謝罪する際の正しい謝り方|ポイントとマナー・謝罪会見での謝り方

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謝罪する際の正しい謝り方

気をつけていたのにミスしてしまった、相手に迷惑をかけてしまった、ビジネスでもプライベートでも、謝らなければならない場面はるでしょう。そんなときに、どんな風に謝ればいいのか、謝り方は誰も教えてはくれません。ここでは、関係が修復できるような謝り方をご紹介します。

謝られたときの相手の感じ方

何かしらの原因があって謝られた場合に、相手は怒りや悲しみが軽減したり、悲しみや驚きのショックが緩和したり、改善してもらえるという期待が起きたりというような変化が起きます。

このようなことを感じることができると、謝られた相手は怒っている、悲しんでいる、という状態から許すという状態に移行しやすくなります。しかし、この謝り方を間違ってしまうと、謝っているつもりなのに相手に「反省していない」「言い訳ばっかりしている」「自分のことしか考えていない」などと捉えられてしまい、更に怒らせてしまったり、人間関係に深い溝を作ってしまうことになりかねません。では、間違った謝り方とはどんなものなのでしょうか。

間違った謝り方ー謝っても許されないパターンその1

例えば、こちらから送った食器が割れていたという場合に、以下のようにお客様に言うとします。

「食器については、クッション材で包み、できるだけ衝撃を与えないような箱に入れて割れ物注意の表記もして送付しているんですが・・・。お取替えしますので、壊れているものを送り返してください。」

この答えでは、お客様にこちらではミスなくやっています、と言って交換はしますと答えていますが、お詫びの言葉がありません。お客様の受け取り方によっては、交換すればいいんでしょ?って言ってるようにも思えますし、自分は悪くないということを主張されて不快に感じる方もいらっしゃるかもしれません。

お客様は、配送してもらった食器で何かパーティーに使ったり、家でお料理を楽しんだり、楽しみにしていたのかもしれません。謝罪するのにお詫びの言葉や相手を気遣う言葉がないと誠意は伝わりにくいのです。

<間違った謝り方>
・謝っているのに、お詫びの言葉や相手を気遣う言葉がない。

間違った謝り方-謝っても許されないパターンその2

「すみませんでした。すぐに宅配業者に問い合わせてみます。」

自分の責任ではないと感じている場合に、お詫びの言葉も表面的になりがちです。まずは原因を追究して、という気持ちはわかりますが、たとえ自分のせいではないとしても、まずは心を込めて謝りましょう。

ここで、相手が納得してくれない場合、2次クレームとなる危険があります。また、自分に責任がないのだから謝らない方が良いと思う人もいるようですが、これは対応としては間違っています。責任所在がどこかには触れずに、残念な思いをさせてしまったことに対して心からのお詫びをしなければならないのです。

<間違った謝り方>
・謝罪しても、責任があることを認めない

間違った謝り方-謝っても許されないパターンその3

「すいません。交換しますから、送り返してください。」

何かしらの商品が壊れて到着した場合に、壊れた商品への対応も伝えているし上記のような言葉で伝えることに特に問題を感じない方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、この謝り方では、反省の気持ちは伝わりません。謝罪には、大きく分けて「表面的な謝罪」と「心からの謝罪」に分けることができます。謝られる側としては、謝ってきた人の伝える順番や選んだ言葉、声のトーン、表情や雰囲気などから、表面的な謝罪なのか、心がこもった謝罪なのかを判断します。謝罪の言葉が入ったものであっても、それが表面的だと感じた場合は、魅力的な対応策を提示したとしても納得してもらえなくなるのです。

<間違った謝り方>
・誠意のない謝罪

上手な謝り方とは?

上手な謝り方とは、自分に責任がある場合は、自分の非を認めていることを相手に感じさせるような謝り方です。例えば、自分のミスによって相手企業に損失を与えてしまったなんて場合は、以下の内容を盛り込むことが必要になります。

・お詫びの言葉 
・反省の言葉
・責任の受容
・今後の対策と賠償について
・最後にもう一度お詫びの言葉を入れる

これらを網羅して謝罪の言葉を書きます。謝罪される側としても、これらの内容を満たせば納得してくれる場合も多いでしょうが、実際の謝罪では、責任の所在など不明にしたり、謝罪の言葉がなかったりして、どこかしら満たされない謝罪になってしまうと、相手側が納得せずにトラブルに発展していくなど2次被害を招くことも考えられます。

謝罪が必要となった場合には、上記の点を網羅させた上で、誠意ある態度で相手を思いやり、心から謝罪することが必須です。本当の原因や責任などについては、相手が納得した後で調べれば良いのです。まずは、相手に納得してもらえる謝り方を追究しましょう。

正しい謝り方-責任を認めるメリット

謝罪というと「能力がないように見られるのではないか」とか「責任をとらされるのではないか」とか、デメリットを意識しがちです。しかし、謝ることは以下のようなメリットがあります。

・反省の気持ちが伝わる。
・悪い印象が回復する。
・相手との人間関係が回復する。
・誠実さが伝わる

失敗したり、相手に迷惑をかけたときに、謝るということは相手の感情に一歩踏み込む行為です。誠意ある謝罪は、ピンチをチャンスに変える可能性も秘めています。ここで相手があなたの誠実さを汲んで納得してくれれば、今後の関係が好転して、かえって強い信頼を勝ち得ることになる可能性すらあるのです。お詫びの際には、デメリットよりもメリットを意識して臨みましょう。謝罪する場合に、伝わりやすい構成を普段から繰り返し練習しておくと、咄嗟の時に良い対応ができるのでオススメです。

謝罪する場合の謝り方のポイントとマナー

ミスをしてしまって相手に不利益を負わせてしまった、なんてときに謝罪は必須です。謝罪は人間性が現れる場面です。場合によっては、ミスをすることよりも誤った謝罪をしてしまったことの方が後々に大きな痛手となることもあります。では、謝罪する場合の謝り方やそのポイントをご紹介します。

謝罪には心からの反省だけでなくテクニックも必要

謝罪をした場合に、伝えたい内容をそのまま相手に理解されれば問題ありませんが、謝罪側と謝罪される側で解釈が違っていたとなると思うように相手側が納得してくれないことも有り得ます。

謝る側は、自分の責任を少なく見積りがちですし、知らず知らずのうちに責任を回避した表現を選ぶ傾向にあります。これに加えて、謝罪される側は、相手の責任を多く見積もるため、こちらが心から謝罪しても思ったほど伝わってないということになりがちです。このギャップを埋めていくには、心からの反省はもちろんですが、その気持ちを伝えるテクニックが必要になってきます。

効果的な謝り方の4ポイント

プライベートなどで謝罪する場合に以下の内容を意識して効果的な謝り方をしましょう。

1.お詫びの言葉を述べる
2.してしまった事への対応をどうするか話す
3.相手の感情を思いやる言葉を述べる
4.最後にもう一度お詫びの言葉を述べる

謝罪される方は、以下のように感情が遷移していきます。 

1.責任をみとめて謝って欲しい
2.問題を解決し、誠意を見せて欲しい
3.事態の大変さを認識して欲しい(軽く考えないで欲しい)
4.反省して欲しい

これらの感情推移に合わせた謝罪が、上記の謝り方の4ポイントになります。反省しているが悪気もないため無意識の中で自分を防衛した謝り方をしていると、相手は軽んじられた、正当化されたと感じ、許すことができなくなってしまいます。そのようなことがないように、上記の4ポイントを押さえた謝罪を行うようにしましょう。

ビジネスシーンにおける謝り方のポイント

ビジネスシーンにおいて、何かミスをして謝罪しなければならないときは、どういった点に注意すれば良いでしょうか。ビジネスシーンでの謝罪では、信頼の回復、今後の改善などを十分に説明することが必要になってきます。相手の不利益に対する責任なども発生してきますので、以下のような流れを参考に謝り方を工夫しましょう。

1.お詫びの言葉
2.対応策
3.経緯の説明
4.再発防止策と今後について

不利益を与えてしまった相手の感情は以下のように推移します。

1.責任を認めて謝って欲しい
2.問題を解決して欲しい
3.どうして問題が起きたのか、原因を知りたい
4.今後もお付き合いできるかどうかの不安を払拭して欲しい

まずは、最初にお詫びの言葉を発して誠意を伝え、相手の心象を更に悪くするのを防ぎます。さらに、問題が拡大しないように、早めに対応策を伝えます。また、どうしてそのようなことになったのかの原因を話して、今後の対応策や改善点を述べて、二度とこのようなことがないように努めるという姿勢を見せます。

失敗すると弁解したくなりますが、そういった弁解したい気持ちを抑えて、誠実な態度を見せることがピンチをチャンスに変える第一歩です。謝罪する場合は、責任を認めて、相手の立場に立ち説明責任を果たし、今後の対策を聞いてもらうという姿勢を忘れずに行いましょう。仕事上、責任を認める発言ができないケースもあるかもしれませんが、その場合は「ご心配をおかけして申し訳ありません」「不快な思いをさせてしまい申し訳ありません」というフレーズを誠意を込めて伝えましょう。

ビジネス上の謝罪マナーとは?

では、実際にビジネス上謝罪する場合には、どういった言葉を使って謝れば良いのでしょうか。謝罪の言葉の一例をあげてみます。

「誠に申し訳ございません。」
「今後、このようなことがないように、周知徹底いたします。」
「深くお詫び申し上げます。」
「大変ご迷惑をおかけいたしました。」
「弁解の余地もございません。」
「勉強不足で申し訳ありません。」
「私の力不足です。」

また、謝罪の言葉の中には、相手が不快に思っていることについて共感していることを伝えなければならないこともあります。そのような場合は、以下のような言葉を使います。

「おっしゃる通りだと思います」
「私でも、同じように感じたと思います」
「ご指摘はごもっともです」

相手が何に対して怒りを感じているか、真摯な気持ちをもって相手に伺うことも必要です。相手から話を聞き出す場合は、クッション言葉を使うと相手に対して優しい印象を与えます。

<クッション言葉の一例>
「お手数ですが」
「大変恐縮ですが」
「恐れ入りますが」
「差し支えなければ」

解決策の提案では、相手から要求された内容について可能な限りできることを慎重に判断します。

<お願い言葉の一例>
「お許しいただけませんでしょうか」
「ご了承いただけないでしょうか」
「ご理解いただけないでしょうか」
「ご返事お待ち申し上げております」

締めくくりには、相手に指摘してもらったことへの感謝の言葉をまとめます。

<感謝の言葉の一例>
「貴重なご意見をありがとうございます。」
「ご指摘いただき恐縮しております。」
「恐れ入ります。」

これらのビジネス上の言葉は一例です。このような言い回しを駆使して、相手に誠意が伝わるような謝罪文を作成しましょう。 

ビジネスの相手を不快にさせる一言

何気なく発した言葉が相手をより一層不快な気持ちにさせることがあります。特に、謝罪の言葉を伝える時には「だって」「だけど」「ですが」「でも」といった逆接フレーズは厳禁です。例えば、相手がこちらに文句を言っているときに相手の話を聞いた後で、「ですが、そんなはずはございません」といった言い方をしては、かえって相手を怒らせてしまうことになるからです。謝罪の際に使っていけない言葉は、以下のような言葉になります。

「そんなはずはございません」
「お言葉ですが・・・」
「存じません」
「それはできません」
「本当ですか」
「先程もお話いたしましたが」

このようなフレーズは、相手の言うことを認めないように受け取られたり、いいわけのように聞こえるからです。また、こちら側の非を認めないと強調しているような印象を与えてしまうかもしれません。お詫びをする際には、相手に言い返して意見してしまうのはやめましょう。こちらに非があることを認めて、相手に対して否定的な言葉や批判的な言葉は使わずに、相手の話をじっくりと聞く姿勢をとりましょう。

謝罪会見での謝り方

謝罪会見を見ることがたまにあると思いますが、この謝罪会見での謝り方も参考にするべきところが沢山あります。謝罪会見に見る、謝り方のポイントを以下にあげます。

謝罪会見での謝り方-事が起きたら、すぐに謝る

謝罪するべき事件や過ちが発覚した場合は、周りから会見をしないのか?など催促される前に、タイミングを見て素早く謝罪しましょう。このタイミングは、実はとても重要です。謝る時期を間違えると、本当ならすぐに許してもらえたかもしれない事案であっても、いつまでも尾を引いてしまうことになりかねません。周りからの批判がヒートアップする前に、すぐに行動に移すことが重要です。

謝罪会見での謝り方-絶対に言い訳しない

人は過ち犯してしまったり、ミスをしたとしても自分の非をなかなか認めたくないために、謝罪といっても言い訳がましくなりがちです。しかし、謝罪会見では、言い訳は見苦しく、聞いている方も良い気がしません。謝罪する場合には、潔く自分の非を認めることが大事です。自分を守るために言い訳をしたり、守りに入ると、周囲からの評価を下げる結果になります。真摯な態度で、自らの非を認めることが誠意ある謝罪につながります。

謝罪会見での謝り方-相手が知りたいことには、はっきりと答える

謝罪会見の際には、記者からその事件の肝的な質問を受けることになります。そういったときに、はっきりと答えなかったり、濁してごまかしたりすると、周囲からの評価はガタ落ちになりますし、本当に反省しているのか疑問に思われてしまいます。

周囲からの質問には、誠意をもってはっきりと答えましょう。核心の部分を曖昧にして返答してしまうと、周囲は余計に勘ぐります。相手が知りたいと思うことを、しっかりと説明して謝罪することが重要です。

謝罪会見での謝り方-とにかく誠意をもって謝ること

謝罪会見では、とにかく誠意をもって答えることが重要です。誠意とは、どのような形にすればわかるかはその場面場面で違うでしょうが、例えば時間制限のある会見だったとしても、記者が質問したいことが時間オーバーしたとしても最後まで答えきるとか、若干失礼な質問をしたとしても嫌な顔をせずに乗り切るとか、とにかく反省しているという態度を示すことです。

人間ですので、時には間違ってしまうことはあるのです。問題は、その後の対応の仕方で、その人の評価が変わってきます。謙虚な態度で、上手に謝ることがその後の人生を左右するかもしれないということを頭に置いて、しっかりと謝罪しましょう。

謝り方一つで印象が変わることすらある

いかがでしたか。何かミスをして周りに迷惑をかけた場合、自分を庇いたくなって言い訳したくなったりしますが、そこはきちんと自分の非を認めて反省している、悪かったという謙虚な態度が謝罪では大事だということがわかっていただけたでしょうか。

ピンチはチャンスとも言います。誤って間違って周りに迷惑をかけたときこそ、誠意をもって臨み、相手の信頼を取り戻すことができれば、より一層深い絆を結ぶことも可能かもしれません。正しい謝り方は、プライベートはもちろん、ビジネスシーンでも役立ちますのでしっかりと習得して今後に役立てていただければ幸いです。

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