「ご笑覧」の意味と使い方・類語・例文・敬語・読み方|ビジネス

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「ご笑覧」の読み方って?

「ご笑覧」や「ご笑覧ください」という言葉を目にしたことはないでしょうか。

「ご笑覧」と書いて「ごしょうらん」と読みます。主にビジネスシーンで見かける表現ですが、「ご笑覧」の意味や使い方についてこれから紹介していきます。

「ご笑覧」の意味と使い方って?

では「ご笑覧」とは一体どういう意味なのでしょうか。

「ご笑覧」という言葉は、その字のごとく「笑いながらご覧になる」という意味です。「ご笑覧」の「覧」は、「見る」の尊敬語「ご覧になる」の「覧」です。

自分と自分が用意したもの(書類や手紙、作品など)をへりくだって「なんとも下手くそでお恥ずかしい限りですが、笑いながらくらいの軽いかんじで」+「ご覧いただけたらありがたいのですが」という相手への敬意を示しています。この謙譲語と尊敬語の絶妙な組み合わせで成り立っているのが、「ご笑覧」という言葉です。

この「ご笑覧」の「笑」の字に、「拙いけど、未熟だけど、どうか笑いながらでも見てやってくださいね」という奥ゆかしさが込められている点が、謙譲文化といわれる日本語特有の表現といえるでしょう。

ビジネスシーンで活用

では「ご笑覧」という言葉を一体どんな場面で、どんな風に使ったらいいのでしょうか。

「ご笑覧」は、主にビジネスシーンでよく使われています。書類、手紙、社外文書、原稿など、自分が作成したものを「どうぞご覧ください」と相手にお願いする場面で、へりくだって「どうぞ笑いながらでも見てやってくださいね」という謙譲のニュアンスを込めて使います。

ビジネスレターやメールの末尾などで、結びの挨拶の一部として使われているのを見かけることがよくあります。

「ご笑覧」の類語って?

「ご笑覧」には似たような言葉がいくつかあります。

ご笑納

「ご笑覧」と同じ「笑」がつく言葉に「ご笑納」という類語があります。「つまらないものですが、どうぞご笑納くださいませ」のように使います。

「ご笑覧」が「笑いながらご覧ください」という意味であるのに対し、「ご笑納」は「笑いながらお納めください」という意味になります。

「ご笑覧」が書類や手紙など「見るもの」に使う表現であるのに対し、「ご笑納」は贈り物などの「物品」に使われる表現です。

ご高覧

「ご笑覧」と同じ「覧」がつく言葉に「ご高覧」という類語があります。

「ご高覧」の「高」は「位の高いあなた様」に対する敬意+「覧」は「ご覧になる」でこれも敬意と、敬意が重なってたいへん丁寧な表現になっていますので、力関係のはっきりした目上の方や取引先、お客様などに対して使います。

また、例えば自社パンフレットやイベントフライヤーなど、自作物以外のものを見てもらいたい場合にも使えるという点が、「ご笑覧」とは違います。「新作カタログが完成いたしましたので、ご高覧賜りますようお願いいたします」のように使います。

ご高閲

「ご高覧」と似ていますが「ご高閲」という類語もあります。

字面だけでなく意味も「ご高覧」と大体似ていますが、「閲」という漢字には「検閲」のように「調べる」というニュアンスがあります。「見る」というよりは「確認する」という意味あいが強いので、相手によくチェックして欲しいような場合に使われることが多い表現です。

「ご笑覧」の例文って?

それでは「ご笑覧」が実際にどんな風に使われているのか、例文を見ていきましょう。

ご笑覧ください

ご笑覧は「ご笑覧ください」だけでなく「ご笑覧いただけたら幸いです」などのような使い方があります。以下に例文をあげてみましょう。

・弊社ウェブサイトに掲載されましたので、どうぞご笑覧ください。

・感謝の気持ちを手紙にしたためましたので、どうぞご笑覧くださいませ。

・拙作お恥ずかしい限りですが、ご笑覧いただければ幸いです。

・同封の月報××にて紹介されておりますので、よろしかったらご笑覧くださいませ。

ご笑覧あれ

「ご笑覧あれ」は「ご照覧あれ」の誤字です。

意味を正しく理解している仲間内だけで「ご照覧あれ」のパロディとして「ご笑覧あれ」を使う、というのならまだいいのですが、間違っても取引先やお客様などに対して使わないように気を付けましょう。

以下で詳しく説明します。

「ご笑覧」と「ご照覧」の違いって?

「ご笑覧」と「ご照覧」では、発音は同じですが意味が全く違います。

ご照覧には、「明らかに見ること、はっきり見ること」「神仏がご覧になること」という意味があります。「ご笑覧」のようなへりくだった謙譲のニュアンスは全く無く、はっきり堂々と見てもらう、という強めの意味あいを持つ言葉です。

「ご照覧」は古典文献にたびたび登場する表現で、特に太宰治著「走れメロス」の中に出てくる「嗚呼、神々も照覧あれ」というセリフがあまりにも有名なので、そこから「笑覧」と「照覧」が間違われるようになったとも言われています。しかし意味が全く違いますので、間違って誤用してしまわないように気を付けましょう。

「ご笑覧」の敬語って?

「ご笑覧」に似た言葉「ご高覧」に関してはさきほど述べましたが、他にもさまざまな類語かつ敬語があります。

ご清覧

「ご清覧(せいらん)」は、手紙などで相手が見ることを敬って言う言葉です。「ご清覧いただけたら幸いです」のように使います。基本的に、相手に対する敬意を表した言い方です。

ご台覧

「ご台覧(たいらん)」は、皇族がご覧になることを意味します。高貴な人、特に皇族(太皇太后・皇太后・皇后)が相手の場合にのみ使用する表現です。皇族が観戦している競技を「台覧試合」と称します。

ご天覧

「ご天覧(てんらん)」は、天皇がご覧になることを意味します。天皇陛下が相手の場合にのみ使用する表現です。

「ご叡覧(えいらん)」「ご奏覧(そうらん)」もまた同じように、天皇がご覧になることを指して使われることがあります。

「ご笑覧」の目上の人への使い方って?

「ご笑覧」という言葉には、基本的に謙譲のニュアンスが強く含まれます。「お粗末ですが」「お恥ずかしい限りですが」という前置きが大前提にあっての「どうぞ見てください」というお願いの言葉です。

ですから、取引先やお客様や上司など目上の人へ「ご笑覧」という言葉を使う場合は、そのまま「ください」を添えれば問題ないでしょう。「ご笑覧ください」「ご笑覧いただけたら幸いです」というような言い回しがよく使われています。

敬語の無駄重ねに注意

ただし、丁寧さを出そうとして敬語を無駄に重ねてしまうと、くどいだけでなく間違った敬語につながってしまうので、注意しましょう。例えば、「ご笑覧を賜りたく存じる」「ご笑覧を乞う」「ご笑覧に供する」などという使い方は、「笑」という字の持つニュアンスとのバランスがあまり良くないため、なんだかちぐはぐな表現になってしまっているといえるでしょう。

「ご笑覧」は、それだけで基本的にしっかりへりくだった謙譲表現ですので、「ください」という語尾を添えて「ご笑覧ください」とするくらいがちょうどよい使い方といえるでしょう。

「ご笑覧」を上手に活用してみよう!

ここまで「ご笑覧」についてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。

「ご笑覧ください」という言葉は「笑ってご覧ください」という意味ですが、「笑」の字にへりくだった謙譲の意をこめた表現です。

例えば、一生懸命書いた書類を本当は「ぜひとも見て欲しい、真剣に見て欲しい」と考えていたとしても、そんな気持ちは表には出さず「ご笑納ください」と差し出します。この「笑」という字を使うことによって、自分をへりくだり相手を敬い、「笑うような軽い気持ちででも見てくれたら嬉しいです」という、日本語ならではの奥ゆかしく美しい表現となっています。

「ご笑覧ください」を上手に使いこなしてビジネスコミュニケーションに役立て、仕事を円滑に進めていきましょう。

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