「ご返事」と「お返事」の違い・正しい敬語なのか|ビジネス

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「ご返事」と「お返事」の違い

丁寧にするため用いられている「お」や「ご」といった表現は、いつどのような場合にどちらを付ければ最適なのか、その使い分け方に迷ってしまうことはありませんか。日常会話以外でもメールで大切なヒトと交す際など、「お返事をいただきまして」あるいは「ご返事をいただきまして」という表現はどちらが正しいのかを知っておきたいはずです。

今回は、お返事とご返事を例にして。よく使う「お」「ご」の使い分けを改めて見直してみましょう。

「お返事」と「ご返事」の違い

ご返事とお返事は類似ていながら、使い方には少しだけ違いがあります。どちらをどう使えば良いのかがわからない方が多いと聞きます。この2つの違いをご紹介します。

「ご返事」と「お返事」の印象

まずご返事とお返事を比べた場合、どちらかといえば「ご返事」の方が固くて畏まっている印象を受けます。一方「お返事」の方が何となく感覚的に柔らかめで、会話に使いやすいイメージです。

「ご返事」と「お返事」の種別

「ご返事」とは、尊敬語や謙譲語の活用であり、「お返事」は丁寧語という区別になります。例えば子供のしつけに使う言葉として、よく「お返事はどうするの」と子供に聞くことがあります。お返事とするほうが会話ではしっくりとして丁寧な響きになることがわかります。

「ご返事」の例文

「お返事」と「ご返事」の両方を使った際の、その例文などに則って違いを見ていきましょう。どちらをどのようなシチュエーションで使えば良いのかを、ここで掴んでおくようにしてください。

「お」と「ご」の使い分け方

「返事」という言葉の前に付けている「お」と「ご」は、尊敬語や丁寧語として頻繁に用いられる「接頭語」と呼ばれている表現方法です。日常に浸透しているので自然と使っているものがほとんどですが、定められた使い分けがあります。「お」を使用するには、和語の頭に付けるという一定ルールがあります。

和語とは「やまとことば」とも呼ばれ、訓読み表現の言葉を指します。たとえば「金」という文字は、音読みでは「きん」で、訓読みでは「かね」です。他にも「札」は、音読みで「れい」となり訓読みで「さつ」です。「お」は一般的に訓読みにつくので「お金:おかね」「お札:おさつ」となります。

一方「ご」をつける場合は、「漢語」の頭に付けます。漢語は中国伝来の言葉で音読みです。例えば音読みである「利用:りよう」「注意:ちゅうい」に接頭語を付けるには「ご利用」「ご注意」にするということです。

「お」「ご」の付け方の例外

日本語の複雑で面白いところは例外がたくさんあるという点です。和語の中でも「ご」を使う言葉はあり、漢語でも「お」を付ける言葉も存在するからです。実は「返事」という言葉もこれに該当します。他にも「病気」「誕生」も「お」「ご」の両方を付けても成立する言葉です。

和語と漢語は成り立ちが違います。和語は古代の日本で使用していた口語で、話し言葉です。そして漢語は中国で使われる「文字」として輸入されてきました。話し言葉として「返事」を使う際は、「お返事」にし、文章や畏まった場面では「ご返事」とすることが一般的です。

ありがとうございます

丁寧語の「お」として、あるいは尊敬語の「ご」として、接頭語を選ぶということを知れば、自然とそのシチュエーションごとに、「ご返事」と「お返事」を使い分けができるようになります。「ありがとうございます」とセットにした場合も同じことが言えます。

「お返事ありがとうございます」なら、比較的に近い存在の方への話し言葉に用いることが多いです。そして「ご返事ありがとうございます」にした場合、自分よりも目上の方などへの話し言葉、および手紙などでの文章に使用するようにすれば問題ないでしょう。

させていただきます

「させていただきます」の場合も、尊敬語か丁寧語かによって区別して使用します。「その件について、お返事させていただきます」なら、一般的な話し言葉として使用し、「その件に関しまして、ご返事させていただきます」とした場合は、目上や上司、顧客などへの尊敬語として使用していることになります。

いたします

「ご返事」と「いたします」のマッチングは基本的な言い回し方です。間接的に相手を尊敬する表現として使われています。同じ例として「ご案内いたします」「ご挨拶いたします」などの表現があります。

ご返事やお返事の例文としては、「すぐにご返事(お返事)いたしますので、いましばらくお待ちください」「準備が整い次第、できるだけ早くご返事(お返事)いたします」などがあります。

ください

「ご返事ください」もしくは「お返事ください」という表現は、一見丁寧語や尊敬語としての体裁を持っていますが、「ください」という部分が、受け身な感覚なので響きとしてはあまりよくはありません。

もし親しい方や上司、社内コミュニケーションでの丁寧レベルでは適していますが、ビジネス文書やメール、初対面の相手といった気をつかうドキュメントでは、他の丁寧な敬語に変えることが必要です。

遅くなり

お詫びの言い方はつい冗長な表現になりがちです。言い訳がましく文章を作成したり会話をすると、かえって相手の心証を悪くしてしまいます。「遅くなり」という言葉を使用する時は、概ねお詫びの際に使うため、ごくシンプルにすることがポイントです。例文としては、「ご返信(お返事)が遅くなり、大変申し訳ありませんでした」とするのが一般的です。

ご返事のほど

「ご返答のほど」という表現は、とても分かりにくい感覚です。「(自分が相手に)返答してもらうよう」と考えれば謙譲語の「ご」となり、「(相手が自分に)返答してくれるよう」と考えるのであれば尊敬語の「ご」という区別になります。いずれにしても、相手からの返事を強く要望する際に、この「ほど」という表現を付け加えています。

ちなみに「ほど」とは、限定を避ける言い回し方です。「〜してもらうよう」「〜してくれるよう」という要望を意味します。強い断定をさけてやわらかな表現にしたい時に用います。

「ご返事」は正しい敬語なのか

よくご返事とお返事はどちらが正しのかという疑問が湧くということを聞きます。これは両方とも正しい表現方法です。どちらも正解です。ただし使い方として区別する際には、話し言葉としてなら「お返事」のほうを使って喋り、ビジネスシーンでの文書として扱うのであれば「ご返事」として書くという方法でわけることが無難な使い方です。

「ご返事」のビジネスでの使い方

「ご返事」という言葉は「ご返答、ご返信、ご回答」というキーワードに言い換えられます、微妙なところで意味の違いはありますけど、ビジネスシーンにて、相手からの答えを丁寧に依頼し、それに対するお礼をやり取りするのは日常的で大切なことです。ビジネスの円滑な進行へと促すうえで、間違った使い方や丁寧さを誤ると恥ずかしい思いをします。

ご返事やお返事の使い分けに自信がないようでしたら、「例文やフォーマットを使う」というのが良い方法です。数多いビジネスの例文集から、自分がしっくりとする表現をいくつか見出して使い慣れていくことが重要です。

「ご返事」なのか「お返事」なのかに慣れていくこと

以上、ご返事とお返事に関する特集でした。どちらも日本語として間違った表現ではなく、頻繁に使われています。それだけに軽視してしまうと恥をかくのが敬語の難しいところです。お返事を使うのであれば、親しい間柄や話し言葉、ご返事を使う時には、目上の人やお客様、ドキュメントとして、という区切り方をしておくとよいでしょう。

とにかくどちらも、日々の暮らしの中で数多く使いこなして慣れていくことで、使い分けも自然とこなせるようになりますので、ぜひ頑張ってみてください。

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