「おかれましては」の意味と使い方・例文・類語・敬語|丁寧語

ビジネススキル

「おかれましては」の意味と使い方

敬語は日常生活でも来客や年上の人に使うことがありますが、最も多く使用されているのは仕事を行っている場所です。

そこでは年上の人や立場的に上の人が多く、職種によっては不特定多数のお客様と呼ばれる人々との会話も敬語を用いなければいけません。

どんな人でも成長すれば敬語を使う機会が増えていくので、正しい敬語を使って仕事だけでなく、日常でも上手に活用してみて下さい。

「おかれましては」の意味

「おかれましては」という敬語はその前に人名や企業・団体などの名称を置いて「〜には」という言葉の敬語表記であり、対象になっているものを紹介する意味を持っています。

「おかれましては」を漢字にすると「於かれましては」になり、この「於」という漢字はあまり見る機会がありませんが、「置く」という言葉と同じです。

それが人名や企業・団体名を置くということになるので、その対象者を前置きするための敬語であるのは間違いありませんが、ビジネスの会話で使われることが多く、一般での使用頻度は少なくなっています。

「おかれましては」の使い方

「おかれましては」という言葉は会話に入れて使うようなものとは違い、挨拶の一文で利用されるケースがほとんどです。

頻繁に使われるのは時候の挨拶であり、相手の人や企業などが主賓である場合にその対象者を労う言葉で使います。

社会人で仕事を行うようになると、本文に入る前置きで時候の挨拶を入れるのが通常です。そのため、事務関係の業務をするのであれば「おかれましては」という言葉は何度も使うので、その使い方を把握する必要があります。

時候の挨拶とは

時候の挨拶とは、ビジネスで話題を振る場合に本題に入る前に使われる前置きのような意味を持つ文であり、文章事態には大きな意味はありません。

いきなり本題に入るのは、相手に自分の時間を使ってこちらの意図していることを見てもらうことになるため失礼です。まずは、礼節を示すために時候の挨拶をします。

ビジネスの世界は礼に始まり礼に終わるので、無駄だと感じていることでも、その意味を紐解けば理由が存在しています。独自の主観でこのような礼儀を省くのは許されません。

「おかれましては」を使った例文

「おかれましては」はビジネスの世界では頻繁に使われている言葉ですが、この言葉を仕事の中で活用している人は少なく、まれに社会人でも使い方がわからないという人は多くいます。

「おかれましては」は特徴的な文章を用いるので覚えてしまえば簡単ですが、そのためには通常では使わない言い回しを行います。この言葉を必要とする事態にいつなるかわからないので、使い方を例文で覚えましょう。

「おかれましては」の例文でビジネスの場合

ビジネスで「おかれましては」を使う場合はある程度の文章が決まっているため、それを基本に、状況に合わせて変化させるといいでしょう。

例文は「◯◯におかれましては、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます」となります。

◯◯の部分には相手先の企業名や団体名などを記載して、呼称に対する敬語表記は「様」を使えば問題ありませんが、名称を使用しない場合には「貴社」を用いれば問題ありません。

「おかれましては」の例文で人物の場合

「おかれましては」の対象が人物であると場合、使い方が異なります。

例文は「◯◯におかれましては、お変わりなくお過ごしでしょうか」となります。

人物の時には相手一人だけが関係者になるため、あまり細かな表現方法を用いると挨拶であっても不快感を与えてしまうことがあるので、当たり障りのない抽象的な表現がいいでしょう。

人物でも立場がはるかに上の人物に対しては、個人情報に近い内容は特に厳禁なので注意して使って下さい。

「おかれましては」の類語

「おかれましては」はビジネスで文章で自分の意思を相手に知らす際には用いられる挨拶のような言葉であり、この言葉を使っていればまず間違いがありません。

しかし「おかれましては」という言葉を使うのはビジネスに限定はできないため、場面に合わせた類語を使った言い回しを知っていると重宝します。

類語は意外に知られていないことがあるので、「おかれましては」の類語について紹介しましょう。

おいては

「おいては」とは「~について」や「~の場所で」というような意味を持っていて、仕事などであらゆる場面で使われている言葉です。

通常は「○○において」という使い方がされていて、主題を最初に持ってきて、それの意味や行われる場所を紹介する際に使われる言い回しです。

「おかれましては」と似たような意味ですが、敬語表記にするとランクが一段階下がるので、使う相手を慎重に検討する必要があるでしょう。

「おかれましては」と「つきましては」の違い

言葉には意味がよく似ている別の言葉というのが存在していて、意味も微妙に異なっている場合には同一視してしまいやすいです。

しかし、仕事で使われる言葉は、相手に違和感を与えてしまうと失礼です。「おかれましては」と似ている言葉に「つきましては」がありますが、この二つには明確な違いがあるのでその違いについて説明しましょう。

「つきましては」の意味

「つきましては」という言葉は文章と文章を繋ぐ場合に使われていて、前の文章を踏まえてどのような変化があるのかを相手に伝える場面で利用されています。

「つきましては」を用いる時には以前に何らかの関係性を持っていて、それに対する新たな意思表示となることが多く、全くの関係性がない相手に対して使うと意味合いがおかしくなってしまうため、使い方に注意しましょう。

「つきましては」は「おかれましては」の類語です。「おかれましては」は完全に前にある名称と以後の文章を接続するのに用いますが、「つきましては」は接続で使っても前の文章とその意味が異なっている場合が多くなっています。

「おかれましては」の敬語表現

「おかれましては」は敬語ですが、表現方法を変えたり前後につける文によって他の敬語表記に変化させたりすることも可能です。

敬語には尊敬語、謙譲語、丁寧語とあるのですから、状況と場面に応じて敬語も使い分ける必要があります。それが仕事の場であれば特に重要です。

いつ敬語を使い分けなければいけない機会に遭遇するのか予測ができないので、どのような場合にも適切に対処できるように使い慣れていて下さい。

丁寧語

「おかれましては」は「おいては」を丁寧語にしたものであり、元から丁寧語表記になっています。

仕事の場合には相手がどのような立場になっているのか把握がしにくいため、「おかれましては」のように不特定多数の相手に発信するのであれば丁寧語が最適です。そのために、ビジネスでは尊敬語や謙譲語よりも、誰に対しても利用可能である丁寧語を使用する頻度が高くなっています。

尊敬語

「おかれましては」は年上や立場が上の人に対して使う敬語なので、丁寧語であるとともに尊敬語でも十分に活用できる言葉になっています。

そのために尊敬語で使っても全く問題はないのですが、相手により敬意を払うために名称に「様」を付けたり、名称を使用しない場合であれば「貴殿」や「貴社」、「貴店」といった敬語を使ったりするのがいいでしょう。

尊敬語を使う相手に対しては、通常よりも気を付けなければいけないので、表現方法も慎重にしなければなりません。

謙譲語

「おかれましては」は「おきましては」の丁寧語であり、変化は見られないため、謙譲語にするのであれば文末に「参ります」や「伺います」といった言葉で締めくくるといいでしょう。

ビジネスの世界では立場的に上の場合でも相手に敬意を払う状況は頻繁に訪れるため、この謙譲語での表現方法も認識している必要があります。

「おかれましては」を含む言葉の使い方

仕事を行っていると一般に使わない言葉というのがいくつもあり、その多くが敬語で表現されているので使い方が複雑です。

しかし、仕事を行っていれば敬語の使い方はとても重要です。使い方を間違えると相手に不信感を招く恐れがあるため、使用頻度の高い「おかれましては」についてもよく使われる言葉と一緒に覚えて下さい。

おかれましてはご自愛

「ご自愛」という言葉は「おかれましては」とセットで使われることがあり、日常的な会話で使用されることがほとんどないので、意味がよくわからないという人も多いでしょう。

その理由は「ご自愛」という言葉の意味が分からないからでしょう。しかし、意味は漢字を見れば一目瞭然であり「自分を愛する」という意味になるので、自分自身の体の健康状態を表現している言葉です。

つまり、「おかれましてはご自愛」とは特定の人物を対象にして、その体調面を考慮するような場面で使われるために会社や団体などに対して使われることはありません。

おかれましてはご多忙

「ご多忙」というのも「おかれましては」にはよく使われる言葉であり、多忙というのはとても忙しいという意味は広く知られています。発信者のところに「おかれましては」の対象となっている人や会社の代表者が来てくれたことを労う言葉であり、感謝の気持ちを表現した言葉と言えます。

「ご多忙」というのは「ご足労」と同じくらいよく使われていて、相手からこちらに来てくれるような機会があれば使うようにして下さい。

おかれましてはありがとうございます

「おかれましては」は人物や会社・団体などの名称に対して使われるので、「ありがとうございます」がつくと、対象になっている人物などに対する感謝の気持ちを表現している言葉になります。

ただし「ありがとうございます」は一般的な敬意を示す言葉なので、相手への敬意の払い方はそれほど高いとは言えません。立場は同じ程度の相手に対して使わなければ失礼になります。

ビジネスで使う敬語は使い方まで覚えることが必要

ビジネスというのはどちらにとっても会社の利益を得るために行われる作業であり、どのような立場であっても相手には敬意を払わなければいけません。

そのためにビジネスの世界ではあらゆる場面で独特の敬語が使用されていて、それが一般的に使われているような言葉ではないため、最初のうちはどうしても途惑ってしまいます。

しかし、人間にとって仕事は必ず行わなければならない使命でもあるので、わからないから避けるということがないように、敬語を覚える努力を行っていって下さい。

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