スーツをしまっておいたらカビが
しばらくしまっておいたスーツにカビが生えてしまったことはありませんか。基本的にはクリーニングで対応した方がいいですが、自宅で洗濯可能なスーツであれば、ご紹介する対処法で応急処置できます。カビ取りは屋外で行うようにしましょう。室内で行うとカビ菌をまき散らしてしまうことになります。
スーツに発生するカビの原因
カビ菌は湿度・温度・栄養分・空気の条件が揃うと繁殖します。湿度は、70%以上で発生します。温度は、5℃~35℃で発生します。25℃前後が一番活発に活動します。栄養分は、ホコリやチリ、汗、雨の汚れなど目に見えない物でも栄養になります。繁殖には空気中の酸素が必要です。
カビが発生したら落とすのは難しい
カビには大きく分けて白カビと色素系のカビがあり、色によって対応が異なります。白カビは自宅での対処でも遜色なく使用できるぐらい落とすことができます。黒カビは根も黒く繊維の奥に入り込んだカビの根を除去することは不可能なので、漂白することが基本の対処になります。漂白するとスーツの色も抜けてしまう可能性があり、黒カビだけ落とすのは難しいです。
取り急ぎ行える対処法3選
カビはたたいて落とすことが基本です。拭いてしまうと濡れているときはとれたように見えても、乾くととれていないカビがまた現れます。たたきすぎるとスーツの繊維を傷めてしまうので自宅でのカビ取りは完全に取ろうと思わず、使用に支障が無い程度とることを目的として行いましょう。スーツの白カビを自宅で落とす方法を3つご紹介します。
濡れ布巾で拭く
まずはスーツに付いているカビを払います。残ったカビ部分をお湯(30度ぐらい)に浸して、固く絞ったタオルでたたくように取って、最後にアイロンで乾燥させます。乾かして白カビが取れているか確認します。軽い白カビならこの方法で落とすことができます。
エタノールで拭く
消毒用エタノールはカビのタンパク質を分解する除菌効果があります。無水エタノールは殺菌効果がないので注意してください。生地が変色する可能性があるので、必ず目立たないところで確認します。カビ部分を軽く払った後、残ったカビに消毒用エタノールをつけたハブラシでたたくようにブラッシングし乾燥させます。最後にアイロンがけをして乾かしましょう。
ハッカ油をスプレーする
ハッカ油はハッカ草を乾燥させたものから蒸留し精製された油で、メントールが多く含まれ消臭・殺菌効果があります。スーツのカビを払い、払いきれないカビにハッカ油スプレーをかけます。ハブラシなどでたたいてカビを落とし、アイロンで乾燥させます。ハッカ油スプレーの作り方は下記参照してください。
<ハッカ油スプレーの作り方>
ハッカ油 10滴、消毒用エタノール 10ml、精製水 90ml、
全ての材料を耐油性・耐アルコール性のスプレーボトルに入れよくふります。
カビ取りはクリーニングへ
自宅での対処はあくまで緊急時の応急処置です。スーツを使用後はクリーニング店でしっかりとケアをしてもらいましょう。そのまましまうとカビの胞子は残っているのでまたカビが生えます。
カビ取りのクリーニング代はいくらなのか
クリーニング店でカビ取りはシミ取りと同じ扱いになり、料金は基本クリーニング代+カビ取り・シミ取り代(数百円~千円)となります。黒カビなどの色素系のカビの場合は通常のドライクリーニングでは落とすことができません。自宅での対応と同じようにカビの根を漂白することになりますので、内容によっては数千円~数万円することもあります。
自宅での応急処置やクリーニングでもカビが取れなければ、思い切って新調する機会にしてみましょう。お気に入りのスーツを見つけて、ぜひ次はしっかりお手入れをし、長く愛用してみてください。
スーツのカビを予防するには
スーツにカビをつけないためには、カビ菌の繁殖する条件を揃えないことやカビの胞子が残ったままで収納しないことが対策となります。では具体的な対策を見ていきましょう。
清潔にして収納
一度でも使用したら見た目はきれいでも汚れがついていてカビの栄養になってしまいます。一度でも袖を通したらきちんとクリーニングして収納を心がけましょう。また、ドライクリーニングは油溶性の汚れは良く落ちていますが、汗・雨などの水溶性の汚れが残っている場合があります。クリーニングしたスーツは3日ほど陰干して乾燥させてからしまうようにしましょう。
クリーニングのビニールは外して
クリーニングのビニール袋はクリーニング済ということを示すとともに自宅までのホコリ除けとしてかぶせられています。保管用としては作られていないためすぐに外しましょう。ビニール袋は湿度がこもりやすく、冬場には結露が起こることもあります。したがってカビ対策には不向きです。ホコリを除けならば、通気性のある不織布や布などのカバーがおすすめです。
収納内は除湿する
クローゼットや押し入れは締め切っていると湿度が上がってしまいます。天気の良い日に戸を開け放って換気をしましょう。そのときにできれば収納しているスーツも取り出して陰干しし乾燥させておくといいですよ。
除湿剤を置く
クローゼットの中に溜まってしまう湿気を管理してあげましょう。湿度を常に一定以下に保つ最も簡単な方法は除湿剤を使うことです。除湿剤は薬局やスーパーで簡単に手に入れることができます。
除湿機を利用する
クローゼット内の湿気管理に除湿機を使用する方法もあります。除湿機にはコンプレッサー方式とデシカント(ゼオライト)方式、ハイブリッドタイプがあります。それぞれの長所・短所がありますが、クローゼットや押し入れなど収納スポットの除湿には、コンプレッサー方式もしくはハイブリット方式がおすすめです。
収納に詰め込み過ぎない
クローゼットや押し入れの中にスーツを詰め込んでいると、空気の通りが悪くなりカビが生えやすくなります。定期的に片づけをして、空気が通る場所を確保できるように収納しましょう。
カビを発生させない環境を作るのが大事
しまい込んだスーツのカビは見つけづらいものです。カビの生える条件には、栄養・温度・空気・湿度がありました。この条件の中で私たちが管理しやすいものは湿度です。クローゼット・押し入れの換気をしたり、たまにスーツを出して陰干しをし、カビの生えにくい環境をキープして、いつでもスーツを気持ちよく使えるようにしましょう。