「すいません」の意味と使い方・「すみません」との違い|敬語

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「すいません」の意味と使い方

「すいません」という言葉の意味は、と聞かれて「えっ」とおもう人は多いでしょう。それは普段何気なく「すいません」といっていることが多いからです。ここでは「すいません」について、常日頃何気なく使っているけれど、意味や、正しく使っているのか、などを検証していきます。

「すいません」の意味

「すいません」は「すみません」から転じた言葉ですので、意味は「すみません」と同じです。「すみません」は「済む」という動詞の5段活用のうちの連用形「済み」に、丁寧語の助動詞「ます」の未然形「ませ」+否定語の「ん」を合体させた言葉です。

「すみません」は人に何かをお願いする時や、何か失礼なことをして謝る時に使う言葉ですから、「本当に申し訳ございません」という意味になります。

「すいません」のルーツ(語源)

「すいません」は江戸時代の「下町言葉だった」という説、「すみません」の俗な言い方説、「すみません」の口語説などいろいろあります。どの説が正しいという結論は出せません。どれも正しいからです。

この他に「すみません」には「み」と「ま」という「ま」行が並んでいることで発音しにくいために、「み」が「い」になったという説もあり、「すみません」を言いやすくしたというところに「ルーツ(語源)」がありそうです。

「すいません」と「すみません」の違い

「すいません」は「すみません」が変化したもので、漢字で書くと「すみません」は「済みません」となりますが、「すいません」に当てはまる漢字はありません。

このことから、「すいません」は文章として使うのには向かない言葉になります。ビジネスシーンや目上の人には「すいません」は使わない方が良いでしょう。それは「すみません」は丁寧語ですが、「すいません」は俗語という有力説があるからです。

「すいません」の正しい使い方

「すいません」の原型である「すみません」は、「済まない」という言葉の丁寧語になります。つまり何かがまだ「済んでいない」という意味が転じて「謝罪」や「感謝」の意味で使われるようになった言葉です。

さらに「すいません」は、「すみません」の俗語という説もあるので、ビジネスシーンや目上の人に使うのは不適切ということになります。以下に間違った使い方や正しい使い方の例文を紹介します。

「すいません」の間違った使い方例文

ここでは「すいません」の間違った使い方の例文を紹介します。

謝罪例文:この度の取引では、当方の不手際のせいでお手数をおかけし、「すいませんでした。」(この場合は「すいませんでした。」でなく「大変申し訳ございませんでした。」にします。)

感謝例文:先日は大変結構な贈り物をいただき「すいませんでした。」(この場合は「本当にありがとうございました。」にします。)

「すいません」の正しい使い方例文

「すいません」は口語ですので、文章には使用できません。またごく親しい間柄や、目下の人にのみ使っても失礼にあたらない言葉なので、使う相手を選んで使うようにしましょう。

例文1:(同僚から何かを貰った時)昨日は「すいません」とても美味しかった。
例文2:(電車などで若い子に席を譲って貰った時)「すいません」助かります。
例文3:(友人に謝罪する時)昨日は飲み会ドタキャンして「すいません」。

「すみません」の使い方

「すいません」は口語ですから文章やビジネスシーンでは使えませんが、「すみません」を「すいません」の代わりに使うことは可能です。以下に「すみません」の使い方の例文を紹介します。

「すみません」の例文

「すいません」は目上の人やビジネスシーンで使うのは不適切ですが、「すみません」はいろいろの場面で使われています。相手に失礼のない使い方の例文を以下に紹介します。

例文1:(部活に父兄から差し入れを貰った時)昨日は「すみませんでした。」ありがたくみんなでいただきました。

例文2:(子供が悪戯をして相手の親に謝る時)この度は本当に「すみませんでした。」悪気は無かったと言っていますので、ぜひご勘弁ください。

「すいません」は敬語としてつかえるのか

「すいません」は敬語としてつかえるのだろうか。答えはNOになります。「すいません」は「すみません」の口語ですが、「すみません」自体が敬語としては使えないからです。

その理由は「すみません」は「済まない」の丁寧な言い方ではありますが、敬語としては使えません。この「済まない」が「すみません」となり、俗語として「すいません」に変化したことを考えると、「すいません」が敬語として使えないことは明白です。

「すいません」は安易に使わない方が良い理由

「すいません」を、若い人が安易に使っているケースを良く耳にしますが、時と場合によっては、相手に対して大変失礼な言い方でもあるので気をつけましょう。

特に会社における上司との会話や、取引先の相手との会話には気をつける必要があります。それはこれまでに説明してきたように、「すいません」は「すみません」の俗語だからです。敬意を表する必要のある相手には、礼儀として使ってはいけない言葉といえます。

「すいません」の例文と使い方

「すいません」は使う相手と場所をわきまえないと、恥をかいたり、相手に不愉快な思いをさせかねない言葉であることを説明しましたが、実際の使い方はどうなのか、以下に例文を紹介します。「すいません」と別の言葉を合体させる場合の例文を紹介しますので、折々の参考にしてください。

「すいません」+「許して下さい」の例文

「すいません」は年配の人は余り使いませんが、話し言葉として言いやすいので、若い人は良く使います。ここでは「すいません」と「許してください」を一緒に使う場合の例文を紹介します。

例文1:(混雑した駅の構内などで、急いでいて知らない相手とぶっつかってしまった場合)すいません。急いでいたもので許して下さい。大丈夫でしたか。

こういう場合は、咄嗟に「すいません」が出てしまうこともありますが、許容範囲です。

「すいません」+「よくわかりません」の例文

「すいません」と「よく分かりません」を一緒に使う場合の例文を紹介します。

例文1:(見知らぬ人に道などを聞かれた場合)「すいません、私もこの土地の者ではありませんので、よく分かりません」。

例文2:(仕事の現場で後輩に何かを聞かれた場合)「すいません」、私もまだこの仕事に慣れてなくて「よく分りません」。○○さんに聞いてもらえますか。

上記のような場合は「すいません」を使っても差し支えありません。

「すいません」+「本当にごめんなさい」の例文

「すいません」は敬語でもなく丁寧語でもありませんが、「本当にごめんなさい」と一緒に使うと、丁寧な言い方になります。以下に例文を紹介します。

例文1:(食堂などで、突発事故で相手に迷惑をかけた場合)「すいません」服を汚してしまって、「本当にごめんなさい」。

「本当にごめんなさい」は「すいません」の類語であり丁寧語なので、「すいません」を付け加えると、失礼になる相手でもトラブルを避けることができます。

「すいません」+「悪いことをしました」の例文

「すいません」は俗語ですので、謝罪場面では使わない方がよい言葉ですが、「悪いことをしました」という同義語を付け加えることで、相手の気持を和らげる効果があります。以下に例文を紹介します。

例文:(職場などで、自分のミスで誰かに迷惑をかけた場合)わたしがもう少し早く気付けば良かったのですが「悪いことをしました」、本当に「すいませんでした」。

「すいません」は丁寧語なのか

「すいません」は敬語ではないけれど「丁寧語」だろう、と勘違いしている人はいるかも知れませんが、丁寧語でもありません。「すいません」の原型である「すみません」は、「済まない」の丁寧語ではありますが、「すいません」は一種の造語です。

「すいません」は江戸時代の「下町言葉」であるという説に由来します。つまり「すみま」が言いずらくて「すいま」になったという説で、造語は丁寧語にはなりません。

「すいません」と「すみません」の使い分け

「すいません」と「すみません」は同じ意味ですが、使い分けが必要な言葉です。「すいません」は話し言葉ですから、書き言葉としては使えませんが、「すみません」は話し言葉としても、書き言葉としても使えます。

この点をわきまえて「すいません」と「すみません」を使い分ける必要があります。

「すいません」の類語

「すいません」の類語は次のようなものがあります。

1.すみません
2.申し訳ありません
3.ごめんなさい
4.相すみません
5.恐れ入ります
6.失礼いたしました
7.お詫びいたします
8.恐縮です

などですが、以下にそれぞれの例文を紹介します。

「すみません」例文:謝罪の意味

「すいません」の類語として「すみません」がありますが、「すみません」には謝罪の場面で使う場合と、感謝の場面で使う場合があります。ここでは謝罪の場面で使う場合の例文を紹介します。

例文:(メールで)○○さん。「すみません」人身事故のため電車が遅れています。朝の会議に間に合わないとおもいますが、課長によろしく伝えて貰えますか、お願いします。

「すみません」例文:感謝の意味

「すいません」の類語として「すみません」がありますが、「すみません」は「すいません」の本になる言葉です。謝罪と感謝の両方の意味で使われます。ここでは感謝の意味で使われる例文を紹介します。

例文:昨日は美味しい桃を送っていただき「すみません」でした。いつもお心遣いありがたくおもっております。本当にありがとうございました。

「申し訳ありません」の例文

ここでは「すいません」の類語として「申し訳ございません」の例文を紹介します。

例文1:先程は「申し訳ございません」でした。応対した者が不慣れでご迷惑をおかけいたしました。改めてお話を伺わせていただきます。

例文2:「申し訳ございません」が、割り込みは他のお客様のご迷惑になりますので、ご遠慮いただいております。

「ごめんなさい」の例文

「すいません」の類語として「ごめんなさい」がありますが、これは「ごめん」という名詞に「なす」という動詞の命令形が合体したものですが、「ごめん」が許しを求め、「なさい」が「してください」という意味になっています。

例文1:お母さん昨日は嘘をついて「ごめんなさい」。
例文2:先輩この間は約束破って「ごめんなさい」。

「相すみません」の例文

「すいません」と同じ意味をもつ言葉(類語)に「相すみません」があります。この場合の「相」は接頭語で、「すみません」の意味をより強調する働きをしています。例文は次のとおりになります。

例文1:先日は私の誤解でご迷惑をおかけし「相すみません」でした。
例文2:こんな所までわざわざお越しいただき「相すみません」です。

「恐れ入ります」の例文

「すいません」の類語として「恐れ入ります」がありますが、ビジネスシーンなどでよく使われる言葉です。「恐れ入ります」のような言葉を、「クッション言葉」といい、何かをお願いしたい相手にへりくだった「気持」を伝える役目を果たします。

例文1:「恐れ入ります」が、先程の商品説明を、もう一度詳しくお聞かせいただけますか。
例文2:「恐れ入ります」が、フルネームでお名前をお聞かせいただけますか。

「失礼いたしました」の例文

ここでは「すいません」の類語として「失礼いたしました」を紹介しますが、「失礼いたしました」は「失礼する」の過去形となります。「失礼」は誰かに「礼」を欠くことで、「いたしました」は「致す」の丁寧語です。

「失礼いたしました」は、失態や失言へのお詫びの言葉ではなく、礼儀を欠いたことへのお詫びの言葉になります。例文は次のようになります。

例文:昨日は先に帰ってしまい「失礼いたしました」。

「お詫びいたします」の例文

「お詫びいたします」は「すいません」の類語になりますが、「お詫び」という言葉は、「心より」や「深く」あるいは「謹んで」とおいう言葉と組み合わせることによって、「お詫び」する気持に誠意が加わります。例文は次のようになります。

例文(口語体):先日は当方の手違いでご迷惑をおかけしました。心からお詫びいたします。

例文(文章):先日は当方の手違いでご迷惑をおかけしました。心よりお詫びいたします。

「恐縮です」

「すいません」は口語としてしか使えませんので、メールや文章では類語として「恐縮です」を使うことが多いですが、「恐縮」の意味は、誰かから厚意を受けた時に表す感謝や、迷惑をかけてしまった時に謝罪を表現する言葉です。例文は次のようになります。

感謝例文:この度の私の受賞の際には、過分のお褒めの言葉をいただき恐縮です。
謝罪例文:「恐縮です」が、この部分をもう一度書き直していただけますか。

「すいません」と「すみません」失敗しない使い方

「すいません」は「すみません」が、時代とともに「いいやすく」するために変化したものといわれています。そのために文章上では使えない「口語」であることを知っておくことが、「すいません」と「すみません」を使う上での注意点となります。

普段何気なく使っている「すいません」ですが、話し言葉上だけに使用できる言葉だと知っていれば、どのような場面でも恥をかいたり、常識を疑われることもないでしょう。

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