フィードフォワードとは
フィードフォワードとは、ビジネスシーンで利用される人事用語で、人材育成の手法のひとつです。
「より良い未来や結果に向けて当事者たちで意見を出し合い、取り組むべき改善点や解決方法を導き出す」という方法論であり、既にビジネスシーンで浸透している「フィードバック」の対にあたる言葉です。
ここでは、フィードフォワードの意味や目的、メリットについて紹介していきます。
フィードバックとの違い
フィードバックでのアドバイスとは「過去を振り返ってそこに問題点や欠点がなかったかを指摘する」という性質上、アドバイスを受ける側にマイナス感情が生まれる原因ともなりうるものでした。
フィードフォワードは、「より良い結果を得るための前向きなアドバイス」「当事者の主体性や自主性を尊重したアドバイス」を指します。
過去の振り返りではなく、未来にフォーカスしているのがフィードバックとの違いです。
フィードフォワードの目的3つ
企業組織においてフィードフォワードの手法が用いられるのは、狙っている目的に高い効果が得られると考えられているからです。
ここでは、フィードフォワードによって目指す主な目的を3つご紹介します。
フィードフォワードの目的1:若手の人材育成
若手社員を育成するにあたって、問題点や欠点を指摘し、改善を求めるだけの方法を取っていると、結果として「指摘や指示がなければ行動ができない」という、自主性のない人材に留まってしまいます。
フィードフォワード型の育成方法を用いるのは、現代の企業で求められる、「自身で考え、実践する、主体性を持った人材」を育成するという目的があります。
フィードフォワードの目的2:コミュニケーションの活性化
フィードフォワードは上司から部下への一方的な指摘ではなく、アドバイスを受ける側にも発言の機会を設け、意見を尊重することが重要です。
「ただ責められている」という感情を相手に抱かせることなく、前向きなコミュニケーションの活性化へとつながります。
フィードフォワードでコミュニケーションを活性化させることで、信頼関係をより強固なものにする目的があります。
フィードフォワードの目的3:事業の加速
フィードフォワードは個人に対してのみ行われるものではなく、部門やチーム単位で「未来に向けて何ができるか」「結果をよくするために何をすべきか」という事業全体の成果を向上するためにも使われます。
フィードフォワードが有効に作用することで、事業の加速につながっていきます。
フィードフォワードのメリット4つ
ビジネスシーンでフィードフォワードを実践することのメリットはなんでしょうか。
ここでは、フィードフォワードがもたらす主なメリットを4つご紹介します。ぜひ確認し、実際のビジネスシーンに取り入れてみてください。
フィードフォワードのメリット1:受け入れられやすい
過去の振り返りによる問題点の指摘は、時に受け取る側に「尊厳を傷つけられた」、「自分自身が否定された」といったマイナスな感情を抱かせてしまう場合があります。
フィードフォワードは、一方的な上下関係の押しつけにならず、前向きにやるべきことをすり合わせていく手法であるため、相手方にも受け入れられやすいといったメリットがあります。
フィードフォワードのメリット2:幅広い意見が出やすい
上司や上層部の意見にただ従わせるのではなく、将来を見越した客観的意見を出し合って目的に近づけていくのがフィードフォワードです。
企業では各部門・ポジションによっても物事を見る視点は変わってきます。上層部の見解に従わせるだけでは得られなかった、新たな視点での意見に気付けるというメリットがあります。
フィードフォワードのメリット3:個人やチームの成長につながる
フィードフォワードは、対象が個人・チームいずれの場合でも、押し付けられた意見ではなく各々が発した意見に基づくものであることから、モチベーションアップに大きく影響する手法となります。
高いモチベーションを持って積極的に将来に向けた意見を出し合い、目標を達成するという経験を積むことが、各自の成長につながります。
フィードフォワードのメリット4:管理職の育成にも役立つ
フィードフォワードで成長できるのは、一般社員だけではありません。
管理職を育成するにあたって、フィードフォワードの手法を用いることで、これまでの経験から凝り固まっていた対象者の主観を修正できるというメリットがあります。
管理職に求められるのは、部下を委縮させて従わせることではなく、上から下まで幅広い意見を把握し、調整する能力です。フィードフォワードを実践することで、管理職としての素地が養われます。
フィードフォワードの活用方法3つ
実際のビジネスシーンにおいて、どのようにフィードフォワードを活用すればよいでしょうか。
ここでは、フィードフォワードの具体的な活用方法を3つについて、ご紹介します。ぜひ実践してみてください。
フィードフォワードの活用方法1:部下の育成管理
部下を持つ立場になれば、昇給や昇進に関わる人事評価も含め、部下の育成管理を任されることとなります。
部下に対する管理・指導を行う際、対象者の能力や行動パターンにあわせて、フィードフォワードの手法を実践してみてください。
フィードフォワードは、フィードバックとセットでも行うことができます。2つは必ずしも矛盾するものではなく、対象者にあわせたそれぞれのバランスで実施することが重要です。
フィードフォワードの活用方法2:コミュニケーション
ビジネスシーンでのコミュニケーションは、信頼関係の構築につながるなくてはならない要素です。
しかし、コミュニケーションに用いられる話題がプライベートに触れるものであったり、ネガティブなものであったりすれば、信頼を失う結果にもなりかねません。
フィードフォワードで「より良い未来・結果について互いにどうすべきか」と意見を出し合うことは、前向きで明るい話題としてコミュニケーションに活用することができます。
フィードフォワードの活用方法3:企画会議などのミーティング
企画会議など、ミーティングの場でもフィードフォワードを活用することができます。
ミーティングの主旨にもよりますが、視点が凝り固まって会議自体が停滞してしまった際など、ぜひフィードフォワードの手法を思い出してください。
意見は「新しければよい」「斬新であればよい」というものではありません。「未来に良い結果を得るためにいまやるべきこと」を関わる全ての人が自主的に提案することが充実した会議を作っていきます。
フィードフォワードについて知り活用しよう
フィードフォワードの意味や目的、ビジネスシーンに取り入れることのメリットや、具体的な活用方法などについて説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
自分が成長したい・部下を育成したいといった、上昇志向を持った方には立場問わず有効な手法だとご理解いただけたのではないでしょうか。
今回説明した内容を参考にしていただき、ご自身のビジネスライフでもぜひフィードフォワードを適切に活用してみてください。