参ります」などのように謙譲表現と丁寧語の文末を組み合わせた言い回しが適しています。
よく使う言葉のビジネス上の言い回し3:「すごい」
「すごい」は誉め言葉で使う言葉です。誉めるのは目上の人から立場が下の人に向かって行うことで、自分の方から取引先や上司に使うには不適当な言葉でしょう。
「すごい」の代わりにビジネス上で使える言い回しは、「感服いたします(しております)」「敬服いたします(しております)」「感銘を受けました」で、尊敬表現を使って相手を敬うことができます。「感銘を受ける」については、ひと続きの言葉で慣用的に使われます。
よく使う言葉のビジネス上の言い回し4:「本当に~」
感謝をする時や謝罪をする時に強調する意味で、文頭に「本当に~」持ってくる使い方をします。この言い回しはくだけた話し言葉のため、目上の方にビジネスの場で使うと失礼です。
「本当に~」に代わるビジネス上の言い回しは「誠に~」で表現できます。「誠に」には「本当に」という意味がありますし、「誠」の漢字で「嘘偽りのない心」や「まごころ」を表しています。心からの思いを強調するのに失礼のない言葉でしょう。
よく使う言葉のビジネス上の言い回し5:感謝を述べるとき
ビジネスの場で口頭で伝える場合、「感謝申し上げます」、少し砕けた言い方なら「感謝いたします」という言い回しがあります。「誠に」は副詞なので、「感謝」を修飾できません。感謝の気持ちを強調するなら「誠にありがとうございます」と使います。
スピーチやビジネス文書の言い回しなら「御礼申し上げます」「感謝申し上げます」「感謝の念に堪えません」などがあります。「感謝」以外に「深謝」「拝謝」も用いられるでしょう。
よく使う言葉のビジネス上の言い回し6:謝罪するとき
謝罪をする時には心を込めて謝り、誠意を感じてもらえるようにします。丁寧語を使った「申し訳ありません」よりも、より敬意を感じる「申し訳ございません(ございませんでした)」の言い回しの方が、ビジネス上の謝罪の言葉にふさわしいです。
仕事のミスで迷惑をかけ、一刻も早く取引先にメールを送信する場合は「心より深くお詫び申し上げます」のように、謙譲表現を使った言い回しを用いると心証が良くなるでしょう。
あなたの会社に仕事の生産性をあげる「働き方改革」を起こしませんか?
名刺が多すぎて管理できない…社員が個人で管理していて有効活用ができていない…そんな悩みは「連絡とれるくん」で解決しましょう!まずはこちらからお気軽に資料請求してみてください。
ビジネス上の敬語での注意点
ビジネス上で敬語を使う際には、間違った使い方をしないように十分に注意する必要があるでしょう。会話をした時に言い回しを間違えると、顧客を失う可能性があります。
ビジネス文書で適切な言葉の使い方ができないと、相手から馬鹿にされることもあるため、しっかりと確認を怠らないようにしましょう。
ビジネス上の敬語での注意点1:過剰な敬語
過剰な敬語の例に「重言」(同じ意味の言葉を重ねること)があります。
ビジネス文書の例で、相手の健康を気遣う締めくくりの文章に「くれぐれもご自愛ください」という言い回しがあります。「ご自愛」で、自分で自分の体を大事にすることという意味です。
「お体にご自愛ください」と使うと、「自分の体」という語句の意味が重なっています。重言は表現が回りくどいため、正しい意味を確認して使わないように注意しましょう。
二重敬語
二重敬語とは、敬意を表す動詞に敬語表現を重ねて使うことです。丁寧すぎて嫌みに取られるため、避けた方が良いでしょう。
二重敬語には「~られる」と助動詞を付ける、丁寧語の「お」を付けるなどの例があります。「仰る」を「仰られる」、「ご覧になる」を「ご覧になられる」、「承る」を「お承りしました」などが挙げられます。
二重敬語でも「お召し上がりになる」「お伺いする」のように誤用が広まって使われる語句もあります。
ビジネス上の敬語での注意点2:間違った敬語
誤用例には「~させていただく」「~になります」などがあります。
「~させていただく」は相手の許可を得る言い回しで、謙譲の意味で使う方も多いです。「頑張らせていただく」の場合、自分が頑張るために相手の許可を得るという押しつけがましい表現になります。
「~になります」のビジネス上での誤用例は、顧客に飲み物を出す時に「コーヒーになります」という言い方があります。「コーヒーでございます」が正しい言い回しです。
ビジネス上の言い回しについて正しく理解しよう
ビジネス上で正しく尊敬の言い回しをしないと、自分が恥をかくだけでなく、会社全体がどのような社員教育をしているのかという印象を持たれる恐れがあるでしょう。常日頃、言葉を正しく使えるように注意する必要があります。
ビジネス上で使える言い回しを覚えるのに、手元にビジネス文書のテンプレートや書き方が記載された辞書や、話し方やスピーチなどの例が載った書籍などを用意するとよいでしょう。