労働組合とは?
「労働組合」とは、企業に勤める労働者で結成される団体です。加入することが任意の会社もあれば、加入が義務づけられる「ユニオン・ショップ」制度の会社もあります。
2名以上の労働者が集まり、総会を開いて規約を作って役員を決めれば労働組合が結成できます。
労働環境の向上や賃上げ、不当な解雇の取り消しなど、労働者の待遇改善や地位向上を会社に交渉することが労働組合の主な目的です。会社の待遇に不満を抱えていても、一人で経営者に交渉しても対等な立場じゃないので握りつぶされるのがオチでしょう。このまま嫌々ながら働かざるを得ないのでしょうか?
そこで労働組合が活躍します。労働組合が団結し、不満や改善案を訴えることで対等な立場で使用者(経営者)と交渉することができます。これで、安心して働くことができますね。
労働組合に加入するメリットはたくさんありますが、その一方でデメリットもあります。強制加入であれば仕方がありませんが、加入するときはメリットとデメリットをしっかり見極めることが大切です。
労働組合に加入するメリット
労働組合に加入するメリットはどのようなものがあるでしょうか?決して「労働者を守る権利」にとどまることはありません。
ここでは使用者含めた様々な角度から、労働組合のメリットについてピックアップしていきます。
活動が法律で守られている
労働組合の活動は法律でしっかりと守られています。これが最大のメリットであり、大原則です。使用者は、労働者が労働組合に加入することを拒むことは許されません。
また、労働組合が団体交渉を申し込んだ場合、会社側がこれを拒止したら法律違反(労働組合法第7条2項)になります。
憲法や労働法で守られていることは大変心強いです。法的根拠があれば、裁判事になったとしても有利になりますしね。
リストラされにくい
このご時世、大企業でも経営が傾くとリストラで人員削減することだってあります。会社から不当な解雇通知がきたとき、これを拒否するために個人で交渉に挑んでも、却下されるのが目に見えています。
そこで労働組合が団体交渉を会社に申し込むと、会社はこれを拒否することができません。組合員というだけで守られるのです。攻撃対象となっても「バリア」の役目をはたすのです。
会社からもリストラの対象に選ばれることはほぼなくなるでしょう。
使用者が労働者の考えを知ることができる
労働組合は労働者を守るための組織のように思えますが、会社側としても労働者の抱えている問題や不満を知ることができ、よりよい職場環境を作ることができるメリットあります。
労使間交渉は労働者も使用者もお互いが本音をぶつけ合います。普段の業務では上下関係があって物申せないこともしっかり訴えます。そして、使用者はこれまで気がつかなかった会社のマイナスの部分を知ることができるでしょう。
団体交渉するということは多くの社員が不満を抱えていたことがあったということですから、放置していれば退職者が相次ぎ会社の経営が傾くことだってあるのですから。
人と交流を持つことができる
労働組合の組合員同士でレクリエーションが実施されることもあります。BBQやお花見、ボランティアなど職場を超えた人々とのつながりを持つことができます。
なんだか堅苦しいイメージのある労働組合ですが、楽しむときは皆んな一緒に楽しみます。会社の帰属意識を高めることができる機会でもあります。
労働組合に加入するデメリット
労働組合にはメリットがあれば、もちろんデメリットもああります。いいこと尽くめだったらみなさん加入しますからね。
そもそも労働組合に無関心であったり理解がないという場合もありますが、デメリットがあるから敬遠して労働組合に入らない人もいます。
労働組合に所属することのデメリットとはどのようなものがあるのでしょうか?
組合費がかかる
労働組合も活動を維持するために、組合員から会費をいただきます。組合費は会社によって異なりますが、賃金の2%と決まってる場合もあれば、月1000円から5000円と額が固定されている場合もあります。月1000円であっても年間で1万2000円を払うことになり、とてもバカにならない額です。
後述しますが、割高な組合費を払いながらも怠惰で働かない労働組合も存在します。組合費の出費が大きいと感じる人には、おそらく加入することはデメリットとなるでしょう。
組合が活動していないこともある
バカにならない組合費を払いながらも、ほとんど活動していない労働組合がもあります。つまり、名ばかりで形骸化しているケースです。
依然としてパワハラが常態化したブラック企業や、サービス残業などの労働待遇悪化の問題が減らないのも、労働組合が機能してないからというのが理由の一つにあるでしょう。
結局会社にいいように使われるだけの団体は労働組合だけではありません。加入するときは見極めないと損することになります。
規則に従う必要がある
労働組合には綱領や規約があります。また、組合の決議に加わる義務などがあり、組合の統制に従わなければならなくなります。加入すればそれでいいというわけではなく、自由がきかないのがデメリットです。
これら組合の規則に従わなかった場合、規約により戒告、罰金、除名などの処分が下されることになってしまいます。ユニオン・ショップ協定の会社は労働組合を脱退、除名されれば会社そのものを解雇されてしまいます。これだと大変厄介ですね。
正社員じゃなくても労働組合に加入できる?
三菱東京UFJ銀行のケース
契約社員のほとんどが労働組合に未加入です。契約社員を労働組合に加入させない会社が大多数を占めているからです。契約社員に昇給など待遇改善の交渉の権利を与えると会社の負担が大きくなるため、労働組合加入は正社員だけにとどめたいという会社の意図があります。
しかしここ数年は失業率が低下しているため、早い段階で優秀な契約社員を確保し、給与を上げるなど待遇を改善する取り組みが様々な大企業でなされています。労働組合加入も契約社員の待遇改善の一環とも捉えることができるでしょう。
この引用記事の三菱東京UFJ銀行の取り組みは、大手銀行としては初めての試みです。労働組合の加入率が上がれば、それだけ組織の規模も大きくなり、会社との交渉力も増していくでしょう。
契約社員も労働組合に加入するのが一般的な時代に向かってきています。
労働組合のメリットおよびデメリットまとめ
サラリーマンは仕事をする上で不満を抱えることはあるでしょう。あの上司が嫌だ、あの客が嫌だというなら少々我慢する必要はありますが(笑)、賃金が下げられた、解雇を予告された、退職を勧められたなど、「会社の意向」についての不満や悩みがあれば是非労働組合に目を向けてみてはいかがでしょうか?
賃金が下げられながら会社に残っていても気分がいいわけではないですし、労働環境が悪いままその職場に居続けることはつらいことです。しかし転職するにしてもあてがなく、途方にくれるしかないと思うなら、労働組合を有効に活用しましょう。今まで不満に思っていたことを本音で言うことができるのがこの労働組合という団体ですから。
会社と闘うのは一人だけではありません。労働組合の仲間が団結してあなたを助けてくれるでしょう。
正社員だけではなく、契約社員やパート/アルバイトも労働組合に加入する事ができますので、幅広い労働者を守ってくれます。諸外国と比べて、日本の失業率は低い水準ですがこれも労働組合が活躍しているからだといえるでしょう。
労働組合に所属することはメリットになることもあれば、デメリットになることもあります。それはこの記事で述べた通りです。
加入を決めるのはあなた次第です。まずどのような組織かを理解して加入するかどうかを判断しましょう。