「始めて」の意味と使い方
「始めて」という言葉は、どのような場面で使うのが適しているか知っていますか。この言葉には「今まで行っていなかった物事を新たに行う」という意味があります。
詳しい例文はこの記事の下の方で紹介しますが、基本的には今まで行っていなかった物事を新たに行う時に使うと覚えておくと良いでしょう。
「始めて」の類語
「始めて」の意味を覚える際は、類語と一緒に覚えることで間違いにくくなります。
先ほど「始めて」の意味は「今まで行っていなかった物事を新たに行う」であると解説しましたが、類語も同様の意味を持っています。
「始めて」の類語には「開始」や「始動」があります。こちらは二つとも、「始めて」と同様に「始」という漢字を使っています。意味を覚える時は、類語も一緒に覚えるようにしましょう。
「始めて」を英語で言うと?
「始めて」を英語で言うと「start」がふさわしいでしょう。この単語は、徒競走のスタート地点といったように物事の始まりに使います。徒競走は今まで止まっていたのに新たに走り出す競技ですので、英語と日本語で同じ意味を持っていることが分かります。
このように、類語だけではなく実際の動作もあわせて覚えることで情景を想像できるので間違いにくくなります。
「始めて」と「初めて」の違い
「始めて」と間違いやすい単語に「初めて」があります。こちらの使い分けやアクセントなどもこの機会に同時に覚えておきましょう。
「初めて」の意味と使い方
こちらの「初めて」は「今まで経験していなかったことが起きる」時に使います。「始めて」が動作を表すのに対し、「初めて」は経験を表します。
「初めて」の類語は「最初」や「初回」です。こちらも「始めて」と同様に「初」という漢字を使っているので類語も一緒に覚えることで間違いにくくなるでしょう。
「初めて」を英語で言うと?
「初めて」を英語で言う場合は「first」がふさわしいでしょう。この単語を使った英語には「first impression」などがあります。こちらを日本語訳すると「第一印象」、つまり「人や物事に対して最初に抱く印象」となるので、英語と日本語で同じ意味を持っていることがわかります。
また「初恋」は「今までしていなかった恋を経験する」ことですが、こちらを英語で言うと「first love」です。わかりやすい英語で覚えることで、間違いにくくなります。
使い分けはどうするの?
「始めて」は先ほども説明したように物事の始まり(start)という風に、動作に対して用いられる単語です。一方、「初めて」は初回(first)という風に、経験に対して用いられる単語です。
間違えないように、簡単な例文をご紹介します。
・出張の準備を始める。
・初めての出張に行く。
「始めて」は「出張の準備」という動作を表しているのに対し、「初めて」は出張の経験に言及しています。
・会議を始める。
・会議への出席は初めてです。
こちらも「始めて」は「会議」という動作を表しているのに対し、「初めて」は会議の経験に言及しています。
こういった例文を覚えておくと、使い分けも簡単にできますので覚えておきましょう。
アクセントの違いは?
では、この記事のように活字ではなく耳で聞く場合、もしくは口頭で人に伝える場合はどのようなアクセントを付ければ伝わるのでしょうか。地方によってアクセントに差はありますが、この記事では標準語のアクセントを紹介します。
「始めて」のアクセント
「始めて」のアクセントはトランプの「スペード」や「サボテン」や「夕方」と一緒です。二文字目と三文字目を強く発音しますので、口頭で伝える時は意識すると相手も分かりやすいでしょう。
「初めて」のアクセント
「初めて」のアクセントは「ひまわり」や「ブランコ」や「サファイア」と一緒です。こちらのアクセントは二文字目だけですので、三文字目も強く発音しないように気を付けましょう。
アクセントに怯えず使ってみよう
「始めて」と「初めて」はアクセントも近いので、慣れないうちは間違ったアクセントで相手に伝えてしまう恐れがあります。しかしながら、仮にアクセントを間違えたとしても文脈で意味が通じる場合がほとんどです。
言葉は使い慣れていくことで自分に定着するので、アクセントの間違いに怯えて使わないと、いつまでも「始めて」と「初めて」を使い分けることができるようになりません。間違いを恐れずに使って、言葉を自分の中に定着させるようにしましょう。
「始めて」の敬語表現
「始めて」は「始める」という動詞です。つまり動詞なので、丁寧語・尊敬語・謙譲語が存在します。それぞれ表現方法は異なるので、目上の相手に使う際にはふさわしい表現を選びましょう。
丁寧語の場合
「始める」を丁寧語にすると「始めます」となります。丁寧語の場合、動詞の語尾に「です」か「ます」を付けますが「始める」の場合は「ます」になります。ここで「です」を使うと不自然な日本語になってしまうので間違えないようにしましょう。
丁寧語の例文
丁寧語の例文をご紹介します。
今から会議を始める→今から会議を始めます
作戦を開始する→作戦を開始します
パソコンを始動する→パソコンを始動します
尊敬語の場合
「始める」の尊敬語は「始められる」です。動詞の語尾を「~られる」にするのは尊敬語の中でもスタンダードな変換なので覚えやすい表現となっています。
尊敬語の例文
尊敬語の例文をご紹介します。
部長が発表を始める→部長が発表を始められる
上司が準備を始める→上司が準備を始められる
謙譲語の場合
「始める」の謙譲語は「始めさせていただく」です。この「~させていただく」という表現は、「相手の許可を得て動作を行う」時に使います。
自分の動作をへりくだって表現する時に便利ですが、あまり使いすぎると謙遜しすぎて嫌味にとられることもあります。必要以上に多用しないように注意しましょう。
謙譲語の例文
謙譲語の例文をご紹介します。
これから発表を始める→これから発表を始めさせていただく
「始めさせていただく」よりも「始めさせていただきます」の方が、より丁寧です。
準備を始める→準備を始めさせていただく
同様に「始めさせていただきます」という表現の方が丁寧です。
「始めて」の例文
「始めて」の使い方は以上ですが、いざメールの文面で使おうとすると「初めて」の変換に困ってしまいます。そんな時に参照できるように、「始めて」の例文を五個紹介します。
・初めてのプロジェクトの準備を始めて、数点質問があります。
・私が始めた計画ですが、諸般の事情により中止いたします。
・行動を始めてみたものの、なかなかうまくいかない。
・育児を始めてから初めて、親の苦労を知りました。
・実際に始めてから、初めてわかる問題点がある。
上記のように「始めて」と「初めて」が同時に存在する文章では、どちらを使うべきか悩むこともあるでしょう。その時は「始めて」を「開始して」や「スタートして」に言い換えることで不自然ではない文章を作ることができます。迷った時には、ぜひ試してください。
言い換えて文章を作ろう
・プロジェクトの準備を始めて → 準備を開始して
・始めた計画ですが→スタートした計画ですが
・始めてみたものの→開始してみたものの
・育児を始めてから→育児を開始してから
・実際に始めてから→実際にスタートしてから
このように考えれば、間違える可能性は激減するでしょう。
正しい使い方を始めてみよう!
今までは「初めて」と「始めて」の使い方に悩みメールの作成に必要以上に時間がかかったり、平仮名でメールを作成した経験もあるのではないでしょうか。しかし、使い方に迷った時は例文で紹介したようにいったん言い換えてみることで正しい表現が見つかります。
慣れないうちは時間がかかりますが、使い慣れると文脈で自然と使えるようになっていきます。「始めて」と「初めて」の使い分けを必要以上に怖がらず、積極的に使っていくようにしましょう。