お布施とは
お布施(布施)とは、僧侶へ読経や戒名を頂いた謝礼として金品を渡すことをいいます。または、本尊へお供えするという考え方をとります。読経や戒名の対価という意味ではないので、読経料や戒名料という言葉は使いませんのでご注意ください。
お布施を渡す時は、半紙に包むか、白封筒に入れ水引は掛けません。「御布施」と表書きをするか何も書かなくてもよいとされています。また、相手に不幸があったわけではないですので、不祝儀袋(黒い水引の袋)は使用しません。
お渡しする際は直接ではなく、お盆に乗せる形が好ましいです。お布施は気持ちでお渡しするものであり決まった金額というのはありません。各お寺様ごとに考え方もありますので、よく分からないという場合は、お布施の金額等を直接お伺いすることがよいでしょう。
表書きの書き方
お布施を包む際の表書きの書き方は、薄墨ではなく、普通の黒墨で書きます。
一般的に「御布施」「お布施」と書きます。もしくは、何も書かずに空白でも構いません。
中袋の裏面の左側に住所・氏名、右側(または表面の中心)に金額を記入します。金額の書き方は頭に「金」と書きます。漢数字の書き方は、旧字体を使用することが丁寧なマナーとされています。
例えば、5,000円の書き方ー金伍阡圓也
10,000円の書き方ー金壱萬圓也
30,000円の書き方ー金参萬圓也
35,000円の書き方ー金参萬伍阡圓也
50,000円の書き方ー金伍萬圓也、または金五萬圓也
100,000円の書き方ー金壱拾萬圓也
漢数字の旧字体の書き方はしっかりと確認して書けるようにしましょう。
お布施の裏面の書き方
お布施の裏面の書き方は、「住所や電話番号、金額」を明記することです。
お布施は労働対価ではありませんので、本来は金額を書く必要はありません。
しかし、寺院の記録や経理・税務上、「書いてあった方が都合がよい」とお坊さんから聞きます。そのため、書いておいたほうがより親切です。
心を込めて丁寧に書こう
文具店やコンビニエンスストアなどでは、最初から「御布施」「お布施」などとプリントされている封筒も売っていますが、お布施は僧侶へのお礼ですから、なるべく書き方を調べて、自分で丁寧に手書きされる方が、心がこもっていてベターです。
後でお寺の方が困らないよう、封筒の裏面には、住所と電話番号、金額もきちんと記入しておきましょう。金額は、できるだけ漢数字で書きましょう。
お布施の袋、お布施を包む封筒
お布施を包む袋は、大きく2種類に分けられます。
奉書紙にお布施を包む
半紙でお札を包み、中包みを用意します。お札の入った中包みを奉書紙(上包み)で包みます。もしくは、中袋にお札を入れて、奉書紙で包みます。
上包みは、慶事の上包みの折り方を同じで、上側の折返しに下側をかぶせます。お布施そのものは不祝儀ではないため、弔事の折り方にする必要はありません。奉書紙で包む作法がお布施の包み方で最も丁寧な形式になっています。
奉書紙はツルツルしているほうが表面で、ざらざらしているほうが裏面です。
白の封筒にお布施を入れる
奉書紙が用意できない場合は、市販の白の封筒でも構いません。ただし、郵便番号欄が印刷されていない無地の封筒を選びましょう。
市販の封筒にすでに「御布施・お布施」とプリントされている封筒もあります。その場合は、特に中袋に入れずに封筒にお札を封筒に入れても構いません。封筒の裏面に住所と金額を記載しておきましょう。
奉書紙は文具店やインターネットで購入することができます。封筒式の袋も文具店やインターネットのほか、スーパーやコンビニなどでも購入可能です。
お布施に水引は必要か?
水引とは紙製の糸で、進物用の包装や封筒にかけて使用するものです。和紙をよって長いこより状にし、米のりを引いて乾かして作ります。この乾いたものを3本、5本とまとめて中央を貼り付けて作ります。
水引は不要だといわれていますが、地域によって異なります。水引を使用する風習がある場合は、一般的には双銀(そうぎん)や白黒の水引、関西では黄色と白の水引を使用することもあります。お布施はお寺に対して渡すもので、相手に不幸があったわけではないので水引を付けないほうが丁寧とも言われます。
特に風習がなければ、水引をつけないようにしてください。
お布施に包む金額お札の入れ方
1万円を例に話すと、封筒に入れる際、福沢諭吉側(表)が最後になるように入れましょう。
特に変わった入れ方ではありません。
お布施の渡し方
お布施は葬儀や法事法要のときに渡すことが多いですが、お布施を渡す経験がない人も多いでしょう。
お布施の渡し方やマナーのポイントを解説します。葬儀と法事法要の場面で、いつお布施を渡すといいのでしょうか。お布施を渡すタイミングを確認し、お布施のマナーを押さえましょう。
葬儀でお布施を渡すタイミング
葬儀の式が始まる前、お坊さんに挨拶する場面でお布施を渡すことが多いです。
葬儀の場合は、菩提寺であっても、お寺の僧侶が到着したら葬儀社が控室に案内し、僧侶が到着したことを伝えてくれることも多いです。時には、菩提寺との関係が深いので、自分たちで対応することもあります。
菩提寺ではなく、葬儀社にお寺の手配をお願いする場合は、お寺との顔合わせになりますので、基本的に葬儀社が挨拶のタイミングをセッティングしてくれます。挨拶では、「今日は◯◯のためにお勤めよろしくお願いします」など一言添えてお布施を渡すといいでしょう。時間がなく、挨拶のみでお布施を渡す暇がない場合は、お式が終わってからお布施を渡しても構いません。
法事法要でお布施を渡すタイミング
合同の法要の場合は、お寺(本堂など)の入り口に受付が用意されていることもあります。お寺に入る際に、お布施を受付の方に渡しましょう。特に受付が用意されていない場合は、法要が始まる前に僧侶に挨拶ができる時間があれば、ご挨拶を兼ねてお布施を渡しましょう。「今日は◯◯の◯回忌のために、どうぞよろしくお願いします。」などと一言添えるといいです。
法事法要の前は慌ただしくてゆっくり挨拶ができない場合は、法事法要を終えてからお礼の挨拶をする際にお布施を差し出すようにしましょう。個別での法要の場合も同じく、法事法要の前後で挨拶と一緒にお布施を渡しましょう。
気を付けたいお布施を渡すときのマナー
お布施の渡し方について説明します。
直接手渡しでお布施を渡すのではなく、お布施は袱紗(ふくさ)から取り出して渡したり、お盆の上にのせて渡したほうが良いとされています。
お布施をお盆にのせる
お布施は直接手渡すのではなく、お盆にのせて、渡すのが一般的な作法とされています。お盆がない場合は、葬儀社さんが用意してくれることもありますので相談してみましょう。
正式には、切手盆(きってぼん)、祝儀盆と呼ばれる黒いお盆を用いることがよいとされていますが、急なことなので、形式よりも気持ちを持って渡すことがなによりも大事なのです。
袱紗(ふくさ)にお布施を包む方法
お盆が用意できない場合は、袱紗(ふくさ)でも構いません。包み方は、弔事の包み方をします。ダイヤの形になるよう袱紗を広げ、中央より右側に封筒を置きます。右→下→上→左の順に包みます。
僧侶に渡すときに袱紗を開き、袱紗から取り出して、袱紗の上にお布施をのせて、僧侶に渡します。
お布施を包む袱紗の色は?
袱紗の色は、弔事の場合、「紺、深緑、灰緑、緑、うぐいす、灰青、グレー、紫」といったシックな色が好ましいとされています。尚、紫は慶事の際にも利用できる色ですので、1枚あると便利です。
袱紗は四角い形のものが古くからあるタイプですが金封タイプのものや、爪や台が付いたものなどがあります。
お布施の書き方・渡し方を覚えよう
いかがだったでしょうか?お布施の書き方が分からなかった人も、一回覚えてしまえば、難しいものではありません。しっかりとしたお布施の書き方・渡し方をマスターして、恥をかかないようにしましょう。