快適温度をつくりだすサーキュレーター
寒い冬、エアコンで部屋を暖めようとすると、顔の辺りは暑いのに足元が冷えたまま。
猛暑の夏は、天井あたりから熱気が去らなくていつまでも室内温度が快適にならない…
そんな悩みを解消するのが、サーキュレーターです。
扇風機に似たファンが回って空気を撹拌するので、エアコンの風だけでなく、溜まった冷気や熱を回して対流をつくります。あたたかさや涼しさを隅々まで行き渡らせ、室内温度を効率よく一定にします。
サーキュレーターを部屋のどこに置いて、どの方向に向けたらいいのでしょうか。冷暖房をするときの室内の空気の流れをみていきながら、サーキュレーターについて以下の順で解説しましょう。
○ 特徴、扇風機との違い
○ 使い方と効果
○ 季節ごとの使い方
○ 部屋の構造による使い方
サーキュレーターの特徴
サーキュレーターを回して作る風は、
・直進性が強い
・到達距離が長い
という点で、扇風機と異なります。
扇風機は人の体に風を直に当てて、暑さを凌ぎますね。優しく放射状にひろがる風は、当たると心地よく涼めるものです。
それに対して、サーキュレーターは強い風がらせん状のまま直進し、物理的に空気を撹拌します。
サーキュレーターの使い方と効果
まっすぐ進む直線的な風が遠くまで届くので、結果として室内の空気が循環させられ、溜まりがちな熱や冷気を飛ばしてくれます。
冷暖房機器と同時に使って、効率よく部屋の空気を循環させれば、節電効果も高く、体感温度も快適に近づきます。拡散する扇風機の風とは、効果の差が大きいところです。
動画で確認してみましょう。
使い方に要注意!サーキュレーターを体に当てて眠らない!
扇風機とは異なるサーキュレーターの使い方を間違えると危険です。
体に当てて長時間そのままにしたり、ましてや寝室で使用しては命取りになりますから注意しましょう。
通常、室内のあたたかい空気は上にあがり、冷たい空気は下に降りて、そのまま動かないものです。サーキュレーターはこれを循環する目的で使用します。からだに当てるのではなく、上向きに風を送るのが一般的な使い方です。冷たい空気を下から上に吹き上げて送るためです。
サーキュレーターの使い方:夏の冷房
エアコンは冷房時には吹き出し口が水平になり、冷気は徐々に、部屋の下の方に降りていきます。エアコンから離れたところの上部に熱気が溜まりがちになり、温度を一定に保とうと働くエアコンはその熱気も冷やそうとするため、無駄にエネルギーを使います。床近くで冷えすぎて寒く感じる人もいますよね。エアコンのパワーも電気代も消耗してしまいます。
エアコンの冷気が落ちる位置に置く
サーキュレーターを置く位置としては、エアコンの下手に置くのが良い使い方です。床付近の冷たい空気を循環させ、エアコンの働きを助けますし、空気の流れが生まれることで体感的にも涼しく快適になります。
サーキュレーターは、後ろ側の空気を巻き込んで前に風を送り出します。ですから冷房時の使い方としては次のようにします。
・エアコンの下方に置く
・エアコンを背にして置く
・斜め上向きに置く
こうすることで、冷やされた空気を満遍なく室内に回すことができます。人の体に当たらないように置きましょう。
サーキュレーターをエアコンに向けて風を当てる使い方もある
エアコンの吹き出し口の冷気に、直接当たるように斜めに風を送る使い方です。
こうすることでエアコンから出る冷気は一旦、上の方へ押し上げられ、天井付近を通って反対側へ移っていきます。そして部屋の隅の辺りで下方へ降ります。
室内に向きの異なる対流ができるので効果が高いと考えられます。
サーキュレーターの使い方:梅雨時
冷暖房ではありませんが、梅雨時の洗濯物対策に、サーキュレーターを使うことができます。
梅雨の時期は部屋干しをする機会も多く、ただでさえジメジメする室内に湿気がさらに溜まり、不快指数が高まってしまいますね。臭いや菌の繁殖も見過ごせません。かといって乾燥機を使用すれば電気代もかかりますので、サーキュレーターの出番です。
・サーキュレーターを洗濯物の下に置き、真上に向ける
・エアコンの除湿運転と併用する
サーキュレーターの使い方:冬の暖房
冷房よりも電気代がかかるのは、エアコンの暖房です。冬の暖房時こそ、サーキュレーターを活用して省エネにつなげることをお勧めします。
節電しながらあたためる、サーキュレーターの活用法を動画でご覧ください。
床の冷気を取り込み天井へ送る使い方
エアコン暖房の場合、部屋の上の方に暖かい空気が溜まっています。上の暖気を下の方へ送ってあげるのがサーキュレーターの役目ですね。また、冬場は窓から外の冷気が伝わってきます。そこで使い方としては
・部屋の中央あたりで窓の付近に置く
・真上に向ける
と、このようにすることで床の冷気を天井に吹き上げ、溜まっている暖かい空気を下方へ送り循環させることができます。
高いところから吹き下ろして暖気を循環させる使い方
背の高い家具や、できれば天井付近に取り付けるなどして、高い位置にサーキュレーターを設置します。
エアコンの他に、ホットカーペットやヒーター、ストーブなどを併用して床付近をあたためたり、温風を上向きにつくりだしたりすることもお勧めです。
この使い方は但し、サーキュレーターが落下しないように十分注意してください。
換気をするための使い方
石油ストーブやファンヒーターを使用して暖房していると、排気や二酸化炭素がたまり空気が汚れてきます。冬場には部屋の換気が欠かせません。
換気のためには窓を開けますが、2方向から開けて空気の通り道を作らないと、なかなか新鮮な空気が入ってきません。そんな時、サーキュレーターを窓から外へ向けて風を出すと、短時間で換気をすることができます。
冬場の換気は、結露やカビ対策にも役立ちます。冬の窓辺は結露がつきものなので、水分を含んだ空気がたまらないように、窓の近くでサーキュレーターを使用することもお勧めです。
冬は暖めるほかにも、以上のような使い方があるのですね。
※参考記事1:サーキュレーターの使い方【冷房・暖房】と、夏や冬の裏技とは?
吹き抜け・ロフト・2部屋でのサーキュレーターの使い方
広い部屋や2部屋続き、また天井が高いなど空間の体積が大きくなるほど、冷暖房は非効率となっていきます。
これまで述べてきた方法と同様に、大きな空間こそサーキュレーターの強力な直進旋風を上手に使うと、エアコンの働きを助けて効果を出すことができます。
仕切りのある2部屋はサーキュレーター2個
2部屋の片方にしかエアコンなどの冷暖房機器が無いという場合、サーキュレーターは冷暖房の無い部屋の奥に置いて上向きにすると効果的です。
ただ、間仕切りがある場合も多いでしょう。2間続きで仕切りに遮られるとサーキュレーターの風が届かず、空気を循環させることができません。
このような構造の部屋の場合は、サーキュレーターを2台使いましょう。エアコンのある方の部屋の冷気を、ひとつのサーキュレーターで反対側の部屋に送り、反対側の部屋の奥には別のサーキュレーターを置いて斜めにエアコンに向けて冷気を送り出します。
但し、ストーブなど火気のある暖房器具の場合は、サーキュレーターを向けてはいけません。
2台のサーキュレーターで空気を回して、仕切りがある室内に空気の循環をつくります。
見やすく図示している記事がありますので参考にしてください。
※参考記事2:VORNADOのサーキュレーター650-JPを買ったおはなし
吹き抜けの暑さ・寒さ対策
暖気は上へ・冷気は下への空気の性質から、高さのある室内は特に、暑さや寒さの悩みがつきものです。吹き抜けでサーキュレーターによる室内空気の循環実験の結果を動画でご覧ください。
サーキュレーターによって、吹き抜けでも十分に空気の対流が作れることがわかります。もし天井にシーリングファンが取り付け可能なら、より循環効果が高まります。
冬場ならエアコン暖房だけでなく、ストーブ等で下をあたためる、輻射式暖房器を使って当たっている場所をあたためる工夫をするとより快適になるでしょう。
ロフトの暑さ対策に2台のサーキュレーター
上の動画はロフト付きの部屋でしたが、ロフト部分の温度測定などはされていませんでした。
ロフトは、先に述べた2間続きの部屋を縦にしたような、上下に仕切りで分けられている構造なので、単純な吹き抜けとは少し異なります。
暑い夏場のロフト部分は、ダイレクトに伝わる屋根からの熱が、仕切りによって溜まってしまいます。ロフトの温度は下の部屋に比べて5℃くらい高くなります。
ベッドとして寝るために使われると、夜間の暑さは熱中症の危険もはらんでいます。
ロフトを涼しく保つ必要がありますが、熱気を押し出し冷たい空気を送り込む、空気の循環を作らなければなりません。
ロフトの空気を循環させる為にサーキュレーターを使いましょう。
・ロフトから熱気を逃がすために、ロフトの奥から水平に向ける
・ロフトへ冷たい空気を送るために、下のフロアからロフト方向へ向ける
ロフトの場合は上下に1台ずつサーキュレーターを置いて併用運転することをお勧めします。
1階のサーキュレーターをロフトに向けることで冷気を送り、ロフト奥からは別のサーキュレーターで熱気をやや上向きに逃がします。こうすると涼しい空気がロフトに入りやすい循環を作ることができます。
※参考記事3:ロフトの暑さ対策グッズ~サーキュレーターの使い方とおすすめ機種
サーキュレーターを使って効率よく快適空間をつくろう
サーキュレーターが室内の空気の対流をつくる様子を見てきました。
暑い空気は天井付近、冷たい空気は床に溜まること、また窓から伝わる外気温も室内温度に影響します。冬や夏や梅雨時など、適切にサーキュレーターを使用すると、効率良く快適空間をつくることができますね。電気代やエネルギー問題、カビや菌から身を守り、冷えや熱中症も避けることができます。
皆さんもぜひサーキュレーターを活用して、賢い省エネ健康生活を送ってくださいね。