【自己都合退職】会社都合退職との違い・期間満了の場合・退職金

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自己都合退職とは?

自己都合退職とはその名の通り、労働者の意思で勤める会社などとの雇用契約を「自己都合で」一方的に会社に対して打ち切る行為のことを言います。
 自己都合退職は、多くの会社で取り決め(就業規則と言います)があり、日雇い労働者や季節労働者などを除いて、ほとんどの場合30日以上前に退職の予告を求めているところが多いようです。
また、民法上は2週間前までの予告で足りる(会社が受理しなくても自動的に退職できる)とされています。

自己都合退職のデメリット

自己都合退職のデメリットとは、労働契約の終了に伴う収入減がまずあります。しかし、それ以上にデメリットと捉えられているのは雇用保険上の基本給付(いわゆる失業保険)の不支給期間(待期期間ではなく)があることでしょう。
基本的に自己都合退職は3か月間基本給付が不支給となってしまいます。この期間には無収入の状態になってしまうため、自己都合退職を避けたい大きな要因の一つとなっています。
また、雇用保険の受給者には「受給資格者」「特定受給資格者※1」「特定理由資格者※2」があるのですが、自己都合である場合には「受給資格者」となり、ほかの2つの資格者と比べ基本的に基本手当の支給期間が減ってしまいます。



※1 離職の原因ががその人を雇用していた事業主や会社、企業の事業や会社の規模縮小に伴い発生した倒産やその事業主が行なっている事業の縮小や、廃止、事業の譲渡などに伴うもので、その場合に離職を強いられる人に向けて厚生労働省令で定めるものです。または、解雇(その人の重大な過失により損害が大きいなどの理由によるものは除かれます)、その他の厚生労働省令で定める理由により離職した人



※2 特定受給資格者以外の人で、期間の定めのある労働契約の期間が満了し、その上、その労働契約の更新がなされなかった労働者(労働者が更新を希望していることが条件)。または、自己都合退職の場合で正当な理由がある者(遠隔地からの通勤や病気での退職など)。

自己都合退職のメリット

一見なさそうに見えますが、自己都合退職にもメリットがあります。
労働者と会社は労働契約という契約によってお互いを縛っています(労働者は労働力を提供する義務、会社はそれに対して対価(賃金)を支払う義務)。この縛りを一方的に(完全にではありませんが)労働者側が打ち切ることができるのは嫌な仕事を続けたり、最悪、強制労働を逃れたりするために必要で、メリットと呼べます。


労働契約を結んだ労働者と会社(使用者と言います)では、残念なことですが、使用者側のほうに労働に対する指揮命令権がある都合上、立場が上になってしまいがちです(そのために労働者を守るための法律が数多く定められているのですが)。
 そんな中で、「自己都合退職」とは労働者の使用者に対する強い権利・メリットと言えなくもないのです。

自己都合退職と会社都合退職の違い

自己都合と会社都合それぞれの退職の違いは、前記のものと一部重複しますが、労働者の意思で会社などとの雇用契約を打ち切るか、使用者側から雇用契約を打ち切られるかの違いにほかなりません。
また、後に書いている雇用保険の基本給付について違いがあります。
 また、話は少しそれますが派遣労働者の場合、労働者が派遣先において急に、いわゆる「派遣切り」されることがありますが、これは派遣元と労働契約を結んでおり、その契約が残るため退職とされず、自己都合退職でも会社都合退職でもありません(派遣元で働いているとみなされるからです)。
 

もちろん派遣元に対して雇用契約の解除を求めれば自己都合退職になり、派遣元からであれば会社都合になります。

自己都合退職と会社都合退職の決め方

自己都合か、会社都合かの決め方の決定的なものは退職を労働者が決めるか、会社が決めるかで基本的には決定されます。
 しかし、自己都合退職、会社都合退職で一番気になる点は雇用保険における基本給付の支給の有無だと思われます。そういう視点で自己都合、会社都合を決めるのは退職時にハローワークにて発行され離職者へ渡される「離職票」ということになります。
 しかし、この「離職票」は使用者にその請求をしなければ基本的に発行されません(59歳以上は必ず発行するなど例外もあります)。

また、離職票を請求してもなかなか発行してくれない使用者もいます。離職票を発行しなければ退職したことにならないと勘違いしている使用者もいます。
 要するにそんな離職票ですが、その書き方によって自己都合退職か会社都合退職かが法律(雇用保険)的に決まってしまいます。しかし、この離職票、使用者が労働者(元労働者)に確認もなく作成、申請できてしまいます。

そのため自己都合退職の人が多く発生してしまいます。
 使用者に退職に伴うデメリットは基本的にないのですが、会社都合でハローワークに提出すると理由を事細かに聞かれたり、書類を余計に提出させられたりする場合があるからです。あまり知られていませんが、離職票には労働者(元労働者)の確認・記載・押印の箇所があるため、離職の際はできるだけ使用者とともに離職票を作成しましょう。

自己都合の場合の退職金について

自己都合、会社都合どちらにしても、退職金に関してはその会社の「就業規則」に退職金規定があるかどうかによって異なります。
 就業規則に退職金に関する規定がなければ、自己都合、会社都合どちらにしても退職金を支払う義務は会社側には発生しません。また、基本的な考えとしては自己都合より会社都合のほうが退職金は高い傾向があります(勧奨退職など)。

期間満了に伴う退職について

期間満了に伴う退職については、基本的に自己都合退職になります。
 使用者との契約の当初に、期間経過で労働契約を終了する旨の契約を自ら行っている時点で期間満了に伴う退職は「自己都合」と捉えられるからです。

期間満了に伴う退職で自己都合にならない可能性がある場合

しかし、労働基準法において、会社(使用者といいます)は期間の定めのある労働契約であって、労働契約の更新について、更新の可能性がある旨の記載等があり、実際更新を3回以上更新する、または1年を超えて継続勤務している者などに退職を要求する場合は、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに退職の予告をすることを定めています。
 この場合、一定の例外はありますが、予告なしに期間満了に伴う退職をした場合でも自己都合でなく、会社都合になる場合もあります。

自己都合にならない可能性がある理由①

期間満了に伴う退職が自己都合にならない可能性がある理由は、労働基準法に定められている、契約期間について会社側が行わなければならない配慮に基づいています。
 労働基準法では、会社(使用者)は期間の定めのある労働契約であって、当該労働契約を1回以上更新しており、かつ、雇い入れの日から起算して1年を超えて継続勤務する労働者に対して、当該契約の実態(実質上の無期雇用など)及び当該労働者の希望に応じて契約期間をできるだけ長くするよう努めることとしています。

自己都合にならない可能性がある理由②

裁判例で、労働者も期間の定めのある労働契約を3回以上更新し、かつ、1年を超えて勤務をしている者は雇用継続の意思があるものと基本的に考えられるとされています。
 そのことから、期間満了に伴う退職が、自己都合(労働者の意思)退職とは必ずしも言えないと言えるのです。

自己都合退職はよく考えてから

自己都合、会社都合、期間満了、それぞれの退職があり、また、退職金の有無、金額の差などがありますが、大事なのは契約時に退職の事由(退職となる理由)や退職金の有無について確認することです。
 詳しい内容は省きますが、雇用契約書に退職に関しての記載がないか、退職金の有無はどうかなどを確認することをお勧めすることと、就労するにあたっては必ず「就業規則」(事業所に必ず備え付けられている)を一読することをお勧めします。

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