「帰社」の意味と使い方は?
「帰社」は、ビジネスシーンで頻繁に使用される言葉です。「帰社」の意味や使い方について、詳しく見ていきましょう。
「帰社」の意味は?
「帰社」とは、出先や出張から会社に戻ることを意味します。「帰る」の「帰」に「会社」の「社」で「帰社」となり、「会社に帰る」ことを表します。営業で外出した場合であれば、営業先から会社へ戻ることが「帰社」となります。
「帰社」の使い方は?
「帰社」は、取引先などの他社と連絡する場合のほか、自社と連絡する際にも使用できます。以下、それぞれ詳しく見ていきましょう。
他社と連絡する場合の使い方は?
「帰社」は、取引先との電話応対などでしばしば使用されます。例えば、「〇〇は外出中のため、△△時頃に帰社予定となっております」といった使い方をします。この表現を例に、「帰社」の使い方について考えてみましょう。
〇〇さんに用事があって取引先に電話をかけたとき、「〇〇は外出中のため、△△時頃に帰社予定となっております」と応対されたとします。このように伝達されれば、〇〇さんが外出している旨と、〇〇さんが会社に戻る時間帯がわかります。そして、△△時頃なら〇〇さんも会社に戻っているだろうと判断でき、再度取引先に連絡をすることができます。
自社と連絡する場合の使い方は?
営業担当者が自社と連絡する場合なども、「帰社」を使用できます。例えば、営業担当者が自社へ戻る時間帯を伝える場合に、「△△時頃に帰社予定です」と報告することができます。
営業で外出時間が長引いた場合、会社に戻る時間帯が予定より遅れることもあるでしょう。その場合、会社に戻る時間帯をきちんと連絡する必要があります。そこで「△△時頃に帰社予定です」といったように、「帰社」を使用して連絡することができます。
「帰社」と「退社・帰宅」の違いは?
「帰社」は、「退社」や「帰宅」との違いが重要です。以下、それぞれの違いについて詳しく見ていきましょう。
「帰社」と「退社」の違いは?
「帰社」と「退社」は漢字の構成が似ていますが、意味は全く異なります。「退社」の意味や「帰社」との違いをきちんと把握しておきましょう。
「退社」の意味と使い方は?
「退社」とは、「仕事を終えて会社から出ること」「会社を辞めること」の2つの意味があります。
「仕事を終えてから会社を出ること」を意味する場合、「定時に退社する」「今日は〇〇時に退社する」といった使い方があります。この場合、会社へ出勤することを意味する「出社」の反対語として考えることができます。
また、「会社を辞めること」を意味する場合は、「昨年、会社を退社した」などの使い方があります。こちらは「入社」の反対語となります。
「帰社」と「退社」の意味の違いは?
まず、「退社」の意味の「仕事を終えてから会社を出ること」と、「帰社」の違いを考えてみましょう。
「帰社」は「会社に戻ること」、「退社」は「会社を出ること」を意味します。「帰社」は会社に戻ることを意味するだけで、会社に戻ったら仕事が残っている場合があります。しかし、「退社」は仕事を終えて帰ることを意味するため、その日の仕事が残っている状態ではありません。
例えば、「〇〇時頃に帰社予定です」と言えば、〇〇時頃には会社に戻ることを意味します。この時点では、まだ会社を出て帰宅するわけではありません。しかし、「〇〇時頃に退社予定です」と言ってしまうと、〇〇時頃には仕事を終え、会社を出て帰ることを意味します。
また、「退社」のもう1つの意味となる「会社を辞めること」は、「帰社」との違いがはっきりしています。「帰社」には会社を辞めるという意味はもちろんありません。
「帰社」と「退社」の使い分けの注意点は?
先ほど例に挙げた「外出中のため、△△時頃に帰社予定となっております」という表現を例に、「帰社」と「退社」の使い分けについて考えてみましょう。
「〇〇は外出中のため、△△時頃に帰社予定となっております」は、○○さんが会社に戻ることを伝えています。○○さんに何か伝えたいことがある場合や、何か業務をしてもらいたい場合、○○さんが会社に戻ることがわかれば、その時間帯に改めて連絡をすることができるでしょう。
一方で、ここで「帰社」を「退社」と表現してしまうと、○○さんがいつ頃会社に戻ってくるかがわかりません。ただ退社の時刻を伝えているだけで、ビジネスシーンでのやり取りとしておかしな表現になります。
「帰社」と「退社」は、使い分けを誤ると意味が通じなくなってしまいます。十分に注意しましょう。
「帰社」と「帰宅」の違いは?
「帰社」と「帰宅」も漢字の構成が似ていますが、意味は違います。以下、詳しく見ていきましょう。
「帰宅」の意味や使い方は?
「帰宅」は、自分の家に帰ることを意味します。会社を出て自分の家に帰ることを意味する場合、「退社」と同じ意味があります。
一方で、ビジネスシーンでは「退社」と表現する例が一般的と言えます。例えば、○○さんに用事があって取引先に電話をしたとき、「○○は本日すでに退社しております」と応対されたとします。ここで「退社」を「帰宅」にすると「すでに帰宅しております」となり、聞き手としてはややフランクな印象を受けます。
「退社」と表現すると「退職」と間違えられる場合もあります。その際には「退社」より「帰宅」の方が伝わるのではないか、と考える方もいるでしょう。しかし、「本日すでに退社しております」のように「本日」を使用すれば誤解なく伝えられます。そのため、ビジネスシーンでは「帰宅」という言葉はあまり使用されないと言えます。
「帰社」と「帰宅」の意味の違いは?
「帰宅」はビジネスシーンでの使用例が比較的少ないですが、言葉として「帰社」と「帰宅」の違いを考えることは重要です。よく知らずに「帰社」と聞いてしまうと、「帰宅」と勘違いする場合もあるからです。
「帰社」は「会社に戻ること」、「帰宅」は「自宅に帰ること」を意味します。「帰」の後にある字が「社」か「宅」かで判断することができます。「社」は「会社」を意味し、「宅」は「自宅」を意味すると考えるとわかりやすいでしょう。
「帰社」の敬語表現は?
「帰社」はビジネスシーンで主に使用されるので、敬語表現をおさえてくことが重要です。「帰社いたしました」「帰社します」などの敬語表現があり、それぞれで使い分ける必要があります。以下、詳しく見ていきましょう。
敬語の種類とは?
まずは敬語の種類について考えてみましょう。敬語には、尊敬語・謙譲語・丁寧語の3つがあります。
尊敬語とは、動作をした人を敬う敬語です。例えば「言う」の尊敬語は「おっしゃる」となりますが、「おっしゃる」は「言う」という動作をしている人を敬います。「部長がおっしゃいました」であれば、「言う」という動作をしている部長を敬っています。
謙譲語は、動作の対象を敬います。例えば「申し上げる」は「言う」の謙譲語ですが、これは「言う」という動作をしている人ではなく、その動作の対象、つまり言われている人を敬う敬語です。「お礼を申し上げる」であれば、お礼を言う人ではなく、お礼を言われる人を敬います。
丁寧語は、話の相手に対して敬意を示します。例えば「です・ます調」で会話をすると、相手に対して丁寧な印象を与えられますが、この「です」「ます」は丁寧語です。
「帰社」の尊敬語は?
「帰社」という動作をする人を敬う場合、「帰社する」の尊敬語を使用します。この場合、「帰社」という言葉を使用せず、「お戻りになる」といった表現を使います。
「帰社する」の尊敬語としては、「お戻りになる」「お帰りになる」といった言葉が挙げられます。いずれも「帰社」という言葉は使用されていません。
これらの尊敬語は、相手が会社に戻ってくることについての表現です。「帰社」という動作をする人は、自分ではなく相手になることに注意しましょう。自分が帰社する場合に尊敬語を使用すると、自分で自分を敬うことになってしまいます。尊敬語は相手の動作を敬う場合に使用するので、注意しておきましょう。
例えば、自分の上司が出先から戻ってくる場合に「お戻りになる」などの尊敬語を使用すれば、「帰社」という動作をしている上司を敬うことができます。
「帰社」の謙譲語は?
自分が「帰社」という動作をする場合、「帰社する」の謙譲語を使用します。謙譲語は自分の動作をへりくだって表現することで、その動作の対象を敬うことができます。ここでの動作の対象とは、自分の帰社を伝える相手のことです。
「帰社する」の謙譲語は、「帰社いたします」となります。「いたします」というのは、「する」の謙譲語の「いたす」に、丁寧語の「ます」を加えた表現です。「帰社する」の「する」を謙譲語の「いたす」に変えるだけでは、「帰社いたす」となり、一般的な表現とは言えません。そこで、丁寧語の「ます」を加えて「帰社いたします」と表現します。
例えば、自分が会社に戻ったことを伝える際には、「帰社いたしました」と表現します。また、これから会社に戻ることを伝える場合、「△△時頃に帰社いたします」などと表現することができます。
「帰社」の丁寧語は?
「帰社する」の丁寧語は、「帰社します」となります。丁寧語は「です・ます」調で表現できるため、「帰社します」「帰社しました」のように使用することができます。
同僚に自分の帰社を伝える場合、「帰社します」や「帰社しました」など、丁寧語だけでも敬意を示すことができます。一方で、上司に自分の帰社を伝える場合、謙譲語として「帰社いたします」や「帰社いたしました」と表現することが好ましいです。
また、会社に戻って取引先に自分が帰社したことを伝える場合も、「帰社いたしました」と謙譲語を使用する必要があります。
丁寧語は話の相手に対する敬意を表すので、「帰社します」や「帰社しました」と表現するだけでも相手に対して敬意を示すことはできます。しかし、上司や取引先などに対しては、自分をへりくだって表現する謙譲語を使用することが重要です。そのため、「帰社いたします」や「帰社いたしました」といった謙譲語を使用しましょう。
「帰社」の類語は?
「帰社」の類語は、「帰社する」という動作の類語として考えることができます。「帰社する」の類語には、「帰る」「戻る」があります。
「会社に戻る」という意味を示す言葉は、「帰社する」以外にはあまり見られません。「帰る」や「戻る」であれば、「帰社する」の類語として考えられます。言い換え表現としては、「会社に帰る」「会社に戻る」となります。
「帰社」の反対語・対義語は?
「帰社」の反対語・対義語としては、「出張」「外出」などが挙げられます。「出張」や「外出」は、会社から一度外に出ることを意味します。そのため、会社に戻ることを意味する「帰社」の反対語・対義語として考えることができます。
「帰社」時の挨拶は?
挨拶はビジネスシーンにおける基本的なマナーです。帰社した時の挨拶や、帰社した相手に対する挨拶を考えることは、コミュニケーションを円滑にするためにも重要です。
帰社した時の挨拶は?
自分が帰社した場合の挨拶は、「ただいま戻りました」や「ただいま帰りました」が基本です。何気ない挨拶ですが、自分が会社に戻ったことをきちんと伝える必要があります。帰社した時に挨拶がうまくできないと、自分が戻ったことを伝えられず、会社に迷惑をかけてしまう場合もあります。きちんと挨拶をするようにしましょう。
帰社した相手に対する挨拶は?
帰社した相手に対しては、「お疲れ様です」が挨拶の基本です。「ご苦労様です」という表現も考えられますが、こちらは目下の人に対する表現です。目上の人には使用できないので注意しましょう。
帰社時の挨拶に関連するもの
例えば、外出している間に自分に宛ててメールや電話が届いていることもあるでしょう。電話の内容などは、社内の人がメモとして記録していることもあります。その際には、帰社時の挨拶に加え、きちんとお礼を言う必要があります。
帰社に関する重要なコミュニケーションは、帰社時の挨拶だけではありません。帰社してから行う業務の中で、新たに挨拶やお礼を言う場面もあります。帰社時の挨拶に関連し、きちんとコミュニケーションを意識しましょう。
意味と使い方をおさえてマナー向上を!
今回は、「帰社」の意味や使い方、「退社」や「帰宅」との違い、類語や対義語、敬語表現などをご紹介しました。「帰社」は出先や出張から会社に戻ることを意味し、ビジネスシーンで頻繁に使用される言葉です。「〇〇は外出中のため、△△時頃に帰社予定となっております」といった例文をおさえておくと、「帰社」のイメージが浮かびやすいのではないでしょうか。
「帰社」は、取引先とのやり取りから、社内での連絡に至るまで、さまざまな場面で使用されます。そのため、敬語表現も合わせておさえておく必要があります。「お戻りになる」や「帰社いたしました」など、尊敬語・謙譲語・丁寧語をきちんと意識し、使い分けましょう。
「帰社」をきちんと使いこなせると、ビジネスでのマナー向上につながります。「帰社」の意味や使い方をおさえ、ビジネスシーンでぜひ活かしてみてください。