御社とはどういう言葉の意味を持つ?
ビジネスの場面でよく使われる「御社」という言葉。社会人になると毎日のように使う言葉ですが、これは相手の会社に敬意を表した表現です。
人が対象の場合は「○○様」や「○○先生」となります。では、会社が対象の場合はどんな言葉を使うかと言うと、それが「御社」です。「あなたの会社」「そちらの会社」に敬意を表しているということです。
日本語の特徴とされる敬語表現は使い慣れないと難しいものですが、ビジネスマナーとしては欠かせません。「御社」はビジネス敬語の基本の言葉ですから、きちんと押さえておきましょう。
「御社」と「貴社」2つの使い分けとは?
「御社」は「あなたの会社」「そちらの会社」という意味の敬語表現ですが、似た表現に「貴社」があります。
どちらも相手の会社に敬意を表している言葉なのですが、ではこのふたつの言葉は全く同じ使い方ができるのでしょうか。特にメールではどのように使い分けるのでしょうか。
「御社」と「貴社」には明確な使い分けのルールがあります。
円滑な業務のためにも、このふたつの言葉の使い分けをしっかり覚えましょう。
「御社」が使われるシーンとは?
基本的に、口頭の場合は「貴社」ではなく「御社」が使われます。
なぜ「貴社」が使われないかと言うと、「きしゃ」という音は同じでも漢字で書くと意味が違い、いわゆる同音異義語が多いからです。「汽車」「記者」「帰社」とどれも音が同じなので、耳で聞いただけではわかりにくくなります。誤解を避けるためにも、話すときは「御社」を使ったほうがいいでしょう。
手紙やメールなど書くときは「貴社」、話すときは「御社」と覚えておくといいでしょう。
電話でのやりとり
「御社」は話すときに「貴社」は書くときに使う言葉であるため、電話口では「御社」を使います。
「貴社」には同音異義語が多いので、音で聞いただけだと誤解を生じやすいです。ましてや電話で相手の顔が見えないときには、余計にわかりにくくなってしまいます。
例えば、相手の会社への訪問予定を伝えるときは「貴社に10時に伺います」ではなく、「御社に10時に伺います」と言ったほうが間違いがありません。
直接の対話
「御社」は話すときに「貴社」は書くときに使う言葉であり、直接相手と話すときは「御社」を使います。
ただでさえ、ビジネス用語は難しいものが多くお互いに共通の理解がないと意思の疎通が難しくなります。齟齬を生まないためにも、できるだけわかりやすい言葉でコミュニケーションをとりたいものです。
同音異義語が多い「貴社」ではなく、理解に間違いのない「御社」を使ったほうがいいでしょう。
メールで使う場合に気を付ける点は?
「御社」は話すときに「貴社」は書くときに使う言葉です。メールでは「貴社」を使います。
「御社」と「貴社」はどちらも「あなたの会社」「そちらの会社」の敬語表現であるため、基本的に意味は同じです。そのため、メールで「貴社」ではなく「御社」を使っても、必ずしも間違いというわけではありません。
しかし、現在のビジネスシーンでは、メールでは「貴社」を用いるということが共通認識であるため、「貴社」を使ったほうがいいでしょう。
「貴社」が使われるシーンとは?
基本的に、書く場合は「御社」ではなく、「貴社」が使われます。
相手に敬意を払う言葉に「貴国」「貴殿」「貴意」などがありますが、これらは古くから用いられている言葉で、「貴社」という言葉も昔から使われてきたようです。しかし、「貴社」には同音異義語が多いので「御社」という言葉が使われるようになりました。
書くときは漢字を使うため、同音異義語が多くても意味は明瞭です。メールや手紙など、書くときは「貴社」を使いましょう。
メール
「御社」は話すときに、「貴社」は書くときに使う言葉であるため、メールでは「貴社」を使います。
文字ツールであるメールでは同音異義語で誤解を招く心配はありません。書くときには「貴社」を使いましょう。
手紙
「御社」は話すときに、「貴社」は書くときに使う言葉であるため、手紙では「貴社」を使います。
最近ではもっぱらメールが使われており、あまり手紙という通信手段を用いなくなりましたが、やはり最上級の敬意を表すツールは手紙ではないでしょうか。お礼の場合でもお詫びの場合でも、メールではなく手紙を用いたほうが礼儀にかなっていると考えられます。
敬意を表したいと考えて手紙を送る場合にも「貴社」という言葉を使いましょう。
ファックス
「御社」は話すときに、「貴社」は書くときに使う言葉であるため、ファックスでも「貴社」を使います。
最近はあまり使われなくなりましたが、それでも根強く重宝に使われているのがファックスです。ファックスも文字ツールですから、「貴社」を使いましょう。
その他の書類
「御社」は話すときに、「貴社」は書くときに使う言葉であるため、書類では「貴社」を使います。
「貴社」は書くときに使われます。どんな書類であっても、漢字を見れば同音異義語で迷う心配はありません。
書類を書くときは「貴社」を使いましょう。
メールの場合は「貴社」がベター?
「御社」も「貴社」も、「あなたの会社」「そちらの会社」の敬語表現です。基本的な意味は同じですから、メールで「御社」を使っても、必ずしも間違いというわけではありません。
しかし、現在のビジネスシーンではメールでは「貴社」を用いるということが共通認識になっていますから、「貴社」を使ったほうがいいでしょう。
話すときは「御社」、書くときは「貴社」を使うと覚えておけば間違いありません。
メールで「御社」も「貴社」も使えない団体や組織は?
「御社」「貴社」は「あなたの会社」「そちらの会社」の敬語表現です。敬意を表す相手が会社の場合はこの言葉を使うことができます。しかしその対象が会社でない場合はどのような言葉を使えばいいのでしょうか。
例えば病院や銀行にメールを送りたい場合はどうしたらいいのでしょうか。
ここでは、敬意を表したい相手が会社以外の場合についてみていきます。
銀行・信用金庫
敬意を表したい対象が銀行の場合は「御行」「貴行」という表現を使い、敬意を表したい対象が信用金庫の場合は「御庫」「貴庫」という表現を使います。
メールではそれぞれ「貴行」「貴庫」という表現がふさわしいでしょう。
省・庁
敬意を表したい対象が省の場合、「御省」「貴省」という表現を使い、敬意を表したい対象が庁の場合は「御庁」「貴庁」という表現を使います。
メールではそれぞれ「貴省」「貴庁」という表現がふさわしいでしょう。
病院・学校
敬意を表したい対象が病院の場合、「御院」「貴院」という表現を使い、敬意を表したい対象が学校の場合「御校」「貴校」という表現を使います。
メールではそれぞれ「貴院」「貴校」という表現がふさわしいでしょう。
ただ、学校の場合は少し注意が必要です。小学校や中学校、高校など「校」が付けば「御校」「貴校」が用いられますが、大学は「校」がつきません。その場合は「御学」「貴学」という言い方が使われます。
機構・組合・協会
敬意を表したい対象が機構の場合、「御機構」「貴機構」という表現を使い、敬意を表したい対象が組合の場合は「御組合」「貴組合」、敬意を表したい対象が協会の場合は「御会(御協会)」「貴会(貴協会)」という表現を使います。
メールではそれぞれ「貴機構」「貴組合」「貴会(貴協会)」という表現がふさわしいでしょう。
メールでの敬称を正しく使おう
ビジネス用語は使い慣れないと難しいものです。また失礼があると仕事に支障がでかねません。毎日使うような基本的な表現は、間違いなく押さえておきたいですね。
「あなたの会社」「そちらの会社」に敬意を表す表現は「御社」と「貴社」です。「御社」は主に話すとき、「貴社」は主に書くときに使われます。
メールの場合は、現在のビジネスシーンの共通認識として、「貴社」を使うという考えかたが浸透しています。
「御社」と「貴社」を正しく使い分けて、キャリアを磨きましょう。