行動理論から紐解かれるリーダーシップ像3つ|行動理論の活用方法3つ

ビジネスマナー

行動理論

組織のリーダーは、組織に一定の目標を設定し、組織を統率しつつ目標を遂行します。組織が最小コストで最大値の目標を達成するためには、リーダーの能力・力量・統率力などという資質(リーダーシップ)のあり方が問われます。

このリーダシップのあり方の研究は1900年代からアメリカを中心に行われ、リーダーと成員の関係やリーダーに要求される機能など踏まえた「行動理論」を中核として、さまざまな研究がなされています。

行動理論の意味

「行動理論」は、ある一定の目標を持つ組織において、その成員に影響を与えるリーダーの行動パターンを定義する理論を言います。

「行動理論」は1940年代から提唱され、、リーダーがとる行動に注目し、リーダーのさまざまな行動を分析して、最良のリーダーシップを求めます。「行動理論」は、リーダーを取り巻く環境を重視した「条件適合型理論」や「コンセプト理論」の概念など派生しつつ現在に至っています。

リーダーシップと行動理論

近年、業務の細分化、専門化、高度化などにより、組織がリーダーに求める機能も複雑化していて、行動理論で定義されるリーダーシップでもさまざまな類型が提示されています。

組織目標の達成(生産性)を重視した組織のリーダーシップでは、計画性・実行力・判断力・知識などが求められ、凝集性(結束力、団結力、一体感など)を重視した組織のリーダーシップでは、統率力・人間的魅力・共感性・包容力などが求められます。

行動理論から紐解かれるリーダーシップ像3つ

行動理論から分析されたリーダーのさまざまな行動パターンの定義は、リーダーを取り巻くビジネス環境の違いに対応していくつかのタイプに類別することができます。

行動理論を主として、条件適合理論やコンセプト理論のリーダーシップの概念も縦覧しながら、3つのタイプのリーダーシップを紐解いていきます。

行動理論から紐解かれるリーダーシップ像1:委任型リーダーシップ

「委任型リーダーシップ」では、メンバーの行動に対しリーダーは関与を抑制します。また、組織の意思決定や作業のプロセスについてもメンバー全体の意思を尊重します。

このようなリーダーシップは、研究開発部門などメンバーのレベルが高い専門集団などに効果的ですが、度が過ぎた委任はセクションのまとまりを欠き、メンバーのモチベーションを下げ、仕事の質・量の低下を招く可能性があります。

行動理論から紐解かれるリーダーシップ像2:指令命令型リーダーシップ

「指令命令型リーダーシップ」では、リーダーはメンバーにビジョンを示して、スピードと統率力でメンバーを組織目標達成に向けてけん引し、そのリーダーシップ機能が効果的に発揮されると会社事業の飛躍的発展など期待されます。

その反面、このリーダーシップでは、リーダーの判断ミスが組織に致命的なダメージを与える危険性があるほか、メンバーの自主性が失われたり、モチベーションが下がるなどのデメリットも考えられます。

行動理論から紐解かれるリーダーシップ像3:相談型リーダーシップ

「相談型リーダーシップ」では、リーダーはファシリテーター(進行役、司会者)の役割を担い、セクションの方針決定などでは、メンバーの自律性を重視して、メンバー全体で討議して方針を決定します。

このリーダーシップでは、リーダーはサポート役に徹し、作業の要領やプロセスの決定はメンバーに委任する形をとりますが、そのリーダーシップ機能は組織として安定した状況や成長度合いが見られる場面で効果を発揮します。

行動理論のパターン軸2つ

リーダーシップ論のメインストリームである行動理論においては、相対的な行動パターン軸でリーダーシップ行動を定義しますが、この定義で「業績・仕事」の結果軸と「人・組織」の要因軸のどちらを重視するかでリーダーシップ行動を分類します。

このような行動パターン軸を採用している行動理論の代表的モデルとしては、「ミシガン大学研究モデル」や「マネジリアル・グリッド・モデル」が挙げられます。

行動理論のパターン軸1:ミシガン大学研究モデル

ミシガン大学研究モデルは、「生産」重視と「従業員」重視という2つの相反する行動パターン軸でリーダーシップ行動を定義する行動理論の2軸モデルで、行動理論の代表的モデルとなっています。

このモデルの実証研究により、「生産」重視のリーダーシップより「従業員」重視のリーダーシップが業績向上する結果が証明されました。

行動理論のパターン軸2:マネジリアル・グリッド・モデル

マネジリアル・グリッド・モデルは、「生産業務に関する関心度」と「人間に対する関心度」という2つの相反する行動パターン軸でリーダーシップ行動を定義する行動理論の2軸モデルで、代表的な行動理論のモデルの一つです。

このモデルでは、リーダーの自己評価と部下の評価を止揚して81パターンのリーダーシップの分類を行い、あるべきリーダー像に向けてどのような自己革新が必要かを分析・実践していくことを目的とします。

行動理論の限界

行動理論は1940年代から提唱され、リーダーシップ論の中核的理論として今もって社会の各分野で活用されている理論です。

行動理論におけるリーダシップの行動パターンは、あるべきリーダー像を提示してくれますが、実際のビジネスシーンでは、行動理論の範疇外であるタスク・環境などの外的要因もリーダーシップに影響を与えます。この部分は行動理論で十分説明できない限界となっています。

あなたの会社に仕事の生産性をあげる「働き方改革」を起こしませんか?

名刺が多すぎて管理できない…社員が個人で管理していて有効活用ができていない…そんな悩みは「連絡とれるくん」で解決しましょう!まずはこちらからお気軽に資料請求してみてください。

行動理論の活用方法

行動理論の活用方法として、自分のリーダーシップに関し結果軸と要因軸の相対的な2軸のどちらを重視しているかを自己認識し、その得手な機能のさらなる強化や不得手な機能の弱点の克服を図ることができます。

このような行動理論の活用は、人材育成・能力開発や人材管理能力の向上、リーダーシップ力の強化など幅広いビジネス・シーンで見られます。

行動理論の活用方法1:人材育成・能力開発

PM理論では、リーダーシップを「目標達成能力」と「集団の維持能力」の2軸で評価して、最高評価のPM型(目標達成能力・集団維持能力が強い)からPm型(集団維持機能が弱い)やpM型(目標達成能力が弱い)など4パターンに分類します。

PM理論では、pM型やPm型が組織内でどの役割に適しているか、そしてこのタイプの人材がリーダーとなるにはどうすれば良いかなど、人材育成・能力開発面での議論が可能となります。

行動理論の活用方法2:人材管理能力の向上

マネジリアル・グリッド・モデルでは、リーダーシップの行動を「人間への関心」「業績への関心」の相対軸毎に9段階に分別し、そこに組み込まれた8:1のグリッドから典型的な5つのリーダーシップ類型を分類します。

理想のリーダーシップ類型である「9.9型(業績にも人間にも最大の関心を示す)」の資質を有する優秀な人材の確保や適切な人事配置など行い、行動理論を活用した組織の人材管理能力の向上を図ります。

行動理論の活用方法3:リーダーシップ力の強化

ミシガン大学研究モデルでは、「生産」重視と「従業員」重視という2軸モデルでリーダーシップ行動を定義します。

このモデルの実証研究により、「生産」重視のリーダーシップより「従業員」重視のリーダーシップが業績向上に資する結果が証明されており、組織における教育・研修などで本モデルを活用したリーダーシップ力の強化を図ることができます。

リーダーシップと行動理論について理解を深めよう!

行動理論は、リーダーの行動パターンのさまざまな分析を通じて、組織にあるべきリーダー像を提示してくれます。

組織がその目標を追求し達成しようとするプロセスに決定的影響を与えるリーダーシップの本質について理解を深め、リーダーシップ力の向上を目指しましょう。

タイトルとURLをコピーしました