身元保証書とは?
「身元保証書」は、その者が誠実に勤務すること、万が一会社に損害を与えた場合は身元保証人が連帯責任を負うことを記した書類です。
身元保証書は、就業経験がある人にとっては馴染みのある書類といえます。現在学生の方は、恐らく将来目にする機会があるでしょう。
本記事では、身元保証書の内容や必要になるケースなどについてご紹介していきます。
どこで必要になる書類?
身元保証書は、入社時に会社へ提出する書類です。
入社を希望し採用された場合、会社から様々な書類の提出を求められます。主なものとして、履歴書や身上調書、健康診断書、住民票が挙げられます。
入社する労働者について「法令を遵守して誠実に勤務すること」、「故意または重大な過失によって会社に損害を与えた場合は連帯責任を負うこと」を身元保証人が誓約するものです。
会社によって提出する書類の種類や数は異なりますが、身元保証書が必要な会社は数多く存在します。
就業規則で定めている書類
身元保証書は、就業規則で定められている書類です。
就業規則とは、賃金や労働条件などその会社で働く上でのルールを定めたものです。常時10人以上の従業員を雇用している会社は、労働基準法により就業規則の作成が義務付けられています。
身元保証書が必要な会社の場合、就業規則の雇用関連の項目にて身元保証書の提出や提示について記載しています。
身元保証書の保証期間
身元保証書の保証期間は最長5年です。
原則として3年、期間を定めた場合は5年が上限とされており、5年を超える契約は保証期間5年としてみなされます。
身元保証人は、労働者が故意または重大な過失によって会社に損害を与えた場合に連帯責任が課されますが、損害全ての責任を負うものではありません。
しかし、労働者の不正行為の抑止を図るために身元保証書の提出を義務付けている会社も多く、身元保証契約を締結する大きな目的といえるでしょう。
身元保証人になれる人物とは
身元保証人になれる人物は、会社ごとに定められています。
身元保証人は、労働者が誠実に勤務することなどを誓約する立場にあるため、誰にでも資格があるわけではありません。
両親が身元保証人になるケースが多いですが、会社によっては二親等以内の親族を除く場合もあります。
その他にも、「労働者が未成年である場合は、親権者や後見人を選出」、「親族以外」、「身元保証人を2人立てる」など会社によって様々です。
そのため、勤務先によく確認することが必要です。
身元保証人がいない場合の対処法
身元保証人がいない場合は、まず勤務先である会社に相談しましょう。
身元保証人の資格は会社によって異なります。両親の場合は頼みやすいですが、三親等以上の親族、親族以外を指定される場合もあります。
また、保証人代行サービスを利用する手段もあります。
保証人代行サービスとは、賃貸物件契約時に保証人代行会社に保証料を支払うことにより、連帯保証人を立てなくても物件が借りやすくなるというものです。
しかし、会社によっては認められない場合もあるので利用前に必ず確認・許可をとりましょう。
身元保証書の正しい書き方5つ
身元保証書は入社時に提出する書類のため、書く頻度があまり多くない書類といえます。そのため、身元保証書の記載方法についてお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、身元保証書を正しく書くための5つのポイントをご紹介します。
身元保証書の正しい書き方1:日付
身元保証書には、基本的に入社日または提出日を記入します。
会社から特に指定がない場合は、署名日を記入するなど、入社日や提出日以前の日付でも問題ありません。
また、入社日より後の日付を書いた場合、修正しなければならない可能性があります。
身元保証書は契約として効力が発生します。いつから効力が発生するのかという観点から、日付は非常に重要となります。記入漏れのないように十分に注意しましょう。
身元保証書の正しい書き方2:現住所
身元保証書の住所欄には本籍ではなく現住所を記入します。郵便番号は記入欄がなければ書かなくても問題ありません。
また、独り暮らしをしていて住民票を移していないという人もいるでしょう。多くの場合は身元保証書とあわせて住民票を提出するため、現在の居住地を書くと両書類の住所が一致しないという問題が出てきます。
その場合は会社の担当者に相談するようにしましょう。
身元保証書の正しい書き方3:生年月日
身元保証書には、労働者の生年月日を記入します。
身元保証書に「○○年○月○日生」といったように記入欄が設けられている場合は、その書式に従い記入するようにしましょう。
また、「昭和・平成」、「S・H」のように和暦を○で囲むタイプの書式もあります。
労働者だけでなく、身元保証人の生年月日を記入する場合もありますので、記入漏れのないように注意しましょう。
身元保証書の正しい書き方4:印鑑
身元保証書には、労働者および身元保証人の印鑑が必要です。
後述の「身元保証書を書く際の注意点」でもご説明しますが、必ずシヤチハタ以外の印鑑を使用しましょう。
特に指定がなければ、認印で問題ありません。認印とは、市区町村に届出している印鑑、銀行に届出している印鑑以外のものを指します。
労働者と身元保証人の印鑑は別のものが望ましいです。両親など労働者と同居している人が身元保証人の場合であっても、別の印鑑を用意するようにしましょう。
身元保証書の正しい書き方5:続柄の書き方
身元保証書には、続柄を記入します。
続柄は、その人との関係を指すものです。「ぞくがら」と読まれることが増えていますが、正しい読み方は「つづきがら」です。
身元保証書には、労働者から見てどのような関係であるのかを記入します。両親の場合は、「父」、「母」、配偶者の場合は「夫」、「妻」と書きます。
身元保証書を書く際の注意点3つ
身元保証書を書く際には、不備や再提出を防ぐために注意すべき点があります。
ここでは、身元保証書を書く際の3つの注意点として「直筆で書く」「西暦か和暦どちらかに統一する」「シヤチハタの印鑑は不可」についてご紹介します。
身元保証書を書く際の注意点1:直筆で書く
身元保証書は、必ず直筆で書きます。
直筆とは、自分自身で書いたものを指します。身元保証書の場合は、労働者の氏名住所等は労働者本人が記入し、身元保証人欄は身元保証人自身が記入します。
身元保証人欄を労働者が代筆することは厳禁です。必ず身元保証人本人に書いてもらいましょう。
身元保証書を書く際の注意点2:西暦か和暦どちらかに統一する
身元保証書に記入する日付は、西暦・和暦のどちらかに統一しましょう。
身元保証書の日付は、指定がなければ西暦と和暦のどちらを書いても問題ありません。その場合、記載する日付や生年月日の年号を西暦・和暦のどちらかに統一しましょう。
会社によっては身元保証人の生年月日を記入する場合もあるので、記入を依頼する際に年号の書き方を指定しておくと良いでしょう。
身元保証書を書く際の注意点3:シヤチハタの印鑑は不可
身元保証書には、シヤチハタの印鑑を使用することができません。
シやチハタは、印章やスタンプ等の製造メーカー「シヤチハタ株式会社」が由来となっており、朱肉のいらないインク浸透タイプの印鑑のことをいいます。
シヤチハタは印面がゴム製であることから経年劣化により印影が変化する可能性があります。このため、契約書や役所に提出する書類にはほぼ使うことができません。
身元保証書には朱肉を使用するタイプの印鑑を使用しましょう。
身元保証書の書き方をマスターしよう
身元保証書は、入社時に提出する大切な書類です。
これから自分が働く会社に対し、誠実に勤務することを証するものです。提出期限を守り不備のなく作成することで、会社にも良い印象を持ってもらえるでしょう。
本記事では、身元保証書の詳細、書く際のポイントをご紹介しました。ぜひ参考にしてみて下さい。