労いの言葉の例・返信の仕方|敬語/メール/相手別/シーン別

ビジネススキル

敬語での労いの言葉の例

労(ねぎら)いの言葉として真っ先に思い浮かぶのは、「ご苦労様です」や「お疲れ様です」という言葉ではないでしょうか。しかし、一般的に「ご苦労様」という言葉は目上の人に使ってはいけないと言われています。

「様」がついているので、敬語のようですが、歴史上の言葉の使い方を見ると、侍などが自分の部下や使用人に対しての労いとして使った言葉なので、目下の者を労う言葉とされています。

お疲れ様です

職場での帰宅時の挨拶や、ちょっとした作業を労う際に「お疲れ様です」という言葉が多用されています。しかし、上司に対して「お疲れ様」という言葉を使うのは礼に欠けているという意見も見かけます。では、上司にはどのような労いの言葉をかければ良いのでしょう。

答えは、「目上の人を『労う』という行為自体が、本来はありえない」ということになります。「労う」という行為は、目上の者が目下の者の行動を評価し、感謝の意を示すことです。つまり、上司を労う行為とは、どんなに敬語を使っても「おまえ、よくやったな」と言っているのと同じ行為になります。

では、「お疲れ様です」は使ってはいけないかというと、そうとも言い切れません。退社時などの「お疲れ様です」は、すでに労いというよりも挨拶のひとつとして定着しているので、上司に使っても問題ありません。

上司に対する労い

前述のように、上司を労うという行為は、本来ありえない行為です。しかし、上司の行動を評価し、褒め称えたい場合もあります。このようなときは、「労う」のではなく、その場に相応しいお礼の言葉などを使うようにします。

「お骨折りいただき、ありがとうございます」や「お疲れになったのではありませんか」などが使えます。

「今回はお骨折りいただきありがとうございます。部長のお客様への対応は、大変勉強になりました。次回は自分でも同じような対応ができるよう精進します」という、上司へのお礼と賛美を重ねることで、上司への一種の労いの言葉とすることができます。

メールでの労いの言葉の例

メールでも、挨拶を兼ねた労いの言葉として「お疲れ様です」が使われます。しかし、前述のように「お疲れ様です」は明らかな労いの言葉となるため、目上の人に使うのは相応しくありません。かろうじて自分の上司までが使用可能な範囲だと覚えておきましょう。取引先担当者に対しては、たとえ個人的に親しくても、使うべきではありません。

「お疲れ様です」以外にもメールで使われる労いの言葉は多く、あからさまな労いとしてではなく、「お礼」という形で、取引先などにも使われることがあります。

【メールで使われる労い文例】
・お疲れ様です
・先日は、ご足労いただき、ありがとうございました
・回答ありがとうございました
・迅速に対応いただき、ありがとうございました

相手別労いの言葉の例

ここでは、労いの言葉をかけたい相手別に、使える労いの文をご紹介します。相手を選ばず、共通して使える言葉もあります。自分が労われているつもりで、例文を見てみましょう。どの労いの言葉が自分の心に響くか、または、労われているはずが、逆に疲れがどっと押し寄せるような言葉はないか考え、自分の心に響かない言葉は、使わないようにすると良いでしょう。

目上

前述のように、目上の人に対しては、あからさまな労いの言葉は使わないようにします。労うというよりは、相手に対して感謝の意を伝えるという気持ちで言葉を選ぶようにします。

【例文】
・ありがとうございました
・勉強になりました
・力をいただきました
・助かりました
・お疲れではありませんか

忘れがちですが、親も目上の人であり、労いの言葉をかけるべき相手でもあります。目上とはいえ、身内なので、現代社会においては「敬語」かどうかは、あまり意識する必要はありません。労いの気持ちが大切です。

【例文】
・お父さん、お仕事お疲れ様
・お母さん、今日は来てくれてありがとう
・お父さん、がんばってたもんね
・お母さん、いつも美味しい料理をありがとう

目下

労いの言葉は、本来目上の者から目下の者に向けられる言葉なので、相手が目下の場合は素直にかけることができます。

【例文】
・お疲れ様
・ありがとう
・助かったよ
・感謝、感謝
・すごいね
・やるねえ

彼氏・彼女

自分の彼氏や彼女に対して労いの言葉をかける場合は、言葉遣いはあまり堅いことを考える必要はないので、とにかく労う気持ちを素直に表現しましょう。

【例文】
・ご苦労様
・お疲れ様
・助かったよ
・ありがとう
・頼りになるね

お客様

お客様は「目上の人」にあたるので、あからさまな労いの言葉としては使うべきではありません。「感謝」「お礼」「褒める」「気遣う」という気持ちを込めた言葉を選ぶと良いでしょう。

【例文】
・ありがとうございました
・助かりました
・感謝します
・大丈夫ですか
・失礼いたしました

シーン別労いの言葉の例

ここでは「労いたい状況」別に、その場に相応しい労いの言葉をご紹介します。労いの言葉を選択するポイントは、相手に対する労いの気持ちを素直に表現することです。労うというと、「上から目線」の物言いになってしまいますが、相手の労に感謝する気持ちが大きいのか、相手の行動を心配しているのか、などの自分の心情によっても選択する労いの言葉は異なってきます。

お礼

相手に対し、お礼を述べることが主目的の場合は、「ありがとうございます」「感謝しています」を使うと、ダイレクトに気持ちが伝わるはずです。変に言葉を飾り立てるよりも、素直に感謝の気持ちを伝えるようにします。

【例文】
・佐藤部長、今日はアドバイスありがとうございました。ずっとモヤモヤしていた霧がスッキリ晴れた感じです
・鈴木主任、本日のプレゼンでは助け舟を出していただいてありがとうございました。感謝してもしきれません。次回こそ独り立ちできるように頑張ります

定年退職

定年退職の際は、長い間勤め続けたことに対する労いの言葉をかけます。目上の人に使うのを「労う」という意味になるので、避けたほうが無難とされる「お疲れ様」を使っても構いません。ただし、自分の上司など親しい目上の人に限られます。取引先相手や、関わりの少なかった上司などには、使わない方が無難です。

【例文】
・佐藤部長、本当に長い間お疲れ様でした。今後は健康に留意され、第二の人生を大いに楽しんでくださいね
・長い間お世話になりました。今後も機会があれば、ご助言いただければ幸いです
・定年退職おめでとうございます。今後の鈴木部長のご活躍とご健勝をお祈り致します

昇進祝い

知り合いが昇進したり、栄転した場合など、その情報を仕入れたらすぐにでも、労いの言葉をかけましょう。昇進祝いなど、多くの人から労いの言葉が届くような場合は、情報が古くなってからでは、労いの言葉の鮮度も落ちてしまいます。

【例文】
・高橋くん、昇進おめでとう。これからも大変だとは思うけど、がんばってね
・高橋先輩、昇進おめでとうございます。これからのさらなるご活躍をお祈りいたします

プロジェクト完了

ひとつのプロジェクトが完了したときは、プロジェクトメンバ同士でお互いを労ったり、プロジェクトの統括者からメンバへの労いの言葉をかけたりします。プロジェクト完了に関しては、過去を振り返って「お疲れ様」と言うのが妥当な労いの言葉といえます。

【例文】
・このプロジェクトは長きに渡って大変な思いをしましたが、なんとか完遂できました。本当に今までお疲れ様でした
・プロジェクト遂行中は、皆さんに多大なご尽力をいただき、完遂にこぎつけることができました。本当にありがとう
・伊藤さん、長い間お疲れ様でした。本当にお世話になりました

日常業務の中で

大きな出来事がなくても、日常的に労いの言葉をかけるのは、コミュニケーションを円滑に進めるうえでも、大切なことです。他人に何かしてもらったときなど、自然と労いの言葉がでてくるように心がけましょう。

【例文】
・渡辺さん、電話の伝言メモありがとう。助かったよ
・小林さん、お疲れ様。まだ(残業)やっていくの
・足元の悪いなか、ご足労様でした

労いの言葉への返信の仕方

自分のがんばりを認め、上司が労いの言葉をメールでくれた場合、どのように返信したら良いでしょう。まず、上司への礼儀として、できるだけ早く返信しましょう。トラブルに見舞われているなど、メールの返信をする時間も取れないほど立て込んだ業務がある場合以外は、上司からのメールを読んだらすぐに返信します。

返信するメールの内容としては、労いの言葉をくれた上司の配慮に対するお礼を述べます。「よくがんばった」という上司からの労いの言葉に対し、「自分の実力ですよ」のような高飛車な態度の返信は、たとえ上司との関係が親しいものであっても避けましょう。労いの言葉をかけてくれた相手に対しては、謙虚な姿勢で対応すべきです。

返信文例

件名:Re:主任昇進おめでとう

田中部長
お忙しい中、早朝より温かいお言葉をいただき、ありがとうございます。

田中部長はじめ、皆様の推薦を受け、この度主任の職を拝命することになりました。
まだ、自分がどう振る舞えるのかも皆目わからない状態ではありますが、今後も変わらぬご指導ご鞭撻の程、何卒お願い申し上げます。

ご多忙の中、わざわざお声かけいただき、ありがとうございました。

返信マナーとして気をつけること

上記の例文にあるように、「件名」のタイトルは「ありがとうございます」などに変えないようにしましょう。上司は忙しい中でメールをチェックしています。件名を変えてしまうと、何の件のメールか本文を見るまでわからなくなってしまいます。

せっかく労いの言葉をかけてくれた上司に、余計な手間をかけさせないためにも、返信の際は件名を変えず、件名欄には上司がくれたメールタイトルに「Re:」が付加された状態で返信するようにしましょう。

関係を和ませる「労いの言葉」を使ってみましょう

労いの言葉というのは、かけてもらえると、とても嬉しいものです。自分が労いの言葉をかけてもらうシーンを想像してみましょう。親しい人からの労いの言葉は、もちろん嬉しく、顔がほころびます。あまり親しくない人からの労いの言葉も、「えっ、この人が」と感じることはあっても、やはり顔がほころびます。

労いの言葉をかけてもらえると、誰しも心がなごみます。誰かのことを「すごいな、がんばっているな」と感じたら、素直に労いの言葉をかけてみましょう。目上の人をあからさまに「労う」ことは、失礼な行為にあたるので、目上の人には「すごいな、がんばっているな」と感じたそのものを賞賛の言葉としてかけるようにしましょう。

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