応接室での席次(上座・下座)
応接室に入ったら
ビジネスの場で、応接室に入ることはしばしばあります。しかし、入ったときに自分がどの席に着けばいいのか、どのように動けばいいのか迷う方もたくさんおられることでしょう。
応接室はいわば会社の顔ですから、そこでのビジネスマナーも特に重要なものになってきます。基本的なマナーが分かっていないと、相手の方に失礼だと思われてしまうこともあるでしょう。
応接室に入ったときにどの席次に着くべきか、そして応接室に入ったときのビジネスマナーにはどのようなものがあるのか、ご紹介していきたいます。
応接室の席次はどうしたらいいか
応接室に入ったときにまず確認するべきなのが、自分がどの席次に着くべきなのかということです。自分が応接室に人を招く立場であったとしても、自分が招かれる立場であったとしても、うっかりマナーに反した席次に着いてしまっては相手の方へ失礼になってしまいます。
自分個人に対して失礼だと思われるだけでなく、会社の代表として応接室にいるのですから、会社の顔を潰すことになりかねません。せっかくのビジネスチャンスを逃してしまうようなことならないためにも、自分がどの席次に着くべきなのか、しっかりチェックしておきましょう。
応接室に限らず、部屋には「上座」と「下座」というものがあります。基本的には、応接室の出入り口から見て一番遠い席が「上座」、逆に一番出入り口に近い席が「下座」となります。お客様であったり、立場が上である人が上座に座ります。
具体例を挙げてみましょう。
まず、四角い部屋を想像してみましょう。出入り口は右下にあり、部屋の真ん中に4人掛けテーブルがあるとします。すると、上座は左側の2席、下座は右側の2席となります。上座の中でもテーブルの奥、つまり出入り口から最も離れた席がお客様や立場が上である人が座る所です。
しかし、必ずしも出入り口から遠い席次が上座であるとは限りません。オフィス内や役員室に応接室がある場合は、オフィスや役員の机から最も遠い席が上座です。先ほどの部屋に当てはめてみましょう。右下に出入り口があり、上側にオフィスや役員の机があるとします。その場合であれば、オフィスや役員の机から一番離れた下側が上座となります。
この場合の2席の上座の中でも、出入り口から離れた方の席がお客様や立場が上である人の席です。応接室では、出入り口からも社内スペースからも最も遠い席にお客様を案内するのが良いでしょう。応接室の上座・下座には、他にも例外があります。
例えば、窓から見える景観が美しい席や、掛け軸など素晴らしい美術品が見える席は出入り口から近くとも上座となります。また、一人掛けのソファと長ソファがあった場合では、長ソファが上座となりますので注意しておきましょう。
和式の部屋の場合にはソファが無いことがほとんどですが、その他の上座・下座は同様ですので押さえましょう。また、自分が取引先などで応接室へ入ることになった場合に、取引先の方に上座に座るように勧められることがあります。この場合は一度は辞退し、下座に座るようにします。しかし、強く勧められたときにはしっかりとお礼を言い、勧めに従って上座に座らせて頂きます。
あまりに固辞し過ぎるのは相手に対して却って失礼にあたりますから注意が必要です。特に指示がない場合には下座に座るようにしましょう。
応接室でのビジネスマナー
応接室マナーはどんなもの?
応接室に入ったときに座る席次についてのマナーはお分かり頂けたと思います。その他の応接室でのビジネスマナーにはどのようなものがあるのでしょうか。自分が応接するときと自分が応接されるとき、それぞれのビジネスマナーをご紹介します。
自分が応接するとき
まず、お客様にスムーズに応接室に入っていただけるよう、ドアを開けてご案内します。手前開きのドアの場合は扉を開けて外側でご案内します。奥開きのドアであれば扉を開けて先に室内に入り、扉を押さえてご案内しましょう。
お客様に応接室に入って頂いたら、上座に座って頂くようにお勧めします。その後、自社の社員がいる場合は、社員をまず紹介し、その後社員にお客様を紹介します。飲み物をお出しするときには、お茶かコーヒーのどちらが良いか、お聞きしてから出すと間違いがありません。
寒い季節には熱いものを、暑い季節には冷たいものをお出しするのが基本となりますが、熱い物と冷たい物のどちらが良いのかということもお聞きしても良いでしょう。お出しするときには、コップに7分から8分いれ、来客の上位者から社内の上位者という順番、つまり上座から下座の順番に出します。会話の邪魔にならないよう、「どうぞ」または「失礼致します」とお声掛けしても良いでしょう。
お茶菓子を出す場合には、お茶やコーヒーよりもお茶菓子を先に出すようにしましょう。
飲み物を出すときにテーブルが低い場合は、膝を曲げて高さを調節してお出しします。また、基本的にお客様の右側からお出ししますが、書類などがあり置くことが出来なければ空いているところでも構いません。
飲み物を出されたら応対者は口を付け、お客様にお茶をお勧めします。また、商談などが長引くときには30分から40分ごとにお茶を交換します。新しいお茶を持って入室してサイドテーブルなどに置いた後、古いお茶を回収します。その後再び上座から下座の順番にお茶をお出ししましょう。
自分が応接されるとき
まず、上司と一緒に入室する際には、上司が先に入室します。その後、応接室に人がいた場合には上座に座るように勧められます。基本的にはそのまま座っても問題ありませんが、初めて訪問する際や、まだあまり相手を知らない内は遠慮を見せる方が好ましい印象を与えられます。
一旦は下座に座って相手が応接室に入ってくるのを待ち、相手が入ってきて自己紹介などを終え、直接上座を勧められたときにはそれに従い上座へ座るようにします。手土産以外の鞄や荷物などはテーブルや椅子には置かず、床に置きましょう。待ち時間が長いときにはメールなどをチェックしたくなるかもしれませんが、携帯電話などはいじらず、事前に電源を切っておきます。
商談など、用件に必要な書類などをテーブルの上にまとめておき、資料を確認しながらどのように話を切り出すか考えておきましょう。いつ訪問先の方が来てもすぐに対応できるように待っておくことがポイントです。訪問先の方が入ってこられたら、立ち上がって頭を下げて挨拶します。応接室が和室の場合には手をついて挨拶しましょう。
また、すでに訪問先の方が応接室で待っておられるという場合には、席を案内されるまでは立っておきましょう。明らかに空いている席があっても、いきなり座ってはいけません。初めてお会いする方がいた場合、名刺交換をします。その際、名刺を頂いたらすぐに仕舞ってしまわず、テーブルの上に並べておきましょう。応接室を出て行くときには忘れずに持って帰るように注意して下さい。
手土産をお渡しするときには、床には置かず、サイドテーブルやソファなどに置くようにして下さい。訪問先の方にお会いしてすぐ渡した方が良いですが、その場の状況によっては退室時に渡しても大丈夫です。お渡しするときには紙袋から出しておきましょう。飲み物を出されたときは、訪問先の方が口を付け、勧めて頂いた後で「いただきます」と挨拶して飲むようにしましょう。喉が渇いていても、訪問先の方よりも先に飲んでしまうのはマナー違反です。ただし、応接室に入って訪問先の方を待っている間に頂いたお茶は飲んでも構いません。
応接室に入ると灰皿が置いてあることもありますが、タバコは基本的に吸わないようにしましょう。もしも吸う場合には、相手の方が吸い始めたときに、自分も吸っても構わないか一言訊ねてから吸うようにします。また、応接室では足を組んだり、崩した格好をしないようにしましょう。そういった格好はやはり見ていてあまり気持ちの良いものではありませんから、印象が悪くなってしまいます。
和室の場合
和室に通された際なども正座しておき、訪問先の方から足を崩すように勧められてから正座を崩すようにします。退室するときにはお辞儀をして挨拶し、貴重なお時間を取って頂いたことに対して感謝を述べましょう。
退室する順番も入室と同様に上司が先ですが、靴を履き替えるタイプの部屋であれば上司が後になります。その後、訪問先の方から見送りの申し出があった場合には辞退しましょう。
応接室のデザイン・レイアウト
応接室は会社の顔
応接室というものは会社の顔とも言える部屋です。会社を訪問するお客様の立場からしてみれば、会社の印象を決めるのは応接室であると言っても過言ではありません。
きちんとしたビジネスマナーとともに、応接室にも気を遣いたいものです。では、応接室のデザインレイアウトにはどのようなものがあるのか見ていきましょう。
応接室のデザインやレイアウト
応接室はセキュリティ上、会社の入り口近くに配置されていることが多いです。入り口近くであることは、訪問されるお客様立場からしても安心です。お客様の立場から入りやすい応接室であるという点が重要になりますので、デザインやレイアウトを考える際にはお客様目線でストレスとなるものがないかどうか見ていきましょう。
例えば、お客様が座るのは上座、つまり応接室の出入り口から見て奥の方ですから、あまりにも広過ぎる応接室だと入る側からすると億劫になってしまいます。また、応接室の出入り口から上座まで移動する道となるところには、途中に障害物となるものが無いか、歩きやすいかどうかなどのレイアウトに目を向けてみましょう。
応接室はお客様との商談などで長時間用いることが多い場ですから、色彩や様式などにも統一性を持たせ、座りやすい椅子やソファを選ぶことも大切です。
応接室では礼儀正しく
いかがでしたか?応接室でのビジネスマナーがお分かり頂けたと思います。基本的なルールに則りながらも、相手の申し出を固辞し過ぎないというのもポイントです。
自分が応接する場合でも訪問する場合でも、しっかりとしたビジネスマナーを持って、相手にとって良い印象を与えましょう。