正しく覚えたい!「存じます」の意味・使い方
日本語には、敬語という概念が存在します。目上の立場の人と会話をしたり、公の場で発言をしたりする場合は、敬語を使うのがマナーだとされています。
敬語の1つに、「存じます」という言い回しが挙げられます。「存じます」という言い回しは、ビジネスシーンなどで比較的頻繁に使用される言葉ですが、意味や使い方に自信がないという方も、少なくないでしょう。
そこで今回は、「存じます」をテーマにして、意味や使い方、敬語表現などについて、考察・ご紹介していきます。
「存じます」の意味・使い方
まずは、「存じます」という言葉の基本的な意味や使い方について、考察・ご紹介していきます。
「存じます」という言葉は、比較的よく使われる言葉の1つです。意味や使い方に自信がないという方は、この機会にぜひ、正しい「存じます」の意味・使い方を確認しておきましょう。
「存じます」の意味
早速、「存じます」という言葉の意味について、考察していきます。
「存じます」という言葉の原型は、「存ずる」という言葉だと考えられます。「存ずる」の意味については、「コトバンク」では、以下の引用にように解説しています。
引用の内容から、「存ずる」という言葉は、「思う」などの言葉の謙譲語、または「知る」という言葉の謙譲語だと読み取れます。
「思う」や「知る」という言葉の謙譲語である「存ずる」に、丁寧さを表現する「ます」が付いた形が「存じます」だと予想できます。
① 「思う」「考える」の謙譲語。 「こちらの方がよいと-・じます」② 「知る」「承知する」意の謙譲語。
「存じます」の使い方
続いては、「存じます」という言葉の使い方について、考察していきます。
「存じます」という言葉は、上記でも述べたとおり、「思う」や「知る」という言葉を謙って表現した、謙譲語だとされています。ですから、目上の人とのやり取りや、公の場での発言などで、自分の「思う」「知る」といった言動を謙って表現したい際に、「存じます」という表現を使用すると考えられます。
「存じます」の敬語表現
上記では、「存じます」が「思う」などの言葉の謙譲語であることをご紹介しました。謙譲語とは、自分の言動を謙ることで、相手への敬意を表現する敬語の1種です。
しかし、敬語には謙譲語以外の種類もあります。そこで続いては、「存じます」をさまざまな敬語の種類に言い換えると、どのような表現になるのか、考えていきます。
丁寧語
敬語の種類の1つに、「丁寧語」が挙げられます。丁寧語とは、丁寧な言葉や綺麗な言葉で表現することで、相手に失礼がないようにするタイプの敬語です。
上記でも何度か触れているとおり、「存じます」は、「思う」「知る」などの謙譲語です。ですから、「存じます」を丁寧語へと言い換えることは、「思う」「知る」などを丁寧語へ言い換えることと等しいと考えられます。
「思う」の丁寧語は「思います」「思っております」などが考えられます。また、「知る」の丁寧語としては、「知っています」「知っております」といった言い回しがあると考えられます。
尊敬語
続いては、「存じます」の尊敬語がどのようなものなのか、考察していきます。尊敬語とは、相手の言動に対して、敬意を払った表現のことを指します。ですから、「存じます」が自分の「思う」という言動を謙って表現しているのに対して、尊敬語に言い換える場合は相手が「思う」ことに敬意を払って表現することになります。
目上の人の「思う」やそれと似た意味を持つ言葉を尊敬語へ言い換える場合は、「お考えになる」「お思いになる」「思われる」などの表現への言い換えが考えられます。
謙譲語
続いて、「存じます」の謙譲語について考察していきます。何度かご紹介しているように、そもそも「存じます」という言葉自体が、「思う」「知る」などの謙譲語としての意味を持っており、既に謙譲語になっていると言えます。
しかし、謙譲語の形でより丁寧に表現したい場合は、「存じております」などと言い換えることも可能です。
「存じます」のビジネスの表現
何度か述べているように、「存じます」を含めた敬語は、ビジネスシーンで使われることが多いものです。「存じます」という表現もまた、ビジネスシーンでは頻繁に使用されています。
そこで続いては、ビジネスシーンにおける「存じます」の意味や使い方、表現について、考察していきます。
メール
ビジネスメールにおける「存じます」という言葉は、自分の意見や希望を述べる際や、相手に何かを依頼したい場合などに使われることが多いと言われています。また、推測のような意味でも使用されるケースがあります。
例としては、「○日までにご回答頂きたく存じます」「何かとご多忙のことかと存じますが」といった言い回しが挙げられます。自分の考えていることや思っていることを、謙って表現したい場合に、ビジネスメールでも「存じます」が使用されることがあると言えそうです。
手紙
現代社会では、メールによるやりとりが主流ですが、より敬意を払ったやり取りがしたい場合などには、手紙でやり取りをするケースもあります。
手紙の場合も、ビジネスメールと同様に、自分の意見を謙って表現したい場合や、相手に何かを依頼したいときなどに、「思う」の謙譲語としての意味で使用されると考えられます。
また、冒頭で述べる挨拶にも、「貴社ますますご清栄の事と存じます」といった形で、「存じます」という表現が使用されることもあります。
会話
ビジネスにおける会話でも、「存じます」という表現は、よく使われています。
会話で「存じます」という言葉を使用する際も、上記でご紹介したメールや手紙の場合と同様に、自分の希望や意見などを述べる際に、謙った表現として使用するケースが多いと考えられます。
また、「知る」「知っている」という意味で使われることもあり、上司などに「○プロジェクトの件はもう知っているか」などと尋ねられた際に、「はい、存じております」といった形で使用することもできると考えられます。
「存じます」の類語・言い換え表現
続いては、「存じます」という言葉と似ている意味を持つ、類語や言い換え表現をご紹介していきます。類語を覚えることで、文章の流れによっては、「存じます」の言い換え表現として使用できるケースもあります。この機会にぜひ、類語もチェックしておきましょう。
・思っております
・伺っております
・知っております
・考えております
「存じます」の例文
最後に、「存じます」という言葉を使用した例文をご紹介していきます。例文を通して、実践的な「存じます」の意味や使い方、言い回しなどを学んでいきましょう。また、どのような言葉と組み合わせて使うことができるのかについても、覚えておくと何かと便利です。
・大変有り難く存じます。
・貴社におかれましては、ご繁栄のご様子に、何よりと存じます。
・可能でしたら、なるべく早くご返信を頂きたく存じます。
・先日、新たに発足されたプロジェクトの件でしたら、存じております。
・このような形になり、大変心苦しく存じます。
「存じます」は意味を覚えておくと便利な言葉
いかがでしたでしょうか?今回は、「存じます」という言葉をテーマにして、意味や使い方、各敬語表現への言い換えやビジネスにおける使用方法、類語や例文などについて、考察・ご紹介しました。
「思う」や「知る」といった自分の言動を、謙って表現することで相手へ敬意を払う「存じます」という言葉は、謙譲語の1種だと言われています。ビジネスシーンでは、自分の意見や希望を謙って表現したい場合に使われることが多く、相手へ依頼があるときにも使うことができる、大変便利な言葉です。意味や使い方を覚えておいて、損することはない言葉だと言えるでしょう。
この機会にぜひ、「存じます」という言葉の意味や使い方、さまざまな言い回しなどを覚えて、会話や文章などで、積極的に使用してみて下さい。