「お大事に」の例文・敬語・メールでの使い方|目上の人/丁寧語

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「お大事に」の意味

「お大事に」という言葉は、他人の健康状況を気遣う時に使います。省略せずに言えば「どうぞお身体をお大事にしてゆっくり休んでください」や「大事に至らないよう、ゆっくりお休みください」となりますが、それだと長すぎるので「お大事に」というように使われています。

「養生してください」や「早く良くなってください」という言葉で言い換えても良いですが「お大事に」の方が気軽に言えるので一般的に多く使われています。

こんな時に使おう

使う場面は色々な場面が想定されます。例えば、病院や薬局の受付の人が会計時に「お大事にしてください」と送り出してくれる場面を見たことがある人も多いでしょう。医療従事者ではなくても、身近な人が具合が悪い時の去り際に使うことができます。

具合の悪い人が早退する時や具合の悪い人を残して自分が先に帰る時、いたわりの気持ちを持って使うようにしましょう。

本人以外にも使える

「お大事に」という言葉は本人に対して以外にも使うことができます。会社で子どもの具合が悪くて早退したり、配偶者の具合が悪くて早退する人に向けて使いましょう。

誰かの具合が悪くて早退する時、いつものように「お疲れさまです」と送り出すより、早退する人も周りにいる人も聞いてて気持ちの良い言葉です。ぜひ、思いやりを持って言いましょう。言い方がよく分からない人は、病院や薬局の受付の人の言い方を参考にすると良いでしょう。

「お大事に」の例文

「お大事に」の意味を解説した後は、どのような場面で使うかの例文を確認していきましょう。「お大事に」とだけ伝えるよりも、さらに相手を思いやる気持ちが伝わります。

色々な言葉がくっつく

「お大事に」の後には色々な言葉が付きます。「お大事に」の後に続く言葉によって、使う相手への丁寧さの度合いが変わりますので、注意しましょう。

お大事にしてください

「お大事に」の後に続く言葉として最も一般的なのが「お大事にしてください」です。目上の人にも問題なく使える表現なので、ぜひ覚えておきたい言葉です。「ください」という表現は普段の生活でも多用する表現なので、「お大事に」と言い慣れていない人でも簡単に言えるのがポイントです。

「お大事にしてください」の例文

「お大事にしてください」は以下のような使い方が推奨されています。

・具合が悪いんですね。無理せずお大事にしてください。
・どうかお大事になさってくださいませ。
・お子さんが風邪と聞きました。お大事にしてくださいね。

「お大事にしてください」の前に「どうか」という言葉を付けることで、心配している様子をより一層伝えることができます。ただし、「お大事になさってくださいませ」という表現は少しくどいと感じる人もいますので、相手によって使い分けるようにしましょう。

お大事になさってください

「お大事になさってください」というのはとても丁寧な表現です。「お大事にしてください」よりも丁寧な表現であるとされているので、特に立場が上の人に対して使うと良いでしょう。

「お大事になさってください」の例文

「お大事になさってください」は以下のように使われる場合が多いです。

・無理をせず、どうかお大事になさってください。
・ここは私に任せて、お大事になさってください。
・お子さん、入院されたんですか?お大事になさってくださいね。
 私にお手伝いできることがあれば、言ってください。

社会人になると、具合が悪くても無理をして仕事をする人もいます。先輩や上司が辛そうにしていた場合は、上のように声をかけるようにすると喜ばれるでしょう。最後の例のように手伝いを申し出るのもおすすめです。具合が悪い人がいる時は、率先して手伝うようにするのが良いでしょう。

お大事にされてください

「お大事になさってください」と近い言い方に「お大事にされてください」という表現があります。しかし「お大事にされてください」という表現は文法的に誤りですので「お大事になさってください」を使うようにしましょう。

「お大事にされる」の文法的解釈

「お大事にする」を敬語にすると、「お大事になさる」と「お大事にされる」の二つの言い方ができます。今回問題となっている「される」ですが、これは「する」という動詞の尊敬語にあたります。

つまり、「お大事にされる」というのは「お大事」+「さ」+「れる」というように分解ができます。この「さ」+「れる」は、「サ行変格活用動詞」+「尊敬の助動詞」という風に解釈ができます。これでは「病気の人」に対して尊敬している表現ではなく、「お大事」という状態を尊敬していることになってしまうので間違っているといえます。

「お大事に」という言葉はあくまで言葉をかける対象をいたわる言葉ですので、間違った表現をしないように注意が必要です。

「お大事にされてください」を使う地域もある

しかしながら、上で解説したのはあくまで標準語の文法表現です。地域によっては方言として「お大事にされてください」という表現を使う地域もあります。中国地方の西の方であったり九州地方では「お大事にされてください」と言う人が多くいると言われています。

そのため、もしあなたが「お大事にされてください」と誰かに言われたとしても目くじらを立てて間違いを指摘せず、素直に感謝するようにしましょう。また、その地域以外の人が使っていたとしても心配して言ってくださっていることには変わりないので、あまり正しい文法を気にする必要はありません。

くれぐれもお大事に~

先ほど「お大事にしてください」の例文で紹介したとおり、「お大事に」の前に「どうか」という言葉を付けることで心配の意味を強める表現があります。「お大事に」の強調によく使われる言葉には、「くれぐれも」があります。

「くれぐれもお大事に~」の例文

「どうか」のように「くれぐれも」を使って、「お大事に」にさらに心配の気持ちを込めて伝えましょう。「くれぐれもお大事に」は以下のような表現でよく使われています。

・くれぐれもお大事になさってください。
・早退されるのですね。くれぐれもお大事にしてください。ゆっくり休んでください。
・旦那さん、入院されたのですね。くれぐれもお大事にしてください。
・奥さんの妊娠おめでとうございます。くれぐれもお大事になさってください。

「くれぐれも」は「お大事に」を強調する言葉ですが、軽症の人に使ってはいけないということはありません。あまり考えすぎず、「お大事に」とセットで使う言葉として認識しても良いでしょう。最後の例のように、病気ではなく妊娠に対しても「身体を大切にしてください」という意味で使うこともできるので覚えておきましょう。

「お大事に」の敬語

「お大事に」は丁寧語を示す「お」が付いているため、そのままでも丁寧な表現であるといえます。しかしながら「お大事に」だけでは素っ気ない印象があって目上の人に対しては失礼にあたると考える人もいますので、敬語表現を覚えておく必要があります。

丁寧語

「お大事に」の丁寧語としては先ほど紹介した、「お大事にしてください」や「お大事になさってください」があげられます。「お大事になさってください」の方が上の立場の人に対して使いやすいですが、「お大事にしてください」でも失礼にはあたりませんので、あまり注意する必要はありません。使いやすい方や、相手がどの程度の敬語表現かを好むかを考えて使い分けるようにしましょう。

丁寧語の使い方

シーン別に「お大事に」の丁寧語の使い方を見ていきましょう。「お大事に」の表現と比較すると、より丁寧さが伝わりやすいです。

(本人の具合が悪くて早退するとき)
・寒いですからお大事にしてください。
・風邪ですか?お大事になさってくださいね。
・病院に行った方が良いですよ。お大事にしてくださいませ。

(本人の家族の具合が悪くて早退するとき)
・お子さんの熱が高いと心配ですね。お大事にしてください。
・奥さん、早く良くなると良いですね。お大事にしてくださいませ。
・旦那さん、大丈夫ですか?お大事になさってください。

「お大事に」単独ではあまり使われない

上の例でわかるように、「お大事に」で終わってしまうと会話として少し素っ気ない雰囲気になってしまいます。せっかくいたわりの気持ちを持って言っても素っ気ないと思われてしまっては台無しなので、「お大事に」単独では使わないようにしましょう。

目上の人だけではなく、同僚や部下・友人に対してであっても、「お大事にしてください」という言い方をした方が好印象を与えられます。ただし、この時に「お大事になさってください」というと丁寧すぎると受け止められることがあるので注意しましょう。

「お大事に」のメールでの使い方

「お大事に」は直接話す時だけではなく、FAXやメールのやり取りでも使うことができます。その時の注意点と、文章特有の表現を合わせて覚えておきましょう。

素っ気なく思われないようにしよう

文字だけではこちらが心配する気持ちが伝わりにくくなってしまいます。「お大事に」は敬語表現として間違っていませんが、「お大事に」だけでは素っ気なく思われる可能性があります。

会話の際も、「お大事にしてください」や「お大事になさってください」の方が誤解を招く危険性が低くなりますので、メールでも同様に「お大事にしてください」や「お大事になさってください」を使うようにしましょう。

メールでは「ご自愛ください」の方が良い

メールでは、「お大事にしてください」や「お大事になさってください」よりも「ご自愛ください」という表現の方が良いとされています。意味や使い方は、「お大事にしてください」と変わらないので、こちらの表現も覚えておくと良いでしょう。

「ご自愛ください」の例文

「ご自愛ください」の例文を確認していきましょう。

・弊社の田中よりお身体を悪くされていると聞きました。
 どうか無理せずご自愛ください。
・先日の面談で風邪気味とおっしゃっていましたが、その後いかがでしょうか。
 インフルエンザも流行る季節ですので、どうかご自愛ください。

使う時は文末にさりげなくつけよう

「お大事にしてください」も「ご自愛ください」も相手を心配し気遣う言葉ですが、多用することでくどくなってしまう恐れがあります。使う時は文末にさりげなく使うようにしましょう。

具合が悪くない場合でも使える

頻繁に会わない相手に送るメールでは、特に相手の具合が悪くない場合でも、挨拶のように「ご自愛ください」を使っても構いません。いつもメールの最後が、「今後ともよろしくお願いいたします」や「引き続きよろしくお願いします」では味気なく思う人もいるので、時折「ご自愛ください」でメールを終えるのも良いでしょう。

具合が悪くない場合の「ご自愛ください」の使い方

「ご自愛ください」を挨拶の定型句として使う場合の例文も紹介させていただきます。

・最近、鈴木さんのお住まいの地域で風邪が流行っていると耳にしました。
 年末の忙しい時期ですので、どうぞご自愛くださいませ。
・寒さが厳しくなってまいりましたので、くれぐれもご自愛ください。
・年度末の忙しさは何度過ごしても慣れることがありません。
 どうかご自愛ください。
・弊社でもインフルエンザの者が数名出ております。
 木村さんはご自愛くださいますようお願い申し上げます。

本人以外にはあまり使われない

「ご自愛ください」は「お大事にしてください」と同じ意味を持っていますが、本人以外の具合が悪い時にはあまり使われません。家族の具合が悪いことを気遣う場合は、メールであっても「奥さんの具合が悪いと聞きました。お大事にしてください」のように「お大事にしてください」という表現を使いましょう。

「お大事に」の目上の人への使い方

「お大事に」は敬語表現とはいえ、文章自体も短いため素っ気ない言い方になってしまいます。目上の人には「お大事に」だけで済ませずに、「お大事になさってください」や「くれぐれもお大事にしてください」のように文末を丁寧にする方が無難です。

「お大事にしてください」でも失礼にはあたらない

「お大事になさってください」の方が丁寧な表現とはいえ、「お大事にしてください」でも失礼にはあたりません。むしろ、相手によっては「お大事になさってください」や「お大事にしてくださいませ」のように丁寧な表現にすればするほど、しつこいと感じててしまう人もいます。

その人との普段の関係性や、周りがどのように声をかけているかを総合的に判断して「お大事にしてください」と言うか、「お大事になさってください」と言うか決めるのも良いでしょう。

気持ちを込めて「お大事に」を使おう

相手や周囲の人の体調を気遣う「お大事に」という言葉ですが、使い方によっては相手を不快な気持ちにさせてしまう可能性もあります。忙しい状況であっても「お大事に」だけで済ませず、相手の目を見て「お大事にしてください」と言うことが大切です。

一番大切なのは本当に相手のことを思って「お大事に」という言葉を使うことです。作業をしながら面倒くさそうに言ったり、メールで多用したりすると相手はあなたの本心を見抜いてしまいます。

どんなに忙しい時でも、心配の気持ちをしっかりと込めて相手に「お大事に」と伝えるようにしましょう。

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